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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  高村薫
出版社: 毎日新聞社

  競馬好きの薬局店主・物井清三は、かつて労働組合運動に関わったために日之出麦酒社を解雇され、老人ホームで死んだ兄のことを知ります。彼は、それをタネにして、日之出麦酒社を脅そうと考え、旋盤工・松戸陽吉、信用金庫職員・高克己、トラック運転手/元自衛官・布川淳一らとともに計画を立案。彼らは、「レディジョーカー」と名乗り、日本ビール界最大手の日之出麦酒社社長の誘拐を企みます。そうして、未曾有の誘拐事件が幕を開けます・・・

  ミステリ、サスペンスといった枠に収まりきらない小説。

  上下巻ともに、400ページを超える分厚さ。しかも2段組。濃密かつ圧倒的。全てがきちりとしていて、ごまかしがありません。

  会社は「レディジョーカー」と水面下で衝突しつつ取引をかわし、一方警察とも密かに連絡を取り合いつつも大事になることは恐れて対立します。警察内部はまとまっておらず、本庁と所轄の間には鋭い確執があります(『踊る大捜査線』を連想)。その上、事件の背後には闇世界(総会屋、右翼、暴力団)が蠢き、その影を追及する記者は圧力を受けます。そういった全てのことが詳細に書かれています。

  言葉が積みあげられていくごとに、かえって人間の心というものはどれほど言葉を尽くしても説明しきれるものではないということが分かってきます。被害者・加害者・第三者など様々な立場の人が登場します。誰もが犯罪に巻き込まれて一貫性を保てず、複雑な思いを抱え、苦悩します。その辺りの描き方は非常に面白いです。

  「グリコ・森永事件」をもとにしているそうです。『レディ・ジョーカー』を読むと他のミステリ/犯罪小説は、犯罪というものの表面をなぞったものでしかない、と感じます。読後、疲れます。哀しい気分にもなります。重いものをつきつけられます。決して這い上がれないところに追い詰められた時、人はどうすれば良いのか。巨大なものが瓦解する現場に居合わせた時、何ができるのか。


自森人読書 レディ・ジョーカー
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