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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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連作短編集。
『私が語りはじめた彼は』
2005年本屋大賞9位だったので読んでみました。

内容はかなり陳腐。とはいえ、文章は綺麗で凄い、です。
村川融の不倫の結果、彼の周辺の人々が巻き起こしていく出来事の数々を描いています。しかし、その中心点にいる村川融という人のことは直接書かれることはありません。まるでブラックホールみたいだなぁ・・・


今日読んだ本
三浦しをん『私が語りはじめた彼は』

今読んでいる本
宮部みゆき『蒲生邸事件』
泡坂妻夫『11枚のとらんぷ』
大沢在昌『B・D・T掟の街』
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『エスの解放』
目がパッチリして、星がキラキラしているような絵柄とは全然異なっています。なんだか不思議な感じ。こういう少女漫画も昔からあったんだ・・・

心の問題を描いています。なんだこれは、と思っているうちに物語が展開していきます。そういう中身を大仰にやることもなく、漫画として成立させてしまうところが凄い、と思いました。


今日読んだ本
倉多江美『エスの解放』

今読んでいる本
宮部みゆき『蒲生邸事件』
三浦しをん『私が語りはじめた彼は』
この前読んだのに、感想を書き忘れていました。『ミステリ・ベスト201』。読んでない本ばかり紹介されていました。ミステリって全然読んでいないです。とくにハードボイルド系とホラー系は好きではないから、敬遠してきたので。

まぁぜひ読みたいなぁと思いました。
『ミステリ・ベスト201』

「超A級」の中では。

泡坂妻夫『11枚のとらんぷ』『亜愛一郎の狼狽』がとくに気になりました。泡坂妻夫読まなきゃなぁ・・・と思います。

あとは、山口雅也。


この前読んだ本
池上冬樹『ミステリ・ベスト201』

今読んでいる本
宮部みゆき『蒲生邸事件』
三浦しをん『私が語りはじめた彼は』
面白い趣向が仕掛けられています。ただし、ありふれた本格ミステリに過ぎないので、物足りない気もします。
『樒/榁』
『樒』では、名探偵・水城優臣が登場。語り手(ワトソン役みたいなもの)・鮎井がぐだぐだ書くのがすこし面倒。でも次の作品『榁』を読むとその理由がよく分かります。舞台は旅館。密室殺人事件が起こります。
しかし実に地味。
あとむりやり後鳥羽上皇のはなしを絡めているんだけど、うまく言ってない感じがして、気持ち悪いです。

『榁』では名探偵・石動が登場。『樒』の十数年後。舞台は同じ旅館。今回も事件が起きますが、こちらも地味。


今日読んだ本
殊能将之『樒/榁』

今読んでいる本
宮部みゆき『蒲生邸事件』
三浦しをん『私が語りはじめた彼は』
『ネタ元』は、女事件記者の物語。彼女は、主婦殺人事件のまとめを担当していました。しかし、やたらと飛ばす原稿を求められ、反発。そんな中で、東洋新聞という大手から引き抜きのはなしを受け、心揺らぐのですが・・・

『密室の人』は、裁判中に居眠りしてしまい、窮地に追い詰められた裁判官の物語。妻の名を連呼したことが致命的でし。彼はどうするのか・・・?


今日読んだ作品
横山秀夫『ネタ元』
横山秀夫『密室の人』


今読んでいる作品
殊能将之『樒/榁』
『独白するユニバーサル横メルカトル』『怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男』は凄かった・・・・・ 圧巻です。その2つに限ってならば、★4つでも良いかも知れない、とも思いました。

『独白するユニバーサル横メルカトル』の語り手は、国土地理院発行ユニバーサル横メルカトル図法の、一介の地図。なんともいやはや。凄いというしかないです。面白い。

『怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男』は数字にこだわるMC。彼は拷問を行うプロ。なぜ彼だけが狂わないのか・・・ それは彼には「眠り」があったからで・・・


今日読んだ作品
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
平山夢明『怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男』


今読んでいる作品
横山秀夫『ネタ元』
横山秀夫『密室の人』
タイトルからして、トリッキー。
『葉桜の季節に君を想うということ』
まさかそういう話だとは・・・ 意外性は抜群。なんというか、ため息をつきたくなります。なんてこった。びっくりでした。

小説だからこそ成立するミステリとしては、ものすごく素晴らしいような気がしました。人と動物や、性別や年齢といったものを誤認させられるのが小説の特徴だけど、それがうまく活かされています。歌野晶午という人は騙りの名手だ・・・


昨日読んだ本
歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』

今読んでいる作品
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
横山秀夫『ネタ元』
横山秀夫『密室の人』
115キノの旅
★★★ 時雨沢恵一

114神話の里殺人事件
★ 西村京太郎

113でかい月だな
★★ 水森サトリ

112周公旦
★★ 酒見賢一

111邪馬台国はどこですか?
★★★★★ 鯨統一郎
もう説明するのも面倒。『独白するユニバーサル横メルカトル』収録の短編。鬼畜系、ホラー系のはなしがずらりと並んでいます。『無垢の祈り』『オペラントの肖像』『卵男』『すまじき熱帯』など。
そもそも文章がいまいちじゃないか。なんだかごちゃごちゃしていて読みづらい。下手、というか。グロテスクで汚いなことは、端正な文章で語るからこそ面白みがでてくると思うんだけど・・・・・

『独白するユニバーサル横メルカトル』の表題作はなかなか。いま読んでいる最中ですが、けっこう面白いです。

今日読んだ作品
平山夢明『無垢の祈り』
平山夢明『オペラントの肖像』
平山夢明『卵男』
平山夢明『すまじき熱帯』


今読んでいる作品
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
横山秀夫『ネタ元』
横山秀夫『密室の人』
歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』
『日本映画史100年』はかなり大雑把に、しかし要点は押さえつつ日本の映画史を振り返っていくもの。
まぁ見たことのない映画ばかりが紹介されているので、読んでもなんともいえないのですが。う~ん、いろんな流れがあるんだなぁ。

弁士の存在が日本の映画に大きな影響を及ぼした、という指摘があります。全然知りませんでした。そうなんだ・・・ 確かに弁士の生き残りが『エロ事師たち』なんかでも登場していたなぁ、そういえば。

最近では、ピンク映画が新たな才能を生み出す土壌になっているのは面白い。周防正行も、もとはそちらからやってきたんだ・・・

怪獣映画の大流行は、日本映画にしかない、というふうに書いてあるけど、確かにその通りのような気がします。海外の映画では怪獣映画ってあまりないような気がします。パニック映画の中に微妙にあるくらいで。

今は、もう宮崎駿というか、スタジオジブリのみが圧倒的な人気を誇っていてそれ以外のところからでてくるものがほとんどないという状況なのかなぁ・・・


今日読んだ本
四方田犬彦『日本映画史100年』

今読んでいる作品
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
横山秀夫『ネタ元』
横山秀夫『密室の人』
『動機』『逆転の夏』
横山秀夫の短編集『動機』を今読んでいます。
やっぱり重い・・・ 暗いというか。

『動機』は、警察手帳一括保管を提案した警官が危地に追い詰められた警察官・貝瀬の物語。さてこの事件は内部の犯行なのか、外部の犯行なのか・・・? 貝瀬は独自に追求していくのですが・・・
最終的には意外な人が犯人と分かります。

『逆転の夏』は、かつて女子高を殺してしまった男が主人公。彼のもとに殺人依頼の電話がかかってきます。どうしてその事実が、その何者かにばれているのか・・・?
どんでん返しが見事。


今日読んだ作品
横山秀夫『動機』
横山秀夫『逆転の夏』


今読んでいる本
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
横山秀夫『ネタ元』
横山秀夫『密室の人』
四方田犬彦『日本映画史100年』
誰がこの本を「このミス」第1位にしたんだ・・・ グロテスク。まぁそれなりに驚かされはしたけど、そこまで面白くなかったです。まぁ吐き気を催させるようなこの書き方は多分、見事ということになるんだろうけど・・・

ちょっと文章が下手ではないか。
『C10H14N2(ニコチン)と少年』『Ωの聖餐』

『C10H14N2(ニコチン)と少年』は、ようするに、ある少年が老人を虐待する話。

『Ωの聖餐』は、Ωという怪物(人肉食などを好む人間)の世話を見ることになったインテリの話。

ちょっとリアル鬼ごっこ的雰囲気が漂っているような気が・・・


今日読んだ作品
平山夢明『C10H14N2(ニコチン)と少年』
平山夢明『Ωの聖餐』


今読んでいる本
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
横山秀夫『動機』
『奇跡の人』
裏表紙に「静かな感動を生む「自分探し」ミステリー。」なんて説明がついているのですが、もうまったくもって的外れ。読み終わった後には、薄気味悪さを感じました。「母」が、主人公克己を支えるのは、「博愛」の心があるからではなくて、単なる罪滅ぼしとしか思えないです。

もう長すぎてうんざり。読んでいて疲れました。

最初のあたりは主人公が良い人なので読んでいられるのですが途中からはほぼストーカーと化します。しかもそれを本人は自覚しながらも認識できてはいないのです。かなり怖いよなぁ・・・
ラストには納得できないです。


今日読み終わった本
真保裕一『奇跡の人』

今読んでいる本
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
横山秀夫『動機』
『対論・異色昭和史』は、面白かったです。昭和の思想史みたいなものが垣間見える。
『対論・異色昭和史』
上坂冬子はこの本が刊行された直後に死去。「遺言」になってしまったそうです。

「戦時体制にも爽やかさがあった」というところから2人の対談は始まります。まぁいろいろと知らなかったことを知ることができて面白いし、納得できる主張も多いです。鶴見俊輔っていうのは、面白い人だなぁ・・・ 政治家の家に生まれながら、不良少年になって思想家・哲学者として活躍し、最終的には日本の思想史に大きな足跡を残して。「左翼」的といわれるけど、権威主義的な部分も持ち合わせていて、まぁ複雑な人だよなぁ。

もう、あとは死ぬだけ、なのか。



今日読んだ本
鶴見俊輔、上坂冬子『対論・異色昭和史』

今読んでいる本
真保裕一『奇跡の人』
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
北上次郎、大森望の掛け合いが笑えます。
『読むのが怖い!』
重なるようで、重ならないようで、すれ違う2人の読書領域と、その好きな作品。う~ん、面白い。とくに、とぼける北上次郎が面白いです。理屈とかどうでもいいから、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いなの、というふうに「力説」してしまうところが・・・

読んでない本も多かったので、これから読みたいです。まず北上次郎、大森望2人の評価が分かれていた作品、殊能将之『黒い仏』。あとは宮部みゆき作品は、まぁ当然として・・・ 川上健一『翼はいつまでも』、戸梶圭太『なぎら☆ツイスター』。
奥泉光『鳥類学者のファンタジア』、グレッグ・イーガン『祈りの海』。
古川日出男『アラビアの夜の種族』。ジェレミー・ドロンフィールド『飛蝗の農場』、北野勇作『どーなつ』。平安寿子『グッドラックららばい』。荒山徹『十兵衛両断』、シオドア・スタージョン『海を失った男』。鷺沢萠『ウェルカム・ホーム!』。田中啓文『蹴りたい田中』などなど。


今日読んだ本
北上次郎、大森望『読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド』

今読んでいる本
真保裕一『奇跡の人』
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
やっぱり面白い、『トンデモ本の世界』。
世の中にはトンデモない本が満ち溢れているんだなぁ・・・『トンデモ本の世界』
それにしてもトンデモ本は絶えないんだなぁ・・・ いったい誰が買うのだろう・・・ 不可思議です。

最後のトンデモ本を出している人の紹介が面白い! 危険な人物として、万師露観という人が挙げられているんだけど、知れば知るほど危険な人物としか思えなくなってきます。面白いとばかりは言ってられないレベルなのかも知れない。


今日読んだ本
と学会『トンデモ本の世界』

今読んでいる本
真保裕一『奇跡の人』
北上次郎、大森望『読むのが怖い!』
ミステリをからかった、パロディ的な連作短編ミステリ小説集。
『名探偵の掟』
東野圭吾という人の偉いところがよく分かります。
『名探偵の掟』の中で、東野圭吾はそこらへんに転がるありきたりで安直でその場しのぎに過ぎないミステリを痛烈に風刺します。そういうものがミステリ小説をだめにしていく、と彼は慮っているのだと思います。この本はかなり笑えます。しかし笑えるだけでなくて考えさせられもします。

東野圭吾の書いたミステリ小説をたどっていくと、ミステリというものがだいたい分かってきます。

東野圭吾という人は、生粋のミステリ作家なのだなぁ・・・


今日読んだ本
東野圭吾『名探偵の掟』

今読んでいる本
真保裕一『奇跡の人』
と学会『トンデモ本の世界』
『恋文の技術』は、石川県七尾に飛ばされて実験の毎日を送る男子大学院生が、京都の人たちと文通する物語。なのですが・・・ なんと、物語の全てが手紙によって構成されています。
しかも、男子大学院生の書いて送ったものだけしか掲載されていません。つまり貰った手紙はないので想像するしかないわけです。面白い仕掛けです。
『恋文の技術』
やっぱり森見登美彦は面白い。バカな大学生、「腐れ大学生」みたいなものを描く巧さというのがまず良いのだけど、とにかく文章の力が並みではないです。送った手紙だけ載せて、貰った手紙は載せないというような方法で物語を成立させてしまうというのはかなり凄いと思います。

今作では著者自身が登場します。


今日読んだ本
森見登美彦『恋文の技術』

今読んでいる本
東野圭吾『名探偵の掟』
真保裕一『奇跡の人』
『慟哭』はミステリ小説。


捜査一課長のシーンと「彼」のシーンが、交互にテンポ良く流れていきます。

途中まではハードボイルドチックというか、ミステリというよりサスペンスものとしての色合いが濃いので、僕の好きな小説ではないかも知れない、と思いつつ読み進めていたのですが・・・
かなりよく考えられていることが分かります。最後のところで驚かされました。これは叙述ミステリか。凄いです、素晴らしい。面白い!

これがデビュー作ですか。凄い。
新興宗教などの問題を扱っているので、かなり重たいものを含んでいますが、それでいて一級のミステリです。


貫井徳郎『慟哭』

今読んでいる作品
森見登美彦『恋文の技術』
東野圭吾『名探偵の掟』
真保裕一『奇跡の人』

『新解さんの謎』、面白すぎ。
『新解さんの謎』
三省堂「新明解国語辞典」という辞書のおかしさを批判するのではなくて、ちょっと楽しむというのが趣旨の本。ほんと面白すぎる、新解さん。辞書なのか。

前半は爆笑。

後半のエッセイはかなり退屈。


今日読んだ本
赤瀬川原平『新解さんの謎』

今読んでいる作品
貫井徳郎『慟哭』
真保裕一『奇跡の人』
『婆』『墓を探す』は、『物語が、始まる』に収録される短編。

『婆』はホラーっぽい不思議な作品。婆の家に来た私が主人公。暗い穴に落ちていったあとの場面(たくさん婆がふってくるところとか)が圧巻です。最初の『物語が、始まる』と同じくらい印象に残りました。
う~ん、婆の背負っているものの重さはどれほどなんだろうか。

『墓を探す』は、はる子となな子姉妹が自分のルーツをたどっていこうとして、墓を探すのですが墓ではなくていろんな人たちと再会することになり・・・ という物語。


今日読んだ本
川上弘美『婆』
川上弘美『墓を探す』


今読んでいる作品
赤瀬川原平『新解さんの謎』
貫井徳郎『慟哭』
『B級映画的な大作』というのはそういうことか。確かに「國子が神武天皇の○○」と分かった部分では脱力・・・
『シャングリ・ラ』

辞書のような厚さですが、読みづらさはありません。全体的な雰囲気が、コミック的です。アニメ化されるのも当然。

魅力的で個性的な登場人物たちと、ジェットコースターのような物語。どちらも素晴らしいんだけど、かなりハチャメチャです。「戦争」を描くのかと思いきや、全然戦争を描いてはいません。ふざけているほど圧倒的な人たちがめちゃくちゃな活躍を見せます。
たとえば、主人公・國子はブーメランで戦車をぶっ潰していきます。その場面では爆笑。ありえないだろう・・・ 山田風太郎みたい。

スペースコロニーという言葉から、ガンダムの影響を受けている、もしくは意識しているのが感じられます。人を呑みこむ凶悪な森というのは『ナウシカ』を連想させます。そういうアニメの影響を受けているところには親近感を覚えます。

しかしそれにしても、『シャングリ・ラ』に登場する人物達みんなバカみたいです。なんというか、20何世紀かの物語のはずなのに登場人物たちの考えていることは紀元前の人間とほとんど同じ・・・ 動物的というか。「民主主義」なんてものは欠片も存在していません。

『てぃんさぐぬ花』が途中で登場して、池上永一は沖縄の人、もしくは沖縄好きの人なんだなぁ、と実感しました。そこには好感を持ったかもしれない。


今日読んだ本
池上永一『シャングリ・ラ』

今読んでいる作品
川上弘美『婆』
川上弘美『墓を探す』
赤瀬川原平『新解さんの謎』
谷崎潤一郎賞を受賞した作品、ということで読んでみました。絶対に、自発的に読もうとは思わなかっただろうなぁ・・・ ものすごく考えさせられる・・・
『爆心』
「釘」「石」「虫」「蜜」「貝」「鳥」といった短編で構成されています。長崎に落とされた原爆と、その地に生きる人々を巡る物語。文章は決して難解ではなくて、むしろさらさらして読みやすいのですが、中身は難しい。

「信仰」がテーマのひとつとして存在しているように感じました。原爆が投下されてしまって、それでもまだ神を信じられるのか? 原爆が落ちた瞬間に神は死んだのではないか?
長崎は古くからキリスト教信仰が存在していて、江戸時代には激しい切支丹弾圧を受けた過去もあります。いくら弾圧されても神/キリスト教を捨てない人はいました。ですが・・・・・
しかし、原爆が投下されてもまだ信じられるのか?

う~ん、分からない。

あとは「せっくす」が大きなテーマとして登場します。そして狂気というのも、けっこうでてきます。


今日読んだ本
青来有一『爆心』

今読んでいる作品
川上弘美『婆』
川上弘美『墓を探す』
池上永一『シャングリ・ラ』
★★★

作者:  時雨沢恵一
出版社: メディアワークス

  旅人・キノと相棒・モトラド(「注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す」らしい)・エルメスがいろんな「国」をめぐっていくというもの。『人の痛みがわかる国』『多数決の国』『レールの上の三人の男』『コロシアム』『大人の国』『平和な国』といった短編で構成されています。

  キノのたどりつく「国」は不思議な「国」ばかりです。なんらかの寓話なのかなぁ、とちょっと考えてみるけど、う~んまぁどちらでもいいかという感じです。考えなくてもけっこう面白いです。さらっと読んでいくことが出来ます。

  ありがちな戦闘のシーン等はとくになくて、淡々とすすみます。短いのでとても読みやすいけど、物足りなさもある。その物足りなさが良いのかもしれないけど。でもやっぱり、もっと愛憎渦巻く神話や、英雄伝説みたいな物語が読みたい、と思っている人には物足りないかもなぁ・・・ っていうかそんな人はあまりいないのかなぁ。

  ここからあと1歩踏み出すのがこれまでの小説だったのだから、そういうきまりを打ち破った画期的な小説ということもできるのかなぁ。でも僕には物足りないです。

  ちょっと不思議な物語です。


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