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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『夢果つる街』
モントリオールの一角に、ザ・メインという薄汚れた街がありました。ザ・メインは、イギリス地区とフランス地区の狭間に位置しており、元兵士や娼婦、ギャングの端くれ、老人など、様々な人間が溢れかえる吹き溜まりのような場所でした。ですが、それでも一定の秩序がありました。ラポワント警部補がいたからです。彼は三十年にもわたって毎日欠かさず街をパトロールし続けています。彼こそがザ・メインの法であり、運命なのです。そんなある日のこと、跪くようにして死んでいる男が発見されます。ラポワント警部補は、若い警官ガットマンとともに、その事件を追うのですが・・・

物悲しいミステリ小説。

猥雑な街に生きる人たちの悲哀のようなものが淡々と描き出されています。サ・メインという街そのものを描いた小説としても読めるのではないか。

清濁併せ呑む主人公クロード・ラポワントの姿が、あまりにも印象的。彼は毎日ザ・メインの治安を守るため街を歩きまわり、糞のような連中を脅し、叩きのめし、殴り、すかし、貶めます。ですが、そういう行為が非難され、警察組織の中では孤立しています。その上、胸の中には動脈瘤が存在し、明日も分からず、今では毎日のように若い頃喪った亡き妻と存在しない娘のことを妄想しつつ週に二晩友人とトランプで遊ぶことを楽しみにしているのです。いかにも父親的な人物です。

「進歩的」な考え方を持つ若い警官ガットマンは、ラポワントのことを全面的には賛同できないけれど、立派な人だというふうに評します。その意見には共感しました。


読んだ本
トレヴェニアン『夢果つる街』

読んでいる最中
カズオ・イシグロ『日の名残り』
PR
藤谷治『船に乗れ!』
東野圭吾『新参者』
柳広司『ダブル・ジョーカー』
村上春樹『1Q84』
万城目学『プリンセス・トヨトミ』
伊坂幸太郎『あるキング』
有川浩『植物図鑑』or『三匹のおっさん』or『フリーター、家を買う。』
川上未映子『ヘヴン』
山田詠美『学問』

こんなかんじか。どうだろう・・・
『大地の黴』『二百回忌』『アケボノノ帯』『ふるえるふるさと』
笙野頼子の短編集『二百回忌』を読んでいました。

『大地の黴』
十歳の頃、私は龍の骨が入った壷を拾います。私はそれをただのままごとの道具だと思っていたのですが・・・

『二百回忌』
二百回忌が催されます。それに呼ばれたセンボンは祖母に会いたい、と思い、赤い喪服を着て出かけていきます。そして、生きた人間と死んだ人間が入り乱れる中でなぜかヤヨイだと間違われ・・・ 第7回三島由紀夫賞受賞作。

『アケボノノ帯』
一度教室の中で排便してしまった龍子は、排泄と言う行為を聖なるものとして決めます。幼稚なふりをしている私は龍子に引きずられ、困惑しつつも逆らえません。禁忌とされている排泄の神と化した龍子は、排泄の結果でてきたものをアケボノノ帯と呼びます。

『ふるえるふるさと』
私は故郷のハルチに帰っている最中だったのか、よく分からないうちに子どもになってしまい、様々なことを思い出しています。そして、母親のもとに盛り土をしにくる男への恐怖に震えていて・・・

どれもこれも奇怪で憂鬱な小説。

要約することがほとんど不可能に近い気がします。物語も、文体も難解で気持ち悪いです。使われている単語は平凡なものばかりなのに、それらが組み合わせられることによって、奇怪なものが生み出されています。

訳が分からないようにも思えますが、決して訳が分からないわけではありません。肥満の人間に対する様々な差別や、グロテスクな制度や、おかしな慣習といったものを抉り出そうとしているようです。とはいえ、真面目でも上品でもありません。

生真面目にぶっ壊れている、というか。全体的に破壊的。

笙野頼子作品は、マジックリアリズム小説に似通っているし、マジックリアリズム小説といってもいいと思うのですが、その本場である中南米で書かれた『百年の孤独』などと比べると、非常に暗いです。なんというか、日本とそこに巣食う様々な抑圧をえぐろうとした結果、笙野頼子作品は根本的に陰鬱なものになってしまうのではないか、と感じます。


読んだ本
笙野頼子『大地の黴』
笙野頼子『二百回忌』
笙野頼子『アケボノノ帯』
笙野頼子『ふるえるふるさと』


読んでいる最中
カズオ・イシグロ『日の名残り』
トレヴェニアン『夢果つる街』
240偏愛文学館
★★★ 倉橋由美子

239イニシエーション・ラブ
★★★★ 乾くるみ

238死者の奢り・飼育
★★★★ 大江健三郎

237点滅・・・・・・
★★★★★ 中原昌也

226平等ゲーム
★★★ 桂望実
★★★

著者:  倉橋由美子
出版社: 講談社

  倉橋由美子の偏愛している本がたくさん紹介されています。

  紹介されている本
  夏目漱石の『夢十夜』/森鴎外の『灰燼/かのように』/岡本綺堂の『半七捕物帳』/谷崎潤一郎の『鍵・瘋癲老人日記』/内田百閒の『冥途・旅順入城式』/上田秋成の「雨月物語」「春雨物語」/中島敦の『山月記』『李陵』/宮部みゆきの『火車』/杉浦日向子の『百物語』/蒲松齢の『聊斎志異』/蘇東坡の『蘇東坡詩選』/トーマス・マンの『魔の山』/カフカの『カフカ短篇集』/ジュリアン・グラックの『アルゴールの城にて』『シルトの岸辺』/カミュの『異邦人』/コクトーの『恐るべき子供たち』/ジュリアン・グリーンの『アドリエンヌ・ムジュラ』/マルセル・シュオブの「架空の伝記」/ジョン・オーブリーの「名士小伝」/サマセット・モームの『コスモポリタンズ』/ラヴゼイの『偽のデュー警部』/ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』/サキの『サキ傑作集』/パトリシア・ハイスミスの『太陽がいっぱい』/イーヴリン・ウォーの「ピンフォールドの試練」/ジェフリー・アーチャーの『めざせダウニング街10番地』/ロバート・ゴダードの『リオノーラの肖像』/イーヴリン・ウォーの『ブライツヘッドふたたび』/壺井栄の『二十四の瞳』/川端康成の『山の音』/太宰治の『ヴィヨンの妻』/吉田健一の『怪奇な話』/福永武彦の『海市』/三島由紀夫の『真夏の死』/北杜夫の『楡家の人びと』/澁澤龍彦の『高丘親王航海記』/吉田健一の『金沢』。

  ダメなものはダメと言い、決して妥協しない小説家、倉橋由美子という人のことがよく分かります。その作家の手さばきが分かるものとして、「一品料理」である短編小説をおすすめしているところは頷けます(それでもやっぱり僕は長編小説が好きだけど)。

  読んだことがない作家ばかりだなぁ・・・ これからもっと本を読もう、と思います。とくに澁澤龍彦は面白いみたいで、吉田健一は論理的な日本語を追求した優れた「悪文(的な名文)」らしいのでそこらへんをまず読んで。あとは外国の作品もちょっとくらいは読んでみようと思います。

自森人読書 偏愛文学館
★★★★

著者:  乾くるみ
出版社: 原書房

  「必ず2度読みたくなる小説。終わりから2行目が衝撃的!」というようなキャッチコピーが目についたので、手に取ったミステリ小説。まったくその言葉に偽りはありませんでした・・・ 最初から予告されていても見抜けなかったです。

  あらすじの説明は非常に難しいんだけど。物語は、「Side-A」と「Side-B」という2つのストーリーで構成されています。語り手はたっくん。たっくんは、合コンの席で出会ったマユに心を魅かれていきます。そして、2人は恋人になるのですが・・・

  仕掛けは物凄く面白いんだけど(表紙からして凝っています、暗示的・象徴的な物が並んでいるのです、タロットとか)、物語のあらすじはそこまで魅力的ではありません。普通というか、陳腐な恋愛小説です。★2つでも良いくらい。語り手はちょっと独善的な男なので、なおさら読む気がなくなってきます。だけど最後まで読めばどんでん返しが待っているので、それを期待して読めば期待はずれということにはならないはずです、たぶん。

  とはいえ、パズル的な面白さです。振り返ってみて「あそこにも、ここにも仕掛けがあったんだ」ということに気付くものなので、合わない人には合わないかも知れません。

  あと、乾くるみはもともとエログロがかった小説を書いてきた人らしく、わざとらしいまでに露骨なセックス描写とかがあるので、そこらへんに嫌悪感を覚える人は好きになれないかも知れない。それに、バブルの頃の日本が舞台だからでてくる小道具(番組・曲)も古いです。僕には分からなかったものがいろいろありました・・・

  だけどそれらを差し引いてもとにかく凄いです。叙述トリックの傑作だ・・・


自森人読書 イニシエーション・ラブ
★★★★

著者:  大江健三郎
出版社: 新潮社

  『死者の奢り・飼育』は大江健三郎の短編集。『死者の奢り』『他人の足』『飼育』『人間の羊』『不意の唖』『戦いの今日』収録。

  『死者の奢り』
  ある時、大学生の「僕」は、他よりも少しだけ多くお金を稼げるバイトにありつきます。それは、大学構内の屍体処理室の水槽に浮き沈みする死体を扱う仕事でした。「僕」は、同じく大学生の女性と、あとは2人を監督する男とともに死体を整理し、運んでいくのですが・・・ 大江健三郎の出世作。

  『他人の足』
  物語の舞台は脊椎カリエスの子ども達が集められた病院。脊椎カリエスの子ども達は、閉鎖的な環境の中にいます。看護婦たちがセックスしてくれるし、ほとんど困ることはない、といっても良いほどなので、いつでもこそこそとした卑猥な笑いばかりを浮かべていたのですが、闖入者が現れ・・・

  『飼育』
  墜落した戦闘機には黒人の兵士が乗っていました。村人たちはその兵士を飼おうとして村に引き止めます。村の少年は兵士に近づき、彼と向き合ううちにじょじょに変化していきます。芥川賞受賞作。

  『人間の羊』
  主人公は、バスの中で外国人の脅しに屈してすぼんを脱がされ、屈辱を感じている学生。その後、彼はその差別を訴えようと叫ぶ教員につきまとわれることになります。

  『不意の唖』
  ある田舎の村に駐留軍が現れます。外国兵たちはみんな立派なのに、通訳は不思議にみすぼらしくみえました。そのためか、川で遊んでいたら、通訳の靴が消えました。通訳は怒りだし、「これは駐留軍に対する侮辱だ」と村人たちを脅します・・・

  『戦いの今日』
  朝鮮戦争が起き、日本には多くの米兵が駐留することになりました。その中で、一人の白人兵士が脱走します。それを匿った兄弟、および脱走兵とつきあっている日本人の娼婦はどうなるのか?

  難解とよく言われますが、硬質な文体は確かにとっつき難くてなんというか狭苦しいけど、テーマと合致しているし、物語自体は強烈だから飽きることはないです。そして、扱っているテーマ自体は古びていない気がします。閉鎖的で抑圧に満ちた共同体と、それが生み出すいかんともしがたい閉塞感のようなものがきっちりと描写されています。物語自体強烈だから飽きることはないです。


自森人読書 死者の奢り・飼育
★★★★★

著者:  中原昌也
出版社: 新潮社

  誰もいない静謐なデパートの特設ステージで待っていました。田辺次郎ショーが始まるはずなのだけど・・・ しかし、突然声をかけられ、田辺次郎が急死したため、ショーは中止になったと知らされます。どこから見ても素晴らしい田辺さんが亡くなったことに愕然とする俺。青山という編集者のインタビューを受けて、そのことを語ろうとするのだけどうまくいかず心はばらばらに乱れます。

  書くことへの憎悪、嫌悪が溢れかえります。俺は小説家なんて職業は苦痛だ、と書きまくり・・・ そして、書くということは無意味なのに、まるで意味があって、権威があるように見せかける世の中の小説家たちの偽善に対する憤怒を書き綴り・・・ というような感じ、かなぁ。全然要約できません・・・ まぁ基本的に要約するのは無理な話だよなぁ・・・

  中篇小説。「小説」に絶望した作者の姿が、浮かび上がってきます。

  第135回芥川賞候補作。中原昌也は、絶対に芥川賞の候補に選ばれることはないだろう、とすら言われていたそうです。しかし、なぜか候補作になれてしまいました。結局受賞はできなかったけど。

  無意味なエロとグロをポンポン放り投げて、無意味な世界を形作っている短編のような雰囲気はないです。だけど、もう「廃墟」を連想させるような破壊の跡。書くということがいやなんだと書いている時点で、すでにそこに矛盾が発生しているわけですが、そういうことがたらたらと書き綴られている『点滅・・・・・・』は作品として面白いのです。あなたは結局どうしたいんですか、と聞きたいです。う~ん、分からない。

  それにしても、面白い。ぶっ壊れているようだけど、頭良いんだろうなぁ、中原昌也。


自森人読書 点滅・・・・・・
★★★

著者:  桂望実
出版社: 幻冬舎

  桂望実『平等ゲーム』、題材はなかなか面白いです。

  鷹の島にある「平等社会」で生まれた男が主人公。彼は、純粋培養され、島を信じるガチガチな理想主義者でした。しかし最終的に、彼は平等社会の矛盾に気付いて成長していきます・・・ いろいろあった末、「平等社会なんて実現しないだろうし、実現したとしても幸せになれない。でもやっぱり、試行錯誤しながら自分でより良い世界をつくっていこうよ」という結論にたどりつきます。

  設定は面白いからあとひとひねりすれば、傑作になったと思うんだけど、どことなくつまらないです。「完全平等を謳う島」に、無知な主人公というありきたりな設定。主人公みたいな人、この世にいないだろう。あそこまで純粋だとほとんど病気に近い。いくらなんでもありえない、という気がします。もう最後の破局まで読んでいる最中にわかっちゃう。

  ワーキングプアや貧困問題が大きく取り沙汰されていますが、その中であえて「完全な平等」なんてありえない、という結論に持っていくところは勇気があるし、さすがだと思うんだけど。けどそんな普通な結論に持っていかれたところで面白くないです・・・

  1番致命的なのは、桂望実の文章が全然楽しめないということです。魅力が無いというか。たらたらと短文がつながっていくのです。しかも改行多すぎ。ケータイ小説と同じレベルのような気がするんだけど(しかも最後になるほどだんだん状況が悪化している気がします、作者が飽きてしまったのだろうか、文章を書くことに)。

  多分、このぶつ切りの文章では、「平等」や「平和」といった思想や、概念を語ることはうまくいかないのではないか。桂望実さんは、『県庁の星』みたいに気軽なゲームみたいな小説を書いていた方が良いと思うなぁ・・・ というのは失礼かなぁ。


自森人読書 平等ゲーム
『詩のこころを読む』
詩人である著者・茨木のり子が心に残った様々な現代詩を紹介してくれます。詩と言うと、なんだか難解なもののような気がするし、まぁ本来難しいものなのだろうとは思うのですが、『詩のこころを読む』で紹介されているのは、平易な文体で綴られた詩ばかり。なので、意味が汲み取れるし、詩の訴えに共感することができます。

名著。

何度読んでも面白いです。暇なときにぱっと開くのが好い気がします。


読んだ本
茨木のり子『詩のこころを読む』(再読)

読んでいる最中
カズオ・イシグロ『日の名残り』
トレヴェニアン『夢果つる街』
『沈まぬ太陽〈1〉 アフリカ篇(上)』
恩地元は国民航空の職員としてアフリカナイロビに一人滞在しています。彼は狩りや登山などに打ち込みつつ、僻地ナイロビに左遷されるまでの経緯を思い出します。かつて、彼は国航労働組合の委員長職を無理やり押し付けられました。彼は、その仕事を踏み台にして出世する人間にはならず、経営陣の言いなりになっていた労組を民主化。そして、劣悪な職場環境を改善するため、労働者の熱烈な支持を受けつつ経営陣に真正面から挑みかかり、航空会社として初めてのストを打つのですが経営者からはとにかく煙たがられ・・・

事実を基にした小説だそうです。

主人公・恩地は事故が起きることを阻止するため、一途に職場環境を改善しようとしただけなのにそれだけでアカと言われます。そして、衛生環境の悪い僻地に飛ばされ、その上いつになっても日本に帰してももらえません。あまりにも悲惨です。ですが、彼はだからといって卑屈になることはありません。立派です。

経営者の論理ばかりが尊重され、弱者の側に立って権利を要求すれば何年にも渡って僻地に放逐されることになる企業というのはどう考えてもおかしいと感じられます。

しかし、今でもそういう状況はさほど変わっていないかも知れません。今でも日本では、権利を主張することがなぜか自分勝手なことというふうに言われ、思われているようです。不可解です。

おかしな現実をすっぱりと描き出す著者・山崎豊子も立派な人だと感じます。



読んだ本
山崎豊子『沈まぬ太陽〈1〉 アフリカ篇(上)』

読んでいる最中
カズオ・イシグロ『日の名残り』
『このミステリーがすごい! 2010年版』
■2010年版
 1 東野圭吾 『新参者』
 2 柳広司 『ダブル・ジョーカー』
 3 綾辻行人 『Another』
 4 米澤穂信 『追想五断章』
 5 矢作俊彦/司城志朗 『犬なら普通のこと』
 6 飴村行 『粘膜蜥蜴』
 7 篠田節子 『仮想儀礼』
 8 佐々木譲 『暴雪圏』
 9 道尾秀介 『龍神の雨』
10 米澤穂信 『秋期限定栗きんとん事件』
11 北村薫 『鷺と雪』
12 高城高 『函館水上警察』
13 東山彰良 『ジョニー・ザ・ラビット』
14 今野敏 『同期』
15 道尾秀介  『鬼の跫音』
16 平山夢明 『ダイナー』
17 米澤穂信  『儚い羊たちの祝宴』
18 歌野晶午 『密室殺人ゲーム2.0』
19 奥田英朗 『無理』
20 詠坂雄二 『電氣人閒の虞』

堺雅人さんの巻頭インタビューと、いろんな人が好き勝手なことを行っているこのミス座談会が面白いです。それ以外はそれほど見るものがない気が・・・


読んだ本
宝島社『このミステリーがすごい! 2010年版』

読んでいる最中
カズオ・イシグロ『日の名残り』
山崎豊子『沈まぬ太陽〈1〉 アフリカ篇(上)』
『ニューロマンサー』
主人公はカウボーイ(ハッカー)のケイス。彼は千葉市(チバシティ)にてリンダ・リーという女性と出会い、付き合うようになりますが、リンダはケイスとともにドラッグや酒に溺れていきます。一方、ケイスは依頼主を裏切ってしまい、脳神経を焼かれ、ジャックイン(電脳世界への接続)できなくなってしまいます。彼は能力を取り戻そうとするのですが、全身に武装インプラントを施したモリィという女性と出会い・・・

SF小説。

1984年に発表されたウィリアム・ギブスンのデビュー作。サイバーパンクの最高傑作とたたえられているそうです。それも納得。

鮮烈なのです。

ドラッグや酒、セックスに満ちている退廃的で美しくない未来が描かれています。そして、「マトリックス」と呼ばれる電脳空間(サイバースペース)が登場。ヴァーチャル・リアリティ(仮想現実)が登場したことによって現実と架空の狭間が曖昧になっていく様子が生々しく描かれています。とにかく、イカれていてどこまでも異様なところが面白い。

そして文体も素晴らしいです。様々なものが積み込まれ、ミックスされていて読みづらいのですが、一文一文が妙に装飾的でギラギラしていて疾走していて、それでいて詩のようです。各章のタイトルから「第一部 千葉市憂愁(チバ・シティ・ブルーズ)/第二部 買物遠征(ショッピング・エクスペディション)/第三部 真夜中(ミッドナイト)のジュール・ヴェルヌ通り/第4部 迷光仕掛け(ストレイライト・ラン)/結尾(コーダ) 出発(デパーチャ)と到着(アライヴァル)」という感じ。黒丸尚の訳がいいのか。

『ニューロマンサー』は、『マトリックス』や『攻殻機動隊』など、様々な小説・映画に多大な影響を与えています。それだけでなく、現実にも影響を与えたと思われます。一部の研究者やSF好き、オタクたちのものだったサイバースペースやネットが、その後クールなものとしてもてはやされるようになっていくのです。それだけ『ニューロマンサー』の描き出した、どこか壊れているのに先進的ともいえる未来像が衝撃的だったということではないか。

『ニューロマンサー』とは、ニューロン(神経)とニュー・ロマンサー(新浪漫主義者)とをかけた言葉だそうです。ここにも言葉遊びが・・・

84年のヒューゴー賞、フィリップ・K・ディック賞、85年のローカス賞、ネビュラ賞、雑誌『SFクロニクル』誌読者賞、ディトマー賞受賞作。


読んだ本
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』

読んでいる最中
カズオ・イシグロ『日の名残り』
山崎豊子『沈まぬ太陽〈1〉 アフリカ篇(上)』
『よつばと! 9』
相変わらず、よつばがかわいいです。

今回は気球を見にいくことに。

それにしても、ほとんど繰り返しみたいなものなのに、どうしてこんなに面白いのだろうか。ほんとに面白くておかしいです。


読んだ本
あずまきよひこ『よつばと! 9』

読んでいる最中
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』
『地球の長い午後』
物語の舞台は未来の地球。膨張しつつある太陽の影響を受け、地球の自転は停止し、昼側の世界では様々な進化をなしとげた凶暴な植物たちが大陸中を埋め尽くすようになります。糸をめぐらし、月に到達した蜘蛛的な植物ツナワタリなども登場。動物はほとんど滅亡寸前であり、人間もかつての知恵を失い、原始的な生活に戻っています。リリヨーに率いられた一団は、次々と仲間を失いつつも、なんとか命をつないでいるのですが・・・

1962年に書かれた、奇想天外なSF小説。

設定がまずぶっ飛んでいます。伝説か神話の世界のようだし、奇想を極めようとしたかのようです。奇怪な進化を遂げた植物が山のように登場します。地球と月を糸で繋いでしまう蜘蛛のような生物ツナワタリ。知恵を貯蓄し、他の生物に取り付く醜悪なキノコ、アミガサダケなどなど。どの生物も印象的。

物語自体も非常に面白いです。原始的な生活の中で、人間はあっさりと殺されていきます。

宇宙の謎が解明される部分には感心しました。ただ少し詰め込みすぎな気がしないでもないです。とはいえ、これだけの分量に様々な要素がぶち込まれているからこそ、物凄いと感じるのかも知れません。

ヒューゴー賞受賞作。


読んだ本
ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』

読んでいる最中
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』
『オー・ヘンリー傑作選』
『賢者の贈りもの』『警官と讃美歌』『マモンの神とキューピッド』『献立表の春』『緑のドア』『馭者台から』『忙しい株式仲買人のロマンス』『二十年後』『改心』『古パン』『眠りとの戦い』『ハーグレイヴズの一人二役』『水車のある教会』『赤い酋長の身代金』『千ドル』『桃源境の短期滞在客』『ラッパのひびき』『マディソン・スクェア千一夜物語』『最後の一葉』『伯爵と結婚式の客』収録。

小気味良い短編ばかりです。

さらっとしているけど、時折大仰になる語り口。気の利いた意外なオチ。陽気な雰囲気。どれもなかなかに良いです。全体的に明るくてユーモアに溢れていて、愛を信じていて、とにかく気さく。

とくに、非常に有名な『最後の一葉』なども印象的でしたが、『赤い酋長の身代金』なんかもおかしくて良いです。

『最後の一葉』
画家のジョンジーは肺炎を患います。そして、落ちていく蔦の葉を見つめながら、「最後の一葉が落ちたら死ぬ」といいます。ジョンジーの友達で同じく画家のスーは、そのことを階下に住む老画家のベアマンに語ります。ベアマンはジョンジーの思い込みをばかばかしい、と罵るのですが・・・

『赤い酋長の身代金』
ビルとサムは、お金をまきあげるため、アラバマ州の田舎町の有力者ドーセット氏の息子を誘拐します。ですが、その息子と言うのがインディアンの「赤い酋長」を名乗る腕白な子どもだったため、誘拐犯の2人は振り回され・・・


読んだ本
オー・ヘンリー『オー・ヘンリー傑作選』

読んでいる最中
ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』
『猫に時間の流れる』
『猫に時間の流れる』
ぼくは古ぼけたマンションの3階に住んでいるのですが、両隣の美里さんと西井はそれぞれチイチイとパキという猫を飼っていました。そこにシロクロという猫が乱入してきて毎日マーキングしていくのですが、いつの間にか慣れていき・・・

『キャットナップ』
千駄ヶ谷のアパートに引っ越してから2年。真下の階に住む上村さんから声をかけられ。猫をお風呂に入れることになります。彼女はモデルなので、腕に傷をつけるわけにはいかなかったからです。

猫小説。

しかし、決してほのぼのとしているわけではありません。保坂和志の小説はほわっとしているように見えるけど、いつでも思考しています。日常の中に存在する法則性/仕組みのようなものをえぐりだそうとしているのです。

しかし、脈絡もなく考えているというわけではありません。個々の人間や猫が個々に成り立っているということはなくて、関係や空間の中でそれらは成り立つのだという思想が、大前提としてあるようです。

主人公は、いつでも温かいネットワーク・コミュニティに属しているか、少なくともその外縁部に位置しています。社交的というほど社交的ではないけれど、しっかりと他人と関係をつくることができる人間なのです。そこが妙に印象的。

新潮社。


読んだ本
保坂和志『猫に時間の流れる』
保坂和志『キャットナップ』


読んでいる最中
ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』
オー・ヘンリー『オー・ヘンリー傑作選』
主人公は天才情報工学研究者の島津圭助。彼は非常に頑固な男でした。若くして成功するのですが、古代遺跡の石室に刻まれた“古代文字”を目にした後に崩れる石室の中で気絶。目覚めると、嫉妬に狂う周囲の人間によって自分が石室崩壊の過失の責任を取らされ、出世街道からひきずりおろされたことを知ります。彼は怒るのですが、その後“古代文字”を解読しているとき、その言葉が人間には理解できない論理構造を持っていることがわかり・・・


ソフトなSF小説。山田正紀のデビュー作。

小道具は古臭いし、人物描写は類型的。そして、ハードボイルドチックで少しナルシスティックな主人公には違和感を覚えます。しかし、それでも日本SFの古典といわれるだけのことはあると感じました。なぜ人間が神を理解できないのか、という問いに対して、論理レベルが違うから、という回答をもってくるところがみごと。

それによって、神を「認識できないけど、厳然とあるもの」にしてしまうのです。そして、神との戦いが実現。あまりにも魅力的なテーマなので感動します。じれったい神の描写も、随分とまどろっこしくてなかなかに面白いです。

なんだか石ノ森章太郎を連想しました。それくらいサクッとしていて軽いです。

しかし、ラストの辺りには失望させられました。なんというか、安っぽいサスペンスっぽくなってしまうのです。

第6回星雲賞受賞作。


今日読んだ本
山田正紀『神狩り』

読んでいる最中
ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』
オー・ヘンリー『オー・ヘンリー傑作選』
『モグラ博士のモグラの話』はタイトル通りの中身。
『モグラ博士のモグラの話』

モグラのことがよく分かります。みみずを食べて生きている、日本には大別して3種類のモグラが生息している、とかそういうことは生物の時間にも学んだのですが、土の中でどのような暮らしをしているのか、詳しくはこれまで知らなかったので読んでいて面白かったです。今では日本に住むモグラは三種類ではなくもっと多いと分かっているということを知ることもできてよかったです。

そして、モグラ博士になるための方法もよく分かります。英語だけでなく外国語が必要なのか、大変だ・・・

ですが、モグラがどういうふうにしてこどもを残すのか、分かっていないそうです。案外、重要な部分が分かっていないんだなぁ・・・



読んだ本
川田伸一郎『モグラ博士のモグラの話』

読んでいる最中
ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』
山田正紀『神狩り』
2010年(2009年に出版された本が対象)の本屋大賞候補を再度予想してみます。まぁ多分、あまり当たらないと思います。半分あたればいいなぁ・・・


●ベスト30確実?

奥田英朗『無理』(大作らしいし、どうだろう。微妙か)
藤谷治『船に乗れ!』(青春小説枠で入るのでは?)
道尾秀介『鬼の跫音』(道尾秀介は候補になりそう。短編集だから少し弱いけど)
川上未映子『ヘヴン』(川上未映子が苛めとセックスを扱っただけで注目の的では?)
万城目学『プリンセス・トヨトミ』(万城目学はパッとしない・・・)
東野圭吾『新参者』(人情ものらしい)
高村薫『太陽を曳く馬』(ベスト10には入らないか。大作)
柳広司『ダブル・ジョーカー』(『ジョーカー・ゲーム』の続編ならば)
村上春樹『1Q84』(8、9位くらいに入るのかなぁ。本屋大賞はとってほしくはない)
伊坂幸太郎『あるキング』(まぁこの辺りになるのでは?)
今野敏『同期』
湊かなえ『少女』or『贖罪』
有川浩『植物図鑑』or『三匹のおっさん』or『フリーター、家を買う。』
森見登美彦『恋文の技術』or『宵山万華鏡』
村山由佳『ダブル・ファンタジー』
三浦しをん『神去なあなあ日常』
奥泉光『神器―軍艦「橿原」殺人事件』
和田竜『小太郎の左腕』
東野圭吾『パラドックス13』
夏川草介『神様のカルテ』
荻原浩『オイアウエ漂流記』
佐々木譲『廃墟に乞う』or『暴雪圏』
綾辻行人『Another』
米澤穂信『追想五断章』


●ベスト30に入るかも?
北村薫『鷺と雪』
宮部みゆき『英雄の書』
真保裕一『アマルフィ』
恩田陸『訪問者』
桜庭一樹『製鉄天使』
竹内真『文化祭オクロック』
歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』
矢作俊彦 /司城志朗『犬なら普通のこと』
235寺田寅彦随筆集1
★★★ 寺田寅彦

234田紳有楽
★★★★★ 藤枝静男

233わたくし率イン歯ー、または世界
★★★★ 川上未映子

232テロリストのパラソル
★★★ 藤原伊織

231松本清張と昭和史
★★★ 保阪正康
★★★

著者:  寺田寅彦
出版社: 岩波書店

  「芸術感覚と科学精神との結合によって完成した」と解説者が述べる随筆集。

  『どんぐり』『龍舌蘭』『花物語』『旅日記から』『先生への通信』『科学者と芸術家』『物理学と感覚』『病院の夜明けの物音』『病室の花』『丸善と三越』『自画像』『芝刈り』『球根』『春寒』『春六題』『蓑虫と蜘蛛』『田園雑感』『ねずみと猫』『写生紀行』『笑い』『案内者』『断水の日』収録。

  彼は明治・大正・昭和時代の人なのですが、とても文章が読みやすいことにまず驚きました。やっぱり、明治維新は大きな境目になっているなぁと感じます。それ以前のものは、ほとんど読めないです。明治維新より前のものは、ほとんど外国語と同じといってしまっても良いのではないか、と僕は勝手に思っています。まぁ「日本語」は平易になったかも知れないけど、その代わりとして国家によって方言が潰され、日本語は狭まったともいえるけど。

  『どんぐり』はとても感傷的な作品。だけど、そのあとの随筆には理論っぽいのが続々とでてきます。心について考察しているところでは、森博嗣を連想するような言葉がでてきます。

  最初のあたり、『三国志』『八犬伝』が時折登場したり、「関羽」という文字列があったりするので、おーと思わされます(たぶん『花物語』)。今も昔も読まれている共通のものがあることに感動する、というか。あと、『病院の夜明けの物音』には共感しました。寝ていると、音に敏感になる、というより気になってくる、ということが書かれています。暗い中、1人だと時計の音とかが気になり出すんだよなぁ。なんだか。

  何かをただ描写していたはずなのに、時々ぽんと飛んで、文化論みたいなものにまで発展するところがとても面白いです。そういうふうに連想していくのか。感心させられます。飛躍しているのに、唐突ではなくて、どこか流暢さがあるんだよなぁ。

  『自画像』は面白いです。寺田寅彦が病気で安静にしている時、自画像を描こうと思い立ち、何個か描くのだけどなかなか難しいと述べているもの。彼と、友達の画家とのいろんなやりとりとかは、自由の森学園の美術の授業でも使えそうな感じです。『笑い』は、笑いという現象の分析。笑ってはいけないところでどうしても笑いたくなってしまう自分はおかしいのだろうか、と寺田寅彦が書いているのですが。「何々をやってはいけない」と言われると、それをやりたくなるというのは誰にもあることだよなぁと共感します。どうしてなんだろう。


自森人読書 寺田寅彦随筆集1
『ロリータ』
ヨーロッパの知識人ハンバート・ハンバートは、幼い頃慕っていた初恋の女性のことが忘れられず、いつでも「ニンフェット(不可解な魅力を放つ少女)」を捜し求めるようになり、そして亡命先のアメリカで12歳の少女のドロレス・ヘイズを見出します。ハンバートは、彼女のことをロリータと呼び、追い求め、彼女の母親と結婚し、ロリータに迫るのですがロリータは実は奔放な少女で・・・

若島正による新訳。

知識人ハンバート・ハンバートが書いた手記ということになっています。だから時折混乱するし、明快とはいえない表現が多いし、どこまでが現実でどこからが妄想(作り話)なのか分かりません。彼は信用できない語り手なのです。その混線した感じが非常に面白いです。

ハンバート・ハンバートは、ロリータを可憐な少女だと繰り返し書きますが、それほど可憐な少女だとは思えません。彼女は汚い言葉を用い、簡単にセックスする生意気な女の子です。

『ロリータ』は、アメリカというものを表現した文学だと指摘する評論家もいるそうです。老いたハンバートはヨーロッパであり、若く野卑なロリータはアメリカというふうに当てはめて考えてみると面白いです。

変態的な小説に見えるが実はそうではなくて芸術的な文学なのだというふうに、やたらと若島正をはじめとする博識な人たちが様々なところで書きまくっているけど、「教養」ある人たちを刺激する言葉遊びと仕掛けに満ちた小説でありながら、ある意味ではポルノ小説としても読めて、それでいて推理小説のようでもあって、難解でポストモダンチックな小説として読むことも可能なところが素晴らしいのかなぁ、と感じました。

もう少したくさん本を読まないと、全てを読み解くことはできないのかも知れない。再読したいです。そうしたらもっと楽しめるだろうか。



読んだ本
ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』

読んでいる最中
ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』
★★★★★

著者:  藤枝静男
出版社: 新潮社

  主人公はモグリの骨董屋(実は彌勒菩薩の化身)。彼は、池に3つの陶器を放り込んでそれらがどのように変化するかを確かめていたのですが、そのうちそれらの陶器は好き勝手を始めます。グイ呑みは、C子(金魚)と愛し合い、丼鉢は空を飛びゆき、茶碗は、モグリの骨董屋を仏と知らずに、古美術商の手ほどき行い・・・(神様に何を教えるというんだろうか・・・)

  そういった日常を主人公と陶器たち、四者の視点から描いています。

  物語は、けっこう淡々と進むんだけど、中身はぶっ飛んでいきます。洒脱な語り口が良いです。読みやすい。一応作者が私小説を書いている人だから、「私小説です」みたいなふうになっているけど、これって立派なファンタジーではないか。読んでいて笑える傑作。

  谷崎潤一郎賞を受賞した作品を追っていこうと思い、読んでみたのが、『田紳有楽』。

  小難しそうな解説がついていたので、最初は警戒していました。しかし、読んでみたら面白くて逆にびっくりでした。よく分からない解説は読者を遠ざけるから、むしろ取っ払った方が良い気がする・・・ その解説は次のような感じ。「あくまで私小説に徹し、自己の真実を徹底して表現し、事実の奥底にある非現実の世界にまで探索を深め、人間の内面・外界の全域を含み込む、新境地を拓いた、“私”の求道者・藤枝静男の「私小説」を超えた独自世界。」。よく分からない・・・

  素晴らしい快作。そういえば、『聖おにいさん』を連想しました。

  第12回谷崎潤一郎賞受賞作。


自森人読書 田紳有楽
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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