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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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短編集。
『第三の時効』

『沈黙のアリバイ』
一班の班長である朽木が主人公。新入りの刑事島津が「落とした」はずの犯人が、裁判になった途端、完全無罪を主張。犯人は自分にはアリバイがあると言い出します。島津は逃げるようにして辞任。朽木は追い詰められました。さて、彼は犯人のアリバイを暴くことが出来るのか?

『第三の時効』
一時的に二班へ行かされた一班の刑事、森と二班の班長、楠見が主人公。容疑者が海外渡航をした場合、その期間だけ時効が延びます。それが「第二の時効」。しかし、楠見は犯人を焙り出すべく、ただ1人で、恐るべき計画を立案し、実行します。「第三の時効」とはいったい何なのか・・・?

『囚人のジレンマ』
一班、二班、三班それぞれが抱え持っている事件と、その三つの班を監督する立場にある田畑第一捜査課長の物語。部下が無能であれば苦労を味わい、部下が有能であればもっと大きな苦労を味わうことに・・・ 田畑という人は大変な苦労を背負っているみたいです。


今日読んだ作品
横山秀夫『沈黙のアリバイ』
横山秀夫『第三の時効』
横山秀夫『囚人のジレンマ』


今読んでいる本
若竹七海『ぼくのミステリな日常』
横山秀夫『第三の時効』
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★★★

著者:  金谷治
出版社: 岩波書店

  『孟子』は、中国の春秋戦国時代の思想家・孟子の生涯を見つめながら、その思想を考察したもの。

  孟子は、春秋戦国時代(紀元前)に生きた思想家。孔子が確立した儒教の流れの一端を受け継いだ人です。性善説を訴え、当時活躍していた他の思想家たちと意見を闘わせました。しかし現実においては彼の主張(理想論として退けられた)は容れられず、不遇の生涯を送りました。孤高の人物だったようです。

  孟子や、儒者の唱えた、「長者を敬い、父母に尽くし、兄弟と仲良くしよう」という考え方は、支配者の統治のために利用された側面があるというのは近代になってから中国で強く言われたことです。そのため、孔子・孟子をこき下ろす人もいます。

  結局、儒者たちの言葉は王・諸侯に向けられた提言でした。民衆を慮ってはいても決して民衆の立場に立った意見ではありませんでした。国家をどう形作るか、という大きなはなしばかりを繰り返しているのだから、所詮は支配階級に属する者とみなされてもしかたありません。

  しかしその一方で孟子は、「王は軽いのだ、民が重い」とも言いました。彼は、悪い王様なら倒すべきだ、といって革命を認めた人物なのです。そのため後世、その主張はいろんな人物から排斥されることになります。「忠義」という考えを壊す暴論と叩かれました。『孟子』は焼かれたこともありました。

  僕は、理想の国家を作るために言葉で闘った孟子は凄い人だ、と思います。博愛(万民平等・反戦)を唱えた墨子の主張ほどは先進的ではなかったとしても、民衆の苦しみを取り払うためにいろんな主張をしたところはかっこ良いなぁと思います。著者の金谷治もそのように論じています。

  「儒教」というものはひとくくりにできないなぁと思います。まぁそれは、キリスト教をひとくくりのものとして扱えないのと同じことです。どこまでも枝分かれして、時代によって全然違うものに変化しているからなぁ・・・ それを追っていて歴史を知るのは、楽しいなぁと思いました。


自森人読書 孟子
★★★

著者:  筑波常治
絵:  坂本玄
出版社: 国土社

  「堂々日本人物史―戦国・幕末編」シリーズのなかの1冊。子ども向けのものです。僕は、偶然地元の図書館にあったこのシリーズを通して日本の戦国・江戸時代の詳しい流れを知るようになりました。なので、このシリーズには愛着があります。

  今回の巻は、尼子氏に仕えて命を散らし、忠義の人として昔からもてはやされてきた山中鹿之介。三日月に向かって、「願わくば、我に七難八苦を与えたまえ」と祈ったという逸話は広く知られています。彼はほとんど無謀としか思えないような作戦をたてて、宿敵・毛利氏に幾度となく挑んでいきます。

  1回目は、隠岐の豪族・隠岐為清の協力を得て毛利氏から新山城を奪い、出雲をほとんど手中に収めるところまでいきますが、最終的には敗北。山中鹿之介自身も捕縛され、厠に行くふりをして脱出。2回目は、覇者として全国に勢力を広げつつあった織田信長や、信長に属する勢力の助力を受けて、若桜鬼ヶ城・私都城を奪取。しかし織田信長は、毛利氏との関係悪化を恐れて、山中鹿之介ら尼子氏遺臣勢力を放置。またもや尼子氏勢力は毛利氏に敗北し全ての城を放棄して逃走。

  そして3回目。山中鹿之介らは、織田信長勢力の先鋒として毛利氏と戦い、上月城を奪取して尼子氏再興をねらいます。しかし、織田信長は別の方向から攻め寄せる本願寺・上杉謙信の攻撃に対応するため、山中鹿之介ら尼子氏遺臣勢力を見殺しにして撤退。孤立した上月城は毛利氏の包囲によって陥落。山中鹿之介は再び捕われ、今度は謀殺されます・・・

  凄い生き方をした人だなぁ、と思います。不屈の闘志を持っている、といえば良いのか。3回も、強大な毛利氏に挑み、最期には命を落としてしまう・・ う~ん、悲劇の名将としてもてはやされるのも無理ないな、と思います。


自森人読書 山中鹿之介 「堂々日本人物史―戦国・幕末編」

突然墜落してきたものにぶつかって意識を失ってしまったタウンゼント。彼は急いで家に戻るのですが、そこには妻がいませんでした。彼は慌てて管理人を問いただし、妻の住んでいるところへ向かいます。そして妻と面会するのですが、彼女と話している内に衝撃的な事実にぶちあたります。なんと、これまで3年の間彼は失踪していたというのです・・・ その3年間、彼は何をしていたのか。タウンゼントは全く覚えていません。しかも、タウンゼントを付け狙う黒い影が現れ・・・

「サスペンスの詩人」といわれたウィリアム・アイリッシュの小説。

スリルに満ちています。後半、推理ものっぽくなっていくのですが、そこよりも前半の方が面白いです。3年間の記憶が欠けているために、自分というものを信じることが出来ず、苦しむ様子が上手に描かれています。


今日読んだ本
ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』

今読んでいる本
若竹七海『ぼくのミステリな日常』
横山秀夫『第三の時効』
高田侑の短編集『てのひらたけ』を読みました。
どれもファンタジーチックというか、幻想小説っぽい雰囲気です。
『てのひらたけ』

『てのひらたけ』
てのひらたけという幻覚を見せるキノコがとれる、と聞いた男は山に分け入り、それを食した途端に昏倒。母と娘の一家に助けられ、そこの家のお世話になることに。いつの間にか娘に惹かれていき、婚約しようとまで言い出すのですが・・・

『あの坂道をのぼれば』
落ちぶれた男の現状と、そこに到るまでの経緯(女に溺れて家族を捨てた)が交互に描かれていきます。主人公は本当にどうしようもない男だなぁ、と感じました。まぁ仕方ないのかもしれないけど。

『タンポポの花のように』
廃墟の遊園地で黄色い帽子を持ち、微笑んだまま死んでいる56歳の女性が発見されます。どうして黄色い帽子を持っていたのか。その謎を解き明かす物語。その女性の人生と、女性の遺体を回収し、死後の処理をしにきた家族の場面が交互に組み合わせられています。

『走馬灯』
主人公の男は、兄から「30年前に死んだはずの父をこの頃見かける」と言われ、からかわれているのかと思って怒ります。けど、昔、父は幼い子ども時代の自分に対して、未来を予知するようなことを口走っていたなぁ、ということを思い出し・・・

なかなか良いです。しかしどれもこれもほのかなハッピーエンドにするところは頷けない。綺麗過ぎるというか。


今日読んだ作品
高田侑『てのひらたけ』
高田侑『あの坂道をのぼれば』
高田侑『タンポポの花のように』
高田侑『走馬灯』


今読んでいる本
ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』
大切な人を失う「その日」に向けて、どのように歩んでいくのか。「その日」をどのように受け入れるのか。そして、「その日」のあと、どうやっていきていくのか。そう問う連作短編。

この物語において、大切な人というのが誰を指すのかと言うと、具体的には妻のこと。夫と2人の息子が残される側。

『その日のまえに』が表題にもなっています。他の短編とも微妙につながりがあります(『ひこうき雲』に登場した学級委員が、看護師になっていたり)。


今日読んだ作品
重松清『その日のまえに』
重松清『その日』
重松清『その日のあとで』


今読んでいる本
高田侑『てのひらたけ』
『森にめぐるいのち』
『森にめぐるいのち』は小さい絵本。
最初は、大木が倒れたところから始まります。

森の循環と言うものを分かりやすく説いている絵本。とはいっても、文章はあんまりありません。余分な部分はけずりとられているので押し付けがましくありません。そこが、絵本というものの良いところ。

写真つきなので、とても綺麗です。どの写真も「良い写真だー」と思わされるような良い写真。読んでいたら、思わずこれは全体としてきっちりとしたまとまりがある「完成品」だなぁ、と感じました。

おすすめ。


今日読んだ本
姉崎一馬・写真/片山令子・文『森にめぐるいのち』

今読んでいる本
重松清『その日のまえに』
高田侑『てのひらたけ』
岩波ジュニア新書の新刊。
『図書館で出会える100冊』
『図書館で出会える100冊』の中でオススメされている本は、ほとんど読んだことがなかったです。『イラクの小さな橋を渡って』『タイム・マシン』『星の王子さま』『銀河鉄道の夜』くらいでした。

これから読もうかなぁ、と思います。けど、どれも良い本だろうとは思うけど、エンターテインメント小説ではないみたいだから、あんまり読む気が起こらない・・・ もう少し『銀河英雄伝説』とかそういうのもいれてほしかった。


今日読んだ本
田中共子『図書館で出会える100冊』

今読んでいる本
重松清『その日のまえに』
姉崎一馬・写真/片山令子・文『森にめぐるいのち』
『抱擁家族』
大学講師の夫は、ある日妻がアメリカ兵と情事を重ねていると聞いて驚愕し、そしてどうにかしようとして息子・娘を誘い、家事を手伝おうとしたり、米兵と妻を対決させたりしようするのですが、どうしても上手くいきません。何をしても滑稽になってしまうのです。
そして彼は家を引っ越そうとするのですが、妻の乳癌を発見してしまい・・・

崩壊していく家族を描いた作品。あまりにもありきたりな展開をみせるのですが、「それは狙ってやったことだ」と指摘する大江健三郎の解説を読んで、ちょっと得心しました。

けっこう読みづらかったし、そのためかもやもやして気持ち悪いです。でも、そこが面白いともいえます。

第1回谷崎潤一郎賞受賞作品。


今日読んだ本
小島信夫『抱擁家族』

今読んでいる本
重松清『その日のまえに』
田中共子『図書館で出会える100冊』
姉崎一馬・写真/片山令子・文『森にめぐるいのち』

涙なしには読めない、というのはまさしくこういうことと思わされる重松清の短編集。とくに『ひこうき雲』と『潮騒』が心に残りました。

『ひこうき雲』は、小学校時代クラスメイトだったガンリュウという女の子が、遠くの病院に行ってしまったことを回想する物語。ガンリュウは、厳しく人を問い詰めてすぐに泣かすような子だったのですが、そんな子であったとしても人なので・・・

難病とどのように向き合うのか。
とても難しい問題だなぁ、と思います。誰もがいつかは死にます。だから、それはどうしようもないものではあるのだけど、やっぱりどうしようもない、などという言葉で済ませることは出来ません。どうすればいいのだろう・・・


今日読んだ作品
重松清『ひこうき雲』
重松清『朝日のあたる家』
重松清『潮騒』
重松清『ヒア・カムズ・ザ・サン』


今読んでいる本
小島信夫『抱擁家族』
重松清『その日のまえに』
剣道に打ち込む少女たちを描いた青春小説。
『武士道シックスティーン』
主人公は、香織と早苗の2人。
香織は厳しい性格。一般的な話題には興味を持たず、ひたすらに愛読書『五輪書』をめくる兵法オタク。幼い頃から剣道を習い始め、徹底的な稽古を積んだ結果、圧倒的な攻めを獲得。一方、早苗はのほほんとした性格。いろいろあって勝負にこだわることを忌避しているけど、昔日本舞踊をやっていたため体の使い方というものが他人と違って結構強い。とくに相手の攻めを受けるのが得意。
まだ2人が中3だった頃。中学大会2位だった香織が、当時まだ無名だった早苗に敗北し、雪辱を誓ったところから物語は始まります・・・

けっこう分厚いし、ちょっと躊躇っていたのですが、面白くてすぐに読めてしまいました。というか、本当に一気読みしてしまいました。

何ヶ所かに挟まっている絵つきの道具の解説がとても分かりやすいです。


今日読んだ本
誉田哲也『武士道シックスティーン』

今読んでいる本
小島信夫『抱擁家族』
重松清『その日のまえに』
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 19 ソロモン編・前』
『異邦人』読んだ後に、『ガンダム』というのは変な取り合わせですが・・・

『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』面白いです。もともとのテレビ版・映画版では存在しなかった、裏側の権力争いというものがしっかりと描写されていて、物語の厚みが増しています。映画版などでは、物語終盤に入るとシャアは完全にお荷物と化していました。でも、『THE ORIGIN』では少し違う感じ。陰謀を巡らせ、かなり活躍しています。


今日読んだ本
安彦良和『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 19 ソロモン編・前』

今読んでいる本
誉田哲也『武士道シックスティーン』
カミュの代表作。窪田啓作訳。

二部構成。

主人公はアルジェリアのアルジェに暮らすムルソーという男。彼は、母親の訃報を聞いて養老院へ行き、母の葬式に出席しますが、とくに泣いたりはせず、淡々とそれを終え、すぐさま家に帰りました。そして翌日には知り合いの女性とセックスしたりして、いつもと同じように日々を過ごします。
しかし程なく悪友レエモンに巻き込まれ、アラブ人との喧嘩に加勢したことからなんとなくアラブ人の男を射殺してしまいます。ムルソーは、「太陽のせい」と言いました。そして、死刑の判決を下されることとなります・・・

面白かったです。「世界文学」だから難しいのかと思いきや、文章は非常に読みやすいし、短いし、展開も練られていてすらすらと進んでいけました。

主人公は決して狂った人間ではない、と僕は感じました。狂ったなりに論理を持っている、というか。ある意味、芝居をせずに自分の思ったとおりに行動する、という部分は真っ当なのではないか。


今日読んだ本
カミュ『異邦人』

今読んでいる本
誉田哲也『武士道シックスティーン』
安彦良和『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 19 ソロモン編・前』
とうとう完結。
『PLUTO 8』
なかなか面白かったです。最期は感動です。

ちょっと冗長過ぎた気もしたけど、他作品ほどひどくはないし。原作があると浦沢直樹は良い漫画が書けるのかもしれない、と不遜なことを考えてしまいました。


今日読んだ本
浦沢直樹『PLUTO 8』

今読んでいる本
カミュ『異邦人』
辻静雄の半生を描いた大作。
『美味礼讃』
辻静雄は実在の人物。フランス料理研究家。美味しいものを追求するために、一生を捧げた人です。

彼は、日本に本当のフランス料理というものを持ち込み、それまでのでたらめな「西洋料理」を駆逐しました。そして、それだけでなく父の学校を引き継いで発展させ、辻調理師学校を設立、優れた料理人をたくさん育成していきました。最期は色々食べ過ぎて肝臓を悪くして死去。

美食というのは怖いものだなぁと感じました。料理の世界はとにかく残酷らしいです。とにかく古くなったらもうおしまい、味が落ちたらもうおしまい、という世界だから、もうみんな必死で蹴落としあうんだから。壮絶だ・・・

あと、辻静雄らは料理の研究のために何千万・何億円とお金をつぎ込むわけです。地球の裏側では何万という人が餓死している一方で、そんなこととが行われているこの世界と言うのはいったいなんなのか、と感じました。「辻の美食はブルジョアの真似事だ!」と吠える辻静雄の元同僚の記者がいるんだけど(嫉妬から言ったとしか思えないけど)、ある程度は共感します。

それにしても辻さんというのは凄い人だ・・・


今日読んだ本
海老沢泰久『美味礼讃』

今読んでいる本
カミュ『異邦人』
浦沢直樹『PLUTO 8』
本格ミステリ。やたらと長かったので頭が痛くなりました。でもラノベっぽい文章だから読みにくくはなかったです。
『星降り山荘の殺人』
広告代理店勤務の杉山和夫は上司を殴ってしまい、タレントのマネージャー見習いという微妙なところに左遷されます。最初の仕事は、スターウォッチャー・星園詩郎の付き人。和夫は、星園詩郎に従って山荘へ赴きます。楽しい旅行になるかと思いきや、その山荘はあまり良いところではなく、しかも吹雪によって閉じ込められてしまいます。さらに、突如として連続殺人事件が発生。さて、いったい犯人は誰なのか・・・?

山荘に集まったのは、《ヤマカンムリ開発》社長・岩岸、岩岸の部下・財野政高、スターウォッチャー・星園詩郎、「UFO研究家」嵯峨島一輝、作家・草吹あかね、あかねの秘書・早沢麻子。あと女子大生2人組。個性的な面々。

物語の舞台は、秩父。

クローズド・サークル。著者は、「本格ミステリ」だということを強く意識してこの作品を書いたみたいです。だから他作品のパロディみたいな感じもします。そこらへんは、ミステリを読みなれた人でないと楽しむことができないかも知れません。

軽妙な雰囲気は良いのだけど、そこまで優れたミステリとは思えませんでした。パロディというのは難しいなぁ。


今日読んだ本
倉知淳『星降り山荘の殺人』

今読んでいる本
カミュ『異邦人』
辻静雄『美味礼讃』
135新唐詩選
★★★★ 吉川幸次郎、三好達治

134相手に「伝わる」話し方―ぼくはこんなことを考えながら話してきた
★★★ 池上彰

133おれは非情勤
★★ 東野圭吾

132中国近現代史
★★★★ 小島晋治、丸山松幸

131しゃばけ
★★★ 畠中恵
★★★★

著者:  吉川幸次郎 三好達治
出版社: 岩波書店

  1952年に出版されたもの。吉川幸次郎、三好達治両人が、素晴らしいと思った唐詩(唐の時代の漢詩)を取り上げ、論じたものです。唐詩を広く深く見つめていながらそれでいて、コンパクトにまとめられています。名著として古くから知られている1冊。最も多くの人に読まれた漢詩関連の書籍(日本)ではないか、と思います。

  売り出された当時(1952年)は、ベストセラーになったそうです。漢詩のことを書いた本がベストセラーになる時代というのがあったのか・・・ う~んちょっと感慨深いというか。今とは全然違ったんだなぁ。今じゃ、『リアル鬼ごっこ』とかそういうのがバカ売れしている・・・

  そういえば、読んでいたら、僕の好きな漢詩も載っていました。 王維という人がつくった『鹿柴』という漢詩です。かなり有名な漢詩なのだけど、好きです。

鹿柴
空山不見人,
但聞人語響。
返景入深林,
復照青苔上。

  意味
  ガランとしたさびしい秋の山には誰もいない、ただ人のおしゃべりの声だけが響いている。夕日の照り返しが深い林に忍び込み、朝のようにまた日の光が苔を照らす。

  吉川幸次郎は、中国文学者なので唐詩はまさに専門なのですが、三好達治は詩人(日本語の散文詩)として有名な人です。それほど漢詩と深い関わりはないのでは、と感じますが。

  江戸・明治の「知識人」とくくられるような人たちはみんな当然の教養として漢文・漢詩といった漢籍のものを読み、さらに古事記・万葉集といった日本のものも読み、そしてその上で西洋の文化に触れて、いろんなものを生み出していったようです。博覧強記の人ばかりだ。とても敵わないなぁと思います。ちょっと見習いたいです。


自森人読書 新唐詩選
『仮題・中学殺人事件』
冒頭で「読者が犯人」と宣告するミステリ小説。

可能キリコ(スーパー)と牧薩次(ポテト)が活躍。

なかなか面白かったです。ただし、いろんな人が絶賛するほどに凄いとは感じられませんでした。キャラクターの描写はあんまり巧くないし、文章も粗いし。ジュブナイルっぽいジュブナイルと言う感じです。

もしかして、こういうトリッキーな小説をデビュー作としてもってきたことが評価されたのかもしれない。辻真先のデビュー作。


今日読んだ本
辻真先『仮題・中学殺人事件』

今読んでいる本
倉知淳『星降り山荘の殺人』
カミュ『異邦人』
イギリスのミステリ小説。
『証拠が問題』
ある夜、夫スティーヴンが蒼白な顔をして帰ってきました。何事かあったのかと疑う妻アリソンはいろいろ問うのですが、夫は「仕事が速く終わったので帰ってきた」というのみ。深夜、2人の警察官が現れます。彼らは、「殺人現場にスティーヴンがいたという目撃証言があった」と告げ、スティーヴンを連行していきます。
ですが、アリソンは夫の無実を確信していました。彼女はそれを証明するべく走り回ることになります。そこへ、事件の被害者であるリンダ(モデルを名乗っていた美女)の兄、ロジャーが加わってきて・・・

あらすじを説明しても、あんまり面白そうに感じないかも知れません。ミステリとしては、あまりにもありきたりな感じなので。

でも、読んでみると二転三転していく物語が非常に面白いです。よく練られています。技巧派というのはそういうことか。意外なラストにため息をついてしまいました。そうくるか。きちりときれいに締まる本格ミステリの秀作。


今日読んだ本
ジェームズ・アンダースン『証拠が問題』

今読んでいる本
倉知淳『星降り山荘の殺人』
辻真先『仮題・中学殺人事件』
★★★

著者:  池上彰
出版社: 講談社

   どうやって話せば、伝えたいことが伝わるのか・・・? とても難しい問題です。NHKの報道記者として、「週刊こどもニュース」のお父さん役を務める池上彰が、「話し方」について具体的な事例を1つひとつ挙げながら、それについて説明してくれるのが、この『相手に「伝わる」話し方―ぼくはこんなことを考えながら話してきた』。

  どこに視線を向ければ視聴者にとって自然か? というところにまではなしがおよんで面白いです。そこまで考えないといけないのか・・

  話し言葉と書き言葉は「生理的な違い」みたいなものがある、というはなしもそうだよなぁ、と頷きました。全然違うんだよなぁ、話すのと書くのとでは。本当かどうかは知らないけど、脳の違う部分を使っている、というようなはなしを聞いたこともあります。

  池上彰の半生みたいなのも分かって面白いです。サツ回り、警察巡りから始まって、首都圏向けニュースのキャスターになり、そしていろいろありながら、最終的に「週刊こどもニュース」のお父さんになるまで。そもそもは記者だったんだ、知らなかったです。

  喋る、というのは難しいことだ、と改めて思います。ぺらぺら喋れれば良いという訳じゃないんだよな・・・ 自分の伝えたいと思っているニュアンスを、出来る限り正確に、相手にまで届けないといけない。いつも後悔ばかりです。まぁ後悔していても意味がないから、反省しながらとにかく喋っていかないといけないんだけど。


自森人読書 相手に「伝わる」話し方―ぼくはこんなことを考えながら話してきた
★★

著者:  東野圭吾
出版社: 集英社

  小学校の非常勤講師「おれ」は、推理作家を目指しているためかいろんな学校に派遣されるごとに謎の事件にぶち当たります。なぜかダイイングメッセージがあったり・・・ 「おれ」はクールに振る舞いつつも、なんとなく数々の事件と立ち向かっていきます。

  う~ん、東野圭吾はこんなものも書いていたんだ・・ 意外でした。

  『探偵ガリレオ』などとは全然違うイメージです。なんというか、子供だましっぽい感じだなぁ。「クールな主人公」が、気に食わないです。子どもや他人のことを見下している感じで、だけどはなしが進むごとにいつの間にか「良い人」になっていくんだよなぁ・・・ 結局そうなるのか。

  それに謎解きもしょうがないようなものばかりだし。登場人物に魅力がなくて、謎解きもつまらないようではどうしようもない。

  もうこれ以上書くことがないです。


自森人読書 おれは非情勤
『あずまんが大王』
『よつばと!』が面白かったので、『あずまんが大王』も読んでみました。やっぱり面白かったです。学校が舞台なのか。


今日読んだ本
あずまきよひこ『あずまんが大王』

今読んでいる本
倉知淳『星降り山荘の殺人』
ジェームズ・アンダースン『証拠が問題』
『翼はいつまでも』
主人公は、神山久志という少年。彼は野球部で万年球拾いをやっていました。しかし、ある夜、ビートルズのプリーズ・プリーズ・ミーを聞いて変わります。彼は大人の男になるために、日本で最も処女が失われるという十和田湖へ旅立ちます。そしてセックスしようとするのですが。

極上の青春小説。全てのツボを押さえてあります。ただし、展開がいくらなんでもうまくいきすぎじゃないか、とも思うけど良いです。読後感は最高。

ビートルズの衝撃というものを、僕は分かることが出来ません。「ビートルズは革命だった」のか・・・ う~んどんな感じだったのだろう。学校がビートルズを禁止したというのは信じられないです。そんな時代もあったのか。

第17回坪田譲治文学賞受賞作。


今日読んだ本
川上健一『翼はいつまでも』

今読んでいる本
あずまきよひこ『あずまんが大王』
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