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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  町田康
出版社: 中央公論新社

  「河内十人斬り」という実際に起きた大量殺人事件を取り上げた小説です。なぜ、犯人である熊太郎は、友である弥五郎とともに10人もの人間を次々と殺してしまったのであろうか・・・? というよりも、熊太郎という男はなぜに「孤独」なのだろう? 自分の考えていることと、吐き出される言葉が一致しないことで苦しむ彼の苦悩を追っていった物語です。

  冬休みと春休みに分割して読んだ本。文庫で800ページ。ポケットに入らない厚さ・・・ だけど、最後のあたりは一気呵成に読めてしまいます。それだけ乗りやすい文章です。登場人物たちが使う河内弁というのが生きています。

  暴走しまくりでぶっ飛ぶ文体。町田康の冷静な分析(著者が物語に口を挟む)。それに加えて、主人公・熊太郎のスパイラルのような思考の追跡、どれもおかしくて笑えます。深刻なのに滑稽、いや滑稽にして深刻です。

  最後の殺戮の部分だけしかなかったら、熊太郎はなんだかよく分からない理屈で人を次々と殺す極悪非道な理解できない「やつ」としか思えなかっただろうけど、そこに到るまでの彼の人生が語られることで、熊太郎も人間の1人なんだということがよく分かります。ちょっと考えることがいちいちアホっぽいんだけど・・・

  言いたいことは山ほどあるのにそれを言語化できない熊太郎。言葉ってなんだろうか、と考えさせられます。言葉というのはとても便利なもののはずなんだけど、それですくい取れないものっていうのもあるのではないか。人間の「思弁的」であるがゆえの、つらさみたいなものが表されています。

  いや、逆に人間は、言葉でもって思考を働かせているのだとしたら、全ては言葉にできるのではないか。だって言葉にならないものはそもそも存在しないのだから。でも、言葉にできない心情というのも確かにありそうな気がするよなぁ・・・ しかし、「言葉に出来ないもの」というふうな表現によって、「言葉にできないもの」も言葉に出来てしまうんだよなぁ。そこまでいくとほとんど言葉遊び、というかジレンマだけど・・・

  第41回谷崎潤一郎賞受賞作。2006年第3回本屋大賞ノミネート作(7位)。


自森人読書 告白
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★★★

作者:  高木彬光
出版社: 集英社

  佐野洋・編『最大の殺人』収録の短編。『最大の殺人』は、戦争が背景にある小説が集められた中短編のはずなのですが、ちょっとこれだけは異色作です・・・ 名探偵・神津恭介が登場。ちょうど太平洋ビキニ環礁で水爆実験が行われ、第五福竜丸が死の灰をかぶった頃の物語。

  陽子という女性が、自分は被爆しているのではないか、と医者に相談します。長い間寝たきりの夫を看病していて、ちょうどその夫が亡くなったところでした。彼女は、広島にも長崎にも行ったことはない。それなのに、調べてみると確かに被爆反応はあります。いったいどういうことなのか。

  実は、犯人は寝たきりの陽子の夫を担当していた主治医の男。彼が、放射性カルシウムを陽子の夫の脊髄にいれたのです。なぜそんなことをしたか。それは、医師が陽子に恋をしていたからでした。彼は、陽子と結婚したいと考えていたので、邪魔な寝たきりの夫を殺してしまったわけです。それでも別に、寝たきりの夫を看病していた陽子が被爆反応を示すことはないはずです。なのに何故反応を示したのか。それは、陽子が夫の遺骨を食べたからでした。

  全然戦争と関係ないじゃないか、と読み終わって思いました。時代背景は活かされているけど。う~ん肩透かしをくらったような不思議な感じです。

  そういえば、名探偵・神津恭介は、江戸川乱歩の明智小五郎、 横溝正史の金田一耕助と並んで「日本の三大名探偵」といわれていたそうです。

  だけど正直言って、神津恭介だけはもう忘れ去られている気がします。明智小五郎と、金田一耕助はたびたびドラマ化されたり映画化されたりして(この前も稲垣吾郎演じる金田一耕助の再放送やっていたなぁ)まだ多くの人に記憶されているのに、どうして神津恭介は生き残れなかったのだろうか。なんでだろう。不思議です。


自森人読書 原子病患者
『のぼうの城』
「でくのぼう」として皆から馬鹿扱いされる大男、成田長親が主人公。彼は忍城城主の一族。農民とともに田んぼへ繰り出したりもするのですが、全く役に立たないため、結果として馬鹿にされてしまいます。そんなふうにして、呑気に過ごしていると、成田家の仕える北条家が天下統一を目指す豊臣秀吉と敵対したため、忍城は2万の豊臣軍の大軍勢に包囲されてしまいます。成田長親と幼馴染の家老・正木丹波守利英、荒々しい巨漢・柴崎和泉守、毘沙門天の生まれ変わりを自称する美青年・酒巻靱負らは石田三成と戦うことに・・・

歴史小説。

いかにもコミック的。あっさりと読めてしまうし、物凄く分かりやすいです。別に嫌いではないのですが、登場するキャラクターたちがあまりにもありきたり過ぎないだろうか、と感じてしまいました。「ダメダメなのに実は凄いものを秘めている」という主人公の設定からして普通過ぎるし、いかにも悪役らしい悪役が登場するところにも興醒めでした。

そういえば、人間は皆好きなように自分の論理で生きているわけですが、そこらへんの描き方が巧いような気がします。ただし浅いような気がします。さくっと書くことによってすがすがしさが漂っているところは悪くないのかも知れないのだけど。


今日読んだ本
和田竜『のぼうの城』

今読んでいる本
オラフ・ステープルドン『スターメイカー』
ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
★★

著者:  山岡荘八
出版社: 講談社

  『山田長政』は短編集。『山田長政』『頼朝勘定』『親鸞の末裔たち』『黒船懐胎』収録。

  『山田長政』は江戸時代前期にシャムの日本人町で活躍した山田長政という人物のことを取り上げた中篇小説。

  山田長政は、主君の家が取り潰しになったため、全てを捨てて旅に出ました。その後長崎から密航してシャムへと向かいます・・・(飯嶋和一『黄金旅風』にもでてきた末次舟が登場しておー、と思いました)そしてシャムの日本人町の一員となり、傭兵として活躍。段々と力を持っていき、最後にはシャムの国王に信頼されるまでになります。そして、シャムの王位争いに対して発言権を持ち、自分たちと仲の良い人物を国王にたてることに成功。

  ですが、外国人ということもあって敵対勢力から嫌悪されます。そして、六昆というところに左遷され、最後には暗殺されてしまいました。彼の死後、日本人町は焼き払われ、シャムなど日本国外の日本人たちは苦難の道を歩むことになります・・・・・

  ちょっとロマンチックな話も混じったりしているけど(密航のとき、助けてくれる女性の話とか)、中篇なのでどうしても広がっていかないなぁ・・・ 「壮大な歴史物語」と言うのはやはり長編小説じゃないとだめな気がします。まぁ長ければ良いというわけではないけど。

  山岡荘八ってけっこう昔の人だから、古臭い文章なのかなぁとか思いつつ読み始めたら、けっこう普通で読みやすかったです。気楽に読める歴史小説、という感じでした。そういえば、山岡荘八ってがちがちの保守だよなぁ。日本国を大切にしようとかそういうことやってなかったっけ。あまり好きになれない・・・


自森人読書 山田長政
★★★

著者:  嶋津義忠
出版社: PHP研究所

  飄々としていて何事にもとらわれず、天下の政治を考えている天才軍師・竹中半兵衛と・・・ 降伏を勧めるために敵の城へいき、そこで1年近く監禁されてびっこになりながら生き延びてその後も活躍、あまりにきれすぎるので主君・豊臣秀吉にすら警戒されたといわれ、どこか底知れない軍師、黒田官兵衛。その2人を中心に、豊臣秀吉の天下取りを見ていこうというもの。

  読んでいて、黒田官兵衛は、ちょっとかっこ良すぎる気がしました。買いかぶりすぎじゃないかなぁ。もっと優しくない人のようなイメージがあります。「民のことに目を向けていた云々」っていうのはちょっときれい過ぎるのではないか。ありきたりすぎるというか。もう少し、未練たらしく天下を自分のものにしたい、という野心を追求する男だったのではないかなぁ、と僕は考えています(関連する本としては松本清張の、『軍師の境遇』があります。それは、黒田官兵衛を主役に据えた中篇小説。比較すると面白い)

  歴史小説にしては、なかなか読みやすいです。すとんすとんとはなしが進んで気持ちいい。ただし、戦国時代のだいたいの流れを知っている人でないと、ちょっと混乱するかも知れません。長いし、ちょっと創作も混じっているから気をつけないと(まぁ小説だから当然ですが)。

  世間一般に流通した常識というか、イメージでしっかりと書かれているので安心して読めます。歴史上のある人物が嫌いだから、口をきわめてその人の悪口を書く、という作家が時々います。それはそれで凄く面白いし、その非難の中からいろんなことが考えられて良いんだけど、その作家の信じる「非常識」をそのまま受け取ると、まずい。


自森人読書 竹中半兵衛と黒田官兵衛―秀吉に天下を取らせた二人の軍師
★★★

著者:  松尾スズキ
出版社: 文藝春秋

  主人公は、オーバードース(薬物過剰摂取)で精神病院送りになった佐倉明日香。彼女は、彼氏と大喧嘩したあとに薬品を摂取し、自殺しかけて入院します。そして、精神病院の中でいろんな「異常」な人と出会い、嫌悪感を覚えながらも、もしかして自分も異常なのではないかと悩みます。そして、何やら自分の記憶は薬を飲んだ後から欠落しているらしいと気付いて、悩みます・・・

 クワイエットルームというのは、女子だけの閉鎖病棟の中の保護室のこと。主人公も、時折その部屋に入れられたりします。

  第134回芥川賞候補作。ということは、「純文学」なのか。僕は、純文学っていうのは、もっと府に落ちない・割り切れない感じの作品のことだと思っていたんだけど、最近は変わってきたみたいです。「文学賞メッタ斬り」とかで有名な書評家、豊崎由美もそんなようなことを書いていて納得します。芥川賞候補になっているけど、そのまま直木賞候補にもなれそうな人がどんどんでてきている、そうです。

  きたなさを感じさせるような、エグい描写もあるけれど全体的に重々しさとかはなくて笑えます。1番最初に「どこかの店で見世物として、ゲロを飲んで口をそそいでいる」という悪夢みたいなシーンがあって、うわー何なんだ、と思うけどそこでガツンときたらもうあとは読めてしまいます。まぁ芥川賞候補作なので、中篇小説だし(芥川賞候補になれるのは、短編もしくは中篇。なので、長編は候補にならない)。

  松尾スズキは、もともと舞台をやっている人。戯曲『ふくすけ』とかを前読んだことはあったのですが、小説を読んだのは始めてでした。つまらないことはないけど、そこまで凄い、とは思わなかったです。まぁ読んで損はしないと思うけど、別にお薦めでもない、かなぁ・・・


自森人読書 クワイエットルームにようこそ
『ベストセラー本ゲーム化会議』
ベストセラー本をゲームにしてしまい、そこからその本や物語のルールを見出そうという企画。麻野一哉、米光一成、飯田和敏がべらべらと喋ったものが、そのまま収録されています。

力が抜けます。けれど喋っている三人はなかなかに読書通なので〈『世界がもし100人の村だったら』とか、『チーズはどこへ消えた?』とか、相田みつをとか、そこらへんをかるーくかるーく扱っていることからもそれがよく分かります〉、なかなかに面白いです。舞城王太郎はダサイけど良い、というのには同感。

けれど、もう少しだけ各々が好きな作品を明確にして欲しかったかも知れない。演出されたへらへらは愉快なのですが。

「ゲーム化会議」を全てに適用していったら面白いかも知れない。しかし、サブカルチャーの片隅まで知っている三人だからこそ面白いまとまっていないのにまとまっている鼎談ができるわけで、普通の人が同じことをやっても全然面白くない気がします。


今日読んだ本
麻野一哉、米光一成、飯田和敏『ベストセラー本ゲーム化会議』

今読んでいる本
オラフ・ステープルドン『スターメイカー』
和田竜『のぼうの城』
『虐殺器官』
9.11テロ以降、テロとの戦いは激化していきます。先進諸国は厳格な個人情報認証を徹底化。個人の自由はほぼ消滅。そのような中でサラエボが核弾頭によってクレーターと化します。その瞬間、核爆弾を用いるのは許されざる行為であるという「縛り」は破壊されました。
発展途上国では虐殺の嵐が吹き荒れます。米軍の特殊検索群i分遣隊(暗殺を実行する唯一の特殊部隊)に属すぼくはアメリカと「世界の正義」に邪魔な人間を次々と暗殺します。その対象として毎度登場するのが、謎の米国人ジョン・ポール。その男は虐殺のあるところには必ず現れます。ジョン・ポールとはいったい何者なのか。

9.11テロ以後の世界を舞台にしたハードSF。

様々なことを問う小説。「他人の命の上に成り立つ平和は平和といえるのか」というものが最も大きな問いかなぁと感じました。「戦争は啓蒙ではないか」といったかなりラディカルな視点も含まれていて興味深い。本当に考えさせられます。様々な小道具も魅力的(イルカ、鯨を殺し、彼らから取り出した筋肉が世界各地で機械に組み込まれている)。ハイテクの残酷さ、恐怖がきちりと示されています。

伊藤計劃は、言語学、文学にも造詣が深いようです。散りばめられた様々な単語(カフカとか、罪と罰とか)には、にやりとさせられます。血に塗れながらも、うだうだと悩み続ける思索的な主人公はいかにも文学的。彼の先進国の人間らしい悩みには共感します。

ラストが予想できてしまったのだけど、それでもやはり面白い。少なくとも21世紀の日本SFの傑作とはいえます。もしかしたら「世界文学」級なのではないか。

小松左京賞最終候補作。


今日読んだ本
伊藤計劃『虐殺器官』

今読んでいる本
オラフ・ステープルドン『スターメイカー』
『明治断頭台』
太政官弾正台の大巡察、香月経四郎と川路利良は様々な事件に遭遇します。香月経四郎は、死者の霊を呼ぶことが出来るという異様な力を持つフランス人美女エスメラルダとともに事件を解決していくのですが・・・

歴史ミステリ。ひねられた物理トリックがたまらない。

連作短編集のような感じなのですが、最後の章『正義の政府はあり得るか』で全ての謎が回収されます。どんでん返しは本当に衝撃的。香月経四郎の壮烈さには驚かされます。

太平洋戦争に影響されたらしい山田風太郎自身の歴史観が、はっきりと示されているところは非常に印象的。彼は、革命や戦争を美しいものとして書くことはありません。むしろその滑稽な部分や、グロテスクなところに目を向けます。綺麗な大義名分などに実はないとよく身をもって理解しているんだろうなぁ・・・

いろんな人がちょこっと登場するところも楽しいです。福沢諭吉を逞しくてしたたかでかなりの詭弁家として書いているところにはなるほどなぁと感じます。それに対し、勝海舟をくえない大物として書いているところには共感。内村鑑三が登場したときにはほー、と感心していました。西郷隆盛、江藤新平なども顔を見せます。その他にも多くの有名人が登場。それを確認していくだけでも楽しいです。

山田風太郎の明治ものの傑作。


今日読んだ本
山田風太郎『明治断頭台』

今読んでいる本
伊藤計劃『虐殺器官』
オラフ・ステープルドン『スターメイカー』
175インド三国志
★★★ 陳舜臣

174さよなら妖精
★★★★★ 米澤穂信

173風博士
★★★★ 坂口安吾

172日本武将譚
★★★ 菊池寛

171友達
★★★★ 安部公房
★★★

著者:  陳舜臣
出版社: 講談社

  17世紀(日本では江戸時代)頃のインドが舞台の物語。どうしてインド全土を支配した大国家・ムガル帝国は滅亡してしまったのか、というのを読み解いていこうというもの。主に、推理小説や中国の歴史小説を書いていることで有名な小説家、陳舜臣の意欲作です。

  なぜ彼は、中国史ばかりではなく、インド史にも目をむけられたのか? 日本に住んでいるから日本史を扱おうというのならば分かりやすいけど、そうではないのです。ではなぜなのか、というと別にたいした理由はなくて、偶然の結果なんだそうです。

  陳舜臣は若い頃、倍率が低いからという理由でインド語専攻の道を選びました。そして、その結果として「自分たち中国の文化が世界の中心である」というような中華思想に縛られず、アジア全体を眺めるようなもっとずっと広い視野を手に入れられたそうです。つまり青春の頃の思索が、この『インド三国志』に活かされているわけです。偶然が人をつくるんだなぁ・・・ 面白い。

  さて、では『インド三国志』はどんな物語かというと・・・

  毎回代が代わるたびに、兄弟が「帝位か、死か」を賭けて文字通り殺しあい(ムガル帝国の衰退の原因の1つとして、帝位の継承時の激しい争乱があると陳舜臣は見ていますが、とても納得します)、熾烈な帝位争いを繰り返すムガル帝国。その帝国に刃向かって、自由と独立を手に入れようとする幾多の少数民族。そしてそこへ割り込み、インドへの侵攻を開始する東インド会社。その3者による、三つ巴の戦いの始まりを描いたものです。

  一方の主人公は、兄弟を殺してムガル帝国皇帝となったものの、その視野の狭さのあまり多文化を弾圧し、帝国を自壊させていく皇帝・アウラングゼーブ。もう一方の主人公は、傭兵を稼業とするマラータ族をまとめ、国家を築いていった優れた指導者シヴァージ。そこに、東インド会社の面々が微妙に絡む感じです。ですが、東インド会社が本格始動するのは最後の章。あまりでてきません。

  『インド三国志』はあまりにも面白くて一気に読んでしまったのですが・・・ なんだか尻切れトンボというか、最後のところに〔未完〕とついていても良いような感じの終わり方になってしまっています。そこが残念です。壮大な物語の前半部分としか思えない。ぜひとも、続きを書いて欲しいなぁと思いました。


自森人読書 インド三国志
★★★★★

著者:  米澤穂信
出版社: 東京創元社

  1999年4月。日本の普通の高校生・守屋路行と太刀洗万智が、雨宿りをしていた異国の少女、マーヤと出会ったところから物語は始まります。マーヤはユーゴスラヴィア人、一時的に日本に来ているのだそうです。彼女はいろんな国の文化を学んだあと国へ帰り、「ユーゴスラヴィア」という国をつくることを目指していました。守屋路行は、マーヤが「つまらない日常」から連れ出してくれる存在なのではないか、と感じて憧れます。そうして日本の高校生である守屋路行、太刀洗万智、白河いずる、文原竹彦らは、マーヤと過ごす日々をそれなりに楽しんでいました。

  ですが、別れはやってきます。マーヤの帰国直前に、彼女の祖国で動乱が発生。しかしそれでも、彼女は大丈夫だと帰っていきます。そして・・・

  「哲学的理由がありますか?」というマーヤの問いがどうしても印象に残ります。ちょうどユーゴスラヴィア解体の頃の物語。

  米澤穂信を一躍有名にした出世作、らしいです。確かにとても面白い。米澤穂信の作品中、今のところ多分1番好きな小説です。

  「ミステリ・フロンティア」からでているのに、ミステリ小説としてたいして面白いとも言えないという意見もあるようです。確かにそういう批判も一理あるかも知れない。僕も、中盤まではでてくる「謎」がどれも小さくてあまり面白くないなぁと感じ、読み進めるのが億劫になっていました。だけど、最後のページまでたどり着いてみたら、がらりと印象が変わりました。

  『さよなら妖精』は、分類としては多分青春小説になる気がします。「マーヤは、自分を広い世界へ連れて行ってくれるのだ」と思っていたのは、単なる甘えに過ぎなかったと主人公・守屋は終わり頃に気付くんだけど・・・ そこにいたって、やっとそれに気付くというところが痛々しい。

  ほんとは、日本の友達や、そしてマーヤとともに過ごした何気ない日常の日々こそが素晴らしいものだったのに、渦中にあってはそれに気付けない・・・ 通り過ぎてしまったあとに、初めて分かる。そういう「青春」の姿みたいなものを、『さよなら妖精』は、見事に書ききっています。それだから、★5つ。


自森人読書 さよなら妖精
『現代日本の小説』
1980年代以降の日本文学史をたどっていくことができます。非常に分かりやすいです。押さえておくべき作家の名がきちりきちりと押さえてあります。

大江健三郎のノーベル賞受賞以前・以後を分け、以後の文学史についてを分析。よしもとばななと村上春樹を重視。とくに村上春樹には一章を割き、彼の遍歴を綴っています。それから、金原ひとみ、綿矢りさといった若手小説家がもたらした衝撃や、変容しつつある日本人の感性のことについても分析されています。

「純文学」系の小説家たちのことはかなり詳細に掴むことができます。しかし、「純文学」系以外の小説家の説明にはけっこう間違いがあるし、扱いが悪い。

たとえば、舞城王太郎をライトノベル作家として扱っているのは多分、間違っています。いかにもラノベ系な雰囲気を漂わせているけれど、ライトノベル作家ではありません。元々は清涼院流水などを輩出したメフィスト賞から、すなわち異端的な新本格ブームからでてきた人です。

まぁ、「純文学」系や「文壇」を中心にしないとしかたないともいえます。ケータイ小説のことまで含めようとしたら、やっぱりおさまりがつかないだろうし。

最後は少し走りすぎているような気もしました。一つ一つのことについて詳しく読みたい、と感じました。「70年代以降の小説は全てクズ」とか言い放つ人たちに比べて尾崎真理子は良心的だし、絶対に凄い人です。ちゃんと読んでいるわけだから。


今日読んだ本
尾崎真理子『現代日本の小説』

今読んでいる本
山田風太郎『明治断頭台』
★★★★

著者:  坂口安吾
出版社: 筑摩書房

  風博士で「かぜはかせ」と読みます。

  東京都の某地に住んでいた風博士。彼は、蛸博士という人物と激しく対立していたのですが・・・ 突如として遺書を残して失踪してしまいます。語り手は自殺したと信じて疑わず、繰り返し死んだのだと書くのですが・・・ 語り手の書く風博士の「臨終」の様子は、「一陣の突風」と化して消えた、というもの。遺体は存在しません。いったいぜんたいどういうことなのだろうか。

  何かの暗喩だろうか、と考えるだけ無駄だろうか。う~ん物語内にいろんな矛盾があったりします。突き詰めて考えると、そもそも、この語り手が信用できないよなぁ・・・ いやいや物語全体が信用できない。風博士なんてそもそも存在しているのだろうか。まぁその不可解さが面白いんだけど。

  読者の「?」にはなんにも答えないで、物語は終わってしまいます・・・ ミステリタッチ。ファンタジー小説ともいえるかも知れないけど、物語全体がジョークみたいな気もします。だけどどことなく何か深い意味がありそうな気もする・・・ 坂口安吾お得意の「ファルス」。

  牧野信一に激賞された出世作。この作品で坂口安吾は一躍有名になったそうです。

  最近、なぜか人気になって、タイトルがウェブブラウザの名前にも使われています(なぜなのかはよく知らないけど)。まぁ確かに読んでいるだけで面白い文章だから、惹きつけられる人も多いのかも知れない。なぜか、やたらと大仰なんだよなぁ。この語り手はなんなんだろうか・・・

  語りだしはこんな感じ。「 諸君は、東京市某町某番地なる風博士の邸宅を御存じであろう乎? 御存じない。それは大変残念である。そして諸君は偉大なる風博士を御存知であろうか? ない。嗚呼。では諸君は遺書だけが発見されて、偉大なる風博士自体は杳として紛失したことも御存知ないであろうか?(・・・云々・・・・)」


自森人読書 風博士
★★★

著者:  菊池寛
出版社: 文藝春秋

  『日本武将譚』は、タイトル通り日本のいろんな武将を、史実に沿って紹介していくもの。簡潔で、すぱっとした文章が小気味いいです。登場するのは、平将門、(源)八幡太郎義家、(源)木曾義仲、源義経、楠木正成、太田道灌、北条早雲、明智光秀、黒田如水、伊達政宗、加藤清正、石田光成、謙信と信玄。だいたい平安時代の終わり頃から、江戸時代の始まり頃までに活躍した武将たちです。

  そして、最後にちょっと物語風の「秀吉と政宗」というのがくっついています。2人ともそれぞれ魅力的な人物です。菊池寛は、豊臣秀吉と伊達政宗のことが気に入っているのかなぁ、多分。

  北条早雲も登場。僕がけっこう気に入っている人です。北条早雲は、それまで力を持っていた守護から、関東を奪い取った戦国大名の先駆け。つまり戦国時代を切り開いた男なわけです。しかし、一度も大河ドラマにされていません。いたのかも分からない山本勘助ではなくて、北条早雲を大河ドラマにして欲しいのになぁ・・・

  この『日本武将譚』を基礎にして、厚い歴史小説を書いたら面白そうだと感じました。いや、もうとっくの昔に全部誰かがやってしまっているか。今では、歴史小説は一大ジャンルとなってしまっていて、小説の題材になっていない時代というのはもはや存在しないといってもいいほどです。昔は、脚光を浴びることが少なかった南北朝時代を舞台にした小説だってけっこうでてきています(その筆頭が、北方謙三かなぁ、たぶん)。

  そういえば、これまでは菊池寛と聞くと芥川賞・直木賞を創設した人というイメージしかなかったけど、『日本武将譚』を読んだ後、興味を持ったので、彼がどんな人なのか調べてみました。

  彼は、大正・昭和の大人気作家。今にまで脈々と続く「文壇」の代表格のような雑誌『文藝春秋』を私財を投じて刊行した人なのだそうです。さらに、大映(映画会社)の初代社長に就任したり、多方面で活躍、「文壇の大御所」といわれていたらしい。しかし、太平洋戦争後は戦争協力の責任を問われて公職追放になり、そのまま死去。一時期、彼の作品群はかなり冷遇されたみたいです。今でも、冷遇されてるのかなぁ・・・ あまり見かけない気がする。


自森人読書 日本武将譚
★★★★

著者:  安部公房
出版社: 新潮社

  笑顔で隣人愛を唱え続ける、グロテスクな9人の「家族」の人たちが突然、ある男の家に闖入してきて男の生活を侵食しつくしていきます。男は「家族」の屁理屈と数に圧倒され、どんどんと追い詰められていきます。ありえないような屁理屈だらけのやりとりは凄く笑えます。よくこんな捻じ曲がったことが考え付くなぁ・・・ しかし、最後まで読むとちょっと笑えなくなってきます。

  凄くいろんなことを考えさせられます。黒くて怖くて笑える喜劇。

  好意を装っているけど、明らかに男の全てを破壊し、最後には男を殺してしまう9人の「家族」が、怖いです。でも、世の中にこういうことってよくあるのではないか? むしろありがちじゃないか。見せかけの好意と、「多数派」の横暴。

  多数派というのは多いというだけで、すでに少数派を圧迫しているともいえます。自分が「多数派」になっているかも知れない、と思うととても怖いなぁ。知らないうちに誰かを追い詰めているのかも・・・? そうだしたらいったいどうすれば良いのだろう。

  谷崎潤一郎賞受賞作。小説ではなくて戯曲。舞台化されることを想定して書かれたものです。

  「友達」という文字を見て・・・ 浦沢直樹『20世紀少年』はもしかしてこれに着想を得たのかなぁ、と考えたりしました。なんだか、理不尽さとか似通った部分がたくさんあります。いや、そんな訳はないんだけど。まぁ安部公房って、まるで未来を予知して書いたような深い内容のものが多いので、あとから出てきた作品の中にまるでパクリに見えてしまうものもいろいろある気がします。

  それだけ安部公房が、時代の先を行っていた、ということなのかなぁ、多分。

  第3回谷崎潤一郎賞受賞作。


自森人読書 友達
『SFが読みたい! 2001年版』
国内のベスト1は、菅浩江の『永遠の森-博物館惑星』。
海外のベスト1は、ダン・シモンの『エンディミオンの覚醒』。

『永遠の森』は面白かった記憶があります。


今日読んだ本
SFマガジン編集部『SFが読みたい! 2001年版』

今読んでいる本
山田風太郎『明治断頭台』
『必読書150』
編者達が、カノン(正典)だと思うものを列挙した本。反時代的なブックガイドを自称しています。かつての教養主義をある程度は好意的に捉え、まぁいかにも必読書として挙げられそうな作品をあえて挙げているわけです。

「これらを読まなければサルである」と謳っていますが、虚仮威しにしか聞こえないです。ありきたりの名著一覧みたいな感じだし、解説文は全然面白くない。というか解説になってない。

選者は一人の方が面白かったのではないか。

「中国の文学などには詳しくないので入れなかった」「これからアジアで考えていくべきですかね」とかそんなようなことを言って、アジアの文学には目もくれないところには疑問を感じます(唐詩選、阿Qくらいしか入っていない)。

「1970年代以降の日本の小説は全部カス」みたいな主張には反感を覚えます。全てを一緒くたにして論ずるということには無理があるのではないか。もしかして、編者達の感覚が古びている/古くなったのでは、といいたくなります。

彼らは「日本の哲学/文学は退化しつつある」「終わっている」みたいなことをいつも言い張るけど、昔から文学を読む人や哲学をやっている人なんて少数派では? それにいつの時代にも「昔は良かった」論者はいるわけだし。まぁ、そう深刻になる必要はないのではないか。

まぁ、あえて『必読書150』という本を出版し、風波をたてて煽る人たちは応援しないでもないのですが。


今日読んだ本
柄谷行人、浅田彰、岡崎乾二郎、奥泉光、島田雅彦、すが秀実、渡部直己、『必読書150』

今読んでいる本
SFマガジン編集部『SFが読みたい! 2001年版』
170黒衣の聖母
★★★ 山田風太郎

169占星術殺人事件
★★★★★ 島田荘司

168児玉源太郎―明治陸軍の巨星
★★★ 三戸岡道夫

167医学のたまご
★★★ 海堂尊

166リアル鬼ごっこ
★ 山田悠介
★★★

作者:  山田風太郎
出版社: 集英社

  佐野洋・編『最大の殺人』収録の短編。山田風太郎の初期の短編の傑作、だそうです。確かにとても面白い。

  同じような奇想と、ちょっとグロテスクな作風から、同じ名字の小説家、山田悠介を一瞬連想するけど、もう全く比較になりません。山田風太郎は、強烈なエログロっぽい雰囲気を発散しながら、それでいてきちりと綺麗な文体だから、薄っぺらい山田悠介じゃ全然太刀打ちできるはずがない。というか、山田悠介はそもそも日本語としての間違いが多くて、そこにまずうんざりです・・・

  『黒衣の聖母』は、敗戦を背景にした絶望感・空虚感が滲み出てくるような感じがします。

  学徒出陣で出征したものの生き延びて、戦後帰ってきた男、蜂須賀が主人公です。彼には、愛する女性・マチ子がいました。ですが、彼女は戦争中空襲に遭って行方不明になってしまっていました。戦場へ出ていった男が生き延び、本土にあった女が死んだ・・・・・ 皮肉です。

  戦後、蜂須賀は闇屋となり、けっこう儲けてそれなりに良い暮らしをするのですが、かつて愛した人のことが忘れられないでいました。そんなある日、かつての恋人とどことなく雰囲気の似た女性と出会います。凄く美人。それでいて実は、パンパン。赤ちゃんを養うために体を売っている、というのです。蜂須賀は出会った彼女のことを「聖女」のように思いながら買い、彼女に溺れていくのですが、実は・・・

  「酒飲んで女を買った、その後女を買うときはなんとなく酒が必要になった」というところがミソ。つまり、意識が朦朧とした中、しかも暗闇で女と抱き合っているので女が入れ替わっていても気付かないのです・・ それがこの物語に仕掛けられたトリック。

  しかも、最後の手紙まで読むとどきりとします。ため息をつきたくなります。この切れの良さ、そしてなんともしがたい薄気味の悪さがぽんと残されるところが、短編の醍醐味だなぁと感じます。


自森人読書 黒衣の聖母
★★★★★

作者:  島田荘司
出版社: 講談社

  事件が起きたのは、1936年2月26日。二・二六事件の起きた日。ある画家が遺書を残して密室で死亡しました。その遺書には、自分の娘と孫娘たち6人の処女をばらばらにし、そこから各部位を選び出して完全な人間(アゾート)をつくるんだ、と書いてありました。そしてその後、遺書は実現します・・・ なんと日本全国から6人の死体が次から次へと見つかったのです。警察は、その難解な事件を解決できませんでした。そうしてアゾート殺人は、迷宮入りしてしまいました。

  時は流れて1979年。颯爽と登場した名探偵・御手洗潔は、アゾート殺人を解決すべく立ち上がります。彼は、親友・石岡和己の詳しい解説を聞きながら、推理をすすめていきますが・・・ すでに事件が終わってから数十年が過ぎています。本当に、御手洗潔に事件は解けるのだろうか?

  御手洗潔シリーズの第1作目。作者から読者への挑戦が、途中にあります。僕は、そこに至っても全く答えをだせていませんでした。どうやったら全部の辻褄があうのか、さっぱり分かりませんでした。でも、最後には全ての謎がきちんと解決します。ラストには感動しました。本当に面白かったです。

  本格ミステリの傑作。

  長い間、探し出すのが面倒で、島田荘司の本を読んだことがなかったのですが、損をしたなぁと思います。シリーズもののようなので、これから1つずつ読んでいこうかなぁ・・・ たいていマンネリに陥ってつまらなくなるけど。でも読んでみないことには面白いかどうかは分からないか。

  御手洗潔の喋りが面白いです。やたらと人をばかにしたような喋り方をする・・・ シャーロック・ホームズをこけにしたり。でも、御手洗潔と石岡和己の組み合わせってホームズとワトソンに似ているよなぁ。そっくりなような気がする。


自森人読書 占星術殺人事件
★★★

著者:  三戸岡道夫
出版社: 学習研究社

  日露戦争において日本軍を勝利に導いた男・児玉源太郎の生涯をたどって行くもの。

  児玉源太郎は、もともと長州藩の支藩、徳山藩に生まれました。西南戦争(西郷隆盛の叛乱)の時には、谷干城配下の幹部として政府側の拠点、熊本城を敵から守り抜きます。その後、台湾総督になると、後藤新平(のち関東震災後、東京都復興を指揮した人)を抜擢し、統治を順調に行いました。単なる「武将」ではなく、政治家としても優れていたわけです。

  そして、彼の一番の「見せ場」とも言うべき日露戦争がやってきます・・・ 彼は、内務大臣を務めていたのですが、参謀次長の田村怡与造が突如病死したため、その後任となりました。大山巌参謀総長に請われ、降格人事を受け入れたのです。日本陸軍の中で、降格人事を受け入れたのは彼ただ1人です。そうして参謀次長になると、児玉源太郎は戦争全体の構想の立案、戦費の調達などを行いました。

  彼の努力もあって、日本軍は最終的にロシアとの戦いに一応の勝利をおさめました。児玉源太郎は、英雄になりました。ですがその後、1年たたない内に脳溢血で死去。日露戦争後、日本は狂ったような軍国主義化に走っていきますが、彼はそれに関わらずに生涯を終えました。

  太平洋戦争のとき、スケールのでかい軍人が1人も残っていなかった、といわれます。それで、頭でっかちの官僚軍人ばかりが揃ってしまった、というのです。明治・大正時代のビッグな軍人といえば、山縣有朋、大山巌、児玉源太郎といった人たちが思いつきます。みんな死んじゃったんだなぁ・・・

  それにしても、大日本帝国は、どうして無謀な太平洋戦争を始めてしまったんだろうか・・・ とめられる人はいなかったのかなぁ。


自森人読書 児玉源太郎―明治陸軍の巨星
★★★

著者:  海堂尊
出版社: 理論社

  2020年頃の「東城大学医学部付属病院」が舞台。普通の中学生の男の子・曽根崎薫は、潜在能力試験で全国一位の成績を取ってしまったために、日本初の中学生医学生として東城大学の医学部に通うことになります。しかし、実は凄い潜在能力があったからではなく、父であるゲーム理論学者・曽根崎信一郎がつくった試験の原案を事前に知っていたためその成績が残せたのです。

  彼は、医学のことは何も分からない。なので四苦八苦しますが・・・ いろんなことがある中で、大人の醜い世界を知ることになります。

  横書き。『ミステリーYA!シリーズ』の中の1冊。縦書きではないので不思議な感じです。やっぱり日本の小説は、基本的に縦書きであるべきではないか、と僕は思います。まぁ別に横書きでも良いのではないか、という気もするけど。

  面白いけど、佳作とまではいかないなぁ。軽妙なところは良いけど、しつこい気がします。

  早く海堂尊のデビュー作・『チーム・バチスタの栄光』を読んでみたいです。図書館で借りようとしても予約だらけで大変なので、いまだに読んでいません。本当は、そちらを先に読まないとだめだよなぁ・・・ 医療への熱い思いのあまり脱線していく「その後の作品」じゃなくて、まずは素晴らしい傑作と賞されている第1作目を読まなきゃ。そうしたら海堂尊の面白さが分かるかもしれない。

  というわけで★3つ。


自森人読書 医学のたまご
『対岸』
街に疲れ、何もないきれいな対岸に渡りたいと願う男の物語。彼は仕事の中で時間を見つけ・・・

『遠い陸橋』
今度は息子が登場。『あの夕陽』の続編らしき作品。


今日読んだ作品
日野啓三『対岸』
日野啓三『遠い陸橋』


ひとまず置く
山田風太郎『明治断頭台』
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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