忍者ブログ
自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
[30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

これは面白い、とすすめられて読みました。物凄くかっこいい小説でした。
『ストーカー』
のどかな田舎ハーモントに、突如として〈ゾーン〉が発生します。〈来訪者〉がうみだしたものだと考える人もいますが、それが発生した理由は定かではありません。その内部には不可解な効果をもたらす物がたくさん転がり、物理法則を無視した異常な現象が日々発生しています。ですが、ストーカー(密猟者)たちは危険をもろもせず、密かに〈ゾーン〉へと侵入し、金になるものを持ち出し、うりさばいています。主人公レドリック・シュハルトもストーカーの一人。家族を養うためストーカーとして活躍しています。彼はどんな願いでも叶えてくれるという〈黄金の玉〉の噂をきくのですが・・・

ロシアのSF小説。原題は『路傍のピクニック』だそうです。

ファースト・コンタクトというか、人間は人間以外の存在とコンタクトすることが可能なのか、というようなことが問われています。しかし、宇宙人が登場するわけではありません。具体的には、不可解な事態に困惑する人間とその社会が描かれています。とはいっても高みからそれら語るわけではありません。レドリックとその周囲のことが綴られています。非常に泥臭いです。

〈ゾーン〉というのは〈来訪者〉がピクニックしたあとに残していったゴミなのかも知れない、と科学者が指摘します。だとすると、それに群がりつつも翻弄される人間は蝿のような虫けらなのか、と考えさせられます。

どうしてもレムの『ソラリス』を連想します。

世界を人間中心に解釈し、宇宙さえも人間世界の延長として捉えてしまう王道のSFでないところは共通しています。しかし、微妙に異なる気もします。ストーカーであるレドリックは、宇宙人とのコンタクトなど欲しません。家族とともに出来うる限り幸せに生きていくことを望んでいるだけです。彼は組織や集団に縛られることを拒否し、出来るだけそれらにはめこまれないように生きていこうとします。でも、利己的な部分もあるし、思い通りにいかないことをたくさん抱え込んでもいる普通の人間です。

ラストが素晴らしいです。レドリックの叫びは痛々しいけど、途轍もなくかっこいいです。


読んだ本
A&B・ストルガツキー『ストーカー』

読んでいる最中
まどみちお『ネコとひなたぼっこ』
ルーファス・バトラー・セダー『SWING!』
大江健三郎『芽むしり仔撃ち』
本の雑誌編集部『本屋大賞〈2007〉』
PR
★★★★

著者:  横山秀夫
出版社: 講談社

  横山秀夫の短編集。『動機』『逆転の夏』『ネタ元』収録。

  『動機』
  警察手帳一括保管を提案した警官が危地に追い詰められた警察官・貝瀬の物語。この事件は内部の犯行なのか、外部の犯行なのか・・・? 貝瀬は独自に追求していくのですが、最終的には意外な人が犯人と分かります。

  『逆転の夏』
  かつて女子高生を殺してしまった男が主人公。彼のもとに殺人依頼の電話がかかってきます。どうしてその事実が、その何者かにばれているのか・・・?どんでん返しが見事。

  『ネタ元』
  女事件記者の物語。彼女は、主婦殺人事件のまとめを担当していました。しかし、やたらと飛ばす原稿を求められ、反発。そんな中で、東洋新聞という大手から引き抜きのはなしを受け、心揺らぐのですが・・・
  『密室の人』
  裁判中に居眠りしてしまい、窮地に追い詰められた裁判官の物語。妻の名を連呼したことが致命的。彼はどうなるのか・・・?

  横山秀夫という人の短編小説は重くて面白いです。まっとうな主人公。彼らに重くのしかかる過ちや、過去の出来事。とても重くて、読んでいて疲れを感じるほどです。しかし、そこが良いのではないかと感じます。これで長編だったら、読むに耐えないだろうけど、短編だから入っていけます。

  ぎゅっと圧縮された物語と、短く切られた読みやすい文章。それがうまい具合にかみあっています。凄い、というしかないです。


自森人読書 動機
『順列都市〈下〉』
物語の舞台は近未来の地球。人格や意識や記憶さえもコンピュータの中に取り込むことが可能になり、富豪たちは<コピー>としてコンピュータの中でいつまでも生き続けるようになります。そこへ、ダレムという男が現れます。彼は、たとえ宇宙が消滅しても安全でいられる場所を見出すことができると言い出すのですが・・・

SF小説。

生粋のサイエンス・フィクションと呼ぶにふさわしい作品。イーガンはトンデモと言われかねないようなアイディアに、真正面から挑みかかります。少し強引な気もするけど、凝っていて素晴らしいです。細部までよく練られています。

人物描写はぎこちない気もするけど、別に変なわけではありません。

あまりにも様々な物が詰め込まれすぎているので訳が分からなくなるのですが、<コピー>に関する問題(倫理的にどうなのか、<コピー>は本人とは異なるか)、塵理論(その発見・解明・利用)、不死と罪の問題、世界の創造に関する問題(人は神/創造主たりえるか、倫理的に許されるか)、擬似的なファーストコンタクトなどが扱われているようです。

カフカ、『ユリシーズ』といった作品が、名前だけとはいえ少し登場するところは面白いです。SFというジャンルにこだわりつつもその中にすんなりと収まるつもりはない、というイーガンの意思表示なのかなぁ、と感じます。影響を受けているみたいだし。

とにかく示唆に富んでいます。

科学は人に何をもたらすのか考えさせてくれます。もしかしたら、科学は生命そのもの/生きるという行為自体を解体していくのかも知れない、と感じました。


読んだ本
グレッグ・イーガン『順列都市〈下〉』

読んでいる最中
A&B・ストルガツキー『ストーカー』
『アメリカの鱒釣り』
「アメリカの鱒釣り」を巡る47の物語、あるいはその断片。最初の章『『アメリカの鱒釣り』の表紙』では、表紙が説明され、ベンジャミン・フランクリン像について書かれています。どれだけ読んでも「アメリカの鱒釣り」が人なのか、物なのか、思想なのか、よく分かりません。人っぽいけど。

不思議な小説。

ブローティガンは詩人としても有名だそうです。『アメリカの鱒釣り』という小説も、詩のようです。全体としては訳が分からないけど、一文一文が面白いです。

< 去年の秋突然、<アメリカの鱒釣りちんちくりん>が、壮麗なクロームめっき鋼鉄の車椅子に坐ってよろよろとサン・フランシスコに現われた。/ かれは脚のないヒステリーの中年アル中のようだ。/ あたかも旧約聖書からの一章のように、かれはノース・ビーチに降り立った。かれは、秋になると渡り鳥が旅立つ理由そのものである。大地の冷え冷えとした回転そのもの、甘い砂糖を吹きしばす悪しき風だ。>というような感じ。全文引用したくなってきます。

とはいえ、とにかく意味を読み取ることが困難なので、困惑します。

しかし、読みづらいわけではありません。文章は簡潔だし、全体的にポップな印象を受けます。それなのに読み終わってみると全体としてどうだったかということがよく分からないのです。本当によく分からないです。

『アメリカの鱒釣り』は『白鯨』のあとを受け継ぐ作品なのではないかと訳者は指摘していますが、どうなのだろう。

『アメリカの鱒釣り』は、アメリカで巻き起こったビート・ジェネレーションの一翼を担ったそうです。ビート・ジェネレーションをよく知らないので、これから読んでみたいです。

もしかしたら、高橋源一郎はブローティガンの後継者なのかなぁ、と少し感じました。


読んだ本
リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』

読んでいる最中
A&B・ストルガツキー『ストーカー』
★★★

著者:  歌野晶午
出版社: 文藝春秋

  主人公は、成瀬将虎。彼は常日頃から肉体を鍛えつつ、女の子と遊んでいました。そんなある日、後輩のキヨシからお嬢様・愛子の心を掴むために助力してくれないか、と相談を受けます。ちょうど運悪く、愛子の父が、轢き逃げ事件に遭って死去。保険金詐欺事件に関係したために殺されたのではないか、と推測する愛子は、成瀬将虎に事件の謎を解いて欲しい、と依頼してきます。

  同じ頃、成瀬将虎は地下鉄で飛び降り自殺を図った麻宮さくらという女性を助けます。2人はだんだんと仲良くなっていくのですが・・・ その2つの出来事が錯綜しながらも絡み合っていきます。そして、物語が最後の辺りに突入していくと、トンデモないことが分かります。

  タイトルからして、トリッキー。

  まさかそういう話だとは・・・ 意外性は抜群。ため息をつきたくなります。びっくりでした。歌野晶午という人は騙りの名手だと感嘆しました。小説だからこそ成立する叙述トリックが仕掛けられています。素晴らしい出来です。

  「その物」が何であるのかを誤認させられるのが小説の特徴です。「それ」は物なのか、動物なのか、人間なのか。人間だとしたら男なのか女なのか、何歳なのか、何者なのか。小説だとそれらを全て隠したまま物語を進行できます(テレビや映画では、そうはいかないと思う)。

  その小説という表現方法の特徴が、とてもうまく活かされています。これに★5つあげないわけにはいかないのではないか。でもどうだろうか・・・ いろんな意味であざとすぎる気もします。

  第4回本格ミステリ大賞受賞。『このミステリーがすごい!』2004年版第1位。本格ミステリベスト10/2004年版第1位。


自森人読書 葉桜の季節に君を想うということ
275ナラタージュ
★★★ 島本理生

274奇跡の人
★★ 真保裕一

273日本映画史100年
★★★ 四方田犬彦

272七都市物語
★★★★ 田中芳樹

271恋文の技術
★★★ 森見登美彦
★★★

著者:  島本理生
出版社: 角川書店

  主人公は大学二年の女性、泉。彼女は高校の頃の演劇部顧問、葉山先生に恋していました。2人は離れ離れになっていたのですが、卒業生も含めて演劇部の公演を行うという話になり、再び再開することになります・・・

  清冽な恋愛小説。さーっと流れていく文章が読みやすいです。「最高!」と絶賛する人がいるけどそこまで凄いとは感じませんでした。江國香織などの先駆者のあとを追っているようにしか見えません。でも決してつまらないということはないです。手厳しくけなしまくる人もいるけど、地の文は凄く綺麗だと思うし、とにかく読みやすいです。

  気になったのは会話の日本語。綺麗過ぎて、ちょっと違和感がありました。演劇やっている人たちだからしっかりした日本語を喋る、といわれたらまぁ納得しないでもないけど、ここまで整った日本語を喋る人がいるのだろうか? あと、臭いセリフが結構たくさんあるのですが、現実にそのようなことを言う人がいたら逆に気持ち悪いのではないか? まぁこれは小説だから良いのか。

  気になる点はいろいろあるけど、面白いです。「女学生が恩師に恋する」という設定は、昔からありがちだし、ある意味ではベタともいえます。ちょっと陳腐のような気もするけど、著者が上手に物語を運んでいくので、気になりません。

  というわけで★3つ。

  2006年第3回本屋大賞ノミネート作(6位)。


自森人読書 ナラタージュ
★★

作者:  真保裕一
出版社: 角川書店

  主人公は、相馬克己。彼は、衝突事故を起こしてしまい、一度は死に掛けます。しかし母親の献身的な介護と、本人の尋常ではない回復力によって生き延びることができました。全ての記憶を失ったものの、何年かかけて中学生程度の知能は得るようになります。つけられたあだなは、「奇跡の人」。彼は母の死とともに退院するのですが、自分はかつてどういう人間だったのか気になり、周りの人間の静止をとめて自分探しへと踏み出しますが・・・

  不気味な小説。

  裏表紙に「静かな感動を生む「自分探し」ミステリー。」なんて説明がついているのですが、もうまったくもって的外れではないか。読み終わった後には薄気味悪さを感じました。。「母」が、主人公克己を支えるのは、「博愛」の心があるではなくて、罪滅ぼしの思いを消せないからだとしか思えないです。

  長すぎて少しうんざりしました。読んでいて疲れます。

  最初のあたりは主人公が良い人なので読んでいられるのですが途中からはほぼストーカーと化します。しかもそれを本人は自覚しながらも認識できてはいないのです。かなり怖いよなぁ・・・ こうなってしまったら、どうしようもない、というか。

  ラストに到達してもそのラストには納得できないです。「博愛」みたいなものを作者は描こうとしたのかも知れないけど、うまくいっていない気がします。むしろ、どこか狂気を秘めたような感じ。う~ん、作者はホラー小説(全てが再び繰り返される)を書いたつもりなのか。だとしたらなかなかなんだけど、どっちなのかよく分からないです。


自森人読書 奇跡の人
★★★

著者:  四方田犬彦
出版社: 集英社

  大雑把に、しかし要点は押さえつつ日本の映画史を振り返っていくもの。まぁ見たことのない映画ばかりが紹介されているので、読んでもなんともいえないのですが。いろんな流れがあるということがよく分かりました。大きく分けて、「時代もの」と「現代もの」があるんだなぁ・・・

  弁士(映画の横で説明する人/だったけど、弁士で映画を選ぶ観客が現れるほど重要な存在だったらしい)の存在が日本の映画に大きな影響を及ぼした、という指摘があります。確かに、作者の言うとおりの気がします。日本映画の特徴として長い語りはよくあるよなぁ(そういえば、弁士の生き残りが『エロ事師たち』でも登場していて、おかしかったなぁ・・・ エロシーンに絶句していて何も説明できない)

  最近では、ピンク映画が新たな才能を生み出す土壌になっている、というのは面白い。そういう一種「低俗」とされているものから、新しいものは生まれるのかも知れない、と感じました。周防正行(『それでもボクはやってない』)も、もとはそちらからやってきたんだし。

  怪獣映画の大流行は、日本映画にしかない、というふうに書いてあるけど意外でした。もしかしたら、長いつながりがあるから、日本の怪獣映画は面白いのかも知れないなぁ。たとえば、ハリウッドで制作された『ゴジラ』は酷かった気がします。あれでは、もうトカゲか、もしくはヤモリかそんなようなものです。絶対に「ゴジラ」とはいえない・・・

  最後の辺りで、宮崎駿と押井守が並べられて紹介されていますが。2人は並び立つような存在なのだろうか。僕には、スタジオジブリが圧倒的としか思えないんだけど。まぁ国際的な評価とかそういう点では伯仲しているのかも知れない。よく知らないけど。


自森人読書 日本映画史100年
★★★★

著者:  田中芳樹
出版社: 早川書房

  大転倒という大異変が発生。地軸が90度転倒し、かつての南極と北極がそれまでの赤道地帯に移動してしまいました。人類は壊滅的な被害を受け、滅亡の危機に瀕します。しかし、月面へと移住していた人たちは助かりました。彼らが援助してくれたことで地上には7つの都市が建設されます。しかし、月の人々は、地球の7都市が反逆することを恐れ、地上500メートル以上を飛ぶ飛行体を撃墜するオリンポスシステムを宇宙に設置しました。ですが、月の人々は疫病によって全滅してしまいました。

  そうして、地球上の7つの都市と、そしてオリンポスシステムが残されました。空中戦を制限された中で、7都市はそれぞれの勢力を伸ばすべく戦争や政争を繰り広げます・・・

  近未来SF。群像劇。

  癖の強い政治家と軍人が登場します。田中芳樹の作品らしく、やたらと皮肉屋で、毒舌家で、しかも自分の仕える政権に批判的な人ばかり・・・ 元医師ながら非凡な才能を持っている将軍、AAA(アクロイニアのアルマリック・アスヴァール)、顔の傷跡が怖い将軍ケネス・ギルフォード、農業が趣味で危機になると力を発揮する政治家リュー・ウェイ、社会性にも協調性にも欠け、天才を自称するが確かに軍事的才能には恵まれているクルガン。彼らが手を取り合ったり、競合したりします・・・

  『銀河英雄伝説』より、硬いです。女性キャラはほとんど登場しないし。登場人物は嫌な奴ばかり。だたらこそ苦味があって良いんだけど。もっと続きを書いて欲しい、と思うほど面白いです。

  アニメ化されているそうです。


自森人読書 七都市物語
★★★

著者:  森見登美彦
出版社: ポプラ社

  主人公は、石川県七尾に送られて実験の毎日を送る男子大学院生、守田一郎。彼が京都の人たち(友人・知人・妹など)と文通する物語。なのですが・・・ 物語の全てが、手紙によって構成されています。書簡形式なわけです。しかも、守田一郎の送ったものだけしか掲載されていません。つまり守田一郎が貰った手紙はないので想像するしかないわけです。面白い仕掛けです。

  やっぱり森見登美彦は面白い、と感じます。

  バカというか、屁理屈を言いまくる「腐れ大学生」を描く巧さというのがまず良いのです。あとは、基本的に登場する人たちに極悪人がいなくて、みんなどこかおかしみ(滑稽さ)を持っているところも良いです。そして、とにかく登場人物が魅力的。犯人面している谷口さん、研究室を支配する「極悪人」大塚緋沙子大王、バカな兄を完全に把握しきっている頭の良い妹、マシマロマン、しかも作者・森見登美彦まで登場。

  読んでいると随所で笑えます。

  守田一郎が繰り出す偏屈な表現の数々。ほんとどうにかならないのか。失敗した恋文の練習がおかしすぎる・・・ マシマロマンが言い出してから延々と続くおっぱいの連呼。おっぱいってどれだけ書けば気が済むんだ、と思いきや結局、プロジェクターまで持ち出してしまい・・・ もう何やってんだか。

  森見登美彦は、とにかく文章の力が並みではないです。送った手紙だけ載せて、貰った手紙は載せないというような方法で物語を成立させてしまうというのはかなり凄いのではないか。最後に物語を収斂させていくところもさすが。


自森人読書 恋文の技術
『四畳半神話大系』
ある大学生「私」の物語。私はどのような大学生活を送る可能性がありうるのか、ということが綴られています。『第1話:四畳半恋ノ邪魔者』『第2話:四畳半自虐的代理代理戦争』『第3話:四畳半の甘い生活』『第4話:八十日間四畳半一周』で構成されています。私は、いつでも腹黒くてしかも妖怪のように不気味だけど顔が広い小津と出会い、そして、理知的な女性、明石さんに対して恋心を抱くのですが・・・

愉快な青春小説。

薔薇色の青春生活を夢見ながらも、結局のところ小津とつるむしかない腐れ大学生はいかにして違う道へ踏み出していくのか。3度も同じようなはなしが繰り返されるので冗長なのですが、だからこそ楽しいです。もちぐまなど、様々なアイテムが繰り返し登場するのですが、それも楽しいです。構成が考えられています。

SF的設定が巧みに取り入れられています。そして、理屈ばかりこねるひねくれた大仰で軽妙な文体が愉快です。

そして、とにかく登場人物が強烈。

腹黒くて妖怪のように不気味だけど顔が広くて、不幸を振り撒く小津、理知的でクールだけど、蛾が大嫌いな明石さん。いつでも紺色の浴衣をきて無精髭をはやしている飄々とした京都大学8回生、樋口清太郎。酔うと人の顔を舐め始める羽貫涼子。かっこよくて女の子からももてているのにラブドールを愛している城ヶ崎。

素晴らしい快作。


読んだ本
森見登美彦『四畳半神話大系』

読んでいる最中
A&B・ストルガツキー『ストーカー』
『おカルトお毒味定食』
松浦理英子と笙野頼子の対談集。タイトルはちょっと不気味ですが、中身はまっとうな対談になっています。2人とも小説家なので小説に関するはなしが多いです。どのように小説というものを書いているのか覗けて面白いです。

松浦理英子の作品は一度も読んだことがないので、これから読んでみたいと感じました。

フェミニズムという言葉があり、今では男女平等ということがいわれているけど、今でも女性は女性だというただそれだけで抑圧を受けているのだから、その抑圧を生み出す制度や言葉を壊す必要がある、と笙野頼子は言います。非常にかっこいいです。怒り/恨みが小説を書く原動力になっているというのは、小説を読んでいるだけでも感じられますが、改めて説明されるとさらによく分かることができます。

小説のことだけではなく、趣味のことなども綴られています。笙野頼子はジャズ、とくにドラムが好きなのだそうです。それが作品にも結びついているらしいので、これからは気にしてみようと思いました。

2人とも日常生活の中で、度々不条理な出来事に遭遇するのだそうです。感覚的に肉体を駆使できないからこそ、小説家は考え始め、小説家になりえるのかも知れない、と感じました。


読んだ本
松浦理英子、笙野頼子『おカルトお毒味定食』

読んでいる最中
A&B・ストルガツキー『ストーカー』
『神去なあなあ日常』
勇気は高校生卒業後、教員と親に謀られ、山林の中にある神去村に放り込まれます。彼はヨキという巨大な男に迎えられ、ヨキの家に居候することになります。そして、チェーンソーを使って山仕事に励むのですが、なかなかうまくいきません。祭りや神隠しが起こる、のんびりとしているけど熱い神去村での1年間が綴られています。

林業を扱った青春小説。

「なあなあ」とは、神去村で使われている言葉です。「ゆっくり行こう」「まぁ落ち着け」というような意味。

神去村は都会と異なります。奇妙なしきたりが数多く存在しているし、とても温かくてある意味ではうっとうしい共同体がまだ存在しているし、「山は神の領域だから立ち入らない」といった山への信仰が残っています。その辺りの描写が秀逸。あとは林業を扱っているところも面白いと感じました。自由の森学園の選択科目の中に林業もあるのにこれまでは言葉しか知りませんでしたが、『神去なあなあ日常』を読み、林業について少しは知ることが出来ました。


ヨキが飼っている賢い白犬ノコが可愛いです。火事のとき、自分が役立つことができないと落ち込んでしまうのです。

文体は軽くて練られていないようにも感じられますが、しっかりと言い訳が用意されています。主人公・勇気本人が書いた文章ということになっているのです。うまいなぁ、と感心しました。

三浦しをんの小説は、いつでも妙に甘くて隙があるし、文体も軽すぎる気がしていました(小説よりもエッセイの方が面白いかも、とも感じまていました)。だけど、『神去なあなあ日常』は楽しめました。三浦しをんの作風と文体が、ユーモア溢れる青春小説にマッチしているからだろうと感じました。


読んだ本
三浦しをん『神去なあなあ日常』

読んでいる最中
松浦理英子、笙野頼子『おカルトお毒味定食』
『蛇を踏む』
川上弘美の短編集。『蛇を踏む』『消える』『惜夜記』収録。

『蛇を踏む』
私は蛇を踏んづけてしまいます。すると、蛇は「踏まれたらおしまいですね」と言って女になり、私の家に住み着くようになりました。数珠屋「カナカナ堂」に勤める女性の物語。芥川賞受賞作。

『消える』
このごろずいぶんよく消えます。2週間前には上の兄が消え、昔は曾祖母が1年間消えたこともありました。五人の家族の物語。

『惜夜記』
「背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった」という一文から始まります。馬/カオス/紳士たち/ビッグ・クランチ/ニホンザル/悲運多数死/泥鰌/シュレジンガーの猫/もぐら/クローニング/ツカツクリ/ブラックホール/象/アレルギー/キウイ/フラクタル/獅子/アポトーシス/イモリで構成されています。夢をそのまま綴っていったような感じ。よく分からない作品。

どの作品もシュール。

文体は柔らかくて穏やかなのですが、妙なものが混じりこんでいるため気持ち悪いです。たとえば、『蛇を踏む』の場合は蛇がまぎれこんでいます。暗喩のように感じることもあるのですが、単なる法螺話のようにも思えます。蛇とは何なのか考え出すと訳が分からなくなります。

蛇とは女性にまとわりつく母性本能のようなものを指すのか、それとも広義のセックスのことか、それとも意味などないのかなぁ。どうなのだろう・・・ けど、考えずともただ読むだけでも面白いです。最後の辺りになってくると少しだれてくるところが玉に瑕のようにも感じられるのですが。


読んだ作品
川上弘美『蛇を踏む』
川上弘美『消える』
川上弘美『惜夜記』


読んでいる最中
三浦しをん『神去なあなあ日常』
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 20 ソロモン編・後』
とても面白いです。

ニュータイプという言葉が何度も使われます。ララァが本格的に活躍し始めます。

上層部の描写などが付け加えられていることで、物語に厚みが増している気がします。地球連邦軍最高司令官のレビルはちょっと勘違い気味なのだけどそれでも時代を敏感に感じ取り、それと向き合おうとしている優れた人物として描かれています。


読んだ本
安彦良和『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 20 ソロモン編・後』

読んでいる最中
川上弘美『蛇を踏む』
三浦しをん『神去なあなあ日常』
『モロイ』
要約することが不可能な小説。二部構成。

第一部
モロイの独白が綴られています。彼は様々なことをたらたらと連想します。100ページにも渡って改行がない上に、脈絡がないので、茫然とさせられます。「私は母の寝室にいる。・・・」という一文から始まります。どれだけ読んでも足に異常を持ち、母親を失い、自転車を好み、16個の小石を順番にしゃぶろうとして、ふらふらしているモロイというのは何なのかいまいちよく分かりません。困惑します。

第二部
頼まれてモロイのことを捜索するモランの報告。彼は父親のように振舞おうとして愚鈍な息子を使うのですが、なかなか威厳を保てず・・・

訳が分からない小説。

著者は何を書きたいと思っているのか分かりません。それにモロイというのは何者なのか、彼は何を目指しているのか分からないです。しかし、だからこそ一つひとつの文章にひきつけられるし、いろんなところで立ち止まることになります。

ベケットは定型化された小説をぶち壊し、絶対的な作者を抹消し、言葉や筋書き、ひいては小説自体を捉えられないものにしたかったのかも知れないと感じます。多分、読むという行為を一回限りのものにする企み、なのではないか。

ベケットの演劇『ゴドーを待ちながら』とも共通している部分が多くて面白いです。あと、「・・・ただこれだけ言っておこう、おまわりもとうとう。ぶつぶつ言いながら、退散してしまった。退散と言っても良いすぎじゃあない。私がもうこれ以上やっつけられそうもないと見切りをつけて最後の野次馬たちもそのあとに従った。だがおまわりは振り返って言った。ただちに犬は除去してくださいよ。・・・」という文章がありますが、劇団どくんごの演劇『ただちに犬 Deluxe』を連想しました。もしかして元ネタか。

とかくどこまでも捉えられないところは、カフカとも近いです。訳が分からない小説に意味がないわけではない、と感じるし、まぁそれなりに楽しいです。


読んだ本
サミュエル・ベケット『モロイ』

読んでいる最中
森見登美彦『四畳半神話大系』
『鼠と竜のゲーム』『燃える脳』『スズダル中佐の犯罪と栄光』『黄金の船が・・・おお! おお!おお!』『ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち』『アルファ・ラルファ大通り』

『燃える脳』
最高のゴー・キャプテンとして知られているマーニョ・タリアーノとその妻ドロレス・オーの物語。悲劇。

『スズダル中佐の犯罪と栄光』
主人公は、クルーザーの艦長スズダル中佐。彼はアラコシア人の襲撃を受けます。それをある違法な方法で撃退するのですが、極刑に処され・・・

『黄金の船が・・・おお! おお!おお!』
辺境の惑星を支配する独裁者ラウムソッグ大公は地球征服をたくらみました。補完機構はそれに対応します。

『ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち』
盗賊ベンジャコミン・ボザートは、惑星ノーストリリアに侵入し、ストルーンを盗み出そうとするのですが・・・

『アルファ・ラルファ大通り』
人類補完機構は《人間の再発見》を容認し、地球の人類を安全で満足できる管理から解き放ちます。新フランス人となった2人は・・・


読んだ作品
コードウェイナー・スミス『燃える脳』
コードウェイナー・スミス『スズダル中佐の犯罪と栄光』
コードウェイナー・スミス『黄金の船が・・・おお! おお!おお!』
コードウェイナー・スミス『ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち』
コードウェイナー・スミス『アルファ・ラルファ大通り』


読んでいる最中
サミュエル・ベケット『モロイ』
『鼠と竜のゲーム』
短編集『鼠と竜のゲーム』を読んでいる最中。

『スキャナーに生きがいはない』
主人公は、スキャナーのマーテル(スキャナーとは<空のむこう>で人間を守るため自ら志願して肉体を機械化した人間たち)。マーテルはクランチに入り妻との日々を楽しんでいたのに、突如として緊急召集されます。スキャナーたちは自分たちの存在意義を失わせる男を殺そうとしていました。マーテルは反対し・・・

『星の海に魂の帆をかけた少女』
主人公はヘレン・アメリカとミスター・グレイ=ノー=モア。ヘレン・アメリカは初めて星の海に〈魂〉の帆をかけた畸形の女性。グレイ=ノー=モアは一ヶ月(その間に40年分老化)かけ、母なる惑星へ現れた老人。2人は惹かれあい・・・

『鼠と竜のゲーム』
人類は平面航法を理解し、宇宙にはばたいていきます。しかし、航海中船員が何者かに襲われ、発狂する事件が多発。エスパーは、その襲撃者を竜のようなものと看做し、光で撃退します。しかし、そのためにはパートナー=猫が必要でした。猫たちは、襲撃者を鼠として捉えていて・・・


読んでいる作品
コードウェイナー・スミス『スキャナーに生きがいはない』
コードウェイナー・スミス『星の海に魂の帆をかけた少女』
コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』


読んでいる最中
コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』
『粘膜蜥蜴』
物語の舞台は、十五年戦争のさなかの日本。三部構成。

第一部。国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、同級生の月ノ森雪麻呂の家へ招かれるのですが、〈ヘルビノ〉と呼ばれる爬虫人に出迎えられます。〈ヘルビノ〉は東南アジアのナムールという国から連れてこられた頭部が蜥蜴の生物でした。真樹夫と大吉は父親の権力を利用し、全てを思い通りに押し通そうとする暴虐な少年・雪麻呂によって酷い目にあわされ・・・

ホラー小説。

エログロナンセンスという言葉が似合います。人間の汚い部分がいやになるほどしっかりと綴られています。しかも、様々なスプラッター描写などがいちいち気持ち悪いです。ストーリーはあるのだけど、ある必然性がない気もします。

グロテスクですが、だからこそ笑えるところも結構あります。

暴虐で卑怯な主人公・月ノ森雪麻呂には、とにかくうんざりさせらます。彼はいつでも父親の権力を利用し、好きなように振舞います。物語が成り立つのは彼がばかなことを繰り返すから。

ラストには呆れます。デンデン太鼓を叩いていた〈ヘルビノ〉の正体が明らかになるのですが、もう頭を抱えたくなります。

基本的に読みやすいし、まぁ悪くはないとは思います。しかし、読んでいると面倒になってきます。山田風太郎にはとても敵わない気がします。


読んだ本
飴村行『粘膜蜥蜴』

読んでいる最中
コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』
『スローターハウス5』
ビリー・ピルグリムという男の物語。彼はアメリカ軍の兵士でした。ドイツ兵に捕らえられます。そして、ドイツのドレスデンにあった使われていない屠殺場に連れていかれ、そこに収容されます。彼はドレスデンが程なくして大空襲によって月面のようになってしまうことを知っていました。なぜならば、トラルファマドール星人と出会い、彼らの哲学に触れていたからです。トラルファマドール星人は時間を超越しているのですが全てを変えられません。そして、「自由意志」などというものを真面目に論じているのは人間だけだと告げます・・・

奇怪な小説。副題は「少年十字軍」。

飛散したビリー・ピルグリムの記憶の欠片を拾い集めていくような感じです。時系列に沿っていません。なので、混乱しますが、ドレスデンで巻き起こった悲劇は、自分が壊れなければ受け入れることは出来ないものだったのかも知れません。

連合国軍が行った大空襲は、ドレスデンという都市とそこに生きる人たち10数万人を完全に焼き尽くします。しかし、その事態に遭遇した主人公は怒ることも嘆くこともありません。当然のこととして受け入れるだけです。彼は死すら甘受します。

何度となくくり返される、「そういうものだ」という言葉には呆れますが共感します。いかんともしがたい事態に直面したとき、人はそれを許容するしかないのではないか、と感じます。なぜなのか、と問うことは無意味だと感じることはしばしばあるのではないか。

人は世界を構造的に理解するために、人類はこれまで多くのことを学んできたはずなのに、その学びはたいてい活かされないし、むしろ悪用されている気がします。トラルファマドール星人のようにはなれない人間はどうすればいいのか。大量虐殺を理性的な言葉で語ることは出来ない、とヴォネガットは告げますが、だとしたら反省も困難です。

第二次世界大戦を経たあとに、人間性とかそういう言葉を持ち出して、真面目に生きるのは辛すぎるのかもしれない、と感じました。


読んだ本
カート・ヴォネガット『スローターハウス5』

読んでいる最中
コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』
270少女には向かない職業
★★★ 桜庭一樹

269憑神
★★★ 浅田次郎

268名探偵の掟
★★★ 東野圭吾

267慟哭
★★★★ 貫井徳郎

266トリツカレ男
★★★ いしいしんじ
★★★

作者:  桜庭一樹
出版社: 双葉社

  主人公は、中学2年生の大西葵という少女。彼女は下関からほど近い、ある小さな離島に住んでいました。父親は無職で酒びたり、母親は愚痴ばかりこぼしているので家にいるのが苦痛でした。でも、学校では明るい役を演じていました。そうして彼女は疲れていきました・・・ そんなある日のこと、羊を殴っていたら、不思議な少女・宮乃下静香と出会い、どこか共鳴。2人は共に闘っていくことになります。

  ハードボイルドっぽいミステリ小説。

  タイトルと、そして各章のタイトルがまず面白いです。「用意するのはすりこぎと菜種油です、と静香は言った」とか。

  ミステリ小説だけど、そこまでびっくりさせられることはないです。でも、最後まで読んで感嘆しました。「2人の少女の闘いの物語」という説明がもっともこの物語をうまく言い表しているのではないか。ものすごく壮絶な闘いだなぁ・・・ その相手/対象は何なのか、というのは難しいんだけど、自分たちを容器に詰め込んで、型にはめこむ「世間」なのかなぁ、多分。

  桜庭一樹という作家は何が何でも「少女」にこだわるんだなぁ、と読んで感じました。「少女」という存在はどういうものなのか、いろんな方法で解明してみて、そしてその上で「少女」を描いています。面白い人だなぁ・・・

  物語は面白いのに、いまいち文章が読みにくいです。なぜだろう。桜庭一樹は「読書魔」といわれている人だそうです。だから翻訳書もいっぱい読んでいてそれの影響を受けているからなのか。違うかなぁ。分からないです。


自森人読書 少女には向かない職業
★★★

著者:  浅田次郎
出版社: 新潮社

  舞台は幕末の江戸。主人公は文武両道に秀でた愚直な武士、別所彦四郎。彼の家は、危急の時には将軍の影武者をまかされていました。しかし、天下泰平の時代が続いて、全然その役目を果たす機会がありません。別所彦四郎は次男だったため、ぼんくらな兄の下につくことになります。そんな彼が、ある日偶然、寂れた稲荷神社に祈ったところ、なんと災いの神たちが彼のもとへやってきて・・・

  時代小説。

  登場人物たちが面白いです。まず、主人公である別所彦四郎が、かなりいい加減な男な上に、身勝手な男なのでいらいらするし、はらはらします。そして、貧乏神やら疫病神やら死神やらが次々と現れるのですが、みんな個性的です。

  それらの神々と別所彦四郎とのやり取りが、また面白いです。

  最初のうちはコミカルなのですが、段々とシリアスになっていきます。江戸幕府の終わりが近づいてくるからです。人情ものとしてもなかなかなのですが、「武士」というものの意味や意義を問うているところは考えさせられます。しかし、いまいちラストには納得できませんでした。なんというか主人公の行動が論理的ではないし、彼が飛び出していく根拠が浅い気がしました。

  まぁ深く考えずに、軽い気持ちで読めばいいのか。

  そういえば、会話の中に一回だけ相撲取りの雷電が登場します。おー、江戸なのだなぁ、と感じました。


自森人読書 憑神
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新CM
[07/03 かおり]
最新TB
バーコード
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © いろいろメモ(旧・自由の森学園図書館の本棚) All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]