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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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よしもとばななの物語は、「剥き出し」であると誰かが書いていたけどよく分かるような気がします。村上春樹とは全く逆の方向をいくような作風だなぁ・・・ なんというか村上春樹は比喩の山を築いているような感じだから。

『デッドエンドの思い出』の黄金色の場面が印象的でした。


今日読んだ作品
よしもとばなな『あったかくなんかない』
よしもとばなな『ともちゃんの幸せ』
よしもとばなな『デッドエンドの思い出』


今読んでいる本
平安寿子『グッドラックららばい』
初野晴『水の時計』


ひとまず置く
莫言『酒国』
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自由の森学園ではもうすぐ体育祭があります。
楽しみです。


昨年の記事。
ジモリンピック 自由の森学園の体育祭
ジモリンピックだ! 一応最後に

どの組が勝つのか?
体育祭
今、よしもとばななの短編集『デッドエンドの思い出』を読んでいる最中。以前、『はじめての文学 よしもとばなな』を読んだのですが、それと重複しているものがけっこう多かったです(5作中3作が既読だった)。だから、半分は再読、みたいな感じ。
『デッドエンドの思い出』

『幽霊の家』
私は、大学の友人岩倉くんの家に鍋を作りにいきます。彼の住んでいる家には、一酸化中毒で死んでしまったけれど、今も普通に生活しているおじいさんとおばあさんが住んでいて・・・

『「おかあさーん!」』
偶然、社員食堂で毒入りカレーを食べて混乱します。そしてなんとなく幼い頃に別れた母親と過ごす夢を見ます。


よしもとばななの作品はどれにも似通った雰囲気があるような気がしました。「死」「夢」「とにかく泣く」とか。


今日読んだ作品
よしもとばなな『幽霊の家』
よしもとばなな『「おかあさーん!」』


今読んでいる本
莫言『酒国』
よしもとばなな『デッドエンドの思い出』
有栖川有栖を初めて読みました。
『月光ゲーム Yの悲劇’88』
有栖川有栖のデビュー作。

矢吹山のキャンプ場に遊びにやってきた英都大学推理小説研究会の4人組。彼らは、そこで他校の学生たちと出会い、意気投合、一緒に過ごします。
そうして、学生達14人は楽しい数日間を過ごすのですが、帰りの日になって突如火山が噴火し、彼らはキャンプ場に閉じ込められます。そしてその中で連続殺人事件が発生します。いったい誰が犯人なのか・・・

純粋な犯人当てもの、みたいです。表現はほとんど全て陳腐、ありきたりなので小説としてはそこまで評価できないような気がしました。しかも緊迫感が全くない。う~ん、いかにも「浅さ」を感じさせられる。
まぁその分、読みやすいけど。

あと、14人も学生が出てくるのにあまり書き分けができていないような感じがしました。誰が誰なのか、分からなくなる・・・ もっと登場人物を減らしても良かったのではないか。

まぁいろいろ文句書いたけど、そこそこ楽しめます。これがデビュー作だというのは、立派なことなのかも知れない。


今日読んだ本
有栖川有栖『月光ゲーム Yの悲劇’88』

今読んでいる本
莫言『酒国』
よしもとばなな『デッドエンドの思い出』
折原一といえば、叙述トリック。
『倒錯の死角―201号室の女』

今回も、凝った叙述ミステリ(物語自体に仕掛けのあるミステリ)です。「倒錯」者たちが大勢登場。というみんな狂人。

狂人しか登場しないので、ちょっと辟易。気の狂った人が語る(騙る)のだから、それ自体がミステリになるわけです。もう、何がなんだかラストになるまで分からないです。


今日読んだ本
折原一『倒錯の死角―201号室の女』

今読んでいる本
有栖川有栖『月光ゲーム Yの悲劇’88』
ほんわかしたタイトルとは全く異なる中身。ハードボイルド。
『彼女はたぶん魔法を使う』
いまいち主人公、柚木のキザさについていけなかったです。軽妙と言うかかっこつけすぎな言葉ばかり吐く38歳の男ってどうなんだろうか。あんまり格好良くない気がします。というよりむしろ滑稽。これを軽妙、とか書いている人がいるけど、それはちょっと・・・

ミステリとしてはさほど面白みがありません。キャラクターの味だけで保っているような感じ。


今日読んだ本
樋口有介『彼女はたぶん魔法を使う』

今読んでいる本
折原一『倒錯の死角―201号室の女』
北村薫『空飛ぶ馬』がやっと読み終わりました。かなり、面白かったです。この作品を、「日常の謎」系ミステリの代表作として挙げる人が多いのも頷けます。

『胡桃の中の鳥』
私と正ちゃんは蔵王に赴き、江美ちゃんと落ち合い、楽しい旅行へと乗り出します。そして、以前貰った円紫の講演会の券を使い、落語を聴くことに。しかし駐車場で不可解な出来事に出会います。車のシートカバーが全てはずされていたのです・・・

『赤頭巾』
歯医者の待合室で会った女性から、公園に現れる「赤頭巾」の話を聞かされた私。いったい、どういうことなのか・・・?

『空飛ぶ馬』
幼稚園のクリスマスパーティを録画して欲しい、と母の友達から言われ、呼ばれた私。そこで、その女性からまたまた不可解な話を聞かされます。
深夜、幼稚園に設置された馬が消えていたというのです。馬が空を飛んだのか?


今日読んだ作品
北村薫『胡桃の中の鳥』
北村薫『赤頭巾』
北村薫『空飛ぶ馬』


今読んでいる本
樋口有介『彼女はたぶん魔法を使う』
120最強のプロ野球論
★★★★ 二宮清純

119海嘯
★★★★★ 田中芳樹

118魔王
★★★★ 伊坂幸太郎

117すべてがFになる-THE PERFECT INSIDER
★★★★★ 森博嗣

116日々の非常口
★★★★ アーサー・ビナード
★★★★

著者:  二宮清純
出版社: 講談社

  僕は野球が嫌いじゃありません。そして、二宮清純という人の文章も嫌いじゃないので、とても楽しめました。感情論ではなくて、論理の組み立てによって野球はできているんだ、ということを伝えてくれるのでとても読み応えがあります。登場するのは、松井秀喜(打者)、イチロー(打者)、前田智徳(打者)、松坂大輔(投手)、野茂英雄(投手・引退)、城島健司(捕手)といった人たち。

  打者は、2ストライクに追い込まれると極端に打率が低くなるそうです。追い詰められるとどうしても焦ってしまうのです。そこを投手は利用するそうです。そうなんだ、と納得しました。読んでいると、それぞれの選手が何を考えてボールを投げ、何を考えてバットを振っているのか、ということが良くわかります。テレビ画面をただ見ているだけでは分からない複雑な駆け引きというのがちょっとだけ見えてきます。う~ん面白いなぁ。

  日本人の優秀な選手たちはみなアメリカに行ってしまうんだなぁ・・・ 作中に登場する人たちのほとんどが今ではアメリカでプレーしています。松井秀喜(打者・現在メジャーリーグ)、イチロー(打者・現在メジャーリーグ)、前田智徳(打者・広島(日本))、松坂大輔(投手・現在メジャーリーグ)、野茂英雄(投手・引退したけどもちろんメジャーリーガーだった)、城島健司(捕手現在メジャーリーグ)。

  1度読んでみると野球がもっと楽しめると思います。ただし、野球に全然関心が無い人にとっては読むのは苦痛かもしれないなぁ・・・

  僕は良いなぁ、面白いなぁ、と思いました。ただし野球の本ってすぐに古くなっちゃうから。すぐに球界の状況は変わっちゃうんだよなぁ・・・ 新しいのが早く読みたいです。


自森人読書 最強のプロ野球論
★★★★★

著者:  田中芳樹
出版社: 中央公論新社

  13世紀、地上最強ともいわれる騎馬軍団を擁する元軍が疾風怒濤のごとく、南宋へと攻め寄せます。それに対して、南宋の士大夫や武将達は必死の抵抗を試みました。しかし、敵わず、とうとう数十艘の船団でもって海上に脱出するのですが・・・ 悲劇の士大夫・文天祥、南宋に尽くす剛直な武将・張世傑、敵前逃亡を繰り返す宋の旧宰相・陳宜中の3人を中心にして物語はすすみます。壮大な歴史物語です。

  文天祥はものすごい人です・・

  文天祥は政治家・軍人。20歳のとき、科挙(官吏になるための試験)にトップで合格。1度、時の権力者の政策に反発して下野しますが元軍との戦いで活躍して出世。その後、和平交渉の使者として元に赴き、捕えられてしまうのですが脱出。南宋再興のために2年間以上に渡ってゲリラ戦を繰り広げました。しかし、再び元に捕われてしまいます。彼が獄中にある間に南宋は完全に滅亡。フビライから「元の臣下にならないか?」と何度もすすめらますが、それでも忠義を貫き、獄中で『正気の歌(せいきのうた)』を書いて刑死しました。

  僕は、漢詩の本か何かで文天祥という人のことを知りました。あまりにも凄い人だ・・ となんと言って良いのか分かりませんでした。どうして、彼を主人公にした小説が日本に無いのか? ちょっと不思議な気がしていました。と思ったら、田中芳樹が小説にしてた・・・

  文天祥は、元の皇帝・フビライや元の武将からは大きな評価を受けました。そして、後世いろんな人たちから、徹底的なまでに褒めちぎられることになります。しかし、味方(南宋の士大夫・武将)からは対して評価されませんでした(単なるゲリラ扱い)。南宋の武将・士大夫の人たちは視界が狭かったのか、もしくは嫉妬に目がくらんで文天祥の凄さが認められなかったのか。どうしてだろう・・・

  『海嘯』は、田中芳樹の書く中国ものシリーズの1つ。田中芳樹は中国史にけっこう詳しくて、中国史を題材にした物語をたくさん書いています。しかも文章が読みやすいのところが良いです。ミステリ作家で、中国の歴史小説もいっぱい書いている陳舜臣は、文章がちょっと読みにくい気がします。

  宮城谷昌光は漢字を多用し、独特の世界をつくりあげていて面白いんだけど、あの人は春秋戦国・秦・漢・三国志以降の歴史を題材にとったことがまったくないので、正直あまり期待できないなぁ、という気がします。もっと南北朝や宋の時代の物語が読みたいのに。


自森人読書 海嘯
山口雅也の『ミステリーズ 完全版』がやっと読み終わりました。最後のあたりはあまり満足出来ないようなやつもあったけど、全体としては面白かったです。

『「あなたが目撃者です」』
「あなたが目撃者です」という番組で、レッド・リヴァー連続殺人のことが詳しく解説されていました。それを見ていたある家庭では、妻が夫をを疑い始める・・・

『「私が犯人だ」』
夢見る文学者、グッドマン教師は、教え子で娼婦のレノラとともに逃避行へ出て、しかしレノラに拒否されて殺してしまうのだが・・・

『蒐集の鬼』
SP盤を愛し、それをコレクションするマッケリー。彼は幻のエレイン・レイニーのSP盤を探し回るのだけど・・・

『《世界劇場》の鼓動』
完全版にのみ収録されている作品。音楽と、世界の破滅を描いた短編。ミステリではないような・・・

『不在のお茶会』
3人の人間が奇怪な状況に放り出される。それぞれ精神科医、作家、植物学者。彼らは自らの状況を分析していき・・・


今日読んだ本
山口雅也『「あなたが目撃者です」』
山口雅也『「私が犯人だ」』
山口雅也『蒐集の鬼』
山口雅也『《世界劇場》の鼓動』
山口雅也『不在のお茶会』


今読んでいる本
北村薫『空飛ぶ馬』
樋口有介『彼女はたぶん魔法を使う』
『あぶな坂HOTEL』は漫画。短編集。
『あぶな坂HOTEL』
生と死の狭間にある「あぶな坂HOTEL」。そこに現れては生の世界へ戻るか、もしくは死の世界へ逝くかして去っていく人たち。それと、そこに留まり続けて、やって来る人たちをもてなす人たちのドラマ。

ある意味陳腐な設定です。しかし、萩尾望都が描くとなんでも面白い。中島みゆきの歌から着想した、というはなしを聞きました。「あぶな坂」という歌があるのかなぁ・・・


今日読んだ本
萩尾望都『あぶな坂HOTEL』

今読んでいる本
山口雅也『ミステリーズ 完全版』
今、山口雅也『ミステリーズ 完全版』を読んでいる最中。
『ミステリーズ 完全版』
なんというか、僕は短編というのは苦手なのですが・・・ まぁまぁ面白く読めました。『解決ドミノ倒し』のドミノ倒しの連続は楽しい。

『密室症候群』
説明が難しい・・・ ひっくり返ってひっくり返ってを繰り返します。

『禍なるかな、いま笑う死者よ』
笑ったまま死んでいた2人の男。いったい彼らに何があったのか。

『いいニュース、悪いニュース』
息子のデイビットがデートしたために退学になるかも、と知った母。なんと息子の相手が中年男だと聞いてさらに混乱・・・

『音のかたち』
音を巡る物語。なんと、歴史上有名なあの人が登場。

『解決ドミノ倒し』
ドミノ倒しのように延々と答えの出されない堂々巡り・・・


今日読んだ作品
山口雅也『密室症候群』
山口雅也『禍なるかな、いま笑う死者よ』
山口雅也『いいニュース、悪いニュース』
山口雅也『音のかたち』
山口雅也『解決ドミノ倒し』


今読んでいる本
山口雅也『ミステリーズ 完全版』
萩尾望都『あぶな坂HOTEL』
『街場の教育論』は凄く分かりやすくて、しかも面白かったです。
『街場の教育論』

反省します。教育と言うのは時間を経ないと結果が現れないから、誰もが不寛容になる、という主張は身に沁みました。納得します。確かに全くもってその通りだ。

内田樹が、「学びは理屈じゃない、立ち止まるな。学ぶんだ!」ということを理屈でもって説明しています。ものすごく分かりやすいし、納得させられます。それにしても博識な人だなぁ・・・

ものすごく上手いです。逆に上手すぎるので、どうしても反論したくなる。引っかかる部分がないからかえって信用できない、というか。どうしても自分はまるめこまれているとしか思えない。村上春樹の文章を読んでいるときと同じ(ひねくれていて、どうしようもないと呆れられても仕方ないんだけど)。

ちょっと待ってくれ、と言いたい部分も結構ありました。

村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』が引用されている時点で、これはもう信用しないぞ、と思いました。だって村上春樹の小説って読めば分かるけど、ああいう小説だからいかようにでも解釈できる。それを自分にとって都合のいいように引っ張ってくるというのは、どうなのか?
というよりも、内田樹はどれだけ、村上春樹ファンなんだろうか。

最後の「宗教」をくくってみせる部分は、いくらなんでも大雑把に割り切りすぎではないか。そんなふうに一緒くたにされたらたまらない。

『街場の教育論』は良い本です。


今日読んだ本
内田樹『街場の教育論』

今読んでいる本
山口雅也『ミステリーズ 完全版』
萩尾望都『あぶな坂HOTEL』
★★★★

著者:  伊坂幸太郎
出版社: 講談社

  ある日、サラリーマンの安藤は、「腹話術」という不思議な能力を手に入れます。自分の思ったことを他人に喋らせる力です。

  彼は、その力を用いてムッソリーニ(第二次世界大戦前、イタリアに独裁政権を築いた人)を彷彿させる犬養という政治家と闘おうとします。犬養は、「自分が首相になったら景気を5年で立ち直らせる、できなかったら私の首を切れ」と言い切ります。そして、もう1度国民が憲法を選びなおし、アメリカや中国などの国々としっかり対峙すべきだ、とも訴えます。その危険を顧みない勇気と力強さに多くの人は期待を寄せ熱狂的に支持しますが、安藤は不安を覚えていました。誰もが流れに乗って犬養を支持するこの状況は、ファシズム(全体主義)の再来ではないのか・・・?

  読み終わってみてなんだろう、と思いました。肩透かしをくらった感じかなぁ・・・ 物語としては面白いんだけど。なんといって良いのか分からない。本が出版された当時(2005年)はけっこう話題になったそうです。その頃はまだ、「力強い」指導者、小泉首相が健在だったから、そういう政治との関係で話題になったのです。

  著者自身が明言しているように、平和主義・憲法9条のことなどが主題ではないようです。多分、今の日本、もしくは今の世界において、「物事を考える」という行為は、難しいことだと書きたいのかなぁ、と僕は感じました。「私たちは、見えない「何者か」に用意された時代の潮流に乗せられているだけではないのか?」というメッセージと言い換えても良いかも知れない。

  難しいです。もしかして作者は単に「ファシズム VS 超能力者」の物語を書いたつもりで、それを僕がいろいろ勘ぐっているだけなのかもなぁ・・・

  2006年第3回本屋大賞ノミネート作(11位)。


自森人読書 魔王
★★★★★

作者:  森博嗣
出版社: 講談社

  S&Mシリーズの第一巻。森博嗣のデビュー作にして、第一回メフィスト賞を受賞した作品。

  孤島の研究所のある区域に隔離されていた天才工学博士・真賀田四季の部屋から、ウェディングドレスを着せられ、両手両足を切断された死体が出てきました。その不可解な謎に、N大助教授・犀川創平と、女子学生・西之園萌絵(2人の頭文字を合わせてS&M)が挑むのですが・・・

  「孤島の密室バラバラ殺人事件」というミステリの王道とも言うべき状況の設定と、完璧なる天才というキャラ設定。よくこれだけの物語を構成したなぁ、と感心しました。たいてい「天才」という設定のキャラクターは、破綻します。だって「天才」を書くなんてそんなに簡単なことではありません。しかし森博嗣は、うまく書ききります。天才工学博士・真賀田四季が、本物の天才に見えてくるのです。

  主人公の1人、犀川創平のニヒルっぽいところがかっこ良いなぁ、と思います。セリフがひとつひとつかっこ良いというか、とっかかりがある。「思い出は全部記憶しているけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」とか。ネット上に犀川教授の名言禄みたいなものを作り出す人がいるほど、どれも印象に残る言葉ばかりです。

  タイトルについて少し考えたのですが・・・ 今では、誰でも(僕みたいな高校生でも)パソコンに触ることができて、HTMLをいじくることができます。だからFって、ああそのFねって納得するけど、当時はまだパソコンが普及していなかったと思います。本が出た当時、『すべてがFになる』っていうタイトルの意味を、理解できた人がどれだけいたのだろうか? というのが疑問です。多くの人は、何を言っているのかいまいち納得できなかったのではないかなぁ・・


自森人読書 すべてがFになる-THE PERFECT INSIDER
★★★★

著者:  アーサー・ビナード
出版社: 朝日新聞社

  『日々の非常口』はアーサー・ビナードのエッセイ集。細々としたことばのはなしから、政治のはなしまでいろんなものが含まれています。とても面白いのもあれば、ありゃそれほど面白くないなというのもありました。だけど、けっこう面白いものが詰まっています。

  僕が気に入ったのは、憲法9条がらみの昔話についてのはなしでした。タイトルは『鐘を守るためには』。

  かつてのデンマークの昔話。戦争がやってくると聞いた村人達は戦争に備えなきゃ、ということで大事なものを片っ端から隠していきました。そのうちに、村人たちは「鐘も大事だ」ということに気付きます。でも隠す場所が無い。すると誰かが「海の中に隠したらどう?」というと、みんなグッドアイディアだと賛成。

  海に鐘を落としてしまいました。でもそれだと、どこに落としたか分からないのでは・・・? 「いやいや船の横っ腹に×印をつけたから大丈夫!」というはなしなんだけど。最後の締めは。

  改憲を主張する側は「戦争放棄を堅持しつつ、武力行使を抑止的かつ最小限に」などと口約束はするだろうが、そんなものはドッボーンのあとの、船の横っ腹の×印にすぎない。

  そう結びつくのか、と感心しました。

  下は、そのエッセイのタイトル全部。

  『東西東西』『ネーミングを汲み取る』『落ち葉拾い』『クレオパトラのサラダ』『生まれ順』『バンブーショック』『一番食?』『夢のバットハウス』『ダーウィンと大統領』『機内食』『猫への手紙』『なに南蛮?』『ザリガニの目』『ゲッキョク株式会社』『歩き喋り器』『ミスプリの命』『テケテケ出ずる国』『大まかな好き嫌い』『夏の線引き』『豚の耳学問』『あれ鈴虫も』『ハローとアーソー』『店の「変わる顔」』『湯の効能』『捨てる神、拾う銭』『二兎物語』『優雅な無知』『落とし物はつらいよ』『空飛ぶ一票』『雷の内訳』『民主化野郎!』『村の夕暮れ』『馬に履き物、蟹に被り物』『寿司シャトル』『足もとを見る』『御用流行語?』『残雪に思う』『もういくつ刈ると』『鐘を守るためには』『横着メロ』『鼠や蚕』『豆を撒かれたサンタ』『剣を鍬に、銃を薪に』『ぼけの始まり』『アザラシ見』『言葉の万能度』『貝の音』『在留期限』『セールラット』『巨体満足?』『ジョージのおかげ』『殺虫罪』『夜の自由時間』『もったいない話』『ベンチの記憶』『ツバメの戒め』『見え隠れ』『アリのまま』『経済の音』『平均の不平』『不安運転』『ことばと子どもとこだま』『郵便の歌が危うい』『春は曙、夏はイナゴ』『奇妙な現実』『産婆になりましょう』『コーヒーの種』『ぼくらも仲間?』『一筆啓上仕り候』『左前の羽衣』『どっちもどっち世論』『刑務所産業の果実』『あれは水車の回る音?』『日米捏造国自慢』『きぬずれ、ベロずれ』『ゲルと馬』『金庫の中』『風呂のクジラ』『ツルツル論』『水まわり』『いろはいろいろ』『チラシの自由』『通じない悪態』『小切手の利点』『数取りの妙』『カレンダーの展望』『顔つなぎ』『七面どうな話』『尊い偽善』『盗聴ゲーム』『いちばんおっかねえ』『顔文字の隠れみの』『言葉の鏡』『何がワニか』『線を引く』『謝罪の過ち』『六千万頭の我が家』『水を乞う』


自森人読書 日々の非常口
『チェ・ゲバラ―フォト・バイオグラフィ』
チェ・ゲバラの歩んだ道を、写真と文章で読み解いていこう、というもの。『チェ 39歳別れの手紙』 を思い出しました。それにしてもほんとにたくさんの人が「チェ・ゲバラ」という存在に対して、畏敬の念みたいなものを抱いているんだなぁ・・・

チェ・ゲバラは、凄い人だ・・・


今日読んだ本
イルダ・バリオ、ギャレス・ジェンキンズ『チェ・ゲバラ―フォト・バイオグラフィ』

今読んでいる本
山口雅也『ミステリーズ 完全版』

ひとまず置く
北村薫『空飛ぶ馬』
樋口有介『彼女はたぶん魔法を使う』

快作とも、怪作ともいえるような物語がそろった山田風太郎「忍法帖」シリーズの中の1冊。やっぱり面白い。
『信玄忍法帖』
主人公は、山本勘介。
彼は、自らの献策(啄木鳥の策)が失敗したため、責任を取って川中島の戦いで自ら命を落とした、とされています。しかし実は生きていて、信玄の死後武田家の安泰のために奔走する、というのがこの『信玄忍法帖』。

武田家はなんとしても武田信玄の死を周囲から隠そうとして、影武者をたくさんそろえます。その影武者を守るべく闘う武田方の真田忍者は、猿飛天兵衛と霧隠地兵衛。

逆に、信玄の死を暴こうと襲い掛かる徳川方の伊賀忍者は、御所満五郎、黄母衣内記、蝉丸右近、墨坂又太郎、漆戸銀平次、箙陣兵衛、六字花麿、虚栗七太夫、塔ヶ沢監物。

その両者の間で、まぁいつも通りの山田風太郎風のエログロな戦いが繰り広げられるわけです。ハチャメチャな忍術を、よくあれだけ考え付くなぁと感心します。


今日読んだ本
山田風太郎『信玄忍法帖』

今読んでいる本
北村薫『空飛ぶ馬』
樋口有介『彼女はたぶん魔法を使う』
イルダ・バリオ、ギャレス・ジェンキンズ『チェ・ゲバラ―フォト・バイオグラフィ』
『生ける屍の死』は素晴らしかったです。これまで読んできた推理小説の中で最高ランクの作品のひとつだと僕は感じました。
『生ける屍の死』
舞台はニューイングランドの片田舎トゥームズヴィル。アメリカでは死者が次々と蘇る、という不可解な事態が起こり、大混乱が生じていました。そんな中、バーリイコーン一族が経営するスマイリー霊園で、殺人事件が発生します。死者が蘇るというのに、人を殺すことに何の意味があるのか?

主人公はパンク青年のグリン。彼は、なんと物語の途中で殺害されてしまいます。そして言葉通り「生ける屍」となって事件解決を目指すこととなります。グリンの相棒は、チェシャ。その2人のコンビが最高です。

ものすごく複雑で凝った物語なので、難しいのかと思いきや、笑える部分がたくさんあります。だから、けっこうすらすらと読めてしまいます。ラストシーンは悲しすぎる。


今日読んだ本
山口雅也『生ける屍の死』

今読んでいる本
北村薫『空飛ぶ馬』
山田風太郎『信玄忍法帖』
樋口有介『彼女はたぶん魔法を使う』
やはり宮部みゆきは凄い。けど期待ほどではなかったです。
『蒲生邸事件』
タイムスリップもの。第18回日本SF大賞を受賞。

尾崎孝史という男が主人公。彼は浪人生。東京に出てきて、予備校に受験するためにホテルに篭もるのですが、火事が起きて死にかけます。しかし偶然暗い男に救われ、突然に、2.26事件前夜にタイムスリップしてしまいます。孝史は、最初その事実を疑うのですが、次第に受け入れていきます・・・

長い、長すぎる。2.26事件の真っ只中にいるはずなのに緊迫感に欠けていて、読み進めるのが退屈。

SFとミステリの融合したもの、と説明されても、ちょっとSFとしてはスリルに欠けるし、ミステリとしては全然面白みがない。かといって、孝史の独白がうるさすぎて歴史小説には絶対になれない。微妙な作品。
それでも読ませるところが宮部みゆきの凄さかもしれない。でも、最終的に、読んで損したかも、と思ってしまいました・・・


今日読み終わった本
宮部みゆき『蒲生邸事件』

今読んでいる本
北村薫『空飛ぶ馬』
山口雅也『生ける屍の死』
北村薫のデビュー作、『空飛ぶ馬』を今読んでいます。
『空飛ぶ馬』
北村薫は、まず文章が良い。味わいがある、というか、日本語としておかしい表記が多く見られるミステリ作家の中で飛びぬけて気持ちの良い文章のような気がします。しかも突飛な殺人事件が起こることはないのでとても入りやすいし。

『織部の霊』
私は、古書店回りが趣味の女子大生。大学の先生と仲良くなり、その縁で落語家の春桜亭円紫と対談することに。その席で、先生が子どもの頃のことを語りだします。彼は、夢の中で見たこともないはずの古田織部正重然に出会ったというのです。いったいそれはどういうことなのか?

『砂糖合戦』
私は、紅茶専門店「アド・リブ」で、奇妙な光景に出会います。三人の女の子達が、砂糖をかわるがわる何杯も自分のカップに入れていたのです。、いったいなぜそんなことをしているのか?


今日読んだ本
北村薫『織部の霊』
北村薫『砂糖合戦』


今読んでいる本
宮部みゆき『蒲生邸事件』
北村薫『空飛ぶ馬』
奇術師たちが活躍するミステリ小説。これは素晴らしい傑作、という評価に間違いはない気がします。
『11枚のとらんぷ』
日本語としておかしな部分が随所にあって、それが凄く気になるんだけど・・・ しかし物語はとても面白いです。泡坂妻夫にとって、これは初の長編小説だそうですが、最初から傑作。ちょっとアンフェアっぽいけど(どんなに考えても、絶対に犯人にたどりつけないような気もする)、それでも素晴らしいです。

アマチュアの奇術同好会マジキクラブは真敷市公民館の20周年記念のショーに呼ばれることになりました。そのショーの日、11人の奇術師たちは時には、というかけっこう色んな失敗をしつつも、次々と華麗な技を披露していきます。
そして、最後のフィナーレ。人形の家から、女性奇術師の水田志摩子が登場するはずだったのですが、なぜか現れません。そうしてショーは、なんともしまらない幕切れとなります・・・
その後、事態は急変します。水田志摩子が自宅で死体となって発見されまたのです。そして、その周りには短編集「11枚のとらんぷ」に沿った小物11個が毀されて配置されていました・・・

「11枚のとらんぷ」というのは、マジキクラブをつくった奇術師・鹿川舜平の短編集。とても面白いものの、実用はできなさそうなマジックを集めたもの。作中作として『11枚のとらんぷ』の中に登場します。


今日読んだ本
泡坂妻夫『11枚のとらんぷ』

今読んでいる本
宮部みゆき『蒲生邸事件』
北村薫『空飛ぶ馬』
これぞハードボイルド。
『B・D・T掟の街』
近未来。東京は二分されていました。一方には、純粋な日本人が住む地域ができ、もう一方には不法滞在者や、その二世ホープレスの住む地域ができたのです。ホープレスたちの住む地域(東新宿辺り)は完全にスラム化し、「B・D・T」と呼ばれるようになりました。

日本人の中には、ホープレスやB・D・Tに対して憎しみを抱く者たちもいました。そういった日本人は、ホープレス排除計画を推し進めていきます。
そんな中、ある女性の失踪事件を追っていたホープレスの探偵、ケン・ヨヨギは、その計画に巻き込まれ、「純粋な日本人を保とう」とする勢力を倒すべく、孤独な闘いを挑むことになります・・・

がさっとしたハードボイルド小説。文章がちょっといい加減なのではないか、という気がしてならないけど、あっさりと読めます。スピード感があるからか。


今日読んだ本
大沢在昌『B・D・T 掟の街』

今読んでいる本
宮部みゆき『蒲生邸事件』
泡坂妻夫『11枚のとらんぷ』
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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