忍者ブログ
自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
[53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



作者:  西村京太郎
出版社: 双葉社

  十津川警部シリーズの中の一作。昔から売れているミステリ作家、ということで西村京太郎の本を手に取ってみました(2億部以上売っているらしい)。まぁそれで1時間程度で読み終わったんだけど、途中でやめようかどうしようか何回も迷いました。あまりにもつまらない・・・

  まず句読点が多すぎて、なんなんだと頭を抱えたくなる感じです。読みづらいことこの上ない。実際には存在しないけど例えるならば下のような感じです。

  「私は、思わず、時計を見て、そのあとに、後ろを、振り向いた」

  もしかして句読点を多様して原稿を水増ししているのではないか、と疑いたくなるほどです。あと気になったのは重複の多さ。まったく同じような文章が5回くらい使われていて、完全に飽きてしまいます。5回も同じことを繰り返されたらたまりません。もともとは、ばらばらの読みきりものだったのかも知れないけど、1冊の本にまとめるのだからもう少し気をつかってほしいです。文章を追っていくだけで、疲れます・・・ というか読むのがやめたくなります・・・

  そしてそれだけではなくて中身もちょっと待ってくれ、という感じです。都合よく証言が嘘だったりして、しかも偶然が事件を解決するのです。もしかしてこの西村京太郎という人は、物語を組み立てずにあてずっぽうに始めて、そして最後になんとか決着をつけるという人なのかもなぁ・・ 全く緻密さのかけらもない。これをミステリ小説に分類していいのか、よく分かりません。

  読むだけで疲れます。自分で推理を組み立てて楽しむ、とかそういうことはできない小説です・・・


自森人読書 神話の里殺人事件
PR
★★

著者:  水森サトリ
出版社: 新潮社

  沢村幸彦は、中2の時、友人の綾瀬涼平とスクーターで海まで遠乗りしたとき、突如胸を蹴られて崖から転落。大怪我を負います。それで手術ののち中学2年生から復学するのですが、大好きなバスケはできないようになり、いつでも眼帯をはずさない少女や、植物の声を聴く機械をつくっている変わり者といった不思議な人たちとともに過ごすようになります・・・

  「宇宙的スケールの青春小説。」という宣伝を見てから、手にとって読んで、そんなに宇宙的なのか、と首をかしげました。いまいち青春小説とファンタジーをからめた意味が分かりませんでした。もう少し、うまくからめていって欲しかったです。

  それと、また夢だ・・・ ということを思いました。夢が登場します。『平成マシンガンズ』でも夢がでてきて、いまいちとりとめのない感じで終わってしまったんだけど、それと似た感じです。まぁ面白いといえば面白いんだけど。いまいち効果的じゃない、というか・・・

  個性的だけど、なんとなくどこかにいそうな登場人物たちの描写がうまいです。ただし最後の和解の部分(?)もすっきりしないなぁ・・・

  まぁつまらなくはないけど、あまり面白さが感じられなかったです。


自森人読書 でかい月だな
スパイもの。日本陸軍内部につくられた「D機関」の活躍を描いた作品。こういう話はけっこう好きです。
『ジョーカー・ゲーム』

とにかく面白かったです。よく練られている気がします。

ただし、納得できない部分が多いです。そんなに合理的な思考が出来る日本人がいたならば、戦争に負けるわけが無いんじゃないか、というか「D機関」があまりにも格好良すぎて現実的とは思えない、という疑問点が1つ(陸軍中野学校というモデルがあるようだけど、ここまで開放的だったのかなぁ・・・)。

影の黒幕のはずの結城中佐が、饒舌すぎてかえって大物に見えないことも気になります。もう少し影の存在の方が良かったのではないか。

結城中佐が決して過ちを犯さない、つまり逆に言えば、やたらと敵が弱くて引き立て役にしかなれていない、という部分も面白さを半減している気がします。まぁ続編がでたら是非とも読みたいと思うけど、「優れた傑作」というほどではないよなぁ・・・ 多分。


今日読んだ本
柳広司『ジョーカー・ゲーム』

今読んでいる作品
川上弘美『婆』
川上弘美『墓を探す』
青来有一『爆心』

ファンタジックな純愛もの。『トリツカレ男』というタイトルからはまったく想像もできないような展開でした。『~~男』というタイトルを見るとなんとなく身構えてしまいます。『電車男』、『ハサミ男』とか。しかし、全然ゲテモノではなかったです・・・

「トリツカレ男」ジュゼッペと、ペチカ。2人の物語。童話的な空気が漂っています。とにかく良い話です。嫌いではありません。が、そこまで好きというわけでもないなぁ・・・


今日読んだ本
いしいしんじ『トリツカレ男』

今読んでいる本
川上弘美『婆』
川上弘美『墓を探す』
柳広司『ジョーカーゲーム』
不思議な世界。ほんわかしているようで、どこかにべったりとした気持ち悪さもあります。
『物語が、始まる』

『物語が、始まる』は、公園の砂場で拾った「雛型」とのラブ・ストーリーなのかなぁ、多分。どことなくシュールでありながら、なんだか自然に流れていくので、その不可解さに気付けなくなってきます。面白いなぁ・・・ しかしちょっと退屈。

『とかげ』は、だらだらと続くご近所の付き合いの中に、突如としてとかげというものが飛び込んできて、不可思議な雰囲気を醸し出します。いったいぜんたいこれはなんなんだろうか。どこか遠かった人と接近した結果、甘くて、しかし気持ち悪いつながりがうまれてくるところがうまく表現されている気がします。


今日読んだ本
川上弘美『物語が、始まる』
川上弘美『とかげ』


今読んでいる本
いしいしんじ『トリツカレ男』
川上弘美『婆』
川上弘美『墓を探す』
柳広司『ジョーカーゲーム』
舞台は幕末の江戸。不吉なものを運んでくる憑神を誤って呼んでしまった別所彦四郎はとても苦しむことになります・・・
『憑神』

コミカルな部分があり、シリアスな部分もあり、とても読みやすかったです。浅田次郎という人の作品はいつか読もう、と思っていたのに長いものが多くてなかなか手に取れませんでした。もっと早くに読んでいればよかったなぁ・・・

人情ものっぽいけど、人間というものを問うていたりもして、なかなか深いです。

少しだけ会話の中に相撲取り、雷電が登場。おー。


今日読んだ本
浅田次郎『憑神』

今読んでいる本
いしいしんじ『トリツカレ男』
川上弘美『物語が、始まる』
★★

著者:  酒見賢一
出版社: 文藝春秋

  中国周王朝の政治家、周公旦を主人公にした小説。歴史をもとにしつつもどこまでも自由に想像を広げていった、という感じです。孔子が崇拝したとすら言われる、周公旦の唱えた「礼」とは何か、というのが大きな主題の1つです。

  『封神演義』という物語の下敷きにされたことで、有名な殷から周への易姓革命の時代。その時代をもう少し史実寄りに、だけどやっぱり物語として見ていこう、という感じです。面白いけど、やっぱり前半の戦争のときにはどうしてもほとんど見せ場が無い。まぁしかたないといえばしかたないんだけど。でもしかたないではすまないよなぁ・・・

  呪術的な言葉(礼)の力とか、こういう文体からは、中島敦が連想されます。でも、『周公旦』は、中島敦の小説にはかなわない気がします。なんていうか格調高さでは負けているし、かといって『墨攻』ほどの良さもないような気がするし。

  酒見賢一の作品の中だったら、『墨攻』の方が面白かったです。『周公旦』には『墨攻』のあの流れるようなテンポの良さが全然ない。『周公旦』はきれぎれでもたもたしていて、それでいてどこか軽くて、なんというか読みづらいです。まぁつまらないことはないんだけど。でも読みにくい。


自森人読書 周公旦
桜庭一樹を読もう、と思いつつなかなか読めていないです。
『少女には向かない職業』
『少女には向かない職業』の主人公は、中学2年生の大西葵という少女。彼女は下関からほど近い、ある小さな離島に住んでいました。父親は無職で酒びたりで、母親は愚痴ばかりこぼしています。その中で、彼女は疲れていくのですが、ある日、不思議な少女・宮乃下静香と出会い、2人は共闘していくことになります・・・

なかなかに面白いです。けどやっぱり、いまいち読みにくい。文章は読みやすいのに、なぜか読む進めない。なんでだろう。でも、以前読んだ『ブルースカイ』よりは読みやすかったです。

物語はとても面白いと感じさせられました。『ブルースカイ』も再読してみようかなぁ。


今日読んだ本
桜庭一樹『少女には向かない職業』

今読んでいる本
浅田次郎『憑神』
いしいしんじ『トリツカレ男』
どうすれば良い声をつくれるのか、を説く本。
『声のトレーニング』
とても分かりやすいです。日々の生活から見直していかないとならないのかぁ・・・ とても大変だ。
しかしこれを読んで良い声がつくれるか、というと、そううまくはいかない気がします。やっぱり声は、なま物だし。う~ん難しい。


今日読んだ本
福島英『声のトレーニング』

今読んでいる本
浅田次郎『憑神』
桜庭一樹『少女には向かない職業』
高校のとき、自分をいろんなものから庇ってくれた先生に恋する大学生の物語。
『ナラタージュ』
恋愛小説。
清明な印象を受けました。さーっと流れていく文章が読みやすいです。「最高!」と絶賛する人がいるけど、そこまで凄いのかなぁ。江國香織とかと比べたら、別にたいしたことはないのではないか。逆に手厳しくけなしまくる人もいるけど、そんな文句言うほどつまらない小説ではないのではないか、とも思います。

地の文は良いのだけど、会話の日本語が綺麗過ぎて、ちょっと違和感がありました。演劇やっている人たちだからしっかりした日本語を喋る、といわれたらまぁ納得しないでもないけど、それにしても全部きちりとしているなぁ・・・
臭いセリフは多いし、なんでもかんでも通じ合いすぎじゃないか、という気もするし。

あとちょっと長くて読むのが大変でした。あとは、結局そこでオチをつけるのか、という不満もあるんだけど、まぁ普通に面白いです。


今日読んだ本
島本理生『ナラタージュ』

今読んでいる本
浅田次郎『憑神』
福島英『声のトレーニング』
★★★★★

著者:  鯨統一郎
出版社: 東京創元社

  「悟りを開いたのはいつですか?」「邪馬台国はどこですか?」「聖徳太子はだれですか?」「謀叛の動機はなんですか?」「維新が起きたのはなぜですか?」「奇蹟はどのようになされたのですか?」の短編6篇が収録されているもの。

  作中の登場人物たちのやりとりはたいして面白くないのですが、推理の中身は面白いです。歴史好きにはたまらないようなものばかりです。そうか、そういう切り込み方をするのか、と感心させられます。

  聖徳太子はいなかった、という「聖徳太子はだれですか?」は、まぁちょっとトンデモなんだけど、いろいろ考えさせられます。つまりその当時、聖徳太子の生きていた時代には誰も彼を「聖徳太子」と呼んでいないわけです。しかも、聖徳太子が生きていた証拠(聖徳太子の死のときにつくられた刺繍など)は全てウソだ、というのも事実です。そこから「聖徳太子はいなかった!」というところまで飛んでいくのは鯨統一郎のぶっ飛びだけど、面白いです。

  「維新が起きたのはなぜですか?」は維新の黒幕は誰か、を推測するもの。実は幕臣だった勝海舟が黒幕だ、というのが結論だけど、これはトンデモではありません。ありえるかもなぁ・・・ と思わされます。『王道の狗』というのがあってその中にも勝海舟が登場するんだけど、やぁあの勝海舟ならやりかねないんじゃないか、という気もします。そのまま鵜呑みにするのはだめだけど。

  6つのなかで、1番の傑作は、「奇蹟はどのようになされたのですか?」だと思います。イエス・キリストはどうして復活したのか? ということを鯨統一郎流に読み解くものです。凄いなぁ・・・ 面白い! まだ読んだことのない人は、ぜひ読んでみてほしいです。


関連リンク
中2 社会 邪馬台国はどこにある?


自森人読書 邪馬台国はどこですか?

『オブ・ザ・ベースボール』はどこまでも退屈。平板で退屈にするように、著者がしているみたいです。読んでいて、あー早く終わらないかなぁ、と思ってしまいました。

『つぎの著者につづく』はほとんど意味が分からなかったです。どれだけ註をいれているんだ・・・


今日読んだ本
円城塔『オブ・ザ・ベースボール』
円城塔『つぎの著者につづく』


今読んでいる本
島本理生『ナラタージュ』
浅田次郎『憑神』
犬の樹形図をたどりつつ「戦争の世紀」20世紀の主に後半(第二次世界大戦後)を読み解いていき・・・ かといって決して難解にはならない。神の視点に立ちながら犬に呼びかけ、そして個々の犬の声を拾いながら、どこまでも疾走していく小説。
『ベルカ、吠えないのか?』

豊崎由美が激賞しているのも頷けました。面白すぎる。よくぞこんな物語が書けるなぁ、感心するしかないです。2、3世代に渡る人間のドラマ、というのはけっこうあるけど犬というのは斬新だ・・・

しかも放り投げるような、がさがさしているこの文章。最初は読みづらいなぁと少し感じたけど、すぐ慣れました。歴史書みたいな小難しい文体というよりよほど入りやすいと思うんだけど。


今日読んだ本
古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』

今読んでいる本
島本理生『ナラタージュ』
浅田次郎『憑神』
『百年の誤読』は、岡野宏文、豊崎由美の2人が対談の中で、20世紀のベストセラー本を評価していく、というもの。読んでいて非常に楽しかったです。
『百年の誤読』

ハリー・ポッターに対する評価には同感。どうしてあれが大傑作といわれて、あれほど売れたのか? よく分からない・・・

さくらももこ『もものかんづめ』、読んでみたくなりました。あとは、泉鏡花『春昼』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』といった古典的な作品も。
そういえば、太宰治『斜陽』読んだはずなのにもう中身をさっぱり覚えてないです、もう一度読み直してみようかなぁ・・・


今日読んだ本
岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読』

今読んでいる本
古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』
谷崎潤一郎賞を受賞した作品を追っていこうと『田紳有楽』を読んでみて驚きました。『田紳有楽』

「あくまで私小説に徹し、自己の真実を徹底して表現し、事実の奥底にある非現実の世界にまで探索を深め、人間の内面・外界の全域を含み込む、新境地を拓いた、“私”の求道者・藤枝静男の「私小説」を超えた独自世界。」とか解説がついているから小難しい小説かと警戒していたのに、全然面白かったです。

こんなぶっ飛んでいて、しかも笑える小説だったとは知りませんでした。ほとんどSF。

グイ呑みと金魚のC子が愛し合い、丼鉢が空を飛びゆき、しかも、茶碗が古美術商の手ほどきを主人公に行う。そして、主人公は、実は弥勒菩薩。なのに体中が痒くて金玉ばかりもんでいる・・・

『聖おにいさん』も連想しました。


今日読んだ作品
藤枝静男『田紳有楽』

今読んでいる本
岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読』
古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』


ひとまず置いておく
藤枝静男『空気頭』
東野圭吾『魔球』
『平等ゲーム』
全てを平等にすれば、人間は幸せになれるか・・・? ということを問うた小説。

設定は面白いからあとひとひねりすれば、傑作になったと思うんだけど。でもまぁある意味では「完全平等を謳う島」に、無知な主人公というありきたりな設定。ありえないよなぁ、という気がします。もう最後の破局まで読んでいる最中にわかっちゃう。

ワーキングプアとか貧困が話題の中であえて「完全な平等」なんてバカみたいだろう、という結論に持っていくところは勇気があるし、さすがだと思うんだけど。けどそんな普通な結論に持っていかれたところで面白くない・・・

1番致命的なのは、桂望実の文章が面白くない、ということで。この人の文章って読んでいて全然楽しめないです。魅力が無い、というか。基本的に桂望実という人は、文章も、物語もどちらとも下手のような気がします・・・ と書いたら、失礼かなぁ。


今日読んだ本
桂望実『平等ゲーム』

今読んでいる本
藤枝静男『田紳有楽』
藤枝静男『空気頭』
東野圭吾『魔球』
『富士山頂』
『富士山頂』はほとんどノンフィクション。
富士山頂に、「台風の砦」としてレーダードームをつくろうと目指す男たちの物語。気象庁に勤める官僚でありながら小説家も兼業する男が主人公です。彼は、官僚としては珍しく誰に対しても強い態度に出て、孤高を保つため、そのプロジェクトの事実上の遂行者として活躍することになります。ほとんど著者そのままみたいです。

『プロジェクトX』第1回でとりあげられたこともある出来事。『プロジェクトX』では建設を実現した職人たちが主人公の熱い物語になっていたけど、『富士山頂』では、もう少しドロドロした落札にあける業者間の争いなどもあって面白いです。

新田次郎は山の小説をいろいろ書いているらしいけど、そのためか山における描写もきちりとしていて面白かったです。


今日読んだ本
新田次郎『富士山頂』

今読んでいる本
桂望実『平等ゲーム』
藤枝静男『田紳有楽』
藤枝静男『空気頭』
メモ『日本歴史を点検する』は、海音寺潮五郎、司馬遼太郎の対談。
『日本歴史を点検する』

「日本歴史」という言葉、最近聞いたことありません。古い本なんだなぁ、と感じさせられます。だけど、中身はけっこう面白いです。海音寺潮五郎、司馬遼太郎2人の博覧強記ぶりがよく分かります。よくそこまで話がつながっていくなぁ・・

しかし、日本人をひとくくりで見る視点などはちょっと気になるなぁ。そんなふうにしてみても何かが分かることはないんじゃないか。確かに納得させられる部分は多々あります。「日本人は忘れっぽい民族だ」とか。でもそう言い切ってしまうのは無理のような気もする・・・


今日読んだ本
海音寺潮五郎、司馬遼太郎『日本歴史を点検する』

今読んでいる本
新田次郎『富士山頂』
桂望実『平等ゲーム』
藤枝静男『田紳有楽』
藤枝静男『空気頭』
『斜め屋敷の犯罪』
『斜め屋敷の犯罪』は、デビュー作『占星術殺人事件』の次に書かれたシリーズ第2作目。またまた名探偵・御手洗潔が登場します。

ある大富豪が建てた、酔狂な地面が傾いた屋敷の中で、殺人事件が次々と巻き起こります・・・ びっくりな真相。たぶん日本における館ものの元祖。

何につけても大げさな探偵、御手洗潔と破天荒な謎解き。どちらもびっくりさせられます。納得できるかと聞かれれば納得は出来ないけど、しかし凄いミステリー小説だなぁとは思います。


今日読んだ本
島田荘司『斜め屋敷の犯罪』

今読んでいる本
海音寺潮五郎、司馬遼太郎『日本歴史を点検する』
新田次郎『富士山頂』
桂望実『平等ゲーム』
藤枝静男『田紳有楽』
藤枝静男『空気頭』


昨日、自由の森学園では高校入学式がありました。
110虹を操る少年
★★ 東野圭吾

109読み替えられた日本神話
★★★ 斎藤英喜

108サウスポー魂
★★★★ 川上健一

107ケータイ世界の子どもたち
★★★ 藤川大祐

106史上最大の恐龍ウルトラサウルス
★★★ 平野弘道
★★

著者:  東野圭吾
出版社: 講談社

  光瑠は、幼い頃から天才的な色彩感覚と知能を持っていた。高校生になると、光を演奏するようになる。光瑠の生む「光楽」は、多くの若者たちを惹きつけ、そして酔わせた。その能力を危険視して潰そう(利用しよう?)とする大人たちの勢力が介入してくるが・・・・・

  今やミステリ作家としてもの凄い人気を誇る東野圭吾が1994年に書いた小説。東野圭吾は、1998年の『秘密』でいろんな賞にノミネートされて最終的には日本推理作家協会賞を受賞し、大ブレイクして、その後は次から次へと作品が映画化されたり、賞をとったりして大ブレイクするわけですが、これはそれ以前の作品です。

  物語としては面白いとは思うんだけど、「超人」が世界を変革していくというあらすじはどうも・・・ 好きになれないなぁ。理屈じゃなくて。全然違うけど、「超人」というとニーチェを思い出すなぁ。「神は死んだ」といったあとに超人が登場するのではなぁ。とかいろいろ思うのですが。まぁそれはどうでもいいや。

  『虹を操る少年』いろいろ考えさせられます。最後の終わり方も絶妙です。


自森人読書 虹を操る少年
★★★

著者:  斎藤英喜
出版社: 講談社

  斎藤英喜『読み替えられた日本神話』は、とても興味深かったです。明治維新のとき、大日本帝国によって仏教はめちゃくちゃにされました。廃仏毀釈というのですが、明治新政府が、神道と仏教を分けて仏教を徹底的に弾圧したのです。歴史的に価値ある寺院などが徹底的に破壊され、天皇家のしきたりから仏教に関連するものは注意深くはぶかれました。日本文化の破壊といってもいいような蛮行でした。

  しかしそもそも歴史をたどってみると、中世には神道と仏教とは融合していて、日本の神話にインドや中国の神々が登場するような時代があったそうです。仏教を排斥するというのはそもそも出来ないはなしなのではないか、と僕は思いました。例えるならば、自分の右腕を切り落とすようなものではないかなぁ・・・

  平安時代に『日本書紀』がよく読まれていた、というのは新鮮でした。神話にも、歴史があって、変容があるんだなぁ・・・ 神話を用いて、自分の権威を強めようとする人たちがいた、というはなしも面白かったです。自分のためには神すらも利用するのか・・・

  最後らへんに宮崎駿の映画のはなしにまでおよんでいて面白かったです。斎藤英喜は、『もののけ姫』について「自然と科学の対立などという平板なストーリーうんぬん・・」と評していて、あまり良く思っていないようです。僕は、ジブリの映画の中でもけっこう好きだけどなぁ、「もののけ姫」は。むしろ『風の谷のナウシカ』の方が消化不良じゃないのかなぁ・・・

  まぁとにかく日本神話の歴史を追って知ることができてとてもためになります。


自森人読書 読み替えられた日本神話
『博士の愛した数式』よりも良いかも知れない、と感じました。
『ミーナの行進』

面白かったです。いやー良い話だ・・・

コビトカバ、ポチ子がかわいいです。


今日読んだ本
小川洋子『ミーナの行進』

今読んでいる本
島田荘司『斜め屋敷の犯罪』
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新CM
[07/03 かおり]
最新TB
バーコード
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © いろいろメモ(旧・自由の森学園図書館の本棚) All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]