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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  金庸
出版社: 徳間書店

  中国の武侠小説。

  主人公は、令狐冲なる快男子。華山派の一番弟子にして酒好きの男。彼は、武林の先達である劉正風と曲洋から「笑傲江湖」の楽譜を託されます。その後、その2人は死亡。その一件のために令狐冲は、師匠である岳不羣から謹慎を言い渡されます。ですが、その謹慎中に、風清揚という人と出会い、伝説の剣術・独孤九剣を授けられます。そうして令狐冲は無敵になります。その後、破門されるのですが、彼は持ち前の義侠心を失うことなく、血みどろの世界をくぐりぬけていきます・・・

  傑作。

  あまりにも面白いので、次から次へと借りてきて次から次へと読んでしまいました。全7巻ですが、そんなことは全く気になりません。

  まず登場人物が魅力的です。主人公、令狐冲のように心がまっすぐな者もいれば、彼に思いを寄せつつそれを明かせぬ魔教の娘・任盈盈がいて、かと思えばどんどん悪の道に堕ちていく者もいたり、東方不敗みたいに何もかもを捨てて秘法を手に入れようとする奴もいて、とにかく愉快です。しかも、惜しいと思うほどあっさり魅力的なキャラクターが物語から退場したりします。どきどきします。

  展開はまったく予測できません。令狐冲はどこまでも苦難の道をたどっていくことになります。思いを寄せていた女性には振られるし、味方を殺したと疑われるし、裏切られるし、体は傷だらけになるし、武術が使えなくなったりするし、本当に悲惨。けど彼はどこまでまっすぐな心を失わず、いろんな人に支えられながら江湖を潜り抜け、最強になっていきます。

  もう、本当に面白いです。


自森人読書 秘曲 笑傲江湖
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★★★★★

著者:  アガサ・クリスティ
出版社: 早川書房

  地元の名士ロジャー・アクロイドは、医師ジェイムズ・シェパードを夕食に誘います。その席で、アクロイドはシェパードにあることを打ち明けました。しかし、その直後に自室で刺殺されてしまいます。そのまえにも、婦人が睡眠薬を飲んで死んでいました。ジェイムズ・シェパードはそれらの出来事を全て正確に手記にまとめ、誰が犯人か明らかにしようとしました。そして、すでに引退していたエルキュール・ポアロも依頼を受け、その事件を解決しようと立ち上がります・・・

  名探偵ポアロが活躍するミステリ小説。

  発表された当時、フェア・アンフェア論争を引き起こしたそうです。あまりにも意外な人が犯人なのです。僕は、フェアだと思うし、面白いから別にアンフェアだろうとなんだろうと構わないと思っています。だけど、そこは難しいところなのかも知れません。手記だということが明かされる時期が遅いし。

  それにしても仕掛けられた叙述トリックがみごと。タイトルにすら、トリックが仕掛けられているとも読める・・・ びっくりしました。

  推理小説史に残る名作といえます。それにしてもこのようなトリックを説得力ある文章で書き上げたことが凄い。アガサ・クリスティはやっぱり、ミステリの女王なのだなぁ、と感じます。後々、これを模倣する作品が溢れるようになります。

  未読の人はとにかく何も知らないうちに読んでみた方がいいのではないか、と思います。衝撃的な真相が待ち受けているので。


自森人読書 アクロイド殺し
★★★★

著者:  J・R・R・トールキン
出版社: 岩波書店

  主人公は、ホビット(小人)族のビルボ・バギンズ。彼はごちそう好きの引っ込み思案。なのに、魔法使いのガンダルフと、13人のドワーフ達に巧みに誘われて旅に出ます。目的地は「はなれ山」。邪竜スマウグによって奪われたドワーフの財宝があるといわれているところです。彼は旅の途中で、自分の姿を消すことの出来る黄金の指輪を拾い、それを活用しつつ、進んでいきます・・・

  ファンタジー小説。『指輪物語』の前日譚。

  たくさんの登場人物がしっかりと書き分けられています。ドワーフたち、大活躍を見せる弓が得意な人間バルド、森のエルフの長スランドゥイル、誰に対しても親切にもてなす「憩いの館」のエルロンド。後々活躍することになるガンダルフも今回はまだ余裕があるし、彼がどんな大仕事をしているのか明らかにはされません(後半は登場せず、死人占い師と戦っていたとだけ記されている)。

  そして、壮大な歴史が背景にあることを匂わせるものがいろいろあるところも良いです。他の中つ国の物語も一緒に読むと、もっと楽しめます。

  クライマックスの「五軍の戦い」は圧巻。

  最近流行の『ハリー・ポッター』シリーズは、J・R・R・トールキンの書いた「中つ国の物語(『シルマリルの物語』『ホビットの冒険』『指輪物語』)」や、その他多くのファンタジーの焼き直しとしか思えないです。全体的に劣化しているような印象すら受けます(「子ども向けだから」だとしたら、それは子どもを見くびっているように思う)。

  『ホビットの冒険』を読み終えると次は『指輪物語』が待っています・・・


自森人読書 ホビットの冒険
『土曜日は灰色の馬』
『土曜日は灰色の馬』

『近代日本の批評〈3〉明治・大正篇』
『近代日本の批評〈3〉明治・大正篇』
浅田彰、柄谷、野口、蓮實、三浦雅士そろい踏み。


読んだ本
恩田陸『土曜日は灰色の馬』
柄谷行人『近代日本の批評〈3〉明治・大正篇』
今週の土日に、自由の森学園では学園祭があります。
楽しみです。
普天間基地の閉鎖・撤去を求める署名が少しずつ集まってきています。
目標である5000筆が近づいてきました。
本当にありがたいです。
これからどう届けるのか考えていかないと・・・

普天間基地撤去を求める高校生の会
『文芸誤報』
『文芸誤報』は、『週刊朝日』に連載されていた記事をまとめて単行本化したもの。多くの書評が掲載されています。斎藤美奈子の文章は非常に鋭くて、小気味良いです。しかも、作品との距離の取り方も巧みです。だから、納得できます。

斎藤美奈子はいろんな方法を用いて、作品の良さ、悪さを抉り出していきます。側面から作品を笑い飛ばすこともあるし、ほめて落とすこともあるし、微妙にほめることもあります。見習いたいとは思いますが、難しいかも知れません。高度なテクニックだから・・・

石田衣良「美丘」や、水野敬也「夢をかなえるゾウ」をスパッと切り捨てていきます。爽快です。読みたい本がさらに増えてしまいました。困ってしまいます・・・


読んだ本
斎藤美奈子『文芸誤報』
10月23、24日。自由の森学園では学園祭があります。準備は着々とすすんでいるようです。楽しみです。
『キョウカンカク』
女性が殺害され、焼却される事件が発生。幼馴染を殺され、後追い自殺を図った高校生、甘祢山紫郎は音宮美夜に出会います。そして、彼女とともに事件解決を目指します。音宮美夜は共感覚を持っています。音を視覚的に捉えることができるのです。二人は、犯人フレイムを追いつめられるのか・・・

ミステリ小説。

メフィスト賞らしい作品といえるかも知れません。陳腐な設定は多いです。しかし、動機がとにかく衝撃的。

共感覚というものを物語の中に巧みに組み入れていく点は面白いです。しかし、全体的には陳腐です。面白いアイディアと典型的なミステリ的展開が組み合わされているわけです。だからこそ、メフィスト賞を受賞したのかも知れません。

第43回メフィスト賞受賞作。


読んだ本
天祢涼『キョウカンカク』
『プールの底に眠る』
留置所にいれられている私が語ります。私は高校最後の夏の終わりごろに裏山で「セミ」と出会います。彼女は首を吊ろうとしていました。私は止めることができず、何となくイルカの物語を語ります。すると彼女は私のことを「イルカ」と名付けました。その後、彼女とともに一週間、ともに過ごすのですが・・・

よく練られています。文章も悪くはありません。最後まで丹念に綴られています。しかし、メフィスト賞を受賞した割には小粒です。投げ捨てたくなるような表現や展開は見つからないのです。だから、読んでいても面白くありません。

村上春樹の影響が強く感じられると指摘する人もいるようですが、的確だと思います。セリフなどがいちいちくさいのです・・・

第42回メフィスト賞受賞作。


読んだ本
白河三兎『プールの底に眠る』
『漱石の漢詩を読む』
『漱石の漢詩を読む』は夏目漱石の漢詩を詳しく紹介したもの。古井由吉は、漢詩に詳しくないと書きながらも、漱石の人生と絡めながら、漱石の漢詩を読み解いていこうとします。漱石の教養を感じ取ることができます。明治以前に生まれた人間は、漢文化の中にあったのだとわかります。

古井由吉の危機知識も伝わってきます。漢籍に触れなくなった日本人というものは危ういと彼は考えているようです。

漱石は、西洋文化と漢文化と、江戸の文化に触れていました。バイリンガルなのです。だから、すぐれた文学作品を残せたのかも知れない、と感じます。


読んだ本
古井由吉『漱石の漢詩を読む』
Peace Music Festa!辺野古2010
〜辺野古の海から世界が見える〜
2010年 10月 30日(土)・31日(日)
場所: 沖縄県 名護市 辺野古ビーチ
時間: OPEN 11:30 START 12:00 END 20:00(雨天決行)
料金: <一日券>大人 前売り 2500円 当日 3000円
高校生 前売り 1000円 当日 1500円

10/30(土)出演者(第四弾最終発表)
ソウル・フラワー・モノノケ・サミット/三宅洋平/カクマクシャカ/
ヒゲのかっちゃん/ROACH/RUN it to GROUND/procal/
FAKE KINGZ/Heinous Criminal/さとまん/蹴闘~SHOOT~/
STARS ENTERTAINMENT/エルビス・ウチマ(ex.極限BAND)/
中川五郎/elmon/TEX & the Sun Flower Seed(アコVer.)/
Paul Mahoux/Ukwanshin Kabudan 御冠船歌舞団(fromハワイ)/
創作太鼓衆 颯/KUMAKARA/KEN子/ハリネコ


10/31(日)出演者(第四弾最終発表)
SOUL FLOWER UNION/知花竜海×城間竜太/PAPA U-Gee/
MISSION POSSIBLE(THA BLUE HERB × OLIVE OIL × B.I.G.JOE)/
七尾旅人/SOUTH/KACHIMBA DX/直枝政広(カーネーション)/
ラビラビ/Shaolong To The Sky/名護 瀬嵩青年会(エイサー)/
KZ(G.A.C)/ST-LOW(DESSON)/DASTAMAS/琉球とらいぶ/
45 with RADICALITES/009/King Jam Session/
JAVA/operon/COMATON


主催: Peace Music Festa!辺野古2010 実行委員会

Peace Music Festa!辺野古2010~辺野古の海から世界が見える~
自己評価表が返ってきたので読んでいました。
今は秋休み。
400風の谷のナウシカ
★★★★★ 宮崎駿

399アイスクリン強し
★ 畠中恵

398ラン
★★ 森絵都

397アイの物語
★★★★★ 山本弘

396「ケータイ時代」を生きるきみへ
★★★ 尾木直樹
★★★★★

著者:  宮崎駿
出版社: 徳間書店


  発達した人類文明は最終戦争を引き起こしてしまい、破滅します(「火の七日間」)。その後、多くの地域が腐海に呑み込まれていきました。腐海とは、菌類の樹木が繁殖し、蟲たちが跋扈する森のこと。それから1000年余りの年月が過ぎ・・・

  辺境の小国「風の谷」は、腐海のすぐ傍にあるものの潮風によって守られていたため、貧しいものの穏やかに日々を過ごしていました。ですが近くの大国トルメキアが戦争を起こしたことから否応なく争いの渦に巻き込まれてしまいます。風の谷の族長であるジルの娘ナウシカは、メーヴェに乗って空を駆け、風の谷を守ろうとします。その中で、腐海とその地に生きる生物たちを悪と看做すことに疑問を覚えていたため、世界の秘密に気付くことになるのですが・・・

  壮大な物語。宮崎駿の描き出す風景がとても綺麗で、素晴らしいです。

  ただストーリーをたどっていくだけでも物凄く面白いのですが、面白いだけでは終わりません。たくさんのことを考えさせられます。映画とは大きく異なります。漫画は、映画で大切にされていた人間と自然の対立・共存をいかにするか、という問いから離れていきます。

  映画とは違ってナウシカも単純な聖女ではないし、登場人物や世界にも深みが増しているように感じられます。土鬼(ドルク)という勢力が登場します。ドルクとトルキアとの戦争の問題に焦点が当てられます。

  戦争はどこまでも拡大していきます。破滅への道に続くと分かっていながら人間は腐海を生物兵器として使用します。正義というものが見失われていくわけです。現実と似通っています。そして衝撃的なことが明らかにされます。腐海こそが浄化を促進するものだったと判明するのです。「綺麗は汚い、汚いは綺麗」じゃないけど、価値観の逆転が起こるわけです。それでは腐海のこちら側に生きる者はどうすれば良いのか。ナウシカは悩みます。

  自身の価値観が崩壊してしまったとき、どのように振る舞うか、と言う問いに向き合うことに、重きが置かれているように感じました。苦悩の末、ナウシカは生きようと呼びかけます。あらゆる論理を取っ払った後、結局、最後に残る言葉はそれなのかも知れない、と感じました。

  第23回日本漫画家協会賞大賞受賞作。


自森人読書 風の谷のナウシカ


著者:  畠中恵
出版社: 講談社

  連作短編集。『序』『チョコレイト甘し』『シュウクリーム危し』『アイスクリン強し』『ゼリケーキ儚し』『ワッフルス熱し』収録。

  舞台は明治の東京。主人公は、皆川真次郎(ミナ)。彼は、西洋菓子屋・風琴屋を営む青年。居留地で育ったため、ピストルの扱いが上手。彼は、毎回のように厄介事を持ってくる元武士の巡査・長瀬らとともにいろんな事件を解決していきます。そして、そこにいろんな形で女学生の小泉沙羅が絡んできます。彼らの毎日には何もない日などありません・・・

  それなりに面白いのですが、やっぱり畠中恵は詰めが甘いような感じがします。西洋菓子が単なる小道具と化していて、全然おいしそうではありません。

  『美味礼讃』などを読んで料理人達のこだわりを知った後で、こちらを読むと、主人公真次郎が料理人として失格としか思えないです。だって、真次郎は、(諸事情あったとはいえ)急ごしらえで料理をつくってそれを出すのだから。

  しかも、畠中恵は「明治時代」を書こうとしているみたいなのですが、明治期の貧困などの問題をさらっと扱っているから、「時代を包む早急な雰囲気」と、それが生み出す危険性が全く伝わってこない。

  登場人物たちは多すぎてごちゃごちゃしている上に、書き込みが少なくて存在感が希薄。真次郎や巡査らは「俺ら金欠」と連呼するのですが、そのわりにはみんな根本的に裕福な中流階級の人たちだから、全然危機的に思えない。どうせ沙羅の財布があるんだし。しかも、成金の商人・小泉琢磨氏は頭良すぎ。日本は戦争に勝ったら増長するから負けた方が良い、とかそんなこと言い切れる「成金」なんてありえないだろう・・・

  とにかく物語にリアリティが感じられません。軽いミステリとしては面白いけど。


自森人読書 アイスクリン強し
★★

著者:  森絵都
出版社: 理論社

  主人公は夏目環。彼女は家族を事故で失い、その上育ての親だった叔母まで亡くしてしまいます。彼女は絶望してしまうのですが、その後、いろんなことがあった後、愛用の自転車「モナミ1号」に乗って必死に走り始めます。この世と冥界との間には「レーン」があって40キロを一気に走りきれば、冥界にたどり着けるからです・・・

  不思議な小説。

  最初、主人公の不幸が淡々延々と綴られている部分には辟易しました。森絵都らしからぬ、いかにも重々しくて、どこかで読んだことがあるような展開だったからです。

  だけど、途中からは面白くなってきます。走って走って死者の国まで行く、という突飛な展開になるからです。そして、いつもながらのちょっと笑える良いはなしに突入していきます。その接続は面白いです(『サウスバウンド』みたい)。そうくるのか、と感心しました。

  スポコンものと化していきますが、スポーツで過去を紛らわす、というふうにはなりません。全力で走ることが死者と出会うことにも繋がるからです。

  最終的に彼女は自転車に乗ることなく、自分で走ることで成長していき、こちら側の世界にも居場所を見つけ出します。いろんな人と衝突するんだけど、それでももう生きることを諦めたりはしなくなっていきます。良かった良かった、と感じます。

  全体としては面白いです。ただし、前半のタメはあまりにも長いし、読むのが面倒だった・・・


自森人読書 ラン
★★★★★

著者:  山本弘
出版社: 角川書店

  近未来、地球はアンドロイドによって支配されていました。そんな中、ロボットを襲って食料を奪っていた「語り部」の青年は、美人のアンドロイドと闘って敗れ、捕まってしまいます。彼は殺されるのかと脅えるのですが、アンドロイド・アイビスは物語を語り始めました・・・・・ 『宇宙をぼくの手の上に』『ときめきの仮想空間』『ミラーガール』『ブラックホール・ダイバー』『正義が正義である世界』『詩音が来た日』『アイの物語』といった短編の間に、青年とアイビスの会話(インターミッション)が挟まっています。

  物語に関するSF小説。

  豪華です。しかし、そのわりにはソフトな読み心地。アイとは何であるのか、というその一点がこの物語の肝。たくさんの意味が込められています。

  アイビスの語る物語はどれも綺麗なはなしばかり。しかし、アイビス(そして作者である山本弘)は、その綺麗過ぎということを逆手にとります。「現実よりも素晴らしいフィクションのどこがいけないのか?」と問いかけてくるのです。美しい物語にこそ真実は宿っている、物語には共感を創る力がある、というその主張には共感します。

  心の中につくった仮想空間に閉じこもってしまう人間の心の作用を、アイビス達アンドロイドはゲドシールドと呼びます。そして、彼女は人間を憐れみ、そしてその誤りを静かに指摘します。作者山本弘も同じ考えなのだろうと思います。彼は「と学会」の会長です。真実を拒絶し、トンデモないことを言い続ける人たち(ゲームをしすぎるとバカになるとか、アポロ11号の月面着陸はウソだったとか、超古代文明は存在したとか)の本をたくさん読み、紹介してきた人です。彼の言葉だからこそ説得力があります。

  とにかく強いメッセージ性を持った小説。僕は強く共感しました。「人間はみな痴呆症」「連綿と続いていく記憶だけが世界を断絶から救う」というアンドロイドの言葉は感動的。そして、ただ許容して欲しい、というアンドロイドの言葉が素晴らしすぎる、気がします・・・


自森人読書 アイの物語
★★★

著者:  尾木直樹
出版社: 岩波書店

  著者の尾木直樹さんは以前、自由の森学園の公開教育研究会に来て、講演してくれたことがあります。その時のテーマは『いじめ』でした。尾木直樹さんは「いじめられている側に頑張れ、と声をかける日本の文化人たちはおかしい。たとえば、児童文学作家あさのあつこ。『いつか輝ける日が来る。その日まで頑張れ』などと新聞に書いているが、全く状況を理解できていない。今にも自殺してしまうかもしれないのに」というようなことを述べていました。非常に的を射ているのではないか、と感じました。

  なのでこの本も読んでみました。

  いろいろな危険が具体的に書かれていて、分かりやすかったです。

  「単純にケータイを否定するだけではだめだ。ケータイとどう付き合っていくかしっかりと考えないといけない」という尾木直樹さんの立場には賛成です。

  愛知の高校生達の活動、私学フェス(私学助成金削減反対/公私格差是正を求める活動。パレードなどでは毎年1万人集めている)では、ケータイをフル活用しているそうです。ケータイは使い方によっては高校生にとって力強い武器になるわけです。

  僕は携帯電話を持っていない人間なのでなんともいえませんが・・・ やっぱり単純に取り上げようという議論ではだめではないか、と思います。


自森人読書 「ケータイ時代」を生きるきみへ
レポートを書くために、参考文献として利用した本。
宇野直人、江原正士『李白 巨大なる野放図』平凡社
宇野直人、江原正士『李白 巨大なる野放図』平凡社。対談形式なので、非常に読みやすかったです。
李白という人のことがよくわかります。一生放浪し続けた自由奔放な詩人、ということになっていますが、やはり悩みも多かったようです。苦悩しない人間は、世の中にいないとは思いますが。

宇野直人、江原正士『杜甫 偉大なる憂鬱』平凡社/鈴木修次『杜甫』清水書院
宇野直人、江原正士『杜甫 偉大なる憂鬱』平凡社。こちらも、対談形式なので、非常に読みやすかったです。杜甫の漢詩は、それなりに当時の中国の社会状況を知っていないと楽しめない、という指摘は、なるほどと思いました。

鈴木修次『杜甫』清水書院。


読んだ本
宇野直人、江原正士『李白 巨大なる野放図』
宇野直人、江原正士『杜甫 偉大なる憂鬱』
鈴木修次『杜甫』清水書院
教員の評価表記入期間なので、まだ休み・・・
というふうに一行ずつ書いているようでは、ほとんどツイッター・・・
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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