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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★

著者:  東野圭吾
出版社: 講談社

  光瑠は、幼い頃から天才的な色彩感覚と知能を持っていた。高校生になると、光を演奏するようになる。光瑠の生む「光楽」は、多くの若者たちを惹きつけ、そして酔わせた。その能力を危険視して潰そう(利用しよう?)とする大人たちの勢力が介入してくるが・・・・・

  今やミステリ作家としてもの凄い人気を誇る東野圭吾が1994年に書いた小説。東野圭吾は、1998年の『秘密』でいろんな賞にノミネートされて最終的には日本推理作家協会賞を受賞し、大ブレイクして、その後は次から次へと作品が映画化されたり、賞をとったりして大ブレイクするわけですが、これはそれ以前の作品です。

  物語としては面白いとは思うんだけど、「超人」が世界を変革していくというあらすじはどうも・・・ 好きになれないなぁ。理屈じゃなくて。全然違うけど、「超人」というとニーチェを思い出すなぁ。「神は死んだ」といったあとに超人が登場するのではなぁ。とかいろいろ思うのですが。まぁそれはどうでもいいや。

  『虹を操る少年』いろいろ考えさせられます。最後の終わり方も絶妙です。


自森人読書 虹を操る少年
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★★

著者:  桜庭一樹
出版社: 早川書房

  魔女狩りの嵐が吹き荒れるドイツ、未来のシンガポール、そして現代の日本の三部から成り立つ物語。少女とは何か? というようなことを書いているようです。自由の森学園の図書館で、この「少女」の考え方は面白い、と言われて借りました。

  現代日本(の消費社会)を支配している、といってもいいような「少女」という「モンスター」は、今の日本にしか存在していない、と桜庭一樹は言っている、と僕は受け取りました。昔は、「女の子」から「女」になるまでの間に、「少女」という間は存在しなかったから、過去へ言ってしまった女子高生はアンチ・キリストとなる、のではないか。

  でも難しいなぁ、どう読むかというのは。というよりどう考えても詰め込みすぎじゃないか、という気がしました。三部に分かれているそれぞれを1冊にしてもいいのではないか。そうしたらスカスカになっちゃうのかなぁ、さすがに。だけど今のままだと、最後があっけらかんとしていて、すかっと通り過ぎていってしまいそうなんだけどなぁ・・・

  つまらなくはないけど、よく分からない、というのが感想です。物語としては面白いけど、それ以上に、何か語りかけようとしているような気がするんだけどそこがすっきりしません。う~ん、だけど桜庭一樹という人は物語をつくっていくのがとても上手だなぁ。


自森人読書 ブルースカイ
★★★★

著者:  伊坂幸太郎
出版社: 文芸春秋

  『Sweet Rain 死神の精度』という映画になった作品です。僕は友達と一緒に映画を見にいって、そのあと本を貸してもらって読みました。どちらかというと、本よりも映画の方が全体の組み立てに工夫がされていると感じました。映画は、死神・千葉と、ヒロイン役の女性の2人の物語、みたいになっていて途中でなんどかプツンときれる部分があるのですが、随所にうまくつながりをいれていました。まぁ、本も映画も、どちらも面白いです。

  主人公は死神・千葉。彼は、不慮の死を遂げる予定の人物の最期の7日間を観察し、その人の死を決定する存在です。いつも黒い犬を連れています。(伊坂幸太郎の作品にはよく黒い犬(ドーベルマンだっけ?)が登場するなぁ・・)音楽のみをこよなく愛する雨男であり、どこか世間一般の人とは言動がずれています(ジョークをジョークとして解さないで対応する、とか)。

  千葉は、7日後に不慮の死を遂げるはずのいろんな人たちと出会い、どういう判断をくだすのか・・

  とても面白い作品です。死というものをとりあげて、それでいて重くひきずらないのはさすがだなぁ、と思いました。とあるメーカーの苦情処理係、謎のクレーマー、任侠なヤクザ、片思いの青年、ストーカーにおびえている女性、人殺し、死神と対する老女・・・ それぞれの短編のなかに登場する人たちもそれぞれとても「普通」だけど、面白い人たちばかりです。死神とそのいろんな人たちとの滑稽なやりとりが、深刻さを突き抜けていくのかなぁ・・・

  『重力ピエロ』を読んで、あんまり好きではなかったので、それ以来、伊坂幸太郎を読んでいませんでした。だけどこれを読んで、実はとても面白いんだ、と気付かされました。映画になっているということもあってか、高校生にも伊坂幸太郎はけっこう読まれているようです(僕の周りの人がみんな読んでる)。田中芳樹といっても誰も分かってくれないし、そこからはなしは拡がらないけど、伊坂幸太郎といったらはなしが通じるのか・・・


自森人読書 死神の精度
★★★★★

著者:  上橋菜穂子
出版社: 偕成社

  あるとき、30歳の用心棒・バルサは、新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムの命を救います。チャグムは、水の精霊〈水の守り手ニュンガ・ロ・イム〉の卵を産みつけられた、「精霊の守り人」だったことから、あちらの世界「ナユグ」と、こちらの世界「サグ」両方からねらわれていました。「ナユグ」の獣ラルンガに追われ、「サグ」では、チャグムの父である王に疎まれ、追われていたのです。バルサは、そんなチャグムのことを守っていくこととなりますが・・・

  「守り人」シリーズの1作目です。この「精霊の守り人」から、壮大なハイファンタジーが始まります。人と精霊の交錯する世界がとてもしっかりと形作られています。その新ヨゴ皇国の人たちは何を食べて、どういうふうな暮らしをしているのか。新ヨゴ皇国という国はどうやってできたのか。続編では、新ヨゴ皇国の周辺の国々も登場するんだけど、その国々の説明などもしっかりされています。

  戦争ばかりやっている架空戦記ものとかがよくあります。その物語の中の社会はいったいどうやって成り立っているのか、とかあまり詳しく説明されないことも多いけど、僕はそういったことの方が気になります。世界観というのかなぁ。そこの説明が面白いなら、ストーリーはそんな面白くなくても★5つにしてしまうかも知れない、といくらい世界観が気になります。

  この「守り人」シリーズはそこがしっかりしています。誰か解説者の人が「守り人」シリーズに登場する料理は美味しそうだ、と書いていました。その通りだなぁ、と思います。そういう細かい描写もすぐれていて、その上ストーリーが面白い。僕は凄く好きだなぁ、と思いました。

  アニメ化もされました。僕は見てないんだけど、面白かったみたいです。


自森人読書 精霊の守り人
★★★

著者:  岩明均
出版社: 講談社

  突如、空から正体不明の生物が降ってきた。それらはなんと、他の動物の頭に寄生し、神経を支配する寄生生物「パラサイト」であった。とりつかれたあとの「人間」(姿は人間、実は寄生生物)は、人間社会に上手く融けこみ、他の人間を次々と捕食していった。そんなある日、高校生の新一は、「パラサイト」に襲われる。なんとか脳を乗っ取られるのはさけたが、「パラサイト」が誤って彼の右手に寄生してしまった。新一と、右手に取り付いた「パラサイト」ミギーの奇妙な共生生活が始まった・・・

  自由の森学園の図書館にあったので手にとりました。最後まで読み終わって、面白いなぁと思いました。だけど、「生命の本質を描く感動の傑作」なのかな・・・ とても面白いとは思ったけど、みんなが絶賛するほど凄い作品かなぁ? そこには疑問を覚えました。

  「寄生獣」という言葉は作品の中ではほとんど登場しません。(多分)たった1度だけ使われたのは、人間に対してでした。人間こそ地球を食い荒らす寄生獣じゃないか、という訳です。その通りだなぁ、タイトルが示していたのはそれなのか、と感心しました。う~ん絶妙な言葉の取り合わせだ。

  人間こそ寄生中だ、というような言葉を吐いたのは、広川剛志という人なんだけど、彼はパラサイトではないのです。実は人間。それなのに、人間が地球を破壊するから抑制しよう、と考えていたみたいです。とても複雑な人だよなぁ・・・ まぁ分からないでもない。

  人間が、この地球を破壊しているのだからなぁ。それで自分自身の首をも絞めているのだから、おかしなはなしです。


自森人読書 寄生獣
★★★★★

著者:  水樹和佳子
出版社: 

  言葉が力を持ち、真言告(マコトノリ)と呼ばれていた古代の日本が舞台です。時代を経るごとに何故か目に見えぬ神々は姿を消していき、目に見える神々に人々は付き従うようになります。しかし、神は2派に分かれていました。一方は平和を尊ぶ亞神の神々、もう一方は争いを好む威神の神々です。

  物語は、ある集落から始まります。その村には、青比古(アオヒコ)という青年と、鷹野(タカヤ)という少年がいました。ある日、赤い布に包まれた赤子が川から流れてきます。彼女はトオコと名づけられます。トオコは、真言告(マコトノリ)をよく使いこなすようになります。それで、何故かよく不思議な傷がついていたりしました。それはいったいどうしてなのか・・・

  これは傑作だ、と読んでいて思いました。自由の森学園の図書館にもぜひ置いて欲しいなぁ。どうしてないんだろうか・・・ 月刊誌「ぶ~け」に連載されていたマンガだそうです。僕はあとから生まれたので、その連載を追っかけられない代わりに全ての物語を1度に読めてしまうのですが、ものすごく面白くてとめられなかったです。

  絵がきれいです。少女マンガっぽい感じ、というのかなぁ。美男美女しかいない。

  著者の書くとおり、全編血みどろのストーリーというのに近いです。だけど、面白い。途中までくると、最後もだいたい分かってきてしまうんだけど(よくある展開といえばよくある展開、かなぁ)、だけどやっぱり面白いです。


自森人読書 イティハーサ
★★★★

著者:  上橋菜穂子
出版社: 偕成社

  ナイラ星に、地球人が移住してきてから200年。ナイラ星は、鉱物資源に恵まれていたので、地球人にとってはとても役に立つ星だった。地球人が進出する中、異星人ロシュナールは急速に滅亡しつつあった。いったいそれはどうしてなのか・・・?

  あとから来た者が先住民を滅ぼす、というのを読んでいて、アメリカ大陸の歴史を思い出しました。アメリカ大陸では、先住民であるインディアンをヨーロッパの人達が侵略したんだよなぁ・・・ 作者は意識して書いているのかもしれない、と少し思いました。だけど、この『精霊の木』では、大陸どころではなくて、惑星をまるごと人類が侵略してしまいます。

  「壮大」な物語にはならず、小さい個人に寄り添った感じなのが良いと思いました。

  僕は『スター・ウォーズ』という映画が好きです。まぁ要するにあっさりとした勧善懲悪の物語なのですが、とても面白いのです。でも現実はこうはいかないだろう、と思います。悪は悪、善は善と区切れるわけがない。まぁ、映画と現実を取り違えたりしなければいいだけのはなしなのですが。現実も同じように悪は悪、善は善とはっきり色分けされていて、悪はぶっ潰せばいいと考えてる人が世の中にたくさんいる気がします。この『精霊の木』はそういう単純な見方は現実には通用しないのではないか、ということを分からせてくれます。

  『精霊の木』を、スター・ウォーズと対比する、というのはなんか変な感じだ。自分でごちゃごちゃ書いておいてその上何を書いているんだ、という感じですが。

  この作品が、 『精霊の守り人』へつながっていったんだなぁ(直接のつながりはないけど)と思うと、ほーと納得する部分があります。


自森人読書 精霊の木
★★★

著者:  池澤夏樹
出版社: 河出書房新社

  不思議なすっとするおはなしだなぁ、と思いました。ときが経ったとき、人類はどうなっているのか? 文明とは何なのか? 科学者がそういうことを書くと、理解不能なほど難しくなったりするんだけど、池澤夏樹が書くと日常の世界とのつながりみたいなものがあっていいかなぁ、と思いました。しっかりと物語として成り立っている気がします。

  はなしは宇宙にまで拡がるけど、別にアイザックアシモフのはなしみたいに大戦争が起こったりはしません。やっぱり自分とその周りの世界です。あまり色が思い浮かばない物語だなぁ、と感じました。白っぽいぽんやりしたのと、漆黒の宇宙のイメージくらいしか思い浮かびません(どんな説明だ、という感じですが・・・)。

  タイトルの意味は最後らへんになると分かってくるかも知れません。

  各所に写真がはさまっているのが面白いです。イメージが固定されて、良い悪い半々というけど、ときどきこういうのもあるのは面白いなぁ、と僕は思います。『 NO.6』でも同じようなことをやっていたなぁ、そういえば。


自森人読書 やがてヒトに与えられたときが満ちて…
★★★★★

著者:  宮崎駿
出版社: 徳間書店

  シュナという王子の物語です。王子は、国の人たちが豊かな暮らしを手に入れるために、生きている麦を求めて旅をしていました。そんなある日、奴隷の少女を見て、彼女を救います。そのあと、また生きている麦を求めて旅を続けていくのですが・・・・・

  家にあったので、手に取りました。チベット民話「犬になった王子」が元となっているそうです。その「犬になった王子」というのは、麦を求めて王子が旅をするという民話なのですが、『シュナの旅』もあらすじは同じです。

  宮崎駿の絵物語。登場人物たちのセリフはほとんどありません。マンガというより、絵物語といったほうがしっくりきます。全体的に、『風の谷のナウシカ』と似通った感じがします。絵が似ています。ヤックルも登場するし。映画版『ゲド戦記』に影響をあたえたといわれます(原案になったんだっけ)。それなのにどうして映画『ゲド戦記』はあんなふうになってしまったんだ・・・ むしろこの『シュナの旅』をそのまま映画にして欲しかったです。

  鮮烈な色が使われていなくて、ほんわかした柔らかいタッチです。きれいです。全く趣きは異なるけれど(というより物語ですらないけど)『イーハトヴ博物館』と同じように、異世界を美しく表現しているなぁ、と感じました。どちらもいいなぁ、と思います。好きです。


自森人読書 シュナの旅
★★★

著者:  奈須きのこ
出版社: 講談社

  恐怖という感情が欠落した白髪の男・石杖所在(いしづえ ありか)は、迦遼海江(かりょう かいえ・男)なる人物に雇われていた。美少女に見えるが実は男の海江は、「悪魔憑き」という奇病に興味を持っていた。所在は、海江に付き合わされて、人間の憎悪に反応して義手となる「盲目の黒犬」を借り、「悪魔憑き」の悪魔払いをすることとなる・・・

  「悪魔憑き」とは、感染すると、精神ばかりではなく肉体までも変貌させてしまう奇病のこと。正式名称は、アゴニスト異常症(A異常症)。精神病の一種に分類されるが、あまりに危険なために極秘裏に国が保護している、という。

  あらすじを書いているはずなのに、あまり意味の分からない文章になりました・・・ ちょっとホラーっぽい感じの物語です。奈須きのこは、「新伝奇」と銘打たれているし、当然かなぁ。最初から、あれこれは夢なのか、本当なのか、というのがあやふやで、よく分からない。首が360度回転する、とかそんなのがでてきてしまいます。

  当て字とか、西尾維新に似ているかなぁ。西尾維新と奈須きのこを一緒にするな、と西尾維新のファンからも、奈須きのこのファンからも言われそうだけど。

  ついでに、タイトル『DDD』というのは、何かというと・・・ Decoration Disorder Disconnection(デコレーション・ディスオーダー・ディスコネクション、ディーディーディー)の略だそうです。


自森人読書 DDD
★★★★

著者:  安能務
出版社: 新潮社

  あるとき、殷の王、紂王は女神・女カ(ジョカ)がもし自分のものであったならどんなによかろうか、という詩を、よりによってその女神の祭祀で読みました。すると女神は激怒し、狐狸精に紂王を惑わして殷を滅ぼすよう命じました。狐狸精は、紂王の後宮に入ることになった美女、冀州侯の娘・妲己の体に入りこみ、紂王を篭絡します。紂王は操られ、暴虐な君主になってしまいました・・

  そうして人間界では、そんな紂王に対する叛乱が各所で巻き起こりました。その頃、仙人の世界では、落ちこぼれの仙人と、凄すぎる人間の扱いに困り、そいつらを皆殺しにして神に祭り上げてしまおう、というような計画がスタートしました。そしてその計画のために人間の世界におくりこまれたのが太公望・姜子牙です。彼は四不象に乗っかって、人間世界へやってきました・・・

  安能務による「超訳」版封神演義です。もともと「封神演義」というのは理解不能な、ごちゃごちゃの物語なのですが、それを安能務がきれいにまとめて、筋書きを作ったものです。なので結構原作とは違います。

  もともとの原作ではちゃっちい悪役に過ぎなかった申公豹が、安能務版ではけっこうかっこ良い男になっています。そして、姜子牙に対抗する物語のもう1人っぽくなっています。僕は安能務版の申公豹が大好きなので、原作に忠実なほうを読んだときは落胆しました。


自森人読書 封神演義
★★★

著者:  半村良
出版社: 角川書店

  自衛隊が日本海沿岸で演習していました。そのとき突然、時間がぶれて、伊庭義明三尉と、その部下などの一団が戦国時代へと放り込まれてしまいました。戦国時代には、なぜか織田信長が存在していませんでした。伊庭義明らは、その事実に戸惑いつつも上杉謙信と同盟を結んで、積極的に歴史に介入していきます。そして戦国自衛隊は、近代的な武装と戦術でもって、武士たちを圧倒していきますが・・・

  もしも自衛隊が、戦国時代にタイムスリップしてしまい、戦国時代の騎兵や歩兵と戦ったらどうなるのだろうか? 歴史好きな人なら誰もが考えそうなことです。それを小説化してくれたのがこの「戦国自衛隊」です。歴史を変えようとしながらも、歴史に呑みこまれてしまうラストが印象的でした。

  あまりまじめに書いていないので短いです・・・


自森人読書 戦国自衛隊
★★★

著者:  福井晴敏
出版社: 幻冬舎

  人類の過ちによって地球は壊滅寸前になってしまった。人々は、地球と月に分かれ住むこととなる。地球の民は、これまでの科学技術を自ら封印し、そのほとんどを失ってしまう。月の民は、地球という故郷を眺めみるだけの日々を過ごすようになった。

  それから2000年が過ぎた。月の民は、故郷地球への帰還を望むようになった。そして、地球帰還作戦をたてて、地球へ降下していく。だがそこに大きな悲劇が待ち構えていたのである・・・

  ガンダム好きな福井晴敏が、アニメになり、映画にもなっている『∀(ターンエー)ガンダム』を小説化したもの。とはいっても、アニメとは全然違うストーリーらしいです。

  やっぱり字が小さいのに分厚いなぁ。この物語の中で1つのテーマとなっているのは、進化と退化の波は繰り返している、ということです。それと似たものが、同じく福井晴敏の書いた『戦国自衛隊1549』という本の中に登場します。歴史の修正作用ともいうべきものです。何か巨大な歴史の流れのようなものが、歴史から本来存在しなかった異物を完全に除去してしまうのです。

  そういった人智ではとらえきれぬほど壮大なリズムというか、流れのようなものが歴史には存在するのだろうか、というのはとても面白い疑問だなぁ、と思います。歴史は多少の誤差があっても収斂していって結局元通りの流れに戻るのか? そんなことはタイムマシンが開発されてみないと分かりません。でも、想像してみるのは面白いです。どうなんだろうなぁ。


自森人読書 月に繭 地には果実
★★★

著者:  恩田陸
出版社: 幻冬舎

  九州の水郷都市、箭納倉。3件も失踪事件が続いた。失踪したのは、みな堀の近くに住む老女たちでした。いったい何が起こっているのか・・・? 不思議なことに彼女達は記憶を失ってひょっこり帰ってきたのです。宇宙人にでもさらわれたのでしょうか。事件を追うものたちは、「人間もどき」の存在に気付きます。なんと帰ってきた人たちは、本人とまったく同じでありながら、別人だったのです。彼らは1人ひとりでありながら、「つながって」もいました・・・

  全く違うタイプの物語なのですが、梨木香歩の「沼地のある森を抜けて」を思い浮かべます。ぶつかる全体と個。一緒になりたい、同化したいと願う気持ち。それとともに独立していたいという気持ち。それがギシギシとぶつかります。

  最後みんなが1つの意思につながるのは、僕にとってはいやでした。納得できないです。1つになりたいというのは、決して究極の形ではなくて、全てをリセットした「1」に戻るだけのような気がします。ゆりかごへ戻ってしまう、というか。まぁ「月の裏側」ではそこにもしっかり触れています。最終章の一つ前までは、みんな同化してしまうことを嫌がります。でも、最後ですとんと騙されたみたいに受け入れてしまうのです。

  最後も爽やかには終われません。どこかじとっとしているなぁ。

  そういえば、爆笑問題の大田が毎回下ネタで語る、「一緒になりたいけど一緒になれない、そのすれ違いこそ人間の面白さだ」という哲学っぽいのとも似ている気がしました。


自森人読書 月の裏側
★★★

著者:  梨木香歩
出版社: 新潮社

  うめく「ぬかどこ」というのがさらりと登場して物語は始まります。これはいったいなんなんだ、とよく分からず、物語を読みすすめていきました。うめく「ぬかどこ」から卵とか、幽霊みたいなのがうまれてしまう・・・? う~んなんだかよく分からないと思っていたら、だんだん命とは何なのだろうか? という部分につながっていくみたいでした。そして、酵母研究者である風野さんともに、「ぬかどこ」の故郷の島へと渡っていきます・・・

  不思議な誰とも知れない「僕」とシマの物語がはさまります。それはそれだけでまた1つの物語をつくっていて、でも本編ともテーマとしてはつながっているような気がします。どうなっていくんだろう・・・ まったく想像できない。どこへいくのだろうか・・・?

  生物は、いろんな膜というか境界線を超えていこうとして、それでも孤独であり続ける。自分の遺伝子を残したい、という男の欲求というのは、最初の細胞の圧倒的な孤独が根っこにあるのかも知れない。自分達とは違うカタチのただ「1つ」の生き物たちだっているだろう。だがわたしたち生物の個は孤独を抱え続けるのかも知れない・・・

  う~んまったく説明できないです。ぜひ1度読んでみることをおすすめします。あまりにも難しくて、あまりにもきれいです。ぬかどこからここまで物語が広がるのか、と驚きます。


自森人読書 沼地のある森を抜けて
★★

著者:  あさのあつこ
出版社: 講談社

  2013年、紫苑は理想都市の1つ『NO.6』に住んでいました。9月7日、12回目の誕生日を迎えた日。彼の運命を変えるできごとが起こます。その日、ふとしたことから、矯正施設から抜け出してきた謎の少年「ネズミ」と出会い、彼を介抱してあげたのです。けれども、それが治安局にばれてしまい、『NO.6』の中央に近い『クロノス』から『ロストタウン』へと追いやられてしまいます。

  その後、紫苑は「理想都市」とは名ばかりの『NO.6』の現状を思い知らされていくこととなります。知れば知るほど、メッキが剥がれて残酷で救いがたい都市の行為が分かってきます。『NO.6』拡張のときの虐殺。何がなされているかはっきりしない「矯正施設」。そして紫苑たち、『NO.6』の内側の人達は、自分達の問題でありながら、それを知りません。無知は罪だ、とすら言えます。

  紫苑は魔物のような『NO.6』の正体を知ってどうするのだろうか・・・

  近未来小説だそうです。僕はとりあえず、あさのあつこの文章が好きではありません。物語は展開しないし、くどいし。まぁ一言で言うなら、気に食わないわけです(けどそれじゃ身も蓋もないのでいろいろ書いてみている訳です・・・)。そのせいなのか、この本自体がどこかの小説を換骨奪胎してきて短縮したありきたりのストーリーに思えてきます。なんか絶対前に同じようなはなしを読んだような気が・・・

  あさのあつこファンの人に喧嘩売ってるみたいです・・・ すみません。読めないことはないんだけど、続きを読む気にならないなぁ、『バッテリー』と一緒で。


自森人読書 No.6
★★★★★

著者:  恩田陸
出版社: 集英社

  1936年2月26日、東京。日本が無謀なる軍国主義へと向かっていくきっかけとなったとも言われる2・26事件が起ころうとしていたその時。国連がその時間を介入点に選び、歴史の「修正」にのりだします。国連は時間遡行の技術を完成させ、それでもって世界の歴史をよりいい方向へ導こうとしていたのです。けれども事態は予定通りに行かず、じょじょに違う方向へ向かうことに・・・

  ありがちな設定なのだけれど、ありがちを超えているなぁ、と感じました。時間遡行によって起こるパラドックスなんかにはそこまで深くは触れずに通り過ぎていました。それがとても良かったのだろうなぁ、と思います。深入りすればするほど、はなしは混みあって難しくなります。それだけで1つの小説ができてしまうくらいです。

  でも、『ねじの回転』では、2・26事件という、歴史上の大きな事件と、何人もの人の思惑の絡み合いを書いています。もしタイムパラドックスのことに突っ込んでいったらまぁなんとなくだけど、収まりがつかなくなっていたような気がします。

  1936年を生きる安藤輝三大尉、栗原安秀中尉、石原莞爾大佐たちの思い。3人の思いはばらばらです。ただし、国連の言うがままに行動するのではなく、出来うる限り自分の望むように歴史を改変しようと目指します。

  『昭和維新』を掲げて立ち上がった栗原安秀中尉は、『昭和維新』を成功させようと尽力します。彼と同じ立場の安藤輝三大尉も、同じように考えています。2人とは対立している石原莞爾は、『昭和維新』阻止、東条ら軍部にすすめられた愚行、第二次世界大戦を出来る限り、日本にとって良い形になるように動きます。3人ともかなり頭の切れる男たちです。

  その中でも、石原莞爾はぼくが気に入っている人です。恩田陸のこの作品の中では「俺はただの変人だ。法華経にかぶれ、紙の上の戦争を夢想した偏屈な男に過ぎない。」と独白しています。満州事変を起こした張本人であり、2・26事件を糾弾し、東条とは対立し、我が道をすすんだ軍人です。考えていることが面白いなぁ、と思います。

  歴史を修正している国連メンバーの思いもしっかりあります。でもそれよりも昭和の時代の軍人たちの思いのほうが印象に残りました。物語は、途中でだんだん計画は破綻していきます。そして実は真の黒幕がいた、ということが分かったりもするのですが・・・ まぁだいたい予想通りでした。途中で、鈴木貫太郎が退場したときにちょっと考えた流れがあてはまってしまった・・・ なので星は4つで。それでも、ものすごく面白いです。おすすめです。


自森人読書 ねじの回転
★★★

著者:  井上ひさし
出版社: 新潮社

  フン先生が書いた小説から大泥棒、ブンが飛び出してきます。そしてとんでもないことを次々しでかします。自由の女神の手に、巨大なソフトクリームが・・・ 誰もが絶句する壮大な悪戯。警察は、必死でブンを逮捕しようとします・・・

  ギャグが満載の基本的に楽しいおはなしです。僕はけっこう面白いなぁ、と感じました。最近の小説を読まない若者にこれを読んで欲しい、と言う人がいるけど、それは無理だと思います。この面白さというのは読書しない人には伝わりにくい気がします。想像力みたいなものを求められるからなぁ、けっこう。むしろ最近の若者にとっては、あの恩田陸のぱっと頭の中に映像が浮かびそうな文章の方が伝わりやすい気がします。そちらの方がいい、とは僕は思わないけど。

  この本を井上ひさしさんが書いていることをこの感想を書くために確認するまで知りませんでした。『ブンとフン』を読んだ中1の頃は、まだ憲法9条とか政治のはなしにあまり興味がなくて、井上ひさしという人のことも知らなかったからです。こんな面白い本を書く人が、9条の会の「呼び掛け人」もやっているのか。世の中って面白いなぁ。


自森人読書 ブンとフン
★★★

著者:  小野不由美
出版社: 講談社

  普通の女子高生、中嶋陽子はある日、いきなり怪物に襲われます。そこから救い出してくれたのは、ケイキという男でした。彼は、陽子を異世界へと連れて行ってしまいます。陽子は、異国の人だということで散々な目に遭います。そしていきなり国王になることを迫られます・・・

  というのが『月の影 影の海』です。このシリーズには、一貫して登場する主人公はいません。僕は主役級の一人、延王 尚隆が好きです。普段は奔放で好き勝手やっているんだけど、いざとなったら活躍する、という人物です。十二国記は、とりあえずうじうじして暗い人物が多い。だから、なおさら尚隆ってかっこいいなぁ、と思います。ありがちなキャラクターだけど。

  で、その異世界というのはどういうところかというと。神仙や妖魔の存在する、古代中国の伝説の世界(山海経みたい)です。天意を知る神獣・麒麟によって選ばれたものが王となって君臨。王が無道なことを行わない限り、王と麒麟はともに不老不死みたいです。王が過ちをおかすと、それは麒麟の病となって表れます。病気が酷くなると死んでしまいます。

  そういう天意を受けた国王と麒麟が12人と12いて、その異世界には12個の国家があります。でも、その天意というのが、いまいち分かりません。この物語の1つのテーマはそこです。いったい天意とは何なのか? 誰か、例えばどこかの神さまの意思なのだろうか? それとも世界を監視している精密な機械があるのだろうか?(『地球へ・・・』のマザーみたいな感じの)

  精密な機械ということは無さそうです。この古代中国をもとにしたような十二国記の世界観から逸脱してしまう気がします。とすると、やはりどこかに全てを司る神様がいるのだろうか? 早く知りたいなぁ、と思います。ぜひ続きが読みたいです。でももうだんだんと飽きてきました。期間があくとどうも・・・

自森人読書 十二国記シリーズ
★★★★

著者:  田中芳樹
出版社: 角川文庫

  舞台は中世ペルシャ風の世界・パルス。主人公は王子・アルスラーンです。2部構成で、ルシタニアに征服されたパルスを救うべく王子、アルスラーンが立ち上がり、それを成し遂げるまでが第1部(ここまでで6巻)。伝説の中から蘇った蛇王ザッハークとの戦いが第2部です。まだ完結していません。

  長い物語なので、あらすじを説明していくと長くなるのですが。まぁ一言で説明するならば、王子アルスラーンと彼のもとにじょじょに集う十六翼将たちが、敵を倒していくおはなしです。

  最初は、ルシタニアとの戦いから始まります。パルスはアルスラーンの父・アンドラゴラス三世の時代にルシタニアによって征服されてしまいました。ルシタニアは、イスラムを侵略した十字軍のイメージで、宗教を盾にして平然と蛮行を行い、むしろそれを功績のごとくに言う軍隊です(異教徒の赤子を何人殺したから俺は偉い、と赤子殺しを正当化したりする)

  アルスラーンは、そんなルシタニアと戦うことを決意します。さのとき、彼を支えたのが、ダリューンとナルサスでした。ダリューンは黒衣の騎士として、他国にまで名を馳せる勇将で、戦いではほとんど最強といっても過言ではないほどの強さを誇ります。ナルサスは政治・軍事両方に長けた智将です。ただし絵がものすごく下手・・

  その2人を筆頭に温厚で人柄のいい少年、アルスラーンのもとには続々と人が集まってきます。そんなアルスラーンの敵はルシタニアだけではありませんでした。父であるアンドラゴラス三世は、アルスラーンの力が強大になるのを恐れてか、冷たく扱い、その上アルスラーンの積み上げた実績を全て自分のものとしてしまいます。

  そして、ヒルメスも、アルスラーンの邪魔をします。銀色の仮面をつけた、ルシタニア人の下で働く男です。実は彼は、王族の一員で、武勇に優れた人物でした。途中でルシタニア人を裏切り、パルス再興を目指します。

  そんな感じでアルスラーンが王になるための道程は決して楽ではありません。けれども、最終的には、その懐の深さから全ての困難を越えていきます。

  第2部はアルスラーンが王になってからの物語です。暴虐を尽くしたと伝説で伝えられている蛇王ザッハークが封印を破り、復活しようとするのです。それをとめられるのはどうやら王であるアルスラーンだけらしい。またもや、アルスラーンに危機が襲い掛かります。それをどうやってふり払って進むのか?

  まだ物語は完結していません。続きが楽しみです。でも田中芳樹はなかなか続きを書かないことで有名な作家だからなぁ。いつ完結するんだろう・・・

自森人読書 アルスラーン戦記シリーズ
★★★★★

作者:  田中芳樹
出版社: 徳間書店

  銀河系を舞台に、銀河帝国と自由惑星同盟、フェザーン自治領が、三つ巴の戦いを繰り広げる物語です。まず、ページをひらくと、人類が宇宙へ飛び出し、銀河系に拡大していった様子が淡々と語られていきます。歴史小説ふうの文章が嫌いな人はこの時点で、もう本を閉じてしまうかもしれません・・・

  そうして、延々と歴史が語られていき、宇宙暦776年/帝国暦467年に到達して主役たちが登場します。そして物語は、ふたりの主人公、ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーを中心に展開していきます。

  ラインハルト・フォン・ローエングラムは、銀河帝国の軍人です。姉が皇帝の後宮に召されてしまいます。そこで姉を奪った皇帝、ひいては門閥貴族の支配する帝国への憎しみを抱くようになりました。彼は戦争の天才であり、政治家としても優れていました。なので、帝国を倒して自分が皇帝になり、さらに宇宙を統一しよう、と目指し、全てを成功させていきます。

  彼の前に立ちふさがったのがヤン・ウェンリーです。ヤン・ウェンリーは自由惑星同盟の軍人です。彼は天才的に戦争のうまい男でした。そして、民主主義の抱える矛盾に悩みつつも、民主主義を信じて戦います。

  独裁主義と、民主主義どちらを選ぶのか?

  ラインハルトは腐敗した独裁主義と民主主義を踏み潰して、新たに清新な帝国を築き上げてしまいます。そして、悪政をおこなう民主主義よりも、善政をおこなう独裁主義の方がいいだろう、と問いかけます。そこで待てよ、と踏みとどまったのがヤン・ウェンリーでした。結局迷いつつも、ラインハルトと戦い続けることとになります。

  この文章を読むと、なんだかヤン・ウェンリーってかっこいい「民主主義の戦士」みたいに聞こえるかも知れないなぁ。でも、「ごくつぶしのヤン」「無駄飯食いのヤン」とか言われる怠け者なのです。その上ひねくれ者・・・ そういうキャラクターの落差っていうのはとても面白いです。人の魅力っていうのは、案外そこらへんにあるような気がします。

  その他にも魅力的なキャラクターがたくさん登場します。そこで興味深いのは、この物語の中ではどんな凄い人でも、歴史を大きく揺り動かすことなんかできない、ということです。

  ただ1人、ラインハルトのみが、歴史をかなり動かしていきますが、それでも大切な親友を失い、ヤンには勝てず、思い通りにはいきません。1人の力で世界が救われたり、変化したりする物語、というのはよくあります。でも世界はそんなに簡単じゃないな、と思います。超能力を持った人間も、エイリアンも、アンドロイドもでてきません。でもだからこそ逆に見えてくるものがあると思います。

  とりあえず、手にとってみることをおすすめします。みみっちい機械の説明なんかほとんどありません。壮大な宇宙を舞台に、艦隊どうしがぶつかり合い、伝説が創られていきます。

  ひねくれ者・ヤン・ウェンリー。
いつもはぼやっとしていますが、ひねれるときはひねくれる・・・

   「貴官、なぜ、起立せぬ?!」
ヤン「この国は自由の国です。起立したくないときに起立しないでよい自由があるはずだ。
    私はその自由を行使しているだけです」
   「ではなぜ、起立したくないのだ」
ヤン「答えない自由を行使します」





自森人読書 銀河英雄伝説シリーズ
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