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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  小島晋治 丸山松幸
出版社: 岩波書店

  「中華人民共和国」という国の近現代史をしっかりと見つめていこうというもの。かなり簡潔に、まとめられています。よく新書1冊にこれだけの内容を詰め込んだなぁ、と感心してしまいます。ただ、分かりづらい部分が多々あります。ぽんと、宋慶齢とか、周恩来とか名前を出されても分からない人には分からないだろうなぁ・・・ あまり親切じゃないとも言えるけど、でも中国の近現代史がみごとに圧縮されています。これ1冊あるとかなり便利です。

  ぎりぎり天安門事件のあとの辺りまでのことが載っています。

  中国の近現代史は民衆にとっては、苦難の歴史だったのだなぁ、と『中国近現代史』を読んで改めて思いました。清国と戦い、西洋列強の侵略と戦い、日本の侵略と戦い、各地に割拠する軍閥と戦い、もう何が敵であるのかすら区別しがたい。本当に混沌としています。さらには国民党と、共産党との戦いに巻き込まれ、共産党独裁下でも誤った政策が行われたことで、苦しむことになる・・・

  ただ、日本という国は上から「民主政治」をアメリカに与えられましたが、中国は外敵を全て打ち払い、そして毛沢東崇拝の歴史を自己反省し、国内では自由や民主化を掴むためにいろんな人が闘っています。とはいってもいまだに一党独裁が続いているわけですが。これからいったいどういうふうに歴史は動いていくのだろう。とても気になります。

  これから、中国、インドなどアジアの国々が力を増してくるといわれます。そうしたら世界のバランスはどういうふうになっていくのか。その中で、日本はアメリカ一辺倒(そういえば、「一辺倒」という言葉は毛沢東が流行らせた言葉)でいられるのか。というより、それで良いのか。

  だけど、日本とアジアの国々との間には、第二次世界大戦以来の因縁というか、わだかまりが残っているとよく言われます。それをどうするのか。やはり誠実に、その事実と向き合うことが大切だと思うのですが、つい最近航空幕僚長だった田母神俊雄が日本は侵略国家ではない、という幼稚な論文をだして、大騒ぎになりました。戦争から、もう60年間たったはずなのになぁ・・・


自森人読書 中国近現代史
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★★★

著者:  畠中恵
出版社: 新潮社

  体がめっぽう弱くてよく寝込む大店の若だんな・一太郎。彼には、佐助と仁吉という2人の付き人がいました。しかし、実は一太郎は妖の見えるという特別な力がある人で、佐助は犬神、仁吉は白沢という妖(あやかし)。若だんなの周囲には妖怪があふれていました・・・

  若だんな・一太郎は、夜出歩いていたために奇怪な猟奇殺人事件に巻き込まれてしまいます。一太郎の周りに次から次へと血が流れる・・・ 一太郎は責任を感じて、妖怪たちとともに事件を解決することにします。江戸を舞台にした謎解きファンタジー。

  日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した作品。けっこう面白かったです。ただ、そんな絶賛するほどかなぁ・・・ あんまり凝ったところはなくて、拍子抜けしました。う~んこの畠中恵という人の作品も、あさのあつこと同じ系統なのかなぁ・・・(違うかなぁ、分からないです)

  かなり読みやすいところが良いのかもなぁ。それぞれの登場人物が色付けされていて、すごく解りやすいです。若だんなが寝込むのがちょっとじれったいけど、はなしのテンポはとても早いです。何か考えたりせずともずんずん読み進むことができてしまいます。

  つまらないことはないけど、期待はずれだったなぁ、と僕は感じました。

  続きが面白い、と言う話を聞いたので、読んでみようかなぁ。


自森人読書 しゃばけ
最後の最後に唖然とさせられました。
『鴉』
兄・珂允(カイン)は、弟・襾鈴(アベル)の死の謎を解き明かすため、地図にない異郷の村へと向かいます。しかし着いた途端に鴉の大群に襲われ、負傷。千本頭儀という長の人の世話になります。ですが殺人事件が相次ぎ、「外人」である珂允が疑われ・・・

もうなんというか、なんとも言い難い。仕掛けられていたトリックには驚かされました。最初のページからパラパラめくって読み直してしまいました。そういうことか・・・ と納得したあとまたまた凄いや、と感じました。

1998年度の「本格ミステリベスト10」(東京創元社)第1位。


今日読んだ本
麻耶雄嵩『鴉』

今読んでいる本
川上健一『翼はいつまでも』
絲山秋子の短編集『袋小路の男』を読みました。
本屋大賞候補作にもなっている小説。
『袋小路の男』

『袋小路の男』、『小田切孝の言い訳』は連作短編。純愛小説というふうに紹介されていましたが、これは純愛なのか。なんとも言い難い。ダメな男、小田切孝からいつまでも離れない日向子が主人公です。

小田切孝という男のどうしようもなさ、救い難いほどの自己中心主義は呆れてしまうけど、そこが的確に表現されているところが『袋小路の男』の面白さ。とても印象的です。

『アーリオ オーリオ』は、宇宙というものをテーマに据えた普通小説。こちらもなかなか良かったです。


今日読んだ作品
絲山秋子『袋小路の男』
絲山秋子『小田切孝の言い訳』
絲山秋子『アーリオ オーリオ』


今読んでいる本
麻耶雄嵩『鴉』
川上健一『翼はいつまでも』
舞城王太郎の短編集『みんな元気。』が読み終わりました。
やっぱり凄い。

『矢を止める五羽の梔鳥』はよく分からない話。少女連続殺害事件と、山火事が起きて・・・ それが絡み合っているのかいないのか問うていったら、いつの間にか全てが現実から後退していったというような話。

『スクールアタック・シンドローム』は、3人の生徒によって、600人もの生徒と教員が校舎ごと吹き飛ばされるという事件が起きた世の中を舞台にした物語。引きこもりの父親と、学校の人間全員を皆殺ししようとしている小学生が主人公。


今日読んだ本
舞城王太郎『矢を止める五羽の梔鳥』
舞城王太郎『スクールアタック・シンドローム』


今読んでいる本
絲山秋子『袋小路の男』
大河小説。
鳥取県紅緑村の旧家、赤朽葉家の物語。
『赤朽葉家の伝説』
文章が結構読みづらくて疲れたけど、なかなか面白かったです。これまで読んできた桜庭一樹作品の中では一番良かったかも知れない。桜庭一樹は、よく「時代がどうのこうの」と言い出します。これまでの作品ではそれがいまいち空疎に聞こえたのですが、この「大河小説」にはマッチしていました。

三部構成。

第一部は瞳子の祖母・万葉が主人公。彼女は、山の子として生まれながら普通の若夫婦に拾われて育てられます。その後、旧家・赤朽葉家に嫁入りして、「千里眼奥様」と呼ばれるようになります。

第二部は瞳子の母・毛毬が主人子。万葉・曜司の間に生まれた子。長女。暴れん坊で、美人。レディース(暴力団)の頭として中国地方を駆け巡るのですが・・・

第三部は瞳子自身が主人公。何事にもやる気を見出せないフリーター。祖母・万葉の衝撃的な告白を受けて、動揺するのですが真実を探し当てようとします・・・

とくに赤朽葉タツのネーミングセンスが最高。泪(なみだ)、毛毬(けまり)、鞄(かばん)、孤独(こどく)って・・・!


今日読んだ本
桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』

今読んでいる本
舞城王太郎『みんな元気。』
『この世界の片隅に 中』
のほほんとした生活が楽しそうです。

けどだんだんと戦争が迫ってきます。生活にいろんな影響を及ぼしてきます。とはいえなんというか、日々の生活は楽しそうでもあります。


今日読んだ本
こうの史代『この世界の片隅に 中』

今読んでいる本
舞城王太郎『みんな元気。』
桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』
藤沢周平の短編集を読みました。
『長門守の陰謀』
だれもなかなか良いです。とくに『夢ぞ見し』が良いです。

『夢ぞ見し』
昌江は、ぶっきらぼうで無口で帰りの遅い夫・甚兵衛にうんざりしていました。理由を聞いても口の重い甚兵衛の返事は煮え切らないのです。そんなある日、美男の若者が突然現れ、家に泊まらせることになります・・・


今日読んだ本
藤沢周平『夢ぞ見し』
藤沢周平『春の雪』
藤沢周平『夕べの光』
藤沢周平『遠い少女』
藤沢周平『長門守の陰謀』


今読んでいる本
舞城王太郎『みんな元気。』
こうの史代『この世界の片隅に 中』
『みんな元気。』
『みんな元気。』
朝起きると姉が15センチほどベットから浮いてました。驚いて家族を呼ぶけど、そのうちそれどころじゃないことが起こります。なんと、空飛ぶ家族が現れ、朝ちゃんと昭との交換を求めてきて、朝ちゃんを連れて行ってしまったのです。竜巻に乗ってそれを追跡するのですが、結局朝ちゃんは去り、昭が新たに家族の一員となるのですが・・・
朝ちゃんが、「みんな元気」というところで笑ってしまいます。

『Dead for Good』
暴力男・兼益によって半身不随になり、いきなり白目を剥いて狂ったように笑うようになってしまった男が主人公。死ぬってなんなんだ、と問う作品。

『我が家のトトロ』
娘の千秋が我が家の飼い猫レスカはトトロだと言い出し、脳医学者を目指す主人公は、いろいろ考えてみるのですが。

あらすじが解説できないような作品ばかり。

凄すぎます。もうほとんど物語が展開していくことに意味が失われてきているような気すらします。テーマも深遠というか、ひねってあるのでぼんやりとして掴みにくいし。けど、やっぱり「愛」なんだろうなぁ・・・


今日読んだ本
舞城王太郎『みんな元気。』
舞城王太郎『Dead for Good』
舞城王太郎『我が家のトトロ』


今読んでいる本
舞城王太郎『みんな元気。』
藤沢周平『長門守の陰謀』

主人公は、かつて教え子に手を出して学校から追放された元教師・波多野和郎。彼は、現在では塾の講師をしていたのですが、教え子が失踪したため、再び東京へ戻り、教え子を探し出そうとします。しかし、彼には致命的な過去があったため捜査ははかどりません。そんな中、現在の事件と過去の事件が絡み合い、意外な展開を見せ・・・

いまいち主人公に共感できなかったです。やっぱりハードボイルドは合わないなぁ。なんというか、自分勝手な痩せ我慢はする癖に結局ハッピーになって全てを手に入れる主人公があんまり好きになれないです。男のための「願望小説」と言われてもしょうがない。

とくに『行きずりの街』はその色が濃いです。「高校の教員が生徒を自分の色に染めて自分のものにするが、結局破綻。けれど再びよりを戻す」という物語なので。そういう筋書きにするために、あまりにも都合よく物語が展開していくので、そこが笑えます。

バブル真っ盛りの東京の風景を描写している部分は、読んでいて非常に面白かったです。今ではもっと荒廃している、のだろうか。それともそれなりに何かができつつあるのか。それにしても「東京」という都市は面白いなぁと感じます。


今日読んだ本
志水辰夫『行きずりの街』

今読んでいる本
舞城王太郎『みんな元気。』
まずは上から。
『この世界の片隅に 上』

今回も広島・原爆というものを、大仰にではなくて、しかしきちりと真摯に扱った作品のようです。まだ読み終わっていないからよく分からないけど。


今日読んだ本
こうの史代『この世界の片隅に 上』

今読んでいる本
志水辰夫『行きずりの街』
舞城王太郎『みんな元気。』
萩尾望都傑作短編集を読み終わりました。
昔の作品はやっぱり昔の少女漫画っぽいなぁ、と感じます。『千本目のピン』『プシキャット・プシキャット』『ハロー!イングランド』は超短編。どれもなかなか面白いです。
中でも『プシキャット・プシキャット』が良かったかも知れない。猫達がかわいいけど、怖い・・・ なんなんだろう。とってくわれるのか。


今日読んだ本
萩尾望都『千本目のピン』
萩尾望都『プシキャット・プシキャット』
萩尾望都『ハロー!イングランド』


今読んでいる本
志水辰夫『行きずりの街』
舞城王太郎『みんな元気。』
こうの史代『この世界の片隅に 上』
名作と名高いミステリ。
なので読んでみました。
『毒入りチョコレート事件』
スコットランド・ヤードのモレスビー首席警部が、ロジャー・シェリンガムが率いる犯罪研究会に未解決事件の報告を持ち込みます。同研究会の者達は事件解決を目指し、推理合戦を繰り広げるのですが、7通りの暫定的な答えが出され・・・

最終的に、最も正しいだろう答えを出すのは、おどおどした探偵・アンブローズ・チタウィック。彼の挙動が面白いです。

扱う事件自体が地味(毒殺事件)なので、ちょっと最初は読んでいて疲れます。海外のものは、登場人物の名前が覚えにくいし。だけど、最後になってくるにつれ、面白くなってきます。名作といわれるだけのことはある。

「推理小説は論理的」とよく言うけど、それはたいていの場合嘘だというミステリ作家による指摘は面白いです。作者アントニー・バークリーは、かなりミステリというものを、おちょくっています。


今日読んだ本
アントニー・バークリー『毒入りチョコレート事件』

今読んでいる本
萩尾望都『アロイス』
『蠍のいる森』
有馬美千代は、犬を拾ったことから偶然、江田真樹子と出会い、友達になります。美千代が人と心を通わせるのは、ほぼ生まれて初めてのことでした。そんな美千代の神経質さを慮ってか、真樹子は望月源太という好人物を紹介します。すると途端に、有馬美千代と望月源太は近しい中になりました。
一方、江田真樹子は便利屋・高木修平と出会い、彼を愛するようになります。ですが、高木修平は真樹子を弄ぶだけでした。彼は、ハンサムで機転のきく男なので、幾らでも女を惹きつけることができたからです。高木修平は、阿久津絹枝という金持ちのお婆さんを騙して、その遺産を奪おうと画策しますが・・・

図書館に務める神経質かつ人嫌いの若い女性、有馬美千代。英国人と離婚した翻訳家の女性、江田真樹子。熊みたいな児童文学作家、望月源太。人を嘲り、便利屋をやっている「天才詐欺師」高木修平。その4人の愛憎の物語に、阿久津絹枝というおばあさんが絡んできます。

高木修平が嫌なやつです。

最初は、延々と続く日常の風景に少し疲れます。ですが読み進めていくと、驚愕の出来事に遭遇することとなります。ドロドロとしているけれど、爽快でもあります。



今日読んだ本
小池真理子『蠍のいる森』

今読んでいる本
萩尾望都『アロイス』
アントニー・バークリー『毒入りチョコレート事件』
萩尾望都傑作集を読んでいます。『温室』のみ再読でした。いつ読んだのか思い出せないのですが・・・
『アロイス』
『アロイス』はちょっと怖い物語。主人公は、少年ルカス。彼の中には死んでしまった双生児のアロイスが潜んでいます。「2人」は共存していたのですが、じょじょに衝突していくことになります。医師はルカスのことを二重人格と診断するけど、本当に二重人格、といってしまっていいのか。

『モードリン』は、物語としては単純だし、短いのですが、凄みがあります。ウイルが怖いなぁ・・・ クレーじいさんを殺してしまったというウイルの秘密を知る少女、モードリンの心の動きが面白いです。


今日読んだ本
萩尾望都『アロイス』
萩尾望都『温室』(再読)
萩尾望都『モードリン』


今読んでいる本
萩尾望都『アロイス』
小池真理子『蠍のいる森』
アントニー・バークリー『毒入りチョコレート事件』
さくらももこのエッセイ。
『さくらえび』
読んでいると非常に面白いです。なんというか笑えます。とくにヒロシが。あとは著者さくらももこ自身も変な人みたいで、おかしいです。息子に自分がさくらももこであることを隠すためにビデオまで作ってしまったり、「家族の前でおならをしますか」と聞いてまわったり。元気が凄いなぁと感心します。

けっこう薄いし、文字は大きいのでさくっと読めてしまうのですが、なかなか良いです。同じことを繰り返す文章が、なんとなくいい雰囲気を醸し出しています。


今日読んだ本
さくらももこ『さくらえび』

今読んでいる本
小池真理子『蠍のいる森』
脳というものの不可解さを扱った本格ミステリ。

主人公は、精神神経科の女医、南川藍子。彼女は覚醒剤の密売取引現場を取り押さえようとして頭部を負傷した刑事・海藤兼作や、試合中突然マスコットガールに襲い掛かって逮捕されたプロ野球選手・追分などと関わるうちに自分自身も不安定になっていき、制服に対して興奮を覚える男の起こした殺人事件に巻き込まれることとなります・・・

あんまり新鮮味がないです。こういうようなサイコサスペンスは結構たくさんあるから。人間の狂気というものを扱った作品でもあります。『ハサミ男』の先駆ともいえます。

映画化もされたそうです。


今日読んだ本
逢坂剛『さまよえる脳髄』

今読んでいる本
さくらももこ『さくらえび』
小池真理子『蠍のいる森』
岩波ジュニア新書。
『労働法はぼくらの味方!』
自由の森学園の森の時間(総合学習)の中で学んだこととけっこう重なるなぁ、と感じました。
↓に詳しいことが乗っています。
生きさせろ!

雨宮処凛さんや湯浅誠さんの本を読んでしまったあとに『労働法はぼくらの味方!』を読んでもなぁ。基本的なことを知るのは大事だとは分かるんだけど、あまり印象に残らない、というか、インパクトに欠ける、というか。もっと前に読んでいたら印象も変わったかもしれないのですが・・・

著者は、ヨドバシカメラ事件を担当した弁護士の人と知って、そちらの事件のことをぜひ本にしてもらいたいと感じました。


今日読んだ本
笹山尚人『労働法はぼくらの味方!』

今読んでいる本
さくらももこ『さくらえび』
逢坂剛『さまよえる脳髄』
小池真理子『蠍のいる森』


「探偵探し」の本格ミステリ。
『鳥人計画』
日本のジャンプスキー界を牽引するべく期待されていたスター楡井が殺されます。犯人は楡井を支えていたコーチ・峰岸。届けられた密告状からその事実を知った警察は「いったい何故コーチである峰岸が楡井を殺したのか」を調べるのですが、全く理由が分かりません。いったいどういうことなのか。

凄かったです。スポーツというものの爽やかさと、壮絶さ両端をみごとに捉えています。楡井という男が印象的でした。


今日読んだ本
東野圭吾『鳥人計画』

今読んでいる本
さくらももこ『さくらえび』
笹山尚人『労働法はぼくらの味方!』
『となり町戦争』
舞坂町ととなり町との間に戦争が起こり、舞坂町町民の主人公は偵察任務をまかされました。彼は、香西さんと偽装結婚してとなり町に潜入することになります。しかし全然実感が湧きません。血が流れないからです。「戦争」ってなんなのか? 偵察任務につくことで戦争に加担したことになるのか? 主人公は悩むのですが・・・

淡々としたはなしなので最初は少し退屈でした。しかし、読み進めていくうちに慣れてきました。

「戦争」というものを把握できない主人公が結局、香西さんと一緒にいられなくなる/セックスできなくなることに唯一「戦争による痛み」を覚えた、という部分にはとても考えさせられました。彼は、セックスによって誤魔化されてしまって結局「戦争」を理解できなかったのではないか。

最後まで、となり町との戦争とはなんだったのか分からないです。町の都合でいつの間にか始まって、そしていつの間にか終わって・・・本当の戦争も同じようなものなのかも知れないとも感じました。とくに現代の戦争は。目に見えないから殺し合っていても実感が湧かない。だから、リアルな出来事として認知できないのかも知れない。

いつか読もうと思っていた小説。やっと読めました。三崎亜記のデビュー作。第17回小説すばる新人賞受賞作。直木賞候補作。話題ほどの傑作ではなかったかなぁと感じたけど、とても考えさせられる秀作ではあります。


今日読んだ本
三崎亜記『となり町戦争』

今読んでいる本
東野圭吾『鳥人計画』
倒叙ミステリー(犯人側から描かれたミステリ)。
『扉は閉ざされたまま』
久しぶりに開かれた同窓会のため集まった大学時代の友人達。その中の1人、終始冷静冷徹な男・伏見亮輔は、後輩の新山を殺害し、密室に閉じ込めて自殺を装います。伏見を越えるほどの頭脳を持つ碓氷優佳だけは、それを疑うのですが・・・

「このミステリがすごい! 2006年版」2位。
なので読んでみたのですが、そこまで凄いとは感じませんでした。倒叙ミステリーってあまり面白いと感じることが出来ません・・・ なんでだろうか。


今日読んだ本
石持浅海『扉は閉ざされたまま』

今読んでいる本
三崎亜記『となり町戦争』
歴史小説。久しぶりに山田風太郎を読みました。
『修羅維新牢』
明治元年、官軍は江戸に入場すると、そこを我が物顔で徘徊し、荒らしました。その最中、薩摩兵が斬殺され、晒し者になるという事件が発生。人斬り半次郎こと中村半次郎(後の桐野利秋)は激怒。「報復として、薩摩兵が1人死ぬごとに旗本を10人処刑する」と言い出します・・・

そこから処刑場に連れ出される10人の人間が紹介されていきます。いろんな人がいます。身分は低いけど商才に長けた男、戦国時代の武将のような荒くれ男、清爽なる美少年、人殺しが趣味の男、死にたがり屋の無気力男などなど。一応みんな武士の端くれのはずなのですが、性格は全くバラバラ。

勝海舟(安房上)が非常に格好いいです。もうセリフとその行動全部が。


今日読んだ本
山田風太郎『修羅維新牢』

今読んでいる本
石持浅海『扉は閉ざされたまま』
自由の森学園の体育祭が昨日、終わりました。

雨のため2日間になってしまったけど、よかったです。
青春ミステリ小説。東野圭吾初期の作品。
『魔球』
主人公は開陽高校のエース、須田武志。彼は天才的なピッチングセンスを持っていました。春の選抜高校野球大会の一試合でも、強豪相手に一歩も譲らず、9回まで無得点に押さえつけます。しかし9回裏2死満塁のピンチに陥った時、彼はなぜか不思議な暴投を行います。いったい彼に何が起きたのか。その球に隠されていた謎が事件を引き起こします。その試合の数日後、武志の女房役だった捕手・北岡明が愛犬と共に刺し殺されているところを発見されました・・・

やっぱり東野圭吾は凄い、というしかない。全ての謎が最終的には論理的に解決されていきます。

文章につっかかるところはないので、さくさく読めます。だから少し味気ない印象を受けるけど、むしろそこが東野圭吾の良さではないか、と思います。

昔、推理小説は幻想小説の仲間だったから華麗、もしくは甘美なものを含み、それでいてグロテスクさも併せ持つのが普通という雰囲気があった気がします。でもそれでは好きにならない人は多いかも知れない。そこからは脱却しつつ、しかしミステリへの愛は忘れない東野圭吾。やっぱり凄い人じゃないか。


今日読んだ本
東野圭吾『魔球』

今読んでいる本
山田風太郎『修羅維新牢』
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