自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
時間が滅茶苦茶になってしまい、すでに未来も過去も関係なくなってしまいました。そして、時間線は一方向に流れるのではなく、破裂し、自由な方向へすすみ、しかも、それらは混じりあい、絡み合っています。そして一つの世界そのものである巨大知性体が乱立し、戦闘を繰り広げています。一番最初にあるのは、手に負えないちっちゃな女の子リタに恋してしまった、この辺りで一番賢いジェイムズとその親友、僕の物語。
SF小説。
ボルヘスを意識しているのがよく分かります。非常に説明しづらいのですが、「第一部:Nearside」9章と「第二部:Farside」9章によって構成されています。バラバラです。繋がりはあるのですが、直接繋がっていない場合もあります。
最初の内は、文章ががさつ。もう少し練られている方が良かった気がします。しかし、それが良いのかも知れない、とも感じます。ヴォネガットっぽいです。
アイディアだけで物語を強引に転がしていく短編も多いのですが、みごと。どれも面白いです。
とくに、一押しは「第二部:Farside」に収録されている「Japanese」。概算で、総計で百二十億字を超えるのだという日本文字なるものについて綴られています。漢字、漢漢字、平仮名、平平仮名、平片仮名、片平仮名などによって構成されているらしいのですが、理解できません。解読できないのです。資料が増えるごとに、文字が絶え、収集がつかないのです。そしてその短編自体も実は第一次旧日本諸島調査団の持ち帰った14ページのメモ書きで・・・
巨大知性体の上位には、超越知性体がありえるのだと判明してくるところも面白いです。本当にアイディアは素晴らしいです。
読んだ本
円城塔『Self-Reference ENGINE』
読んでいる最中
アンドレ・ジッド『狭き門』
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