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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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マンガ。
『スピリット オブ ワンダー』

面白いです。バカみたいな面白い理論によって、(科学なのかなぁ、いや、エーテルとか言っている時点でちょっと科学からはずれるような気が・・・)月や火星まで飛んでいってしまいます。

あとは、海中に沈んだ都市の話とかいろいろあります(エヴァを連想するけど、こっちの方が全然先)。

そういえば、『スカイ・クロラ』ノベルス版の、カバーイラストや挿絵を担当したのは鶴田謙二だそうです。そうだったんだ・・・


今日読んだ本
鶴田謙二『スピリット オブ ワンダー』

今読んでいる本
トマス・ハリス『沈黙の羊』
向山昌子『アジアごはん紀行』
加藤実秋『インディゴの夜 ホワイトクロウ』
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面白かったー!
一気読みしてしまいました。

北関東新聞社の遊軍記者、悠木和雅は、日本航空123便墜落事故を担当することになる。彼は迷いながら進んでいくのだが、たくさんの困難が待ち構えていて、衝突ばかり・・・ 彼は、どこへと向かっていくのか。

週刊文春ミステリーベストテン2003年第1位、2004年本屋大賞第2位受賞。

今日読んだ本
横山秀夫『クライマーズ・ハイ』

今読んでいる本
トマス・ハリス『沈黙の羊』
『テロリストのパラソル』
ある日、新宿中央公園で爆発が起こり、多数の死傷者をだした。その場に居合わせたアルコール中毒のバーテンダー・島村は、結果として事件に巻き込まれてしまう。彼は、全共闘時代警察官を爆弾で殺してしまった、という過去があったので疑われながらも、ヤクザなどと組みながら真犯人を探すことになる・・・ 

最初のうちはあまり面白くないなぁ、と感じていたんだけど、読み終わってみて凄いと思いました。第41回江戸川乱歩賞と、第114回直木賞受賞をW受賞した作品。

このハードボイルドチックというかハードボイルドそのままなかっこつけた文章は、あまり好きではないのですが最後までたどり着くとそれなりに謎解きが面白いです。まぁミステリ小説としてそこまですごいとは言えないけど、感心させられる、というか。


今日読んだ本
藤原伊織『テロリストのパラソル』

今読んでいる本
トマス・ハリス『沈黙の羊』
横山秀夫『クライマーズ・ハイ』
105ブルースカイ
★★ 桜庭一樹

104来訪者
★★★★ 阿刀田高

103北斎殺人事件
★★★★ 高橋克彦

102ピンクの神様
★★★ 魚住直子

101つめたいよるに
★★★★ 江國香織
★★

著者:  桜庭一樹
出版社: 早川書房

  魔女狩りの嵐が吹き荒れるドイツ、未来のシンガポール、そして現代の日本の三部から成り立つ物語。少女とは何か? というようなことを書いているようです。自由の森学園の図書館で、この「少女」の考え方は面白い、と言われて借りました。

  現代日本(の消費社会)を支配している、といってもいいような「少女」という「モンスター」は、今の日本にしか存在していない、と桜庭一樹は言っている、と僕は受け取りました。昔は、「女の子」から「女」になるまでの間に、「少女」という間は存在しなかったから、過去へ言ってしまった女子高生はアンチ・キリストとなる、のではないか。

  でも難しいなぁ、どう読むかというのは。というよりどう考えても詰め込みすぎじゃないか、という気がしました。三部に分かれているそれぞれを1冊にしてもいいのではないか。そうしたらスカスカになっちゃうのかなぁ、さすがに。だけど今のままだと、最後があっけらかんとしていて、すかっと通り過ぎていってしまいそうなんだけどなぁ・・・

  つまらなくはないけど、よく分からない、というのが感想です。物語としては面白いけど、それ以上に、何か語りかけようとしているような気がするんだけどそこがすっきりしません。う~ん、だけど桜庭一樹という人は物語をつくっていくのがとても上手だなぁ。


自森人読書 ブルースカイ
おかしい。
『聖おにいさん』


今日読んだ本
中村光『聖おにいさん』

今読んでいる本
トマス・ハリス『沈黙の羊』
横山秀夫『クライマーズ・ハイ』
藤原伊織『テロリストのパラソル』
爽快。まさにこれこそ青春小説、と言いたくなるような青春小説。


ベンチャーズに憧れ、ロックに燃える四国の少年達の物語。彼らが高校に入学してから、卒業していくまでの3年間を描いています。

面白くて、素晴らしいです。高校の3年間をぎゅっとコンパクトにまとめているその手腕が凄い。ここが足りないというところはないのに、それでいてこの長さにおさえこんでいる。なんというか、完璧です。

のちに私家版というもう少し長いバージョンをだしたそうで(賞に応募するために削ってあるのが『青春デンデケデケデケ』。元々のバージョンが私家版らしい)、そちらもいつか読んでみたいなぁ、と思いました。僕は、この『青春デンデケデケデケ』でまとまっているし、これで完全に良いと思ったけど。

第27回文藝賞、第105回直木賞を受賞。映画化もされ、漫画化もされているそうです。


今日読んだ本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』

今読んでいる本
トマス・ハリス『沈黙の羊』
時代小説の傑作と称されているらしい作品。
旅籠「かわせみ」を舞台にした人情捕物帖。
『御宿かわせみ』

短編集です。『初春の客』『花冷え』『卯の花匂う』『秋の蛍』『倉の中』『 師走の客』『江戸は雪』『玉屋の紅』収録。

きちりきちりと物語が収まっていて確かに面白いけど、「傑作」というほどではないんじゃないか、と感じたんだけど、どうやらこれで終わりではなくて、明治まで延々と物語が続いていくらしいです。それは凄い・・・


今日読んだ本
平岩弓枝『御宿かわせみ』

今読んでいる本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
表紙がちょっと気味が悪い感じ。
『エロ事師たち』
「エロ事師たち」として、いろんな人たちにエロを提供をする人たちが主人公。始めは写真から始まり、映像にも手を出していき・・・

喜劇です。どことなくおかしくて、滑稽。最後までおかしい。ただし、最後死んだあとまで勃起している主人公・スブやんの姿は象徴的。まるで、自分よりもセックスの方が「自分」になってしまった、というのを暗示しているのかなぁ・・・

野坂昭如のデビュー作。関西弁がうまく駆使されているところが印象的。方言を使いこなす町田康を連想させます。


今日読んだ本
野坂昭如『エロ事師たち』

今読んでいる本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
平岩弓枝『御宿かわせみ』
絵本。

内容はなかなか面白い。『もやしもん』にも通ずる発酵についての絵本です。ただし著者がやたらと、「日本民族は素晴らしい!」と言いまくるので、ちょっとうんざりです。

日本の食事は「地球上で最も優れた民族食といわれています」などと書いてあります。そんなこと誰が言っているのかなぁ・・・ 風土にあったものを食べるのが1番良い、と僕は思うのですが。

あとはやたらと断定したがるところもうんざり。「ゆでた大豆と、納豆どちらがうまいか?(もちろん納豆のほうです)」とわざわざ()までつけて意見を押し付けようとするその態度がいやな感じです。偏屈。

表紙にも登場している、「発酵仮面」というのがいろいろ喋るんだけど、全体的に滑稽で、気味が悪い。内容は素晴らしいのに、著者の思想と発酵仮面が絵本全体をだめにしているのではないか、と僕は感じました。


今日読んだ本
小泉武夫『わが輩は発酵仮面である!』

今読んでいる本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
野坂昭如『エロ事師たち』

長すぎ。しかも話が散漫。なおかつ登場人物たちの書き方がありきたりでちょっと読むのが辛かったです。この前、壮絶で爽快なロードレースを描いた近藤史恵『サクリファイス』を読んだばかりなので、なおさらたらたらした『自転車少年記』にうんざりしました。

4歳の男の子が、大人みたいに女の子のことを気にかけているという部分も変だし。どう考えても、幼児が、男女の性別なんて気にしているとは思えないのだけど。

それぞれの章はそれぞれ面白いし、最後の辺りは感動するけど、とにかく「長い」というところで減点、という感じです。長くても物語に、山があり、谷があれば良いんだけど、この話はそれもなくて小さい話がチョコチョコ次から次へと出てくるだけ。

起伏がない、といえばいいのか。ネットで連載していたものを本にしたから、こんなふうになってしまったのかなぁ。


今日読んだ本
竹内真『自転車少年記』

今読んでいる本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
『なんでも屋大蔵でございます』

『なんでも屋大蔵でございます』は連作短編集。
『浮気の合間に殺人を』『白雪姫がさらわれた』『パンク・ロックで阿波踊り』『尾行されて、殺されて』『そんなに急いでどこへ行く』を収録。

ほのぼのというか、のほほんというか。殺人事件も起きたりするけど基本的にスリルがある、とかそういうことはないです。けど本格推理小説。日常の中の不可解な謎を解く、みたいな感じです。昔の東野圭吾を思い浮かべます、なんなく。

『白雪姫がさらわれた』がなかなか良いかも知れない。

解説は宮部みゆき。

今、竹内真『自転車少年記』を読んでいる最中なんですが。長すぎるし、散漫。なおかつ登場人物たちの書き方がありきたりでかなりつまらないです・・・ この前、壮絶で爽快なロードレースを描いた近藤史恵『サクリファイス』を読んだばかりなので、なおさらたらたらした『自転車少年記』にうんざりさせられます。良い描写とかも点々とあるんだけど・・・


今日読んだ本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』

今読んでいる本
竹内真『自転車少年記』
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
とうとう、短編集『最大の殺人』が読み終わりました・・・ 休み休みだったので、2009/03/08に読み始めて一ヶ月近くかかりました。
『最大の殺人』

森村誠一『紺碧からの音信』は、父を特攻作戦で失い、航空自衛隊のパイロットになった息子と、その母の物語。赤い風船が随所に登場します。蒼空と、赤い風船が対照的だなぁ・・・
結局誰も幸福にならないところが印象的です。

結城昌治『長かった夏』は、あるお婆さんが、私は血のつながっていない娘と孫娘とその夫に殺されようとしている、と告白するところから物語が始まります。しかし、そのお婆さんの被害妄想らしい。
一体全体何がどうなっているのか。その家族の秘密とは?
意外な結末が待ち構えています。

山村美沙『骨の証言』は、息子をサイパンの戦いで失った老人が「娘の遺骨を探して欲しい。費用は自分が持つから」と新聞に投書したところから物語は始まります。それに応じたのは若い女の子。彼女は、サイパンに遊びにいきたいと思っていたのです。
老人からお金をもらい、サイパンへ向かった女の子は真面目に骨探しをやらず、ほとんど遊んで過ごし、適当な骨を持って帰るのですが・・・


今日読んだ本
森村誠一『紺碧からの音信』
結城昌治『長かった夏』
山村美沙『骨の証言』


今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
『私的生活』

乃里子は、お金持ちのボンボン・剛と結婚し、海の望める高層マンションの上で生活します。2人は毎日いちゃついて、幸せに過ごしていました。

ですが・・・
人の大切な部分にずかずかと踏み込んでいきながらしかし、それを自覚していない剛。それを許すことに限界を覚える乃里子。2人の生活はだんだんと狂い始め・・・
乃里子が、剛と離婚するまでを描いた物語。

物語が半分過ぎたあたりから、もうラストが見えてきてしまうんだけど。まぁ、予想できない展開を楽しむ小説ではないのでそこは仕方ない、というよりもどうでも良いことなのかも知れません。
むしろどういう風にして、乃里子が剛にさよならを告げるのか、そこが物語のテーマなのかなぁという気がします。


今日読んだ本
田辺聖子『私的生活』

今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
森村誠一『紺碧からの音信』
結城昌治『長かった夏』
山村美沙『骨の証言』

『ブラザー・サン シスター・ムーン』
なんだかよく分からないので、何にも期待しないで読みました。何かありそうで何も無い、という恩田陸の見事な技にひっかけられたくないので。

だけど、まぁそれなりに面白かったです。
それぞれ小説家、音楽家、映画監督となっていった、3人の男女が、自分なりに大学生活を振り返るというもの。彼らは、少しだけ関わりがあります。だけど何かあるか、といえば別にどうということもない関係。

僕はまだ大学に行ったことがないし、まぁそんなものなのか程度に読みました。でも、何かありそうでない、どころか、もうほんと「何もない」です。「大学生活は、無為の4年間だった」っていうだけで。


今日読んだ本
恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』

今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
田辺聖子『私的生活』
『斬殺』は、世良修蔵という長州の男の悲運な一生を描いたもの。
鳥羽伏見の戦いが起こり、京都が新政府軍によって占拠された頃の日本が舞台。世良は、会津藩を鎮圧するべく、たった300人程度の兵士とともに東北地方へ派遣されます。ほとんど無謀な計画です。
彼は獅子奮迅の活躍を見せますが、どうも空回り。というより、彼が強硬に会津討伐を訴えたため、逆に仙台藩・米沢藩など東北の諸藩は激しく反発。
1000人にも達しない兵力しか派遣できない新政府を東北の武士達は軽んじるようになり、最後には、世良は斬殺されてしまいます・・・

『胡桃に酒』は、細川忠興と、明智珠(細川ガラシャ)の物語。そのカップルは人気があるようで、よく題材にとりあげられています。エピソードが多いからか。松本清張『逃亡者』とか。

ガラシャ
絶世の美女。逆臣・明智光秀の娘。夫の虐待に近い愛に耐え、切支丹締め付けが始まった頃にあえてキリシタンとなることを選んだ女性。そして最期は、西軍の人質となることを拒んで壮絶な爆死。


今日読んだ本
司馬遼太郎『斬殺』
司馬遼太郎『胡桃に酒』


今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』
『俺はその夜多くのことを学んだ』
絵本みたいな感じのもの。

面白いです。
なぜか衝動をとめられなくなり、2時頃、今日初めてデートしたばかりの女性に電話をかけてしまい・・・ というお話。

三谷幸喜は何をやっても面白いものを作ってしまう人のような気がします。といってもあまり知っているというわけではないんだけど・・・

『笑の大学』『THE 有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』といった映画はどれも面白いし、『新撰組!』は歴代の大河ドラマの中では珍しく見ていました(他のはつまらなくて適当にしか見てないです。『天地人』も見てない・・・)。あと、あの古畑任三郎シリーズにも、三谷幸喜が関わっているんだったっけ。


今日読んだ本
三谷幸喜『俺はその夜多くのことを学んだ』

今読んでいる本
司馬遼太郎『斬殺』
司馬遼太郎『胡桃に酒』
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
司馬遼太郎は、やはりなかなか面白い。
『故郷忘じがたく候』

『故郷忘じがたく候』は、バラバラの破片を集めるようにして、16世紀豊臣秀吉の侵略によって拉致され、日本の薩摩にやってきた朝鮮の人たちの数奇な軌跡を江戸・明治・大正・昭和とたどっていったもの。
彼らは今でも鹿児島の地に生き続けているそうです。

それにして凄いです。
短いのに、これだけの内容を詰め込むなんて。

日本人として鹿児島に住みながらも故郷を想い続ける朝鮮人、沈寿官が、朝鮮に行ったとき、学生に向けて講演したという言葉が印象に残ります。「あなた方が三十六年をいうなら、私は三百七十年をいわねばならない」。彼は、もう後ろを振り向くのはやめよう、と呼びかけます。

日本の拉致問題にも、同じ言葉をあてはまるのではないか、と感じました。「おあいこ」ですむ問題では決してない。それにまだ拉致されている人が北朝鮮にいるならば、その人たちを救うのは急務です。
だけど、日本国が北朝鮮による何十年間前かの拉致の罪を声高に糾弾するならば、朝鮮の人たちは「日本による60年間前の拉致の罪を糾弾せねばならない」となるのではないか・・・


今日読んだ本
司馬遼太郎『故郷忘じがたく候』

今読んでいる本
三谷幸喜『俺はその夜多くのことを学んだ』
司馬遼太郎『斬殺』
司馬遼太郎『胡桃に酒』
さすが飯嶋和一。もう、傑作というしかないです『雷電本紀』。
『雷電本紀』
江戸時代に活躍し、「史上最強」ともいわれる相撲取り・雷電と、彼を取り巻く人々の物語。という紹介では、さっぱり何も伝わらないよなぁ・・・

雷電はもともと農家の生まれでした。本名は為右衛門と言います。
為右衛門は、浅間山噴火、地震などの天災と、それを利用して私欲を貪る商人や、侍たちによる人災の中で苦しむ村の人たちの中で育ちました。彼は、その巨体と優しい性格から誰かも好かれる若者になってきます。

ですが、父親はそれを心配し、1人息子の彼を相撲取りにしてしまいました。村にいたらいずれ、人望のある彼が一揆などの時にみんなから祭り上げられ、辛苦の道を進むのは確実でした。

そうして、為右衛門は雷電となり、相撲取りに変わりました。しかし、彼は相撲取りになっても変わりませんでした。武士達の家来となって嬉々としている相撲取りたちとは一風変わった立場をとります。
土俵の上では、民衆を苦しめるあらゆるものと闘う存在と化していきました。しかし土俵を降りれば途端に優しさを見せ、どんな赤ちゃんでも抱き上げて魔除けをしてあげました。
抑圧された人々は彼に希望を託しました。

圧倒的なまでの強さを誇って、生涯にわずか10敗。ほんとに格好良い。相撲の場面の描写は、圧巻です。

だけど最後には、彼は孤独になっていきます。最強故の孤独です。そして、何の関係も無い幕府内の権力闘争に巻き込まれて、罪人に仕立て上げられ・・・ それでも毅然とした態度で役人に臨みます。悲惨だけど、その状況にもめげず、決して倒れません。ほんとに格好良い。


今日読んだ本
飯嶋和一『雷電本紀』

今読んでいる本
司馬遼太郎『故郷忘じがたく候』
三谷幸喜『俺はその夜多くのことを学んだ』
★★★★★

著者:  阿刀田高
出版社: 新潮文庫

  「短編小説の名手」といわれる阿刀田高の書いた短編集。

  。『ナポレオン狂』『来訪者』『サン・ジェルマン伯爵考』『恋は思案の外』『裏側』『甲虫の遁走曲』『ゴルフ事始め』『捩れた夜』『透明魚』『蒼空』『白い歯』『狂暴なライオン』『縄』収録。

  『ナポレオン狂』は、直木賞受賞作。けっこうどきりとさせられます。

  『来訪者』は、第32回日本推理作家協会賞を受賞した作品だそうです。ホラーとも言える、のかなぁ・・・ 途中までは、いったいどういうふうにはなしがすすむんだろう、と首をかしげていたのですが、最後のページにたどり着いた瞬間にまさか! と意表を突かれます。ネタバレしちゃうと、赤ちゃんのすり替えがあって、自分の子が、実は自分の子ではないかも知れない、というはなしです。とても怖いです。

  最後になって、「来訪者」という言葉の意味が分かるんだよなぁ・・・ その「来訪者」というのは無邪気に指をしゃぶる赤ちゃん。物語はそこで終わっているけど、その先を想像すると・・・ 短編というものの切れ味のよさが発揮されています。

  そういうような、静かな恐怖を扱ったミステリタッチな作品が結構あります。あとSFっぽいのもあって。どれもなかなか良いです。

  凄い短編集。


自森人読書 ナポレオン狂
★★★★

著者:  高橋克彦
出版社: 講談社

  「浮世絵三部作」の二作目にあたる作品。'87年には、第40回の推理作家協会賞(長編)を受賞したそうです。続編なので、前の『写楽殺人事件』のときの絡みみたいなものがたくさんでてきます。『写楽殺人事件』を先に読んでおけばよかったなぁ、と後悔しました。

  歴史と、現代に起きた事件をからめるミステリというのは、たくさんあります。だけど、上手く書ききることは至難の業です。たいてい上手くいっていない、と言ってもいいくらいです・・ しかし、『北斎殺人事件』は、かなり歴史と現代の事件をからめていて、さすがだなぁ、と思いました。北斎=隠密説は面白かったです。北斎=隠密説っていうのは前に聞いたことがあったんだけど、その説は『北斎殺人事件』がでどころだったのかも、と思いました。

  読んでいて、浮世絵への作者の並々ならぬ熱意を感じました。しっかり浮世絵を知っていて、それに興味がある人じゃないと書けない作品だなぁ。岡倉天心、フェロノサらが評価した絵はどれだけ凄い絵なのか、と滔々と語ってくれるので楽しいです。あと、歴史に名を残す有名人、大塩平八郎、高野長英らがちょこっと登場するのも良いです。とても興味をそそられる。自分でも調べてみたいなぁ、と思いました。

  葛飾北斎という人が、明治時代の終わりぎりぎりまで生きていたとは知りませんでした。てっきり江戸時代中期くらいの人かと思い込んでたんだよなぁ・・・ とても勉強になりました。

  ★5つにしても良い位面白いです。


自森人読書 北斎殺人事件
『サクリファイス』
面白かったです。
サイクルロードレースを扱った作品。

とても軽やかに物語が進んでいきます。分厚い、飯嶋和一とは全く対照的だなぁ・・・・・
そして二転三転のどんでん返しが待っているのですが、最後には爽やかな物語だなぁと感じさせられてしまいます。みごとというしかないです。


今日読んだ本
近藤史恵『サクリファイス』

今読んでいる本
飯嶋和一『雷電本紀』
『私が殺した少女』
『私が殺した少女』は少女が「誘拐」され、殺害されてしまうという凄惨な物語。原りょうは、ハードボイルド小説に心酔してこの小説を書いたそうです。

つまらないわけではないのですが。正直、なぜこれがミステリーなのかはよく理解できませんでした。最後にどんでん返しがあるんだけど、それも「凄い! これぞミステリ小説を読む醍醐味」と思わされるものではなくて、うわぁ・・・ と言葉を失うようなもの。

沢崎っていう物語の探偵は格好良いけど。

第102回直木賞受賞作。ついでに、1989年度版『このミステリーがすごい!』ランキング第1位。


今日読んだ本
原尞(はら・りょう)『私が殺した少女』

今読んでいる本
近藤史恵『サクリファイス』
飯嶋和一『雷電本紀』
★★★

著者:  魚住直子
出版社: 講談社

  「卒業」「首なしリカちゃん」「ピンクの神様」「みどりの部屋」「囚われ人」「魔法の時間」「ベランダからキス」の7つを収録した魚住直子の短編集。

  あまり暗いはなしは好きではありません。暗くて鬱々としていて、最後に何かがきっかけで少しだけ心がなんとなく軽くなった、というはなしも別に良いとは思うけど、それを立て続けに何個も読むのはあまり楽しくないなぁ・・・ アーサー王伝説みたいな壮大な悲劇だったらそれはそれでまた別の面白さがあるのですが。壮麗さとかもあるし。

  魚住直子の作品には、女の子(女)どうしの陰湿ないじめ、陰口というのがよくでてきます。僕は、情報科のクラス雑誌づくりで、「不登校」について生徒だけで座談会をやったりしたのですが、やっぱりいじめのはなしはたくさんでてきます。男子の場合は、殴ったり(いじめてくるのにキレて、相手の頭に机を叩きつけた、なんて人もいた・・・)、いじめはいじめでも、分かりやすいというか、見えやすいんだけど。女の子の場合は、そうじゃないんだ、というはなしを色々と聞きました。いやだなぁ・・・

  それにしても、魚住直子の作品って最後に救いがあるように見えて、実は心が少し晴れただけで、なんの解決もなされていない、というものが多いので読んでいて気が重いです。鬱の瞬間から、すっきりした瞬間への移り変わりを描いてるけど、問題が解決したわけじゃないからいつか、逆にすっきりした瞬間から鬱の瞬間への移り変わりというのもあるんだろうなぁ、と予測出来てしまいます。

  安易に「救い」を書く作家がいると、それはそれで御都合主義じゃないかと言いたくなるけど。でも、読んで心が重くなる本ってどうなんだろう・・・ そんなものあって良いのだろう。『 生きさせろ!』のように社会に対して、重大な問題提起(重いものをあえて突きつける)をするというのならまた別だけど。まぁ、『百億の昼と千億の夜』みたいな作品もあるし、いいのかな。


関連リンク
自森人高校1年 情報科


自森人読書 ピンクの神様
やっと、北村薫の短編集『紙魚家崩壊』が読み終わりました。

『蝶』は恋愛もの。なんだろうか、これは。恋愛ものか。

『俺の席』にはぎくっとさせられます。
自分の位置っていったいなんだろうか・・・? ある日の早朝、友達の家から帰るために電車に乗って家に帰ります。ですが、その車両では、いつの間にか慣習の中で、それぞれの低位置が決まっていたらしい。その中に割り込んでしまった自分は嫌な思いをします。
そうして、そのあと家に帰るとなんと自分の妻がかいがいしく世話しているのは、誰か別の男。自分の家が自分の家ではなくなっていた・・・ という物語。

『新釈おとぎばなし』は、タイトルどおりの物語。
おとぎばなしである「アリとキリギリス」や「カチカチ山」を突っついてみると・・・

次は飯嶋和一『雷電本紀』かなぁ・・・


今日読んだ作品
北村薫『蝶』
北村薫『俺の席』
北村薫『新釈おとぎばなし』


今読んでいる作品
飯嶋和一『雷電本紀』
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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