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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『稲垣足穂 ちくま日本文学全集』
『片道切符』
『ゆりかごから墓場まで』
『大風呂敷と蜘蛛の糸』

『沈黙のフライバイ』
『轍の先にあるもの』

『新参者』
『人間以上』
『ザ・万遊記』
『天地明察』
『桜さがし』
『子どもにつたえる日本国憲法』
『どこに思想の根拠をおくか』
『アメリカ文学史のキーワード』
『失踪日記』
『「星の王子さま」で学ぶフランス語文法』
『鋼の錬金術師 23』

『四捨五入殺人事件』
『論文の書き方―わかりやすい文章のために』
『センセイの鞄』
『響きと怒り』
『無限と連続』
『世界の果てまで何マイル』
『マンゴーのいた場所』
『水晶内制度』
『あるキング』
『沈黙』
『狭き門』
『Self-Reference ENGINE』
『澁澤龍彦 日本作家論集成 下』
『隠し部屋を査察して』
『きまぐれロボット』
『SFが読みたい! 2010年版』
『社会を生きるための教科書』
『実験でわかるインターネット』

『澁澤龍彦 日本作家論集成 上』
『夜は短し歩けよ乙女』
『アメリカの夜』
『二十世紀の十大小説』
『虎よ、虎よ!』
『チェルノブイリの聖母』
『ボーダー・ガード』
『血をわけた姉妹』
『しあわせの理由』

『郵便的不安たち#』
『適切な愛』
『闇の中へ』
『愛撫』
『道徳的ウイルス学者』
『移相夢』

『キマイラ』(『ドニヤーザード姫物語』『ペルセウス物語』『ベレロフォン物語』)
『図解雑学 ネコの心理』
『ハワーズ・エンド』
『猫を抱いて象と泳ぐ』
『パルタイ』
『非人』
『貝のなか』
『蛇』
『密告』

『ロートレック荘事件』
『きつねのはなし』
『侍女の物語』
『とある飛空士への追憶』
『夢みる宝石』
『作者の死』
『あねチャリ』
『どんとこい、貧困!』
『海街diary 3 陽のあたる坂道』
『レ・コスミコミケ』
『新ナポレオン奇譚』
『城』
『ムーン・パレス』
『塵よりよみがえり』
『殺戮にいたる病』
『ニュートリノの夢』
『ぼっけえ、きょうてえ』
『密告函』
『あまぞわい』
『依って件の如し』

『ある家族の会話』
『木曜の男』
『1000の小説とバックベアード』
『予告された殺人の記録』
『一億三千万人のための小説教室』
『宵山万華鏡』
『凍える森』
『高村薫の本』
『末代まで!』
『セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』

『ガラスの動物園』
『ペドロ・パラモ』
『万物理論』
『ナジャ』
『SFが読みたい!〈2003年版〉』
『坂道の向こうにある海』
『アウステルリッツ』
『ブラウン神父の童心』
『審判』
『ヨーロッパ文学講義』
『戦争のなかの京都』
『脱獄計画』
『夜市』
『風の古道』

『言葉の外へ』
『冬の夜ひとりの旅人が』
『地獄とは神の不在なり』
『顔の美醜について-ドキュメンタリー』

『朗読者』
『ナチュラル・ウーマン』
『あなたの人生の物語』
『七十二文字』
『人類科学の進化』

『バビロンの塔』
『理解』
『ゼロで割る』

『チャック・モール』
『女王人形』
『生命線』
『最後の恋』
『純な魂』
『アウラ』

『暗闇の中で子供 The Childish Darkness』
『絞首刑』
『貧しいものの最期』

『さようならコロンバス』
『動物農場』
『象を撃つ』

『いとしい』
『失踪者』
『芽むしり仔撃ち』
『本屋大賞〈2007〉』
『ネコとひなたぼっこ』
『SWING!』

『ストーカー』
『順列都市〈下〉』
『アメリカの鱒釣り』
『四畳半神話大系』
『おカルトお毒味定食』
『神去なあなあ日常』
『蛇を踏む』
『消える』
『惜夜記』

『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 20 ソロモン編・後』
『モロイ』
『燃える脳』
『スズダル中佐の犯罪と栄光』
『黄金の船が・・・おお! おお!おお!』
『ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち』
『アルファ・ラルファ大通り』

『スキャナーに生きがいはない』
『星の海に魂の帆をかけた少女』
『鼠と竜のゲーム』

『粘膜蜥蜴』
『スローターハウス5』
『殺人協奏曲』
『電氣人閒の虞』
『コスモポリタンズ』
『順列都市〈上〉』
『私の家では何も起こらない』
『季節の記憶』
『笑う月』
『ケルベロス第五の首』
『ダブル・ジョーカー』
『ジョニー・ザ・ラビット』
『伊坂幸太郎WORLD&LOVE!』
『ルバイヤート』
『悪童日記』
『銃』
『タイムスリップ・コンビナート』
『下落合の向こう』
『シビレル夢ノ水』

『十字屋敷のピエロ』
『鋼の錬金術師 23』
『オリンピックの身代金』
『ブラック・ダリア』
『グラン・ヴァカンス-廃園の天使〈1〉』
『アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風』
『ア・ルース・ボーイ』
『サンクチュアリ』
『沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下)』
あけましておめでとうございます。

とうとう2010年になってしまった・・・
『新唐詩選』
『水滸伝‐虚構のなかの史実』
『桐島、部活やめるってよ』
『李白 巨大なる野放図』
『杜甫 偉大なる憂鬱』

『火星年代記 ルビ訳』
『後宮小説』
『フリッカー、あるいは映画の魔』
『思想のドラマトゥルギー』
『中国思想を学ぶ人のために』
『銀の三角』
『ネコ・無用の雑学知識』
『論語物語』
『漢文素読のすすめ』
『大阪万博』
『司馬遷-史記の世界』
『漢文の語法と故事成語』
『Boy’s Surface』
『このミステリーがすごい! 2011年版』
『世界史の構造』
『意識と本質―精神的東洋を索めて』
『啄木歌集』
『藪の中』
『光の曼陀羅 日本文学論』
『死者の書・身毒丸』

『屋根の上のサワン』
『憲法くん出番ですよ』
『漱石・芥川・太宰』
『太宰治はミステリアス』

『土曜日は灰色の馬』
『近代日本の批評〈3〉明治・大正篇』

『文芸誤報』
『キョウカンカク』
『プールの底に眠る』
『漱石の漢詩を読む』
『李白 巨大なる野放図』
『杜甫 偉大なる憂鬱』
『杜甫』

『杜甫100選』
『グーテンベルクの銀河系』

『2週間でマスターする絵解き英文法』
『米軍再編』
『レヴィナスを読む』
『こゝろ』
『星の綿毛』
『貧困と愛国』
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』
『狐の書評』
『乙女の密告』
『楽園のつくりかた』
『Boy’s Surface』
『日本の公安警察』
『派閥』
『日本文学史序説〈下〉』
『SFが読みたい! 2004年度版』
『鋼の錬金術師 24』
『鋼の錬金術師 25』

『彼岸先生』
『「歴史の終わり」と世紀末の世界』
『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』
『私の履歴書 人生越境ゲーム』
『世界史年表・地図』

『現代思想ピープル101』
『ロシア文学講義』
『防衛白書 平成21年版』
『春は馬車に乗って・機械』
『世界征服は可能か』
『神様のカルテ』
『現代思想の系譜学』
『SFはこれを読め』
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 21』

『トンデモ本 女の世界』
『新しい風土記へ』
『羊をめぐる冒険 上』
『羊をめぐる冒険 下』

『アラマタ大事典』
『日本を創った思想家たち』
『幸いなるかな本を読む人』
『『はらぺこあおむし』と学習権―教育基本法の改定に思う』
『筒井康隆の文芸時評』
『in our time』
『生きる わたしたちの思い』
『一秒の言葉』

『戦後日本は戦争をしてきた』
『アインシュタインの夢』
『ダーシェンカ』
『カトレアの真実』
『お夏 清十郎』
『ブルー・フライト』

『ヴィーナス・プラスX』
『雨の檻』
『カーマイン・レッド』
『セピアの迷彩』
『そばかすのフィギュア』

『探偵倶楽部』
『聖☆おにいさん 5』
『イン・ザ・ペニー・アーケード』
『DEATH NOTE 1』
『球形時間』
『ヘヴン』
『本屋大賞2010』
『アメリカ文学史のキーワード』
『ライ麦畑でつかまえて』
『ふわふわの泉』
『東京バンドワゴン』
『西瓜糖の日々』
ベスト10入り確実?
宮部みゆき『小暮写眞館』
有川浩『ストーリー・セラー』
朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
貴志祐介『悪の教典』
奥泉光『シューマンの指』


ベスト10に入るかも
綿矢りさ『勝手にふるえてろ』
中島京子『小さいおうち』
伊坂幸太郎『マリアビートル』
柴崎友香『寝ても覚めても』
森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』


ベスト30に入るかも
姜尚中『母-オモニ-』
角田光代『ひそやかな花園』
太田光『マボロシの鳥』
湊かなえ『夜行観覧車』
島本理生『あられもない祈り』
米澤穂信『ふたりの距離の概算』
島田雅彦『悪貨』
百田尚樹『影法師』
村上春樹『1Q84 BOOK3』
島田荘司『写楽 閉じた国の幻』
梓崎優『叫びと祈り』
百田尚樹『錨を上げよ』
東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』

ベスト30に入らないかも
乙武洋匡『だいじょうぶ3組』
齋藤智裕『KAGEROU』
『新唐詩選』
前篇を吉川幸次郎が、後篇を三好達治が記しています。前篇はよく整理されています。とくに杜甫、李白、王維の詩が多く紹介されています。それから、孟浩然、常建、王昌齢、崔国輔の詩も少しずつ紹介されています。吉川幸次郎は漢詩を現代的な日本語に訳しながら、説明していきます。わかりやすいです。それから、三好達治は様々な領域に話を広げていきます。その拡散は面白いです。

唐詩入門。

吉川幸次郎は著名な中国文学研究者。三好達治は日本の詩人。『新唐詩選』は名著として知られているそうです。読んでいると、唐詩のことがわかります。

もちろん、唐詩のすべてが紹介されているわけではありません。しかし、吉川幸次郎は唐詩全体を踏まえた上で、そのエッセンスを掬い取ろうとしていきます。内容はよく整理されています。

一方、三好達治は人の心を打つものとして、漢詩を自分の身・経験に引き付けながら紹介してきます。詩人のありかたと漢詩の関わりが見えてきて面白いです。

読みながら、人間に影響を与えるものとして詩がありえるだろうか、詩が力を持ち得るのだろうか、と感じました。詩というのはなんなのだろう・・・ 難しい・・・


読んだ本
吉川幸次郎、三好達治『新唐詩選』
日本ファンタジーノベル大賞を受賞した本を片端から読んでいきたいと思っているのですが、なかなか読むことができないです。

一回
大賞:『後宮小説』 酒見賢一◇
優秀賞:『宇宙のみなもとの滝』 山口泉

二回
優秀賞:『楽園』 鈴木光司
優秀賞:『英雄ラファシ伝』 岡崎弘明

三回
大賞:『バルタザールの遍歴』 佐藤亜紀◇
優秀賞:『なんか島開拓誌』 原岳人
候補作:『六番目の小夜子』 恩田陸◇


四回
優秀賞:『昔、火星のあった場所』 北野勇作

五回
大賞:『イラハイ』 佐藤哲也
優秀賞:『酒仙』 南條竹則
候補作:『東亰異聞』 小野不由美
候補作:『球形の季節』 恩田陸◇

六回
大賞:『バガージマヌパナス』 池上永一
大賞:『鉄塔 武蔵野線』 銀林みのる

七回
優秀賞:『糞袋』 藤田雅矢
優秀賞:『バスストップの消息』 嶋本達嗣

八回
優秀賞:『アイランド』 葉月堅
優秀賞:『青猫屋』 城戸光子

九回
大賞:『燃えるがままにせよ』 井村恭一(「ベイスボイル・ブック」に改題)
優秀賞:『競漕海域』 佐藤茂

十回
大賞:『オルガニスト』 山之口洋
優秀賞:『ヤンのいた島』 沢村凛
優秀賞:『青猫の街』 涼元悠一

十一回
大賞:『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』 宇月原晴明
優秀賞:『BH85』 森青花

十二回
優秀賞:『仮想の騎士』 斉藤直子

十三回
大賞:『太陽と死者の記録』 粕谷知世(「クロニカ 太陽と死者の記録」に改題)
優秀賞:『しゃばけ』 畠中恵◇

十四回
大賞:『ショート・ストーリーズ』 西崎憲(「世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ」に改題)
優秀賞:『戒』 小山歩

十五回
大賞:『太陽の塔 / ピレネーの城』 森見登美彦(「太陽の塔」に改題)◇
優秀賞:『象の棲む街』 渡辺球

十六回
大賞:『ラス・マンチャス通信』 平山瑞穂
優秀賞:『ボーナス・トラック』 越谷オサム

十七回
大賞:『金春屋ゴメス』 西條奈加

十八回
大賞:『僕僕先生』 仁木英之
優秀賞:『闇鏡』 堀川アサコ

十九回
大賞:『厭犬伝』 弘也英明
優秀賞:『ブラック・ジャック・キッド』 久保寺健彦

二十回
大賞:『天界の都 ある建築家をめぐる物語』 中村弦(「天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語」に改題)
優秀賞:『彼女の知らない彼女』 里見蘭

二十一回
大賞:『月桃夜』遠田潤子
大賞:『増大派に告ぐ』 小田雅久仁

二十二回
大賞:『前夜の航跡』紫野貴李
優秀賞:『月のさなぎ』石野晶
映画『少年メリケンサック』がテレビで放映されています。

やっぱり、面白いです。
すっかり忘れていましたが、もしかしたら、姜尚中『母-オモニ-』も本屋大賞候補に入ってくるかも。

『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』という先例もあります・・・
『水滸伝‐虚構のなかの史実』
宮崎市定は、『水滸伝』を、歴史学的に読み解いていきます。しかし、それほど堅苦しくはありません。逆に楽しいです。『水滸伝』を読んでいてもわからない部分が、くっきりと見えてくることがあります。たとえば、悪役として非難されている奸臣たち(童貫、蔡京)が実際には何をしたのかということがわかります。頻出する官職名が何を示していたのかということがわかります。

宋江は二人いた、という面白い考察も含まれています。官軍の宋江と賊軍の宋江がいた、ということが資料を読み解くとわかるそうです。それから、『水滸伝』の物語の舞台になっていた時代の少し後に、梁山泊に立て籠もった人間がいた賊という話もあります。

浪子(たとえば、徽宗も)が溢れる時代というのは恐ろしいかも知れない、と感じました。しかし、それだけ豊かだったということでもあるはずです。

宋という時代を覗き見ることができます。非常に面白いです。


読んだ本
宮崎市定『水滸伝‐虚構のなかの史実』
小林恭二『カブキの日』
フィリップ・K. ディック『死の迷路』
浅田彰・島田雅彦『天使が通る』


もう来年になるか・・・
『桐島、部活やめるってよ』
バレー部の桐島が突然、部活をやめます。その波紋は少しずつ広がっていきます。野球部ユーレイ部員の菊池宏樹、桐島と同じバレー部の小泉風助、ブラスバンド部部長の沢島亜矢、映画部の前田涼也、ソフトボール部の宮部実果のことがつづられます。そして、高校にある確固とした「階級」のようなものが明らかにされていきます。桐島は最後まで姿を現しません。

青春小説。

文体が印象に残ります。耐えられない人もいるかも知れない、と感じます。その文体に対する評価が、『桐島、部活やめるってよ』に対する評価に直結します。

小説としては秀逸。個々の描写と小道具が適切に機能しています。そして、短編同士は微妙にすれ違っています。桐島の物語に収まっていかない点は、逆に面白いです。完成度は高いのです。誰でも楽しむことができるのではないかと感じます。

著者は、若者の「リアル」に徹底的に寄り添っているようです。そして、そのリアルという言葉は微妙に恥ずかしいものです。しかし、そういう感覚はないのだろう、と思います。誰もが、『桐島、部活やめるってよ』の中にこそ若者の現実があると言いながら絶賛していますが、本当に、現実が綴られているのだろうか、と感じました。本当の現実は読めたものではない、と思うのですが。

小説すばる新人賞受賞作。


読んだ本
朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
『李白 巨大なる野放図』『杜甫 偉大なる憂鬱』
『李白 巨大なる野放図』『杜甫 偉大なる憂鬱』は大学入試の論文を書くとき、参考にした本。再読してみました。ラジオで放送されたものをまとめて本にしたもの。二人の人間が語り合いながら詩人の姿を明らかにしていくので、非常に読みやすいです。そして、要点はしっかりとまとめられています。

李白、杜甫は、漢詩という表現方法が最も輝いていた唐の時代に生きました。そして、多くの漢詩を作り、漢詩界の中では、最も偉大な人たちとして称えられています。しかし、二人は対照的です。

李白は豪放。いつでも飄々としていました(実はそういうわけでもなかったらしい、ということが『李白 巨大なる野放図』を読むとわかりますが)。各地を放浪し続けました。一時は、皇帝からもその詩の才能を愛されたそうです。一方、杜甫は誠実。一生、妻子を大切にしました。しかし、官途には恵まれず、反乱に巻き込まれることもありました。苦労人なのです。しかし、漢詩の世界では漢詩の神ともいわれています。

憂鬱が漢詩を面白いものにしていくのかもしれません。

参考文献を追っていくと、さらに面白いかも、と感じました。


読んだ本
宇野直人、江原正士『李白 巨大なる野放図』(再読)
宇野直人、江原正士『杜甫 偉大なる憂鬱』(再読)
『火星年代記 ルビ訳』
英語版『火星年代記』にルビがついています。よく分からないことが少なくないです。しかし、単語と文章自体は、それほど難しくありません。読み慣れたら、結構読むことができるのかも知れません。講談社ルビー・ブックス。

日本語版と合わせながら読んでいる最中。

出版社:講談社インターナショナル


読んだ本
レイ・ブラッドベリ『火星年代記 ルビ訳』
『後宮小説』
腹宗が崩御。新皇帝のための後宮がつくられることになります。好奇心旺盛な少女、銀河は「三食昼寝付き」という言葉に誘われたのか、後宮に赴きます。まずは、女大学で学ぶことに。銀河は、冷静沈着いつでも寝巻を来てタバコを吸う江葉、貴族的傲岸さを持つ美女・世沙明(セシャーミン)、さらなる優雅さを持つ玉遥樹(タミューン)と同室になります。女大学では、瀬戸角人らから後宮哲学・房中術を学ぶのですが・・・

愉快な傑作。

「素乾書」「乾史」「素乾通鑑」といった文献を参考にしながら物語を記したと著者は延べています。中国の歴史小説のようです。しかし、実はすべてが虚構。

文章は軽快。物語自体も軽くて、いつでも確固たるものからのがれていき、捉えられません。著者は恍けています。戦も、セックスも淡白にさらさらと扱っていきます。その雰囲気は、沸々している中国の物語を思わせます。非常に良いです。

渾沌という人物が結構おもしろいです。『後宮小説』自体をあらわしているのではないかと感じないでもないです。とにかく、登場人物たちは非常に魅力的。小さなエピソードが、各々の登場人物をくっきりと描き出していきます。そして、クライマックスは切ないです。

非常に面白いです。

第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。


読んだ本
酒見賢一『後宮小説』
『フリッカー、あるいは映画の魔』
ジョナサン・ゲイツは、クラシック座の共同経営者であるクレアという女性に出会います。クレアはセックスの最中に映画のことを徹底的に講義する人物でした。ジョナサンは徐々に映画に詳しくなっていきます。その後、グロテスクな映像を作成していたマックス・キャッスルという映画監督を知ります。マックス・キャッスルの映画は「B級」扱いされていましたが、その映像は不気味な魅力を持っていました。ジョナサンはマックス・キャッスルのことを探っていくのですが・・・

映画に関する小説。

大著。しかし、結構読みやすいです。基本的には、ジョナサンという青年の青春物語になっています。徐々に、マックス・キャッスルの映像の背後にある壮大な陰謀が明らかにされていきます。

マックス・キャッスルが制作したという、多くの架空の映画が紹介されていきます。その描写は秀逸です。映画を見ている気分になります。

登場人物の中には奇妙な人が多いです。しかし、ありえない、と感じることはありません。それなりに説得力があるのです。

映画や宗教に関する薀蓄が溢れています。現実と虚構が入り乱れているそうです。しかし、映画のことはよく知らないので、ほとんどわかりませんでした。しかし、マックス・キャッスルという人物を作り上げてしまった著者には感心します。

映画が好きな人はさらに楽しむことができるかも知れません。


読んだ本
セオドア・ローザック『フリッカー、あるいは映画の魔』
ベスト10入り確実?
宮部みゆき『小暮写眞館』
有川浩『ストーリー・セラー』
朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
貴志祐介『悪の教典』
奥泉光『シューマンの指』


ベスト10に入るかも
綿矢りさ『勝手にふるえてろ』
中島京子『小さいおうち』
伊坂幸太郎『マリアビートル』
柴崎友香『寝ても覚めても』
森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』


ベスト30に入るかも
角田光代『ひそやかな花園』
太田光『マボロシの鳥』
湊かなえ『夜行観覧車』
島本理生『あられもない祈り』
米澤穂信『ふたりの距離の概算』
島田雅彦『悪貨』
百田尚樹『影法師』
村上春樹『1Q84 BOOK3』
島田荘司『写楽 閉じた国の幻』
梓崎優『叫びと祈り』
百田尚樹『錨を上げよ』

ベスト30に入らないかも
乙武洋匡『だいじょうぶ3組』
齋藤智裕『KAGEROU』
そういえば、齋藤智裕『KAGEROU』は本屋大賞候補になるのだろうかと考えてしまいました。なりそうな気がします。

それから、柄谷行人『世界史の構造』はどうなのだろう。小説ではないのですが。小説みたいなもの、ということもできます。
425自分で作れるグミの本―GUMMY BOOK
★★ 荻田尚子

424老ヴォールの惑星
★★★★ 小川一水

423人形つかい
★★ ロバート・A・ハインライン

422ケルトの白馬
★★★★★ ローズマリー・サトクリフ

421証拠が問題
★★★★ ジェームズ・アンダースン
★★

著者:  荻田尚子
出版社: 文化出版局

  「綺麗な写真・一行程度の文章」で構成されたページと、グミの作り方を書いたページが交互に挟まっています。いろんな種類のグミの作り方が書かれています。随分簡単につくれるんだなぁ、面白そうだなぁ、と少し驚きました。

  ビジュアルに凝っている本。表紙も細々していてかわいいです。もしかしたら絵本に分類すべきかも知れない。

  僕はグミよりも(あと、ガムよりも)どちらといえば、アメの方が好きです。アメは昔からよく食べているものなので懐かしいのです。けど、『自分で作れるグミの本―GUMMY BOOK』を読んでグミもちょっと良いかもなぁ、と思いました。

  そういえば、グミを食べた記憶がないです。もう最近、グミなんて全く食べていないのです。グニッとしていて噛み心地が面白かったことだけは少しだけ記憶にあるけど、なんというかグミといわれても確たるイメージが浮かんでこない。

  抹茶のグミや大葉のグミ、食べてみたい、と思いました。いったいぜんたいどのような感じなのだろうか。別に普通なのか、と考えてしまいました。


自森人読書 自分で作れるグミの本―GUMMY BOOK
自森人http://jimoren.my.coocan.jp/のほうでは、自由の森学園の音楽祭のことを書いている最中なのですが、なかなか終わりそうにないです。一斉に書かないと、逆に大変になって来る気もします。

クラスの日はだいたい終わったので、あとは有志の日。
『思想のドラマトゥルギー』
林達夫、久野収の対談をまとめた一冊。林達夫が基本的には語ります。しかし、林達夫の言葉を理解して受けるのは簡単なことではありません。久野収も物凄いです。両人は、博学です。しかし、知識が単に陳列されているわけではありません。その根底にあるのは、「レトリック」の問題である、という説明は誤りにはならないかも知れません。

一応最後まで読んでみましたが理解するのは容易ではありません。言葉自体は、基本的に平易です。しかし、あふれている固有名詞が理解を困難にしていきます。多分、少しもわかっていないです。

発見が満ちているということができるかも知れません。あらゆる方向にリンクが張られているようです。再度読む時、さらに多くのことを発見するような気がします。

全く敵わない、と感じます。真似することもできないとも思います・・・


読んだ本
林達夫、久野収『思想のドラマトゥルギー』
『中国思想を学ぶ人のために』
中国思想に関する本。編者たちは、とくに老荘思想・仏教・道教を問題にしながら、春秋時代から清代までをたどっていきます。入門書的な位置付けなのかもしれませんが、逆に、視野が非常に広くて、一点に凝り固まることがなく、面白いです。多くの思想が、誤解されながら、徐々に広がっていく様子が伝わってきます。

中国思想の解説書。

思想は単純に発展していくわけではない、ということが、よくわかります。人から人に伝わる時、変容していくのです。時には絶えます。そして、解釈が一つの思想を分断していくこともあります。別の思想や、権力に利用されることもあります。

その思想の変遷は、発展であると考えることはできない気がします。単なる変遷です。

『荘子』の思想は面白いです。根本には言葉に対する不信があります。そして、言葉を用いて世界を分節していては心理をつかむことができない、だから、世界を一つのものとして受け入れていき、直観的に真理を悟るべきだ、と主張していきます。そういった思想は、昨今のポスト構造主義と呼ばれている思想家たちの思想につながる気がします。

デリダを思い浮かべました。

世界思想社。


読んだ本
森三樹三郎(編集)『中国思想を学ぶ人のために』
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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