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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

作者:  森博嗣
出版社: 講談社

  S&Mシリーズの第一巻。森博嗣のデビュー作にして、第一回メフィスト賞を受賞した作品。

  孤島の研究所のある区域に隔離されていた天才工学博士・真賀田四季の部屋から、ウェディングドレスを着せられ、両手両足を切断された死体が出てきました。その不可解な謎に、N大助教授・犀川創平と、女子学生・西之園萌絵(2人の頭文字を合わせてS&M)が挑むのですが・・・

  「孤島の密室バラバラ殺人事件」というミステリの王道とも言うべき状況の設定と、完璧なる天才というキャラ設定。よくこれだけの物語を構成したなぁ、と感心しました。たいてい「天才」という設定のキャラクターは、破綻します。だって「天才」を書くなんてそんなに簡単なことではありません。しかし森博嗣は、うまく書ききります。天才工学博士・真賀田四季が、本物の天才に見えてくるのです。

  主人公の1人、犀川創平のニヒルっぽいところがかっこ良いなぁ、と思います。セリフがひとつひとつかっこ良いというか、とっかかりがある。「思い出は全部記憶しているけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」とか。ネット上に犀川教授の名言禄みたいなものを作り出す人がいるほど、どれも印象に残る言葉ばかりです。

  タイトルについて少し考えたのですが・・・ 今では、誰でも(僕みたいな高校生でも)パソコンに触ることができて、HTMLをいじくることができます。だからFって、ああそのFねって納得するけど、当時はまだパソコンが普及していなかったと思います。本が出た当時、『すべてがFになる』っていうタイトルの意味を、理解できた人がどれだけいたのだろうか? というのが疑問です。多くの人は、何を言っているのかいまいち納得できなかったのではないかなぁ・・


自森人読書 すべてがFになる-THE PERFECT INSIDER
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作者:  西村京太郎
出版社: 双葉社

  十津川警部シリーズの中の一作。昔から売れているミステリ作家、ということで西村京太郎の本を手に取ってみました(2億部以上売っているらしい)。まぁそれで1時間程度で読み終わったんだけど、途中でやめようかどうしようか何回も迷いました。あまりにもつまらない・・・

  まず句読点が多すぎて、なんなんだと頭を抱えたくなる感じです。読みづらいことこの上ない。実際には存在しないけど例えるならば下のような感じです。

  「私は、思わず、時計を見て、そのあとに、後ろを、振り向いた」

  もしかして句読点を多様して原稿を水増ししているのではないか、と疑いたくなるほどです。あと気になったのは重複の多さ。まったく同じような文章が5回くらい使われていて、完全に飽きてしまいます。5回も同じことを繰り返されたらたまりません。もともとは、ばらばらの読みきりものだったのかも知れないけど、1冊の本にまとめるのだからもう少し気をつかってほしいです。文章を追っていくだけで、疲れます・・・ というか読むのがやめたくなります・・・

  そしてそれだけではなくて中身もちょっと待ってくれ、という感じです。都合よく証言が嘘だったりして、しかも偶然が事件を解決するのです。もしかしてこの西村京太郎という人は、物語を組み立てずにあてずっぽうに始めて、そして最後になんとか決着をつけるという人なのかもなぁ・・ 全く緻密さのかけらもない。これをミステリ小説に分類していいのか、よく分かりません。

  読むだけで疲れます。自分で推理を組み立てて楽しむ、とかそういうことはできない小説です・・・


自森人読書 神話の里殺人事件
★★★★★

著者:  鯨統一郎
出版社: 東京創元社

  「悟りを開いたのはいつですか?」「邪馬台国はどこですか?」「聖徳太子はだれですか?」「謀叛の動機はなんですか?」「維新が起きたのはなぜですか?」「奇蹟はどのようになされたのですか?」の短編6篇が収録されているもの。

  作中の登場人物たちのやりとりはたいして面白くないのですが、推理の中身は面白いです。歴史好きにはたまらないようなものばかりです。そうか、そういう切り込み方をするのか、と感心させられます。

  聖徳太子はいなかった、という「聖徳太子はだれですか?」は、まぁちょっとトンデモなんだけど、いろいろ考えさせられます。つまりその当時、聖徳太子の生きていた時代には誰も彼を「聖徳太子」と呼んでいないわけです。しかも、聖徳太子が生きていた証拠(聖徳太子の死のときにつくられた刺繍など)は全てウソだ、というのも事実です。そこから「聖徳太子はいなかった!」というところまで飛んでいくのは鯨統一郎のぶっ飛びだけど、面白いです。

  「維新が起きたのはなぜですか?」は維新の黒幕は誰か、を推測するもの。実は幕臣だった勝海舟が黒幕だ、というのが結論だけど、これはトンデモではありません。ありえるかもなぁ・・・ と思わされます。『王道の狗』というのがあってその中にも勝海舟が登場するんだけど、やぁあの勝海舟ならやりかねないんじゃないか、という気もします。そのまま鵜呑みにするのはだめだけど。

  6つのなかで、1番の傑作は、「奇蹟はどのようになされたのですか?」だと思います。イエス・キリストはどうして復活したのか? ということを鯨統一郎流に読み解くものです。凄いなぁ・・・ 面白い! まだ読んだことのない人は、ぜひ読んでみてほしいです。


関連リンク
中2 社会 邪馬台国はどこにある?


自森人読書 邪馬台国はどこですか?
★★★★★

著者:  阿刀田高
出版社: 新潮文庫

  「短編小説の名手」といわれる阿刀田高の書いた短編集。

  。『ナポレオン狂』『来訪者』『サン・ジェルマン伯爵考』『恋は思案の外』『裏側』『甲虫の遁走曲』『ゴルフ事始め』『捩れた夜』『透明魚』『蒼空』『白い歯』『狂暴なライオン』『縄』収録。

  『ナポレオン狂』は、直木賞受賞作。けっこうどきりとさせられます。

  『来訪者』は、第32回日本推理作家協会賞を受賞した作品だそうです。ホラーとも言える、のかなぁ・・・ 途中までは、いったいどういうふうにはなしがすすむんだろう、と首をかしげていたのですが、最後のページにたどり着いた瞬間にまさか! と意表を突かれます。ネタバレしちゃうと、赤ちゃんのすり替えがあって、自分の子が、実は自分の子ではないかも知れない、というはなしです。とても怖いです。

  最後になって、「来訪者」という言葉の意味が分かるんだよなぁ・・・ その「来訪者」というのは無邪気に指をしゃぶる赤ちゃん。物語はそこで終わっているけど、その先を想像すると・・・ 短編というものの切れ味のよさが発揮されています。

  そういうような、静かな恐怖を扱ったミステリタッチな作品が結構あります。あとSFっぽいのもあって。どれもなかなか良いです。

  凄い短編集。


自森人読書 ナポレオン狂
★★★★

著者:  高橋克彦
出版社: 講談社

  「浮世絵三部作」の二作目にあたる作品。'87年には、第40回の推理作家協会賞(長編)を受賞したそうです。続編なので、前の『写楽殺人事件』のときの絡みみたいなものがたくさんでてきます。『写楽殺人事件』を先に読んでおけばよかったなぁ、と後悔しました。

  歴史と、現代に起きた事件をからめるミステリというのは、たくさんあります。だけど、上手く書ききることは至難の業です。たいてい上手くいっていない、と言ってもいいくらいです・・ しかし、『北斎殺人事件』は、かなり歴史と現代の事件をからめていて、さすがだなぁ、と思いました。北斎=隠密説は面白かったです。北斎=隠密説っていうのは前に聞いたことがあったんだけど、その説は『北斎殺人事件』がでどころだったのかも、と思いました。

  読んでいて、浮世絵への作者の並々ならぬ熱意を感じました。しっかり浮世絵を知っていて、それに興味がある人じゃないと書けない作品だなぁ。岡倉天心、フェロノサらが評価した絵はどれだけ凄い絵なのか、と滔々と語ってくれるので楽しいです。あと、歴史に名を残す有名人、大塩平八郎、高野長英らがちょこっと登場するのも良いです。とても興味をそそられる。自分でも調べてみたいなぁ、と思いました。

  葛飾北斎という人が、明治時代の終わりぎりぎりまで生きていたとは知りませんでした。てっきり江戸時代中期くらいの人かと思い込んでたんだよなぁ・・・ とても勉強になりました。

  ★5つにしても良い位面白いです。


自森人読書 北斎殺人事件
★★

著者:  鯨統一郎
出版社: 理論社

  探偵事務所に勤める女の子・堀アンナが主人公。彼女は聴力を失った代わりに物の声を聞き取れるようになります。事件に巻き込まれつつも、その力を使って、次々事件を解決していきます・・・ なぜか彼女の周囲の人間はばたばた奇怪な死を遂げていくんだよなぁ・・・ 1冊に、「Aは安楽椅子のA」「Bは爆弾のB」「Cは地下室のC」「Dは電気椅子のD」、「Fは不干渉のF」、「Gは銀河のG」の7つの短編が含まれています。

  う~ん。ゲテモノというのだろうか・・・ 脱力してきます。まぁつまらないことはないんだけど、気が抜ける。『殺意の時間割』というミステリ・アンソロジーのなかに「Bは爆弾のB」があったので、それは読んでいたけど。他のも全部同じようなはなしだったのかぁ・・・・・

  まぁパラドックス学園同様、気軽に読めば良いんじゃないかなぁ。割り切って、というか。なんとなく読む、というか。

  かなり投げやりだなぁ・・


自森人読書 ABCDEFG殺人事件
★★

作者:  竹内真
出版社: 東京創元社

  短編集。「クロロホルムの厩火事」、「シチュエーションパズルの攻防」、「ダブルヘッダーの伝説」、「クリスマスカードの舞台裏」、「アームチェアの極意」の5つの短編が含まれています。殺人事件とか、大きな事件ではなくて、もっと小さな事件を珊瑚朗先生が解いていくもの。それを、珊瑚朗先生にかわいがられている「僕」の視点から見ていきます。

  全体的に文章も中身も小気味良いんだけど、正直そこまで好きではありませんでした。竹内真の著書の中では(といってもほとんど読んでいないんだけど・・・)『カレーライフ』が1番好きです。『カレーライフ』は傑作だと思います。分厚いけど読む甲斐があります。と、なぜか『カレーライフ』のお奨めみたいになっているけど・・・

  『シチュエーションパズルの攻防』もまぁまぁ面白いです。短いからすっと読めてしまいます。だけど、『カレーライフ』を読んだあとに、この本と出合うと、どうしても★が低くなるよなぁ。それに、短編の、身近な「事件」を追う物語には面白いものがひしめいているから、見劣りする気がする・・・

  『インディゴの夜』というホストの人たちが探偵をやるという小説があるんだけど、そちらの方がもっと面白いかなぁと思ってしまいました。


自森人読書 シチュエーションパズルの攻防―珊瑚朗先生無頼控
★★★

著者:  横山秀夫
出版社: 講談社

  県警捜査一課強行犯係指導官である志木和正は、ある連続少女暴行事件の捜査をおこなっていました。しかし、突如として警察官による妻の絞殺事件の取調べを依頼されることとなります。妻を殺した犯人とは、警察官の梶聡一郎。梶聡一郎は、妻を殺した後の2日間の足取りを絶対に教えませんでした。その「空白の2日間」にはいったい何があったのか? それがこの物語の謎です。

  自由の森学園の図書館に偶然あったので手にとりました。図書館には横山秀夫の本は「半落ち」しかないので、多分、直木賞候補となりながら現実的にありえない設定という欠陥がある、ということで落選。それで横山秀夫が、直木賞との決別宣言をした、ということがあったので、図書館に入ったのではないか、と思います。

  終わりまで謎を引っ張るのが巧みなので、そこには感心しました。多くの人が謎を追いかけるのになかなかそれが分からなくてじりじりします。最後の謎解きは、ちょっと腑に落ちない、というか、なんというかあまりにもあっけない気がしました。えー、そんなのが理由なのか。もっととんでもないラストが用意されているのかと思っていたのに。

  まぁ面白かったです。嫌いではない。すっきりさっぱり良い感じに終わるところは良いなぁと思いました。う~ん、物足りない気もするけど。


自森人読書 半落ち
★★★★★

著者:  東野圭吾
出版社: 文藝春秋

  数学を愛し、数学だけが生きがいだった天才数学者の石神。彼はさえない高校の教師として生活を送っていました。しかし、隣人のお弁当屋さんに勤める女性を愛してしまい、彼女を庇って完全犯罪を目論見ます。果たして「探偵ガリレオ」湯川は、それを解くことができるのか・・・?

  僕はこの本をちょうど中学3年の学園祭の前日くらいに見つけてしまいました。読みたい、けど学園祭の準備が、でも読みたい、けど学園祭の準備が、というループにおちいってしまいました。そして結局学園祭を優先し、そのあとに「容疑者Xの献身」を読むことになりました。読み始めたら、ものすごく面白くてすらすら読めてしまいました。

  犯人の天才数学者、石神という男が面白いです。とんでもないことをスマートにこなしてしまうというところを見ると、感情がどうにかなっている、「普通」の人とは違う感覚の持ち主、としか思えません。それでも、隣人の女性にほれていて、そのことを「探偵ガリレオ」湯川に悟られるほどはっきりと表情、もしくは動作、様子として示してしまう。ありがちなキャラだけど、面白いです。

  本格ミステリ・ベスト10 2006年版、このミステリーがすごい!2006、2005年「週刊文春」ミステリベスト10、第6回本格ミステリ大賞、第134回直木賞の5冠を達成したミステリ小説です。ドラマにもなっています。ドラマのガリレオは福山雅治が演じていてとてもかっこいいです。どうやら今年(2008年)の秋には映画化もされるみたいです。楽しみです。


自森人読書 容疑者Xの献身
★★★

著者:  横溝正史
出版社: 角川書店

  戦国時代、尼子氏の家臣だった8人の落ち武者たちが財宝を持って村に落ち延びてきました。最初のうちはそれを歓迎した村人たちも、莫大な財宝に目がくらんでしまいます。そして、その落ち武者たちを皆殺しにしてしてしまいました。そのとき、落ち武者の大将は、「この村を呪ってやる」と言い残して絶命します。その後、村では異変が相次ぎました。村人はそれを祟りと思い、8人の落ち武者達の遺体を手厚く葬りました。それが「八つ墓明神」です。それにちなんで、村は八つ墓村と呼ばれるようになります。

  大正時代、村の旧家の当主、田治見要蔵が発狂して、村人を次々と殺すという事件が起こります。そのとき32人もの村人が殺されましたが、田治見要蔵は、戦国時代落ち武者を殺した村人たちの首謀者だった男の子孫でした。村人は祟りだ、といって恐れました。

  昭和2×年。またもや謎の連続殺人事件が巻き起こり、村人たちは恐怖のどん底におとされます。いったい何が起こっているというのか・・・?

  名探偵、金田一耕助の物語です。この「八つ墓村」では、寺田辰弥なる人物が語り役をつとめています。けっこう入り組んでいて複雑なストーリーです。しかも登場人物が多い。なのでまず把握するのが大変かも知れません。でも、おどろおどろしいだけではなくて推理小説としてもしっかり成り立っているので、とても面白いです。

  そういえば尼子は「あまご」と読むのが正しいそうです。僕は中学3年生になるまで、そのことを知りませんでした。名前って難しいなぁ。


自森人読書 八つ墓村
★★★★

著者:  横溝正史
出版社: 角川書店

  昭和12年11月25日。岡山県の、旧本陣の末裔である、一柳家の屋敷で結婚式が行われました。式は無事終了し、一柳賢蔵と久保克子の夫婦は離れへと向かいました。

  その夜、屋敷に悲鳴と激しい琴の音が響きました。久保克子の義父、銀造らが離れに駆けつけると、新郎新婦が血塗れになって事切れていました。枕元には、家宝の名琴「おしどり」が転がり、庭には血に染まった日本刀が突き刺さっています。そして、雪の降りしきる周囲には足跡は一つも残っていませんでした。完璧な密室の中での殺人事件が起こりました・・・

  日本初の本格的推理小説と絶賛された物語です。素晴らしいの一言に尽きます。何度も映像化されています。

  金田一耕助、大好きです。あのかっこ悪いようなよく分からないところがかっこいいです。でも、金田一耕助が事実に気づいたときにはいつももうすでに手遅れなんだよなぁ。血みどろの惨劇が終わったあとに謎解きされても・・・ という感じが少しします。

  そういえば、「本陣」というのは、むかし、大名や旗本、幕府役人が宿泊する宿に指定された家のことです。特権を持っていたそうです。


自森人読書 本陣殺人事件
★★

作者:  伊坂幸太郎
出版社: 新潮社

  連続放火事件が起きます。その現場にはいつも謎のグラフィティアートが残されていました。無意味な羅列には何がこめられているのか? 父と泉水、春の兄弟が追いかけていきます。そしてその後ろには春をつけるストーカー夏子がいて・・・

  なんとなくつまらないなぁ、と感じました。大きな謎があるわけではないので、ミステリーとはいえない気がします。どんでん返しもとくにないし。ある家族の物語として読めばいいのかな。文章の感じが、すこし村上春樹とかに似ているような気がします。村上春樹もあまり好きではないなぁ。

  それでも、途中で本を放り投げたくなるほどのつまらなさ、という訳ではありませんでした。なにげなく軽く読むにはいいかも知れません。長さとしてもそれほどじゃないし。文章も軽い感じになってるし。それでもこの本のためにわざわざ時間を割く必要は感じられませんでした。

  と言ってはいるけどやっぱり嫌いではないなぁ。それでも伊坂幸太郎の他の著書と比べて、僕はあまり好きになれなかったので、★2つということで。3つでも構わない気もするんだけど。


自森人読書 重力ピエロ
★★★★★

著者:  宮部みゆき
出版社: 新潮文庫

  雨の降る中。東京都荒川区の高級マンション、「ヴァンダール千住北ニューシティ」で一家4人の死体が発見されます。3人は殺されたようですが、1人は転落死でした。いったい誰が殺したのだろうか? ということを考える前に、まず誰が殺されたのか? ということが分からない、という事態に陥ります。死体は、その部屋を借りていた小糸家の家族とは別人だったのです。

  これは、いったいどういうことなのか? 記者は事件に関係するさまざまな人物に取材していきます。そして、いろんな方面から真相が徐々に明らかにされていくと、この事件を複雑にしていたのは日本の金融というか、おカネなんだということが明らかになってきます・・・

  分厚いです。それぞれの人の背景に踏み入ったりしていくこともあるので、とても長いです。でもそれだからこそ、しっかりくっきりと物事が見えてくるような気がします。僕はあさのあつこさんの誤解を与えないようにどこまでも言葉を重ねるような文章はそれほど好きではないのですが、この『理由』はそれとは違っていて、ことやものを違う角度から見てみたりして読み解いていこう、とするのは面白いなぁ、と感じました。

  かちかちとパズルを積み重ねていく感じかなぁ。ドキッとしたりすることはないけれど、突然何かに気づいてはっとさせられることはある気がします。どこかにジョーカーが潜んでいて、今まで組み立てたものが全て崩壊してしまうなんてこともありません。そういう意味では安心感があるかなぁ。

自森人読書 理由
★★

著者:  鯨統一郎
出版社: 光文社

  ドイル、ルブラン、クリスティ、カーらによって構成されるパラドックス学園パラレル研究会。ミステリの作家として名をはせる人たちが、みんな大学生として学園の研究会にいました。これはいったいどういうことなのだろうか? 新入生ワンダは、首をかしげますが・・・

  まじめに読むのはおすすめしないおはなしです。最後まで読んで正直ずっこけました。まともな謎解きとかを期待しても意味がない、といっても過言ではありません。それにドイル、ルブラン、クリスティ、カーといった人たちが登場した必然性もないに等しい。まぁひまつぶしに読んで、こんなミステリもアリなのか、とちょっと感心する程度のものです。

  はしっこについているパラパラマンガが謎解きへのヒントです。こんなのはミステリじゃない、というような気がしました・・・

パラドックス学園
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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