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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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「VIEW エネルギーシフト学生ネットワーク」という団体に関して相談している最中。
「大学で環境問題を考える⇒日本にある全ての大学に再生可能エネルギーを導入する」ことを目的にする予定。

まあ、時流というか、はやりに乗り、いろいろできたら面白いと思っているのですが。

VIEW エネルギーシフト学生ネットワーク ブログ
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様々な署名活動が始まっているようです。

福島の子どもたちを守るための緊急署名

避難・疎開の促進と法定1ミリシーベルトの順守を


ふくしま集団疎開裁判

子どもたちの集団疎開の決定を求める署名のお願い
★★

著者:  東野圭吾
出版社: 講談社

  ピエロは物言えぬ傍観者として十字屋敷で巻き起こる事件の一部始終を観察しています。それを知らない犯人は複雑な動きを見せ、様々な犯罪を繰り返します。葬式のためオーストラリアから帰ったばかりの竹宮水穂は次々と巻き起こる事件に遭遇し、困惑します。そして、ピエロを追って現れた人形師の悟浄とともに事件について考えるのですが・・・ 竹宮水穂の視点の間に、ピエロの視点がちょこちょこ挟まります。

  奇を衒ったミステリ。

  登場人物には魅力が感じられないし、会話もつまらないことこの上ありません。とはいえ、物の視点を真面目に作品中に取り入れたところは愉快だし、ミステリとしてはそれなりに面白いです。ありがちな館ものなのだけど、様々な人間が動き回っているため複雑。把握するのは大変だけど、その絡み具合が面白いです。

  しかも無駄がないです。伏線が上手に張られていて、それがみごとに収斂していきます。よく考えるなぁ、と感心します。

  ラストはじんわりと怖いです。

  基本的にコンパクトだし、サクッとしていて読みやすいので時間はとりません。東野圭吾のミステリ小説は軽いところがいいです。軽いだけで深みがない、というふうな言い方もできてしまうかも知れないのですが。


自森人読書 十字屋敷のピエロ
★★★★★

著者:  神林長平
出版社: 早川書房

  『戦闘妖精・雪風』シリーズ第3作目。『グッドラック』の続編。さらに、思弁的かつ抽象的な物語になってきています。戦闘シーンはほとんどありません。

  情報軍に属するロンバート大佐はジャムと組んでFAFを乗っ取るべくクーデターを起こします。彼は不可解なジャムになりきることでジャムに打ち勝とうとしていたのです。そして、クーデターを起こしてから、すぐに地球に在住しているジャーナリスト、リン・ジャクスンへ向けて手紙を書きます。それは、人間に対する宣戦布告でした。

  友達に借りた本なのですぐに読もうと思っていたのに、分厚くてその上2段組なので、読みきるのに時間がかかりました。非常に面白かったのですが、これまでの2作以上に難解なので何度も訳が分からなくなりました。登場人物は、誰もが理屈に拘ります。とにかく徹底的に理屈を捏ね繰り回すのです。疲れるけど愉快です。

  クーリィ准将の存在というものが非常に巨大になってきます。彼女が特殊戦というものの性質を決定付けるからです。

  あと、機械である雪風に擬似的な人格のようなものが生まれたことが明確になる部分が面白いです。むしろ、人間の意識は機械に見透かされているということまで明らかになり、状況はさらに複雑怪奇になります。誰が敵で、誰が味方なのかよく分かりません。

  しかも、不確定性の原理についても語られだすので混乱します。SFとしてはありがちなネタではある気もしますが、それにしても様々な要素が盛り込まれすぎていてよく分からなくなってくるのです。しかし、著者の狙いはそれなのかも知れません。

  続編が非常に楽しみです。


自森人読書 アンブロークンアロー-戦闘妖精・雪風
555グラン・ヴァカンス-廃園の天使〈1〉
★★★ 飛浩隆

554オリンピックの身代金
★★★★★ 奥田英朗

553空中庭園
★★★★ 角田光代

552サンクチュアリ
★★★ ウィリアム・フォークナー

551ブラック・ダリア
★★★★ ジェイムズ・エルロイ
★★★

著者:  飛浩隆
出版社: 早川書房

  物語の舞台は、南欧の田舎をモチーフにした仮想空間「数値海岸」。そこでは、1050年の間、永遠のヴァカンスに倦むこともなくAIたちが同じ夏の1日を繰り返していました。ホストである人間が現れなくなったからです。ある日のこと、十二歳の少年ジュール・タピーはジュリーとともに硝視体<グラス・アイ>を拾うため海岸へ赴きます。ですが、区界を破壊する<蜘蛛>が現れ・・・

  SF小説。

  ヴァーチャル空間を舞台にしたSF小説は数多く存在しています。だから、『グラン・ヴァカンス』自体に独創性というものを感じることはないし、使い古された設定の焼き直しということもできます。だけど、描写が凝っていて、物語も面白いです。

  キャラ設定などは、いかにも漫画的/映像的。構成は練られているようには感じられません。とはいえ、小説でしか表現できないようなものもしっかりと盛り込まれています。

  官能的、かつグロテスク。

  気持ち悪いところがいいです。ヴァーチャル空間が舞台だからこそありえる幻想性というか、脆弱な世界の描き方が秀逸。物語の中に、全ての基盤がぐらっと揺らぐ瞬間というものが存在します。くらくらします。

  文章はさほど巧いとは感じられません。日本語として変な部分が多いので気になりました。主語が明確ではなくて妙にぐらぐらしています。けれど、そういう文体が作品の雰囲気を形作ってはいるし、軽いので非常に読みやすいです。


自森人読書 グラン・ヴァカンス-廃園の天使〈1〉
もう六月も終わり、とは信じられないです・・・
なんというかはやすぎる・・・
★★★★★

著者:  奥田英朗
出版社: 角川書店

  1964年(昭和39年)。東京オリンピックを目前に控え、日本中が熱気に包まれていました。市民や警察は勿論のこと、労務者、学生、左翼、はてはヤクザまでがアジアで初めてのオリンピックを誇りに思い、待ち望んでいました。しかし、マルクス経済学を学ぶ東大院生・島崎国男は、出稼ぎ労務者だった兄が東京の建設現場で事故死したことをきっかけにして、その状況に疑問を持ち始めます。彼は兄の遺骨を実家がある秋田の寒村に持ち帰ったときには極貧の中で苦しむ人々を目の当たりにし、夏休みの間労働者と肩を並べて働いたときには理不尽かつ過酷な労働現場を知ります。彼は悩みます。ですが、オリンピックを妨害することで国家に戦いを挑むことを決め・・・

  社会派サスペンス小説。

  521p二段組。長大なのですが、とにかく引き込まれます。高度成長期の日本というものが細部にいたるまで描写しつくされています。西洋的な生活を送りつつビートルズに熱狂する市民と長時間労働に苦しみ明日のことなど考えることも出来ない薄汚れた労務者。開発が進み、娯楽が溢れる進歩的な東京と、次男三男に居場所はなく結婚は村が取り仕切る封建的な秋田。それらの対比が印象的。

  そして、群像劇としても優れています。登場するキャラクターたちがとにかく魅力的。

  島崎と意気投合する年老いたスリ村田留吉。官僚しかいない一族の中でテレビ会社に就職した須賀忠。オリンピックの日に出産予定の妻と二歳になる息子と郊外で生活している優秀な警官落合昌夫。誰もが、善意と悪意を併せ持った個性的な人間なのです。

  そして、とにかく主人公・島崎が魅力的。彼は誰からも好かれる控えめな優男。東大の大学院にまで進むのですが、輝かしい日本/東京をつくるために踏みにじられている人々と出会い、その状況を是正しようと思いながら具体的な手段を見つけられません。そして、労務者の仲間から貰ったヒロポンに手を出したために薬物中毒に陥ります。ですが、感覚が鋭敏になるヒロポンをうまく用い、テロを決行。日本を脅かし、八千万円を奪い取ろうとします。国家の権威を剥ぎ取ろうとしたわけです。彼は少しずつ追い詰められていくのだけど、それでも基本的には誠実だし、愚直です。関係ない他人に迷惑をかけようとしません。

  度重なる偶然と警察の内部対立が彼を救うのですが、少し都合よすぎる気がしないでもないです。けれど、好人物過ぎてテロリストになりきれていない島崎が活躍するためには、偶然が必要な気もします。

  無邪気に未来を信じる人間が溢れかえるオリンピック開会式の会場で、過酷な現実に目を向けてた人間があっけなく射殺されるクライマックスの場面はあまりにも印象的。奥田英朗の最高傑作なのではないか、と感じます。

  第43回吉川英治文学賞受賞作。


自森人読書 オリンピックの身代金
★★★★

著者:  角田光代
出版社: 文藝春秋

  母親エリコは「何ごともつつみかくさず、タブーを作らず、できるだけ全てのことを分かち合おう」と家族に言います。しかし、実は誰もが心の奥底に秘密を抱え込んでいます。ノリで全てを凌いでいく軟弱な父タカシは、2人の愛人とつきあっています。抑圧的な祖母を嫌っていた母エリコは、祖母から逃れるために父とセックスして妊娠し、結婚したのですが、それを誰にも語れず、今でも祖母を愛せずにいます。恋人森崎と疎遠になった高校生のマナは学校で孤立してしまいます。地味な中学生のコウは友人がいなくて学校にも行けず、孤独を抱えています・・・

  郊外のダンチで暮らす京橋家の物語。

  6人の視点(姉・父・母・祖母(母の母)・父の愛人(にして弟の家庭教師)・弟)から京橋家が描かれています。

  綺麗な言葉が持っている、もわっとして掴みがたい気持ち悪さが描き出されているところがみごと。家族というものについて考えさせられました。どうして、ゆがんだ家庭は存続できるのだろう。誰もが仮面を被り、家族の一員として一定の役割を演じ続けるからか。しかし、必死の努力と演技によって保たれている幸福な家庭とは何なのか分からないです。

  そもそも、幸福な家庭などというものは存在しないのかも知れません。それでは、伝説と空想の中にしか存在しない「空中庭園」と同じではないか。

  しかし、何にしても家族はあった方が良い気もします。家族を結び付けているのは愛ではないのかも知れない、と感じました。消極的な選択の結果、というか。けど、やっぱり空想の中にしかないにしても、幸福な家族を目指したいよなぁ・・・

  キャラクターの書き分けが巧みだし、しかも構成が素晴らしいです。角田光代の小説はサクッとしていて読みやすいのに深いです。人間の心の暗部を抉り取っているからか。

  第3回婦人公論文芸賞受賞作。


自森人読書 空中庭園
★★★

著者:  ウィリアム・フォークナー
出版社: 新潮社

  ウィリアム・フォークナーの出世作。架空の街ヨクナパトーファを舞台にしたヨクナパトーファ・サーガの4作目にあたるそうです。

  1.女子大生テンプルは男友達に誘われ、車に乗り込むのだが、車はミシシッピー州のジェファスンの町はずれで大木に突っこんでしまう。二人は助けを求めるため、廃屋に立ち寄った。そこは数人の部下を率いるギャング・ポパイの根城だった。

  2.ポパイは老人トミーを射殺し、テンプルを玉蜀黍の穂軸で強姦するのだが、彼の代わりにグッドウィンというポパイの部下が捕まる。グッドウィンには女と赤子がいた。その二人のためにも、弁護人ホレスはグッドウィンの無罪を証明しようとするのだが・・・

  時間軸がおかしくなっていて、1と2が並行的に綴られていきます。なので、まずあらすじが把握しづらいです。

  しかも文章は即物的だから登場人物の心境は想像するしかないのですが、何を考えているのかいまいち分からない登場人物たちには感情移入しづらいです。しかし、どの登場人物も強烈な個性を持っています。最も印象的なのはポパイ。彼は性的不能者であり、その上酒を飲むことができません。それが故に蔑まれるのですが、そういった侮蔑に対抗するかのように犯罪を繰り返します。

  ヨクナパトーファは荒れ果てています。正義とか、神とかそういうものが通用しない世界なのです。その町に住む人間たちは、栄光や救いを求めることなく、暗闇の中でただ欲望を追求し、汚く生き、死んでいくだけ。

  フォークナーというのは、こういう感じなのか。

  「アメリカ南部そのものを描き出した小説家」と絶賛する人がいるのも頷ける気がします。難しくて理解し切れていないけど、もう少し読んでみたい、と感じました。


自森人読書 サンクチュアリ
★★★★

著者:  ジェイムズ・エルロイ
出版社: 文藝春秋

  元ボクサーの警官バッキー・ブライチャートは、同じく元ボクサーの警官リー・ブランチャードと、公衆の面前で久しぶりにボクシングの試合を行います。それは警察公債発行を実現するためのキャンペーンだったのですが、バッキーはそれをうまくこなし、出世。その後、バッキーとリーはコンビを組み、活躍していきます。1947年1月15日、ロス市内で腰を切断された女性の死体が発見されます。その内に身元が明らかになります。本名はエリザベス・ショート。女優になることをめざし、都会へでてきたのに誰に対しても妄想的な嘘をつきまくり、しかも体を男に売り続けていた女性でした。マスコミは、彼女を「ブラック・ダリア」と呼び、その事件をセンセーショナルに報じます。バッキーとリーは必死に事件を追うのですが・・・

  実際に起こった殺人事件を基にした小説。

  アメリカ社会の暗部を切り取った「暗黒のL.A.」四部作の第一作目。文体は軽快だし、ストーリーは物凄いスピードで進んでいきます。読みやすいけど、翻弄されます。

  狂気と暴力とセックスと薬と犯罪と不正とジョークが溢れています。まともな人間はほとんど一人も存在しません。とはいえ、誰もが強烈な個性の持ち主なので、記憶には残ります。

  とくに、リーという男が印象的。彼は有能な警官なのですが、怒り狂うと手がつけられず、その上薬漬けになりかかっています。ブラック・ダリアを幼い頃喪った妹のように感じていて事件解決に狂奔します。最初の内は憐れな被害者のように思えますが、実は全然そのようなことはなく、汚れ切っています。

  ミステリとしても優れています。ラスト近くになるまで真相は分かりません。しかも、痛烈などんでん返しが待っています。とはいえ、ミステリと言うよりは、どす黒いサスペンス小説といった方が適切ではないか、と感じます。


自森人読書 ブラック・ダリア
550沈まぬ太陽〈1〉 アフリカ篇
★★★★ 山崎豊子

549この人の閾
★★★ 保坂和志

548二百回忌
★★★★ 笙野頼子

547さよならダイノサウルス
★★ ロバート・J・ソウヤー

546ロボット<R.U.R.>
★★★★ カレル・チャペック
そろそろいろいろやることが出てきたような気もします・・・
しかし、眠過ぎて頭が動かない。

今日は猫がベランダに出ていたため、4時半から起きて、家に入れて・・・ 眠過ぎる。

青くなっていく空を見ることができて、よかったのですが。
★★★★

著者:  山崎豊子
出版社: 新潮社

  恩地元は国民航空の職員としてアフリカナイロビに一人滞在しています。彼は狩りや登山などに打ち込みつつ、僻地ナイロビに左遷されるまでの経緯を思い出します。かつて、彼は国航労働組合の委員長職を無理やり押し付けられました。彼は、その仕事を踏み台にして出世する人間にはならず、経営陣の言いなりになっていた労組を民主化。そして、劣悪な職場環境を改善するため、労働者の熱烈な支持を受けつつ経営陣に真正面から挑みかかり、航空会社として初めてのストを打つのですが経営者からはとにかく煙たがられ・・・

  事実を基にした小説だそうです。

  主人公・恩地は事故が起きることを阻止するため、一途に職場環境を改善しようとしただけなのにそれだけでアカというレッテルを貼られ、追い詰められます。そして、衛生環境の悪い僻地に飛ばされ、その上いつになっても日本に帰してももらえません。あまりにも悲惨です。ですが、彼はだからといって卑屈になることはありません。立派です。

  経営者の論理ばかりが尊重され、労働者/客の側に立てば何年にも渡って僻地に放逐されることになる企業というのはどう考えてもおかしいと感じられます。しかし、今でもそういう状況はさほど変わっていないかも知れません。今でも、日本では権利を主張することがなぜか自分勝手なことというふうに言われ、思われているようです。

  随分と分厚いのだけど、読みづらいことはありません。小説としての構造が明快だからです。生真面目に正義を貫く恩地と腹黒い経営者の対立が軸となっています。事実はもう少し複雑なのかも知れないけど、このくらい明快な方が小説としては分かりやすくて良いかも知れません。

  おかしな現実をすっぱりと描き出す著者・山崎豊子も立派な人だと感じます。

  続きも読まなきゃ・・・


自森人読書 沈まぬ太陽〈1〉 アフリカ篇
岩手・青森で震度5弱の地震があったとニュースで報じていました。

埼玉もけっこう揺れたような気がします。


まだ地震つづくのか・・・
★★★

著者:  保坂和志
出版社: 新潮社

  『この人の閾』は保坂和志の短編集。『この人の閾』『東京画』『夏の終わりの林の中』『夢のあと』収録。

  『この人の閾』
  主人公は37歳の三沢。彼は小島さんと会うために小田原へいくのだけど、一時という約束だったのに夕方になるまで会えないと分かります。なので、かつての学友・関根真紀と再会。2人の子供を持つ彼女と庭の草をむしります。芥川賞受賞作。

  『東京画』
  主人公は、東京都にある、環七近くのXXを巡っています。随分とたらたらとしています。でも、暗い雰囲気がよくでていて良いかも知れない。

  『夏の終わりの林の中』
  主人公は、ひろ子とともに自然教育園を散策します。さほど関係ないけど、『地球の長い午後』を連想。

  『夢のあと』
  主人公とれい子は、鎌倉にある笠井さんの家を訪ねます。3人は笠井さんが幼い頃過ごした土地を巡るのですが、記憶は美化されるということを悟り・・・

  多分、空間と関係を描いた小説。

  あらすじを説明することにはそれほど意味がないような気がします。2人の会話を綴っていたのに、突如として一度引くところがあります。そういういかにも映像的な部分が優れているのだけど、非常に説明しづらいです。

  記憶が非常に重要な要素となっている気がします。人間だけが記憶を持っているのだろうか、と考えてしまいました。

  著者は様々な物が開発され、全てがきっちりしていくこと、ひいては社会が進歩していくことに対して違和感を抱いてるようなのですが、その感覚はポストモダン的ともいえるし、いかにも現代的。進歩を肯定する通常のSFとはまっこうから対立するということができるかも知れないのですが、似た問題意識を抱いてるということも可能です。もしかしたら、保坂和志はSF作家になったかも知れないのか・・・


自森人読書 この人の閾
★★★★

著者:  笙野頼子
出版社: 新潮社

  『二百回忌』は、笙野頼子の短編集。『大地の黴』『二百回忌』『アケボノノ帯』『ふるえるふるさと』収録。

  『大地の黴』
  十歳の頃、私は龍の骨が入った壷を拾います。私はそれをただのままごとの道具だと思っていたのですが・・・

  『二百回忌』
  二百回忌が催されます。それに呼ばれたセンボンは祖母に会いたい、と思い、赤い喪服を着て出かけていきます。そして、生きた人間と死んだ人間が入り乱れる中でなぜかヤヨイだと間違われ・・・ 第7回三島由紀夫賞受賞作。

  『アケボノノ帯』
  一度教室の中で排便してしまった龍子は、排泄と言う行為を聖なるものとして決めます。幼稚なふりをしている私は龍子に引きずられ、困惑しつつも逆らえません。禁忌とされている排泄の神と化した龍子は、排泄の結果でてきたものをアケボノノ帯と呼びます。

  『ふるえるふるさと』
  私は故郷のハルチに帰っている最中だったのか、よく分からないうちに子どもになってしまい、様々なことを思い出しています。そして、母親のもとに盛り土をしにくる男への恐怖に震えていて・・・

  どれもこれも奇怪で憂鬱な小説。

  要約することがほとんど不可能に近い気がします。物語も、文体も難解で気持ち悪いです。使われている単語は平凡なものばかりなのに、それらが組み合わせられることによって、奇怪なものが生み出されています。

訳が分からないようにも思えますが、決して訳が分からないわけではありません。肥満の人間に対する様々な差別や、グロテスクな制度や、おかしな慣習といったものを抉り出そうとしているようです。とはいえ、真面目でも上品でもありません。生真面目にぶっ壊れている、というか。全体的に破壊的。

  笙野頼子作品は、マジックリアリズム小説に似通っているし、マジックリアリズム小説といってもいいと思うのですが、その本場である中南米で書かれた『百年の孤独』などと比べると、非常に暗いです。なんというか、日本とそこに巣食う様々な抑圧をえぐろうとした結果、笙野頼子作品は根本的に陰鬱なものになってしまうのではないか、と感じます。


自森人読書 二百回忌
★★

著者:  ロバート・J・ソウヤー
出版社: 早川書房

  ブランドン・サッカレー(ブランディ)と、マイルズ・ジョーダン教授(クリックス)は恐竜が滅びた理由を探るため、6500万年前にタイムスリップします。ですが、2人はテスという一人の女性を巡って争っている最中でした。そのため、彼らは恐竜と出会うのですが、なかなか協調できません。そうして2人がいがみ合っているうちに恐竜の体内からは青いゼリーのようなものがでてきて、しかも恐竜が喋りだし・・・ というようなことが書いてある文書をブランドンは発見し、困惑するのですが・・・

  優れたSFミステリ。

  恐竜が滅びた理由、恐竜が巨体を保つことが出来た理由などなどが次々と解明されます。それらの真相はまったくもって奇想天外というしかなく、SFとして非常に面白いです。

  タイムマシン、恐竜、異星人などなどが登場し、その上『さよならダイノサウルス』というタイトルなので、少し安っぽい印象も受けますが、作品自体はそれほど古臭くも安っぽくもないです。サクッとした軽いミステリとして読むことができるからです。

  謎と伏線が散りばめられています。というより、謎と伏線だけの物語といってしまっても良いのではないか。もう少し重みとか、深みみたいなものが欲しい気がしないでもないのですが、謎解きだけの物語というのもそれはそれで面白いです。それにしても、うまい具合に全ての要素がポンポン回収されていくんだなぁ・・・ 本当におみごと。

  サクッとしているけど、恐竜好きにとってラストは非常に悲しいかも知れません。


自森人読書 さよならダイノサウルス
『六ヶ所村ラプソディー』を久しぶりに見てきました。3度目。

多くのことを考えさせられました。核燃料サイクルという幻想がなぜ、まかりとおっているのか・・・ やっぱり、まったく理解できないと感じます。

恵泉女学園大学で上映されているものだったので、無料でした。

★★★★

著者:  カレル・チャペック
出版社: 岩波書店

  R.U.Rの社長・ドミンは、ロボットを開発し、全世界に売り込みます。ロボットは人間と同じような肉体を持っているのですが感情は持っていなかったため給料を与えずとも徹底的に使い込むことができました。人間は全てをロボットに任せてしまい、働かなくなります。権同盟会長の娘ヘレナは、それを阻止しようとロボット製造工場がある孤島に乗り込むのですが逆に結婚を申し込まれ・・・

  1921年に発表された戯曲。

  この作品がロボットという言葉を生み、広めたそうです。SFの古典とされています。人間にいいように酷使されていたロボットが叛乱を起こす、というストーリーは非常に印象的でした。作品が発表された当時も、そのストーリーがヨーロッパ中で話題になり、「ロボット」と「叛乱」は切っても切れない関係になったらしいです。それも頷けます。

  科学文明が進歩し、便利な物がたくさん生まれたわけですが、それを運用するだけの能力/倫理観を人間が持っているか、と問うているのかなぁ、と感じました。

  大戦すらまだ経ていない1921年にこの作品は発表されたわけですが、本当に先駆的。

  失敗作とされていたロボットこそが最も人間的だった、つまり愛を持っていたということが判明するラストは痛快です。ロボットは人間ではなく、人間以上の存在となってしまうわけです。人間は神に模して作られたのだから完璧であるというふうような、キリスト教的な思想に歯向かっているともいえます。面白い。

  とにかく、人間のことを憂慮しつつも皮肉る著者がかっこいいです。


自森人読書 ロボット<R.U.R.>
545日の名残り
★★★★ カズオ・イシグロ

544人間ぎらい
★★★★★ モリエール

543どろぼう熊の惑星
★★★ R・A・ラファティ

542夢果つる街
★★ トレヴェニアン

541ニューロマンサー
★★★★★ ウィリアム・ギブスン
この頃、忍者ブログが妙に不調・・・
不安だ・・・
大丈夫なのか・・・
そういえば、すっかり書き忘れていましたが・・・
現在、「自然エネルギーに関する総理・​国民オープン対話」をおこなっている最中。

「自然エネルギーに関する総理・​国民オープン対話」




官邸に5人の有識者を招いて開催された
「自然エネルギーに関する総理・有識者オープン懇談会(6/12開催)」は、
ネット動画中継を通じて延べ15万人を超える方々が視聴され、
ツイッターを通じて1万5千を超えるコメントや質問が寄せられました。
この結果を踏まえ、6月19日(日)に、
官邸にて「自然エネルギーに関する総理・国民オープン対話」が開催されます。
ニコニコ生放送では、この模様を生中継でお送りいたします。
参加者
菅直人 内閣総理大臣
福山哲郎 内閣官房副長官
田坂広志 内閣官房参与

司会
藤沢久美 シンクタンク・ソフィアバンク 副代表

ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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