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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『スティームタイガーの死走』は愉快なミステリ小説。
『スティームタイガーの死走』
コハダトーイという玩具会社を創った小羽田伝介は、幻の機関車・C63型蒸気機関車を再現。息子にプレゼントします。息子は「虎徹号」と命名し、それを中央線で走らせようとしました。しかし、そのお披露目の日、出発駅である北別府駅で死体が発見されます。しかも、「虎徹号」が虎のお面を被った2人組に乗っ取られ・・・

最後の最後に大きなどんでん返しが待っています。

大阪圭吉に捧げられた1冊。

バカミスの第一人者、霞流一の力が遺憾なく発揮されています。阿呆らしい、納得できないような謎解きが多い。まぁありなのかも知れないけど、いまいち納得できないような・・・ しかし、物語と登場人物たちは面白いです。とくにキラリ(蜂草輝良里)という針師の女性が最高に面白いです。

勁文社。


今日読んだ作品
霞流一『スティームタイガーの死走』

今読んでいる本
帚木蓬生『白い夏の墓標』
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『自動起床装置』
眠りというものと真摯に向き合う「起こし屋」聡。ぼくは彼に触発され、仮眠室に眠る男達をうまく目覚めへと導くべく努力していました。ですが、昼間の毒気を吐き出すように眠る人たちと向き合う日々が終わる可能性がでてきました。自動起床装置の試験導入が決定したからです。聡は冷たく怒るのですが・・・

『迷い旅』
私はカンボジアの戦場を旅していきます。何度も引き返そうとするのだけど、なぜかうまくいきません。そうしてたどり着いた先には・・・

『自動起床装置』は芥川賞受賞作。

機械化があらゆるところに忍び込み、自然な感覚を破壊しているという主張はまぁありきたりなのだけど、「眠り」を用いてその主張を掘り下げていくところが面白い、と感じました。けっこう深いものがあります。

主人公の考えが曖昧なところも良いです。作者の主張を主人公が代弁してしまうようになっていたら、ちょっとなぁと思ったかも知れないけど、そういうふうな構造にはなっていません。不思議な雰囲気を持っている聡が語るからこそ、良いと感じます。


今日読んだ作品
辺見庸『自動起床装置』
辺見庸『迷い旅』


今読んでいる本
帚木蓬生『白い夏の墓標』
霞流一『スティームタイガーの死走』
『チーム・バチスタの栄光 下』
下巻も面白かったです。

ロジカル・モンスターこと白鳥が登場してからの展開がとにかく笑えます。「ロジカル・モンスター」という綽名がついているわけには、別に凄い手法を使うわけではあるわけではありません。ようするに相手を激発させて、どっきりさせるだけなのです。
どちらかというと田口の方が論理的のような気すらします・・・


今日読んだ本
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 下』

今読んでいる本
辺見庸『自動起床装置』
『見えない線』はバーが舞台の物語。バイトをしているノリオは、気になる女性と出会うのだが、彼女には別に不倫相手が居るらしく・・・

『九杯目には早すぎる』はショートショート。バーで交わされるある会話を巡る物語。

『キリング・タイム』
佐伯は、上司黒住の家の近くに住んでいました。そのため気苦労が絶えません。その日も偶然見つかってしまい、一緒に酒を飲むことに・・・


今日読んだ作品
蒼井上鷹『見えない線』
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
蒼井上鷹『キリング・タイム』


今読んでいる本
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 下』
150中国哲学を学ぶ人のために
★★★★ 本田済

149かにむかし
★★★ 木下順二

148後鳥羽伝説殺人事件
★★★★ 内田康夫

147
★★★ 芥川龍之介

1462005年のロケットボーイズ
★★★★ 五十嵐貴久
★★★★

編者:  本田済
出版社: 世界思想社

  古書です。1977年の本。自由の森学園図書館のリサイクルコーナーで見つけたので貰ってしまいました。たぶん、どうせ捨てられるだけなので。

  読んでいて面白い本だなぁと感じました。とくに面白いのは各時代のいろんな人物から、中国思想の歴史を紹介していく部分(第2章)。僕は、この本で康有為や胡適という人を知って、もう少し詳しく知りたいなぁと感じました。

  他の対談の部分などは、みんな難しいこと語っていて読むのが眠くなってきます。だけど、東洋の思想と西洋の思想との根本的な相違はどこにあるのか、などのことをまじめに語っているのでためになります。面白い考え方をする人も、いるのだなぁ・・・

  でもやっぱり原典を読まないと、大事なことを見失う可能性があるかも知れない。『中国哲学を学ぶ人のために』は、いろんなものを集めて、要約して、まとめて、その上でそれらの繋がりを探っていったものです。だから、それぞれの個性的な部分は大きく取り上げられているけど、たぶん細かいニュアンスは切り捨てられている気がします。

  ただし、中国のいろんな思想・哲学を知るためには、とても役に立つ面白い本です。

  やっぱり僕は、晋時代以降の権力に寄り添っていった儒教などは、好きじゃないなぁと思います。異端とされている思想の方がよほど深みを持っているような感じがする。墨子の思想とか。僕は面白いし、凄いなぁと感心します。

  これから、もう少しいろんな本を読んでいきたいなぁ、と思います。


自森人読書 中国哲学を学ぶ人のために
借りた本。

桜宮市の東城大学医学部付属病院は、天才外科医・桐生恭一を招聘し、彼を中心にして、「チーム・バチスタ」を結成します。桐生恭一は、失敗する確率が非常に高いバチスタ手術を20件以上、次々と成功させていきました。それはチーム・バチスタの奇跡と呼ばれました。ですが、最近になって相次いで3回も手術が失敗。不定愁訴外来の田口医師は、高階病院長に依頼され、その事態を調査するのですが・・・

田口は丹念に事態を調査していきます。その聴き込みはけっこう面白いです。でも、物足りない。今、下巻を読み始めたところなのですが、「ロジカル・モンスター」白鳥が登場してくると楽しくなってきます。白鳥は全てをぶっ壊して前進していきます。本当に傍若無人。凄い・・・

第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。


今日読んだ本
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 上』

今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 下』
蒼井上鷹の短編集『九杯目には早すぎる』を読んでいる最中。

『清潔で明るい食卓』はショートショートみたいな感じ。1週間前に結婚した元ナースの妻が最高な朝食をつくってくれるのですが・・・

『タン・バタン』は怖いけど笑えます。

『最後のメッセージ』も短い。ストーカーにつきまとわれ、困った作家、葵は三谷に相談するのですが・・・


今日読んだ作品
蒼井上鷹『清潔で明るい食卓』
蒼井上鷹『タン・バタン』
蒼井上鷹『最後のメッセージ』


今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 上』

凹組は、九品仏にあるアパートの一室を借りているデザイン事務所。凪海(なみ)はそこに入社し、大滝、黒川とともに色んな広告や、お菓子の装丁からエロ雑誌のレイアウトまで何でもこなしていきます。そんなある日、慈極園という遊園地から凪海の描いたキャラクターを使わせてほしいという連絡がありました。凪海は愛するキャラクター、デビゾーとオニノスケを世界に発信する機会を得て喜ぶのですが、凹組だけでやるのはきついということで、大きなデザイン事務所QQQに出向することになります。QQQを率いているのは、昔、大滝、黒川とともに凹組を立ち上げた女性、醐宮でした。凪海は、醐宮にQQQへ来ないかと言われます。彼女はQQQをとるか、それとも凹組をとるか迷うのですが・・・

青春小説。

凹組という職場は非常に楽しそうです。結局、その凹組という狭い世界に閉じこもる大滝、黒川には共感できます。

1つひとつのエピソードの描き方が、あまりにも巧いです。きちりと収まっていて、本当に笑えます。


今日読んだ本
山本幸久『凸凹デイズ』

今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
★★★

作:  木下順二
絵:  清水崑
出版社: 岩波書店

  小さい頃、けっこうたくさんの絵本を読んでもらったはずなのですが、今ではあまり覚えていません。記憶は曖昧で頼りになりません。絵本の感想書こうとする時に、読み直して始めて、あーそういえばそういうはなしだったけかなぁ、と思い出します。

  だけどこの『かにむかし』だけは、妙によく覚えていました。柿の下にいるカニとサルの絵が、表紙に描いてあるのもくっきり覚えていたし、あの理不尽なストーリーもしっかりと覚えていました。なんというかとても不思議です。どうしてこの絵本だけは覚えているのだろう・・・ 繰り返し読んで貰ったのかなぁ、そんなことはないような気がするんだけど。

  あらすじは『さるかに合戦』と同じです。

  拾った柿のたねをまいたカニ。「はよう芽をだせ、かきのたね」と言いながら育てていたら、いっぱい柿ができました。すると、そこへ意地悪なサルがやってきて、木にするすると登ると美味しいやつをもいでいきます。カニは、自分にもくれというのですが、サルに投げつけられた渋柿に潰され、死んでしまいました・・・

  親をつぶされたカニの子供たちは怒りました。栗や蜂、臼に、はぜ棒と牛のうんちといったものたちを味方につけて、サルのところへ仕返しに行きます・・・

  なぜか、とても鮮明に覚えているなぁ、絵まで。


自森人読書 かにむかし
★★★★

作者:  内田康夫
出版社: 角川書店

  正法寺美也子は、ある古本屋でどこか見覚えのある書物を発見、それを買う。

  8年前、彼女は卒業論文を執筆するべく、後鳥羽法皇が隠岐に流された時の道順を追って旅行したことがあったのだが、その時大雨の結果起きた土砂崩れによって自らの記憶と、友人・浅見祐子とを失っていた。書物は、その失われた記憶と関連がありそうだ、と美也子は感じたのだ。だが、その同じ日に彼女は、広島県のJR三次駅構内で殺害されてしまう。なぜか、買ったはずの書物は消えていた。いったいどういうことなのか・・・?

  1985年出版。名探偵・浅見光彦が初登場する作品。浅見光彦は、「名家の生まれの、ちょっと軟弱そうでハンサムな名探偵」です。彼が登場する作品群はヒットして、何度もテレビドラマ化されています。映画化も1度くらいはされているんじゃないかなぁ。

  僕は、内田康夫という作家をあまり面白くなさそうだ、と思って中学のころからずっと放置していました。だけど高1の夏休みに暇だったので初めて『後鳥羽伝説殺人事件』を手に取ってみて、後悔しました。内田康夫の書いたミステリ小説、かなり面白いです。

  終わり近くなると、犯人が分かってきてしまうところがちょっと玉に瑕かなぁ。最後の犠牲者がでる少し前くらいから、う~ん犯人はあいつしかいないよなぁ、と推測できてしまいます。

  でも、過去の事件と現在の事件をうまくからめていくところは見事です。過去の事件と現在の事件が交錯し複雑に関連し合う、という技巧をこらすとどうしても無理がでてきます。納得できる物語をつむぎだすのはけっこう難しいのです。だけど、『後鳥羽伝説殺人事件』はそこがうまくできています。


自森人読書 後鳥羽伝説殺人事件
★★★

著者:  芥川龍之介
出版社: 青空文庫

  信子は、才媛として女子大学では知られていました。いずれは小説家として文壇に打って出るのだろう、と誰もが思っていたほどでした。しかしそんな女性であっても、職のことではなく、まず縁談のことを考えないといけませんでした。

  信子には、俊吉といういとこがいました。文科に籍をおく学生で、彼も将来は作家になるつもりらしい青年でした。2人は信子の妹・照子をつれて、よく展覧会や音楽会へ行きました。なので、いずれ信子と俊吉は、結婚するのだろうと周囲の者からは噂されていました。しかし、信子は全然別の男性と結婚し、さらに商事会社に就職してしまいます・・・ 信子の妹・照子は、信子が俊吉を譲ってくれたのだと悟り、御詫びの手紙を姉にわたします。そうして、照子と俊吉は結婚しました。その後、信子はそれなりの生活を送りました。そしてある日、俊吉と照子に会いに行きます・・・

  春休みに読んだ本。

  劇的なドラマがあるわけではありません。誰かが発狂したように叫んだりとかはしません。だけど、静かなドラマがあって面白いです。

  読みすすめていくと、結婚した照子と俊吉はすれ違っているようです。そして信子は、俊吉が本当に愛しているのは自分なのだと悟ります。そして、照子の不幸をみて「残酷な喜び」を感じますが、口では「照子が(俊吉に愛されていて)幸せならそれで良いのよ」と語ります。暗いなぁ・・・ でもまぁそれだけだから、暗いというよりは、しかたがない心の動きと言えるかも知れない。

  う~ん・・・ 結婚してうまくいかないと一生苦労したんだろうなぁと思います。当時は、軽々しく離婚ができる時代ではないだろうし。

  仲は良いのに諸事情あって結ばれずその後あまり幸福な人生を歩めない、っていうのどこかで見たなぁと思うんだけど。NHK大河ドラマ『篤姫』の、篤姫と小松帯刀の2人かなぁ。違うか。思い出せません。まぁそういうシチュエーションはいくらでもあるからなぁ。ロミオとジュリエットだってそんなようなものだし。


自森人読書 秋
★★★★

著者:  五十嵐貴久
出版社: 双葉社

  主人公は高校生・梶屋信介(カジシン)。彼は、居眠り運転のトラックにはねられて志望校へいけず、工業高校に入学。ぐちばかりこぼしていました。そうしたら、大企業の御曹司にして、その高校の理事長の息子である男に疎まれ、彼の差し金で事実上学校中から無視されるはめになります。カジシンは荒れてタバコを吸い、酒を飲み、パチンコにはまります。そしてあるとき、運悪く酒飲んで倒れ・・・

  翌日教員から呼び出され、退学になるか、それとも言いなりになるか二者択一を迫られ、退学を避けるために、なんとキューブサット(小型人工衛星、10cm×10cm×10cm)をつくるはめに。彼は、世間では「オチコボレ」として扱われるような仲間たちととにもその課題に取り組むことにします。すると最初は嫌々だったのに、いつの間にかそこに居場所を見つけるようになっていきます・・・

  2009年1月1日。1年の1番始めに読んだ本。

  爽快で読みやすさは抜群、ものの30分で読み終わります。傑作というほど凄いかどうかは分からないけど、快作ではあります。読んでいて、暗い気持ちになるところはほとんどありません。テレビドラマ化されたらしいです。0地点どころか、マイナス地点からスタートし、どこまでも疾走していく「オチコボレ」の主人公たち。かっこ良いです。

  個性的としか言いようがない登場人物たちが際立っているなぁと感じます。極端に語彙が少なくて、「おお」と「ああ」しか喋らない190㎝の不良(翔ちゃん)、とか。数学の才能だけは天才的、心に闇を抱えていて一言も喋らないネット中毒の男の子(レインマン)、とか。

  そういえば、作者も1番最後に書いているように、「2005年のロケットボーイズ」というタイトルだけど、ロケットはあんまり関係ありません。ロケットは申し訳程度しか登場しません。「2005年のキューブサットボーイズアンドガール」の物語です。


自森人読書 2005年のロケットボーイズ
『九杯目には早すぎる』
蒼井上鷹の短編集。

『大松鮨の奇妙な客』
蓑田は頼まれて不倫疑惑がある男性を尾行します。その男は、寿司ネタを残しておいて、それを特製茶碗蒸しに放り込み、ぐちゃぐちゃにして食おうとして店から追い出されました。いったいなんためにそんなことをしたのか?

『においます?』
超短編。ショートショートに近い。

『私はこうしてデビューした』
怖い短編。作家デビューしようとしたら、ファンを名乗る人からメールを送られまくれ、つきまとわれる、という物語。

若竹七海に近いものがあります。双葉社。


今日読んだ作品
蒼井上鷹『大松鮨の奇妙な客』
蒼井上鷹『においます?』
蒼井上鷹『私はこうしてデビューした』


今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
山本幸久『凸凹デイズ』
『殺人喜劇の13人』
ミニコミ誌「オンザロック」をともにつくっている13人の学生達は、元病院の古びたアパート「泥濘荘」を借りてそこに下宿していました。12月のある日、彼らは地下レストランに繰り出し、アイドル並みの美貌を誇る水松みさとらも加えて忘年会を行い、楽しみます。しかし、十沼が「泥濘荘」に帰ると、鯖田の死体がぶらさがっていて・・・

凝ったミステリ小説。連続殺人が延々と続いていきます。密室もけっこう出てきます。けっこう面白かったけど、最後の辺りの謎解きには唖然としました。そんな都合良くいくか、と言いたくなる・・・

あと、ちょっと文章がガサガサしていたのが気になりました。アクが強い、といえばいいのか。とても読みづらいです。

第一回鮎川哲也賞受賞作。


今日読んだ本
芦辺拓『殺人喜劇の13人』

今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
待ちに待ったというわけでもないのですが・・・ とうとう、明日から夏休み!

もう本読んで、寝ようと思います。


とはいえ、自由の森学園にも用事があったりするので、行くこともあるかも知れない。
私小説。「純粋な観念小説」らしいです。
故郷であるイセ市ハルチに帰ってきたのに、妙に違和感がぬぐえない私。底が本当に実在しているのかが彼女には分からないのです。彼女は、伯母アイとのかつての忌まわしい関係を思い出していくのですが・・・

非常に読みにくいです。しかも重いし、よく分からない。じょじょに読み進めることが苦痛になってきます。なんというかずっと水の中に沈んでいるような感じ。そういうふうな感想を抱かせる笙野頼子と言う人は凄い、と思いました。

けど読むのが辛かったです。僕は純文学が読めないなぁ、と感じました。


今日読んだ作品
笙野頼子『イセ市、ハルチ』

今読んでいる本
芦辺拓『殺人喜劇の13人』
笙野頼子の第1小説集。
『なにもしてない』
ナニモシテナイ自分に対して納得できない私。彼女は、接触性湿疹が発症したのに病院へ行かず、病気を悪化させてしまいます。どうやら彼女はもう30なのに、独身だということに滅入っているようです。そんな日々の中に、天皇即位式がからんできて・・・ 接触性湿疹と天皇即位式が並列して書かれています。

いったいどういうふうに解釈すれば良いのか。社会の中心に立とうとしている天皇と、社会の片隅で病んでいる私とを対比しているのだろうか。そういうふうには全然読めないのですが・・・

読んでいたら、なんだか気分が滅入りました。なんというか主人公の女性の欝な気分が乗り移ってきます。もう明日学校休もうかなぁ・・・

第13回野間新人賞受賞作。


今日読んだ本
笙野頼子『なにもしてない』

今読んでいる本
笙野頼子『イセ市、ハルチ』
芦辺拓『殺人喜劇の13人』
『名もなき毒』
犬の散歩に出掛けた老人が、コンビニで買った烏龍茶を飲んで突如として死亡しました。連続無差別毒殺事件の4人目の被害者ではないか、と疑われたのですが、警察は別の見方をしました・・・
今多コンツェルンの広報室では、原田いずみという女性をアルバイトとして雇います。彼女は編集経験があると自称しました。しかし、編集のことについて何も知らないようでした。しかもとんでもないトラブルメーカー。些細なことで激昂し、人を傷つけました。会社は彼女を解雇しますが、それに対して彼女はクレームをつけてきました。広報室の杉村三郎は、彼女の対応をまかされるのですが翻弄されてしまい、北見という「探偵」のもとを訪ねたとき美知香という被害者の少女と出会い、毒殺事件についても調べだします。

原田いずみという女性の存在感が物凄いです。全体的に重苦しくて溜息をつきたくなります。しかし、それでも読みやすいです。

宮部みゆきは、やっぱり凄い人だと感じました。『名もなき毒』では、社会のゆがみ(毒)によって生み出され続ける掴みどころのない今の犯罪を上手に切り取ってみせます。けど、昔の作品(『火車』『理由』)の方がより凄かった、と僕は感じます。

それにしても宮部みゆきの物語に出てくる子どもは可愛いです。


今日読んだ本
宮部みゆき『名もなき毒』

今読んでいる本
笙野頼子『なにもしてない』
145軍師の境遇
★★★ 松本清張

144小説帝銀事件
★★★★★ 松本清張

143世界は密室でできているTHE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS.
★★★★ 舞城王太郎

142絵とき ゾウの時間とネズミの時間
★★★ 本川達雄、あべ弘士

141日本絵画のあそび
★★★★ 榊原悟
★★★

作者:  松本清張
出版社: 講談社

  『軍師の境遇』は、歴史小説の短編・中篇集『軍師の境遇』の表題作(他に『逃亡者』、『版元画譜』の3篇を収録)。

  『軍師の境遇』は、知略に優れ、人格にも優れた希代の智将・黒田孝高(如水)を主人公に据えた物語。舞台は、戦国時代の終わり。黒田孝高は、いまの姫路市の辺りに割拠していた小大名の小寺政職に仕え、一代で重臣にまで取り上げられた人。織田信長が伸長してくると、主君・小寺政職を説いて織田方に従い、自身は羽柴秀吉に惚れこみ、仕えるようになります。そして、言葉でもって敵を味方につけるということをやるようになりました。

  しかし離反者・荒木村重に再び織田方に戻るように説きにいったとき失敗。捕縛されて土牢に閉じ込められてしまいます。約1年間後、城の陥落とともに救出されました。しかしその生活の中で体が不自由になり足を引きずるようになり、その後は輿に乗って軍を指揮するようになります。

  主君が織田方を裏切った毛利方についたため滅ぼされることがあり、その後羽柴秀吉の参謀として活躍。毛利氏との戦いで数々の献策をしました。苛烈なる鳥取城の兵糧攻め、備中高松城の水攻めのときの参謀だそうです。本能寺の変で織田信長が斃れると、嘆く豊臣秀吉に「いまはチャンスなのです」と説いて、中国大返しを勧め、その結果明智光秀を討つことで豊臣秀吉は一躍天下人へ近付きます。

  その後は、そのあまりの知略を豊臣秀吉から恐れられ、彼に「俺の死んだ後天下をとるのができるのは、あの黒田だろう」とまで言われたというはなしもあったそうです。黒田孝高は野心のないことを表すために如水と名乗って隠居。そうして、一代の智将は身を引いた・・・というところまでが『軍師の境遇』の物語。

  いろんな人たちの心情を的確に、だけど短く表現していて面白かったです。松本清張の文章って良いなぁと思いました。小説ではあるけれど、かなり事実に則っていて、かつ作者の推測がその上に積み上げられているから読んでいて自分でもいろいろ考えてしまいます。


自森人読書 軍師の境遇
『夫が多すぎて』
美女ヴィクトリアは、ウィリアムと結婚し、彼を振り回し続けました。ですが、ウィリアムは3年前戦争(第一次世界大戦)に行って死亡。その後、ヴィクトリアは陸軍省勤務のフレデリックに乞われて今度はフレデリックと結婚します。さらに裕福な成金ペイトンも彼女の家へ足しげく通ってきます。

そんなある日、死んだはずのウィリアムがひっょこり帰ってきました。2人の夫はヴィクトリアを激烈に譲り合います・・・

ウィリアム・サマセット・モームの戯曲。

笑劇。面白すぎ。軽妙で読みやすいところも良いです。徹底的名までに身勝手な美女ヴィクトリア、彼女を相手に押し付けようとする「親友」ウィリアムとフレデリック、親バカシャトルワース夫人、成金ペイトンなどなど登場人物たちのやりとりがおかしいです。


今日読んだ本
モーム『夫が多すぎて』

今読んでいる本
宮部みゆき『名もなき毒』
『人のセックスを笑うな』
39歳の女性教師ユリと、彼女に惹かれた19歳の磯貝みるめ/オレの物語。2人とも不器用で、相手を満足させられているか分からなくて、セックスもうまくなくて、けれどそれなりには仲良くしているのですが・・・

第41回文藝賞受賞作。芥川賞候補作。映画化もされています。

強烈な著者名とタイトルに比べて、中身は普通。面白い、と思う描写は結構あったけど、全体的としては別に凄いと思わなかったです。これがデビュー作というのは凄いことかもしれないけど。

文章はスカスカ(わざとなのだろうけど)。しかも短いです。なんというか非常に読みやすいです。


今日読んだ本
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』

今読んでいる本
モーム『夫が多すぎて』
『ひゃくえんだま』
絵本。
ねじめ正一という人の本を読もうと思い、予約したら絵本でした・・・
ひゃくえんだまがいくらでも手から転がり落ちてくる、というもの。


今日読んだ本
ねじめ正一『ひゃくえんだま』

今読んでいる本
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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