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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『光の曼陀羅 日本文学論』
『光の曼陀羅 日本文学論』
著者は、折口信夫を中心にして、日本の際立った文学者を紹介していきます。作品のみではなく、作家とその作家たちの関係から文学をみていく部分が面白いです。

歌人でもあった中井英夫が、折口信夫のことを評価していた、ということを初めて知りました。中井英夫は『虚無への供物』の著者として知られていますが、一方では、多くの前衛的な詩人を世の中に出していきました。その詩人の系譜が、折口信夫から始まる、と読み解く著者の視点は非常に面白いです。

それから、南方熊楠という人のことも『光の曼陀羅』を読んで初めてなんとなくわかったような気がしました。単なる科学者というわけではなく、世界をどう見るかということを宗教的に考えていた人だったのか・・・

折口信夫は男色を好んだそうですが、そこには深遠な理由があるのだということを読んでいるとわかります。それにしても、文学者、哲学者の中には、けっこう同性愛者がいるような気もします。フーコーも同性愛者だったそうです。プラトンから始まるのか・・・

第3回大江健三郎賞受賞作。


『死者の書・身毒丸』
『死者の書・身毒丸』
折口信夫の小説。非常に読みづらいです。しかし、読んでみるとわからないわけでもありません。結構、面白いです。ただし、とりあえず、解説を読んでから、読んだほうが良いかもしれない、とは思います。

エジプトの神話をもってきて、その上に穆天子の伝説を振り掛けて、さらに物語の舞台を日本の古代にしたものが、折口信夫の『死者の書』です。

擬音語などの使い方がすごいです。奇妙な小説だと感じます。


読んだ本
安藤礼二『光の曼陀羅 日本文学論』
折口信夫『死者の書・身毒丸』
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日本文学鑑賞の時間には、井伏鱒二「屋根の上のサワン」を読んでいました。

なんというか、井伏鱒二という人は面白い、と感じました。いったいどういうふうな考え方をしていた人なのだろう・・・
狼狽しているのに冷静のようです。
明日から学校。

沖縄県知事選どうなるのだろう・・・
接戦ではあるけれど・・・
ベスト10確実?
宮部みゆき『小暮写眞館』
有川浩『ストーリー・セラー』
朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

ベスト10に入るかも
綿矢りさ『勝手にふるえてろ』
貴志祐介『悪の教典』
中島京子『小さいおうち』
伊坂幸太郎『マリアビートル』

ベスト30に入るかも
角田光代『ひそやかな花園』
奥泉光『シューマンの指』
太田光『マボロシの鳥』
柴崎友香『寝ても覚めても』
島本理生『あられもない祈り』
米澤穂信『ふたりの距離の概算』
島田雅彦『悪貨』
百田尚樹『影法師』
乙武洋匡『だいじょうぶ3組』


あとは歴史小説なども入ってくるのか・・・
本屋大賞2011を予想。

最近、全く本を読んでいなかったので、皆目見当がつかないという感じなのですが。だいたいマイナーな本はベスト10には確実に入らないといっても過言ではありません。そして、逆に話題の本はとりあえず入ってくるので・・・

ベスト10確実?
宮部みゆき『小暮写眞館』
有川浩『ストーリー・セラー』

ベスト10に入るかも
綿矢りさ『勝手にふるえてろ』
貴志祐介『悪の教典』
中島京子『小さいおうち』
伊坂幸太郎『マリアビートル』
朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

ベスト30に入るかも
角田光代『ひそやかな花園』
奥泉光『シューマンの指』
太田光『マボロシの鳥』
柴崎友香『寝ても覚めても』
島本理生『あられもない祈り』
米澤穂信『ふたりの距離の概算』
島田雅彦『悪貨』



といった本がランクインするのではないか・・・
『憲法くん出番ですよ』
憲法フェスティバルの軌跡をつづった書籍。一九八七年、憲法をいろんな人に知ってもらい、憲法の意義を考えてもらうために憲法フェスティバルは始まったそうです。初回から多くの人が参加。非常に面白いものになったそうです。

いただいた本をやっと読むことができました。非常に面白かったです。

憲法フェスティバルをつくっていく時に行われたという議論は、自由の森学園の行事を作っていく時に行われている議論とも似通っている部分がある気がしました。憲法フェスティバルは人員を動員するのではなく、「市民が自発的に集う」ことを大切にしながらこれまで続けてきたそうです。

いろんな人が自発的に関わることができる祭りはどうしたら作ることができるのか、という問いは本当に難しいです。


読んだ本
憲法フェスティバル実行委員会『憲法くん出番ですよ』
自由の森学園では、一昨日昨日と公開研究会がありました。
授業の公開、様々なことがらの検討などが行われていました。
最後は合唱交流でした。

次は音楽祭。
なのですが、これからは、一応、それなりに本が読めそうです。よかったです。

今度の土曜・日曜には、公開教育研究会があります。
今回のテーマは、「中学校と高校がある意味」だそうです。
授業検討の時に、活かされるのか。

アーサー・ビナードさんが、一日目に、講演にきます。
楽しみです。
講演の展開は基本的に毎回同じなのですが、細部が違います。
時事ネタが盛り込まれたりするのです。
今回は、どのような講演になるのだろう・・・

420くっすん大黒
★★★ 町田康

419漱石先生の事件簿―猫の巻
★★ 柳広司

418容疑者の夜行列車
★★★★ 多和田葉子

417天使の囀り
★★★★ 貴志祐介

416バルタザールの遍歴
★★★ 佐藤亜紀
★★★

著者:  町田康
出版社: 文藝春秋

  短編集。『くっすん大黒』『河原のアパラ』収録。

  『くっすん大黒』
  不意に働くのが嫌になって仕事を捨て、毎日酒を飲んでぶらぶらふらついていたら、妻が去りました。雑然とした部屋の中にはバランスの悪い大黒が一体あって、それが頭を悩ませます。よく倒れるからです。それを捨てるべく家を出るのですが・・・

  『河原のアパラ』
  新入社員の勝手な女性と対立し、罪をなすりつけられてしまい、逃亡するはめになり・・・

  愉快な小説。全てがでたらめ、いきあたりばったりです。そして、妙に歪んだまっさらな人たちが登場します。ユーモアが満載。

  あえて「文学」として造っているわけではないのに、それが文学になっているのだろうところはさすが。生粋の純文学っぽいのだけど、いろんなところで笑えてなかなか良いです。ただ、いかにもねらっているんだな、ということが感じられてしまうところがいまいち。少し飽きてきます。

  小説家・町田康のデビュー作。それまでもパンク歌手として歌ったり、詩集を出したりはしていていたそうですが、『くっすん大黒』で小説界にも登場したわけです。

  第7回bunkamuraドゥマゴ文学賞(選考筒井康隆)、第19回野間文芸新人賞受賞作。


自森人読書 くっすん大黒
転載


なにを見ようか、
   なにを聴こうか、
    なにを買って帰ろうか ♪


あっちもこっちも魅力がいっぱい


東京9条まつり
2010年11月13日(土)
@大田区産業プラザ全館貸切り

 2010年11月13日、大田区産業プラザにおいて「東京9条まつり」を開催します。これは東京で憲法9条を守る運動、さらには平和・民主主義・人権などの課題に取り組んでいる個人や団体が一堂に会して、自ら主人公となって発信し、より多くの人々とつながり合うための企画です。
 そのために大田区産業プラザを1日全館貸切りにしました。そこに皆さんからたくさんの自主企画を持ち寄っていただき、多種多彩な催しのデパートにしたいと思います。東京のいろいろな地域・職場・学園から、九条・平和・貧困・人権・民主主義などさまざまな運動に関わる多彩な企画を集めて、楽しく賑やかな「まつり」にしましょう。


東京9条まつり 紹介ページ
★★

作者:  柳広司
出版社: 理論社

  主人公は、夏目漱石の家に居候している探偵小説好きな書生。彼は、癇癪もちで、世間知らずで、とにかくとぼけた漱石先生に悩まされながらも、彼と彼の家に現れる変人たちと名前のない猫に混じって楽しい毎日を送っていたのですが、おかしな謎がゴロゴロ現れ・・・ 連作短編ミステリ集。『吾輩は猫でない?』『春風影裏に猫が家出する』

  猫にこだわったらしき、事件が5つ起きます。

  愉快な作品です。夏目漱石とその周囲に集まってくる変人達の掛け合いがおかしいです。皆、ちょっとどころじゃない変人さを発揮します。

  でも、夏目漱石の『我輩は猫である』を読んだ後だともっと楽しめます。それにしても『吾輩は猫である』という作品はとにかくいろんな人にいじられ、パロディ作品が書かれているなぁ、と思いました。それだけ『吾輩は猫である』が愛されているということか。

  柳広司は、当時の時事ネタ・出来事をうまくからめていきます。けっこう社会派ではないか。現実離れしたスパイたちを描いた作品『ジョーカー・ゲーム』よりもこちらの方が僕は好きでした。なんというか、作品自体に愛嬌があります。

  理論社ミステリーYA!シリーズ。


自森人読書 漱石先生の事件簿―猫の巻
本当にだめだ、と感じます。
いろいろとめくってはいるのですが。反=日本語論とか。
★★★★

著者:  多和田葉子
出版社: 青土社

  あなたの旅行記。『第1輪 パリへ』『第2輪 グラーツへ』『第3輪 ザグレブへ』『第4輪 ベオグラードへ』『第5輪 北京へ』『第6輪 イルクーツクへ』『第7輪 ハバロフスクへ』『第8輪 ウィーンへ』『第9輪 バーゼルへ』『第10輪 ハンブルグへ』『第11輪 アムステルダムへ』『第12輪 ボンベイへ』『第13輪 どこでもない町へ』収録。

  最初は、ある程度普通っぽいのですが、じょじょに幻想的な雰囲気になってきます。夢が入り混じってくるような感じ。けど、ホラーというわけではありません。全体的には静かな雰囲気が漂っているし、とぼけた味わいがあります。『容疑者の夜行列車』というタイトルは少し不穏ですが、中身はもう少し落ち着いたような感じがしました。

  『第5輪 北京へ』に登場する学生が印象的でした。疑心暗鬼に陥る私を裏切らない人。

  明確な目的もなく、ただ夜行列車に乗るあなた。日常と非日常の狭間を揺れるあなたはいったいどこへ向かおうとしているのか。

  夜行列車での旅を、人生の比喩と捉えるのはたぶんめちゃくちゃで陳腐すぎる、とは思いますが、やっぱり人生に似ているような気がしました。みんな自分の人生を普通のものと思っているだろうけど、本当は普通なんてことはないのではないか。それを非常に面白い形で表したのが『容疑者の夜行列車』ではないか。読んでいると、目的のない曖昧模糊とした妙に不可思議な旅を楽しめます。

  第14回伊藤整文学賞、第38回谷崎潤一郎賞受賞作。


自森人読書 容疑者の夜行列車
★★★★

著者:  貴志祐介
出版社: 角川書店

  小説家・高梨は病的なまでの死恐怖症でした。しかし、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加し、アマゾンへ赴いてそこであることを経た後、人格が変貌。異様なまでの性欲と食欲を示し、その後、死に魅せられ、自殺してしまいます。彼の恋人で終末期医療に携わっている精神科医・北島早苗は彼氏の死に対して不審を抱き、アマゾン調査隊のことを調べ始めるのですが・・・

  SF風味のホラー小説。

  一応、SFに入れておくけど、ホラーに分類するのが正しいと思われる作品。タイトルと中身のギャップが激しいです。かなりグロい物語です。気持ち悪さではピカイチかも知れない。予想できるところへ物語は突入していくのだけど、やっぱり圧倒されます。

  現代を舞台にしているわけですが、それを意識させる要素がてんこ盛りです。環境破壊の問題、新興宗教の問題、終末医療の問題などなどが詰め込まれています。そして、エロゲーにはまる自閉的な青年の気持ち悪さなどもはっきりきっちりと描写されています。まぁ自業自得なのだけど、最後にはかわいそうだなぁとも感じました。貴志祐介はそこまで計算しているのだろうなぁ、多分。単純なキモさだけが際立つキャラにはしていない。

  過剰なまでにいろんな情報が詰め込まれています。現代社会というものの病理みたいなものを抉っていこうとしている部分には共感しますが、枝葉にばかりこだわるのでやたらと長いです。多分、綺麗におさめようとしたら半分以下で済んだと思うんだけど・・・

  まぁ綺麗ではないから良いのかもしれない。それに、読みづらくはない程度だし、まぁ良いのだろうか。

自森人読書 天使の囀り
★★★

著者:  佐藤亜紀
出版社: 新潮社

  主人公は、バルタザールとメルヒオール。二人は一つの体の中に同居しているのです。彼らは貴族なのですが、世界が変わっていく中で母親は憤死し、家はじょじょに落ちぶれていきます。そうした中で父の後妻と不倫関係に陥ったりして苦しむのですが、父の死とともに家を手放し、故郷を離れることになりました。しかも、ナチスが台頭してきていて・・・

  一つの体に二つの人格というのは、漫画などでもよくあるパターンのような気もするけど、佐藤亜紀はそれをみごとに活かし、物語を構成していきます。

  前半部分『転落』は、ようするにヨーロッパを舞台にした『人間失格』ではないか、と感じました(いや、僕の読みが底抜けにおかしいだけかも知れないけど)。主人公とその周囲の人たち、そして物語自体にも反時代的・反社会的な香りがプンプン漂っています。

  主人公の愚かさには呆れます。勝手に堕落し、転落してください、と思ってしまいます。神話的世界においては、「運命に導かれて破滅した人」が登場しても納得できます。けど、物語の舞台が近代だと嫌な奴にしか思えない。

  文体も、物語も、全体的にとにかく格好良いです。いかにも文学好きな人が好きそうな小説。惚れ惚れするけど、読むのは一度だけで良いや、と思ってしまいました。なんというか、どことなく漂う衒学趣味の影と、その濃厚さに飽きる、というか疲れるのです。僕が小説読みとして未熟なだけかも知れないけど。

  「日本人が書いたものとは思われない」と評していた人がいたけど、確かに。

  日本ファンタジーノベル大賞受賞作。佐藤亜紀のデビュー作。


自森人読書 バルタザールの遍歴
発表はずっと前のことになってしまいましたが。
2010年ノーベル文学賞を受賞したのは、マリオ・バルガス=リョサという人。
政治家としても活躍しているそうです。
415検屍官
★★ パトリシア・コーンウェル

414酒国―特捜検事丁鈎児の冒険
★★★★★ 莫言

413星を継ぐもの
★★★★★ ジェイムズ・P・ホーガン

412宇宙消失
★★★★ グレッグ・イーガン

411異邦人
★★★★★ アルベール・カミュ
★★

著者:  パトリシア・コーンウェル
出版社: 講談社

  バージニアの州都リッチモンドで、グロテスクな連続レイプ殺人事件が発生。しかし、ほとんど証拠を残さない犯人に対して、警察はなす術がありません。そして、警察の必死の捜査を嘲笑うかのように、犯人による残虐な犯行はエスカレート。しかも、警察内部のどこかに機密情報を漏らす者がいるらしい。それを武器にしてマスコミが無闇やたらと騒ぎ立てるために、事態はさらに混乱していきます。美人検屍官ケイ・スカーペッタは、残された遺体から犯人を追おうとするのだが、妹に預けられた姪のルーシーが手元にいることもあって、四六時中いらいらしているような状況が続きます・・・

  サイコサスペンス。気が重くなる物語。でも、その割にはたちの悪いジョークなんかもけっこうあるんだけど。

  海外のミステリには、どこか底抜けに醒めた気持ち、というかまぁ死んじゃったけどしかたないない、悲しいけど頑張ろうぜ、みたいな空元気があるような気がします。だからつまらないジョークなんかもはさまる。それで、物語はだーっと走っていくわけですが。それに比べて、日本のミステリはとにかくやたらと重い気がします。くそまじめで冗談とか全然ないし、ラストになってみたら、結局誰も救われなかった・・・ みたいな展開が定番で、ちょっと陰鬱になります。

  それにしても、『検屍官』の謎解きにはちょっと失望しました。ネタバレになるから詳しいことは書けないけど、本格ミステリとしては失格。まぁ『検屍官』は、サスペンスだから良いのか。

  ラストは良い感じです。暗いぎしぎしするような場面が延々と続いてきたのが最後になってやっと終わります。事件を解決し、一仕事終えた検屍官ケイ・スカーペッタは、休暇をとり、姪・ルーシーを連れて海岸に行くことにします。まぁいろいろ口喧嘩もあったわけですが、結局行くことになり。その2人が、旅行地に向かう飛行機に乗り込もうとしながら、ぺちゃくちゃ喋っている場面で物語はおしまい。

  MWA賞最優秀処女長編賞、CWA賞最優秀処女長編賞受賞作。

読書メモ 検屍官
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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