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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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松本清張『尊厳』は、天皇制というものの不可解さを風刺した作品、なのかなぁ。たぶん。

皇族の行幸のとき、道を誤った運転手が周囲からの圧迫によって自殺させられた、というおはなしです。その運転手の息子は、戦後になってから、その皇族の男に復讐しようと企みますが・・・
しかし、その皇族の男は、記憶を失っていたので復讐の意図をまったく理解していなかった、というのが落ち。

『市長死す』は。
もともと軍人将校だった男が、戦後市長になりました。彼は何事もきっちりとしていて堅実な男でした。その市長が突然、用事ができたといって、全てを置き去りにして行方不明に。
その後、意外なところで死体が発見されます・・・

戦争が背景にあるおはなしです。
とはいっても、秘密の計画とかではなくて、恋愛がらみのはなしなんだけど。


今日読んだ作品
松本清張『尊厳』
松本清張『市長死す』


今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
松本清張『支払いすぎた縁談』
松本清張『氷雨』
山岡強一『山谷 やられたらやりかえせ』
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★★★★

著者:  森見登美彦
出版社: 新潮社

  「自主休学」をしている京都大学農学部の5回生「私」の物語。「私」には三回生の時、水尾さんという恋人ができた。だが結局、水尾さんにふられてしまう。今では、水尾さんへの恋情はすでに断ち切っている、と「私」は思い込んでおり、「なぜ自分が水尾さんに惚れたのか」ということを冷静に見つめよう、と200枚以上になる大レポートを書いている。

  「私」は水尾さんに避けられ、「研究停止」の宣告を受けながらも水尾さんの観察・研究を続けていた。そんなある日、水尾さんを追いかける、あやしい男「遠藤」に出会う。「私」と「遠藤」は、互いに反目し合い、妨害し合うのだが、「私」は暴漢に襲われたときに「遠藤」に救われ、それ以来理解(?)し合うようになる。恋人のいない若者を苦しめる、クリスマスがやってきた。町の一角で、ええじゃないか騒動が起こり・・・・・

  妄想と幻想に満ちた生活を送る大学生たちの物語。水尾さんをつけているのは、ほとんど「ストーカー」に近い、というか「ストーカー」なんだが・・・ どこか突き抜けた文章なので、読んでいるだけで笑えてきます。ただし、少し読みにくいかも知れないけど・・・

  日本ファンタジー賞を受賞した作品だそうです。

   万城目学と並んで、京都・京都大学を舞台にしたファンタジーというのか、青春小説というのか、面白い物語を書いている森見登美彦のデビュー作。万城目学・森見登美彦の2人、周りでは読んでいる人がまったくいなかったんだけど・・・(高校生は全然読んでいないのかなぁ) おすすめです。


自森人読書 太陽の塔
★★★★★

著者:  上橋菜穂子
出版社: 偕成社

  あるとき、30歳の用心棒・バルサは、新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムの命を救います。チャグムは、水の精霊〈水の守り手ニュンガ・ロ・イム〉の卵を産みつけられた、「精霊の守り人」だったことから、あちらの世界「ナユグ」と、こちらの世界「サグ」両方からねらわれていました。「ナユグ」の獣ラルンガに追われ、「サグ」では、チャグムの父である王に疎まれ、追われていたのです。バルサは、そんなチャグムのことを守っていくこととなりますが・・・

  「守り人」シリーズの1作目です。この「精霊の守り人」から、壮大なハイファンタジーが始まります。人と精霊の交錯する世界がとてもしっかりと形作られています。その新ヨゴ皇国の人たちは何を食べて、どういうふうな暮らしをしているのか。新ヨゴ皇国という国はどうやってできたのか。続編では、新ヨゴ皇国の周辺の国々も登場するんだけど、その国々の説明などもしっかりされています。

  戦争ばかりやっている架空戦記ものとかがよくあります。その物語の中の社会はいったいどうやって成り立っているのか、とかあまり詳しく説明されないことも多いけど、僕はそういったことの方が気になります。世界観というのかなぁ。そこの説明が面白いなら、ストーリーはそんな面白くなくても★5つにしてしまうかも知れない、といくらい世界観が気になります。

  この「守り人」シリーズはそこがしっかりしています。誰か解説者の人が「守り人」シリーズに登場する料理は美味しそうだ、と書いていました。その通りだなぁ、と思います。そういう細かい描写もすぐれていて、その上ストーリーが面白い。僕は凄く好きだなぁ、と思いました。

  アニメ化もされました。僕は見てないんだけど、面白かったみたいです。


自森人読書 精霊の守り人
『殺意』『なぜ「星図」が開いていたか』『反射』は、松本清張の中短編色々。

『殺意』は、もうすぐ役員目前の男が、同郷の課長の男に毒殺された、という事件。いったいどうして、事件は起きたのだろうか。2人は仲が良かったはずなのに・・・

『なぜ「星図」が開いていたか』は、ある教員の死についての物語。
教員は、3日間のハンストを行った後、星図という項目があるページを開いたまま疲労のあまり、心臓の発作を起こして死にました。いったいなぜ彼は、そのページを開いて死んだのだろうのか・・・?

『反射』は、20万のお金を盗むために女を殺した男の物語。
彼は、ほとんど全く証拠を残さず、全てをうまく切り抜けます。今のようなDNA鑑定などもなかった当時、明らかな指紋などが残っていなければ逮捕は不可能でした。
しかし、彼はただ1つ、ある大きな間違いを犯してしまいました。そしてその結果、破滅します・・・

面白い。松本清張は、どれも良いです。人の心をきちりと書ききるところが見事です。


今日読んだ作品
松本清張『殺意』
松本清張『なぜ「星図」が開いていたか』
松本清張『反射』


今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
松本清張『尊厳』
松本清張『市長死す』
松本清張『支払いすぎた縁談』
山岡強一『山谷 やられたらやりかえせ』
今は、松本清張『遠くからの声』を読んでいます。短編集。

松本清張は、長編ばかりではなく、短編でも(というより、短編の方が素晴らしい、という人もいるらしい)優れた作品をたくさん残しているそうです。なのでちょっと読んでいきたいなぁと思っています。

短編は、長編よりかえって難しいともいえます。切れが必要で、かつ瑕疵が1つでもあると、とても目立ってしまいます。だから、長編より完全にしっかりとつくられてなければなりません。

『遠くからの声』は、民子・啓子の姉妹と、姉・民子の夫・津谷敏夫の微妙な三角関係を書いた作品です。さすが、たった10数ページの間に、見事なまでに恋愛を描いています。ケータイ小説よりも、絶対にこちらの方が面白いと思うんだけど。「古い」といわれてしまうのかなぁ。


今日読んだ作品
松本清張『遠くからの声』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
松本清張『殺意』
松本清張『なぜ「星図」が開いていたか』
松本清張『反射』
やっと、『イエスの生涯』が読み終わりました。
短い本なのだけど、中身はけっこう興味深くて重いです。
『イエスの生涯』

イエス・キリストってどんな人だったのだろうか、ということを遠藤周作が思索し、読み解いていくもの。キーワードは、「神の愛、愛の神」、かなぁ・・・ あとがきでは、井上洋治が「永遠の同伴者イエス」こそがこの本のテーマである、と書いていますが、確かにそうともいえるような気もします。
人類に寄り添い愛を語る人イエス、か。

僕は、新約聖書を直接読んだことはありません。が、幼稚園の時、断片断片を分かりやすく語ってもらったことはあります。「マリアの処女懐胎。ベツレヘムの馬小屋におけるイエスの誕生。そこへ訪れる東方三賢人」といったことは、劇でやったりもしました。

『イエスの生涯』では、そこらへんの生誕のことに関してはほとんど触れません。遠藤周作は、前半(第一部っぽい)では、イエスがいろんな地を説いてまわったことを、後半(第二部っぽい)では彼の死を、書いています。

いろんなことを知れば知るほど、イエスは素晴らしい人だ、と思います。それなのに、どうして、そのイエスの語りから始まったキリスト教が、暴力を振るって多文化を潰す醜い権威に変貌してしまったのか。う~ん悩ましいです。結局あらゆるものは、どうしても腐っていくのかなぁ・・・
本の感想からずれてしまった・・・


今日読んだ本
遠藤周作『イエスの生涯』

今読んでいる本
ヘミングウェイ『老人と海』
松本清張『遠くからの声』
映画『チェ 39歳別れの手紙』を見ました。『チェ 28歳の革命』と対をなす作品でした。

最後まで自分の信ずるところを枉げずに生きるチェ・ゲバラの姿が印象的でした。孤立して、悲惨な道をすすんでいくことになるのだけど、やっぱりかっこ良い。

権力・抑圧者(アメリカ・ソ連の両大国)に尻尾を振っていれば、キューバでそれなりの生活ができたはずです。でもそれは我慢ならない、ということでチェ・ゲバラは、キューバを飛び出し、貧困と抑圧に苦しむ国々へ向かいます。

しかし、ボリビアでは、ソ連の圧力を受けたボリビア共産党が協力してくれなかったために、山奥で孤立します。しかも、その土地の農民たちとも良い関係を築くことができず、チェ・ゲバラたちは、追い詰められていきました。キューバの時とはまるで逆な状況です。そして最後には、チェは捕われて処刑されました。

しかし、彼は死によって「人民のために闘った最高の英雄」になったと言えるのかも知れない、と感じました(死んで欲しくないけど)。

キューバ革命が終わった後、キューバの政府首脳にとどまり続けていれば、ここまでチェ・ゲバラは有名にはならなかったはずです。そして、「世界中の誰からも愛される人」という評価を受けることはなかった。

チェ・ゲバラの凄さは、全てを捨てて、再び革命へと旅立ったことではないか、と何かに書いてあったけど、その通りだなぁ。1度は権力を握る側になったのに、それを惜しげもなく捨ててみせるなんて本当に誰にもまねできないようなことです。多くの革命家たちは権力を握った途端に豹変。それを守ることばかりに気をとられ、権力闘争やらなんやらを繰り返し、醜い姿を見せて、人々を失望させました。
それと全く逆の位置を占めるのがチェ・ゲバラなのだろう、と思います。本当にかっこ良いなぁ・・・


やっと、S&Mシリーズ第10作目にたどりつきました。シリーズが、これでおしまいになるわけですが。なんだかやたらと長くなって、今までの巻の2倍位の厚さになっています・・・ 読むのに、疲れる・・・

正直、シリーズを通して見ると、最終巻『有限と微小のパン』は、1番の傑作、とはいえないなぁと感じました。もうミステリ小説というより、SF小説みたいな感じです。「真賀田四季」というキャラクターに、作者まで引きずられてミステリを逸脱してしまったような感じがします。

作者は、真賀田四季を天才だとやたら強調するけど。どうも、真賀田四季が天才に見えなくなってきてしまいました。なんというか、結局一般人と変わらない感傷を抱いたりするんだし。天才だ、と素晴らしさを語りすぎたことで、かえって天才に見えなくなるというのはおもしろい。


今日読んだ本
森博嗣『有限と微小のパン―THE PERFECT OUTSIDER』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
ヘミングウェイ『老人と海』


大江健三郎、初期の頃の作品をだーっと読みました。
とにかく売れない、「ノーベル賞受賞作家」とつけても売れない、と評判の大江健三郎。まぁ、子どもが生まれた後は、作風が変わってちょっとね・・・ という人の声をよく聞きます。確かにそうかも知れない。

だけど、初期の作品はやっぱりすごい、と思います。

『死者の奢り』は、大学内にあるアルコール漬けの死体を別の場所に運ぶために雇われた学生のはなし。もうこの『死者の奢り』がまずもって凄い。
大江健三郎を一躍有名にした作品。

『他人の足』は、脊椎カリエスの子ども達が集められた病院が舞台。
彼らは、完全に閉鎖的で、自足した生活を送っています。看護婦たちがセックスしてくれるし、ほとんど困ることはない、といっても良いほど。いつも、こそこそとした卑猥な笑いばかりが満ちていました。
しかしそこへ1人の「闖入者」がやってきます。彼は、社会を知る学生でした。学生は、みんなを率いて外の世界に目覚めさせようとします。その結果、病室の状況はどんどんと変わっていくかに見えましたが・・・

『飼育』は、芥川賞受賞作。
墜落した戦闘機に乗っていた黒人の兵士を、村人たちが「飼う」と言う物語。語り手は、閉鎖的な村の、ある少年。
村の少年たちは、その黒人と仲良くなっていきます。
しかし、最終的には、「遠くの戦争」が、全てを壊してしまいます。

『人間の羊』は、バスの中で外国人の脅しに屈してすぼんを脱がされてしまい、屈辱を感じた学生が主人公。
でも、学生の苦しみはそれだけでは終わりません。学生は、傍観者である教員から一緒に「この事実を暴き、外国人を訴えよう」といわれ、逃げます・・・ 残酷な傍観者の姿が印象的です。

『不意の唖』は、ある田舎の村に、駐留軍がやってきた時に起きた出来事。外国兵たちはみんな立派なのに、通訳は不思議にみすぼらしい。だからなのか、あるとき、川で遊んでいたら、通訳の靴が消えていました。
すると通訳は怒りだし、「これは駐留軍に対する侮辱だ、ふざけるな」と村人たちを脅します・・・

『戦いの今日』は、朝鮮戦争が起きた頃の日本の物語。
ある白人の脱走兵と、それを匿った兄弟、および脱走兵とつきあっている日本人の娼婦の物語。
1番長いんじゃないかなぁ、多分。



今日読んだ本
大江健三郎『死者の奢り・飼育』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
ヘミングウェイ『老人と海』
『マルドゥック・スクランブル-200』は、日本SFの黄金時代を築いた、と評される『SFマガジン』に掲載されたもの。『SFマガジン』は地元の図書館のリサイクルコーナーにありました。

日本SF大賞受賞第1作。今となってはありがちなキャラ設定が目立ちます。けど当時は斬新だったのだろうなぁ、多分。


今日読んだ本
冲方丁『マルドゥック・スクランブル』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
大江健三郎『死者の奢り・飼育』
『占星術殺人事件』

面白い。傑作だと思いました。
でも、色々なミステリを読んでしまったあとの者から勝手に言わせてもらうと、最高とまでは言えないような気がする。けれど読まないのは損だなぁ、これは。

作家・島田荘司のデビュー作。そして名探偵・御手洗潔の初登場作品。


今日読んだ本
島田荘司『占星術殺人事件』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
大江健三郎『死者の奢り・飼育』
冲方丁『マルドゥック・スクランブル』
『時代小説百番勝負』

面白い時代小説を100冊紹介。
基本的に、1人の作者ごとに1作品を紹介。

特別扱いは・・・
司馬遼太郎、池波正太郎、藤沢周平。各々5冊。
松本清張、隆慶一郎。各々4冊。
吉川英治、山本周五郎、海音寺潮五郎、子母澤寛、柴田錬三郎、平岩弓枝。各々2冊。
というところ。
まぁ順当なところだなぁ。

宮部みゆき、北方謙三がちょっと扱いが小さいかもしれない。
まぁ出版年が、2000年より前のようだから当然か。

というか、時代小説って女性作家が少ないなぁ・・・


今日読んだ本
時代小説の会『時代小説百番勝負』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
★★★

著者:  正本ノン、丹内友香子
出版社: ポプラ社

  ノンフィクションです。自由の森学園人力飛行機部の15年間がまとめられています。

  自由の森学園の人力飛行機部は1985年に、部員1名、顧問1名でスタートしました。それから地道に努力し、「鳥人間コンテスト」にでようと頑張ります。大学生みたいに、専門知識を持っている訳ではありません。書類審査落ちの年もあるし、リング型の機体のときには壊れてしまってリタイヤしたこともありました。それでも、プテラノドン型のものを作って、「鳥人間コンテスト」の出場にまでたどり着きます・・・

  プテラノドンは、大きな反響を呼び、優勝したチームをさしおいて専門誌の表紙を飾ったりもしたそうです。だけど、そのプテラノドンで終わりではありません。今も人力飛行機部の挑戦は続いています・・・

  自由の森学園の図書館にあったので手に取りました。今でも自由の森学園に人力飛行機部はあるし、人力飛行機部の顧問、伊藤賢典さんはいます。部室(というか、1つの建物まるごとみたいな感じ)もあります。それなのに、あまり人力飛行機部のことを知りませんでした。こんな歴史があったんだ、と驚きました。面白いなぁ。

  何に分類すればいいか分からないので(ノンフィクションというのがないので)、青春・学園ものにいれておきます。まぁそれで、はずれてはいないと思うし。


自森人読書 ぼくらが鳥人間になる日まで 飛べ!プテラノドン
第51回江戸川乱歩賞受賞作。


重い・・・ 罪を犯した少年は、本当に更生するのだろうか? というような内容。少年法の問題点について追求しています。もう犯罪だらけ。登場人物のほとんど全員がなんらかの犯罪の被害者か、もしくは加害者というような状況です。

ちょっと都合が良すぎるよなぁ。


今日読んだ本
薬丸岳『天使のナイフ』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
時代小説の会『時代小説百番勝負』

『大唐帝国―中国の中世』

『大唐帝国―中国の中世』は非常に面白いです。
三国志好きの人は、三国志のことしか知らないことが多いけど、中国史には、他にもとても面白い部分がたくさんあります。
そういうことを知るのに、最適です。すっと入っていけます。

宮崎市定さんは中国史に関する面白い本を、たくさん書いています。
どれも入門書としてとても良い気がします。


今日読んだ本
宮崎市定『大唐帝国―中国の中世』(再読)

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
時代小説の会『時代小説百番勝負』
『さまよえる湖』
今日、とうとうスウェン・ヘディン『さまよえる湖』が読み終わりました・・・ 長かった。やっと読みかけの、遠藤周作『イエスの生涯』と、森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』を読むことができます。

『さまよえる湖』は、19世紀のスウェーデンの探険家ヘディンの中央アジア探検記です。幻の、「さまよえる湖」ロプ・ノールは、1600年周期で、南北に移動しているのではないか? ということにあるとき気付いて、仮説をたてたヘディンが、それを実際に証明していった物語です。

凄いなぁ。
とても長い時間をかけて、事実を調べていくのか・・・


今日読んだ本
スウェン・ヘディン『さまよえる湖』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
時代小説の会『時代小説百番勝負』
宮崎市定『大唐帝国―中国の中世』(再読)
グレッグ・ベア『鏖戦』は難解なSF作品。『80年代SF傑作選〈下〉』収録の小説。
そういう空気をあえて醸し出す文章。けっこう読みにくいです。

でも良いです。こういうのもありなんだ。あらすじの解説はほぼ不可能だなぁ。短編なのに。どう解説すればいいのか。

物語は、いまだ人類が地球にいる時代から始まります・・・ そして、遥か何世紀先の時代にまでわたる壮大な物語に発展していきます。人種とネセクシとの壮絶な戦いが続いていく中。ブルースラックスと、クリーヴォの恋の物語がからみます。というか、その2人が歴史をつくります。


今日読んだ本
グレッグ・ベア『鏖戦』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
スウェン・ヘディン『さまよえる湖』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
★★★

著者:  岩明均
出版社: 講談社

  突如、空から正体不明の生物が降ってきた。それらはなんと、他の動物の頭に寄生し、神経を支配する寄生生物「パラサイト」であった。とりつかれたあとの「人間」(姿は人間、実は寄生生物)は、人間社会に上手く融けこみ、他の人間を次々と捕食していった。そんなある日、高校生の新一は、「パラサイト」に襲われる。なんとか脳を乗っ取られるのはさけたが、「パラサイト」が誤って彼の右手に寄生してしまった。新一と、右手に取り付いた「パラサイト」ミギーの奇妙な共生生活が始まった・・・

  自由の森学園の図書館にあったので手にとりました。最後まで読み終わって、面白いなぁと思いました。だけど、「生命の本質を描く感動の傑作」なのかな・・・ とても面白いとは思ったけど、みんなが絶賛するほど凄い作品かなぁ? そこには疑問を覚えました。

  「寄生獣」という言葉は作品の中ではほとんど登場しません。(多分)たった1度だけ使われたのは、人間に対してでした。人間こそ地球を食い荒らす寄生獣じゃないか、という訳です。その通りだなぁ、タイトルが示していたのはそれなのか、と感心しました。う~ん絶妙な言葉の取り合わせだ。

  人間こそ寄生中だ、というような言葉を吐いたのは、広川剛志という人なんだけど、彼はパラサイトではないのです。実は人間。それなのに、人間が地球を破壊するから抑制しよう、と考えていたみたいです。とても複雑な人だよなぁ・・・ まぁ分からないでもない。

  人間が、この地球を破壊しているのだからなぁ。それで自分自身の首をも絞めているのだから、おかしなはなしです。


自森人読書 寄生獣
『ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ』も、『80年代SF傑作選〈下〉』収録の小説。これもまた良い作品。ヒューゴー賞短編小説部門受賞。

ありきたりの設定だなぁ、と思いながら読んでいくと最後の最後にぽんとちょっと納得させられるラストがやってきます。う~ん。みごと。

あらすじは。
ハリーズ・バーガー・ショップに勤める主人公。彼は、夜になると店にやってくる不思議な人たちに最初はびっくりしますが、じょじょになれていきます。謎の人たちは別の世界から来たらしい。自分も行きたいなぁと考え出すのですが・・・


今日読んだ作品
ローレンス・ワット・エヴァンズ『ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
スウェン・ヘディン『さまよえる湖』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
グレッグ・ベア『鏖戦』
ジェイムズ・P・ブレイロック『ペーパー・ドラゴン』は、世界幻想文学大賞受賞作。非常に説明が難しいんだけど・・・

世界幻想文学大賞っていうのは、アーシュラ・K・ル・グイン(『アースシーの風』)や、パトリック・ジュースキント(『香水』)が受賞していたりする賞。

『ペーパー・ドラゴン』のあらすじは。
ちょっと奇怪で、それでいて普通な田舎が舞台。あそこにもここにも竜の影を感じる主人公。その近くで、1人淡々と、機械仕掛けで、「竜」を創ることを目指す男、フィルビー。さて、竜は完成するのか・・・
結局最後まで竜は姿を見せません。影は見えるが、本物は見えないみたいな感じです。とても奥深い。


オクティヴィア・バトラー『血をわけた子供』は傑作です。
迫害などを受けて地球から追放されたらしい人類の一部は、ある惑星に逃亡。彼らは、トゥリックと言う先住民と、ある協定を結びました。トゥリックは、卵を人間の体内に寄生させて、そこで孵化するということを認めさせる代わりに人類の生存を認めたのです。

そしてその宿主となる人間は主に男。女性は人間の子供を生むために確保しておかなければなりません。だから男に、トゥリックの卵は埋め込まれたのです・・・

擬似妊娠・擬似出産を体験させられる男たち。
愛とはなんだろうか、という問いにまでたどり着きます。


今日読んだ作品
ジェイムズ・P・ブレイロック『ペーパー・ドラゴン』
オクティヴィア・バトラー『血をわけた子供』


今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
スウェン・ヘディン『さまよえる湖』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
ローレンス・ワット・エヴァンズ『ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ』
グレッグ・ベア『鏖戦』
本を読もうとページをひらいても、眠くなってきます・・・
なんというか、本当に頭を抱えたくなるほどです。

今は、海外SF小説をどんどん読もうとしているところです。

だけど、スウェン・ヘディン『さまよえる湖』も面白い。あと半分くらいで読み終わりそうです。
『確率パイプライン』はジョークに満ちたばかばかしいSF小説。『80年代SF傑作選〈下〉』収録。

主人公は、サーファー・デルバートとゼップの2人。
彼らは、とにかくろくでもないやつで・・・ 鮫にかまれてボードがやられた、とか法螺吹くために、わざわざ2人共用のボードをざっくりきってしまって使い物にならないものにしてしまい・・・まぁ新しいボードが、必要だということになったんだけど。

それで、その新しいボードというのが凄いやつで。まぁ小さな泡を操ることによって、その小さな泡が大きな泡を操って、大きな泡が波を操って、波は海を操って・・・ ってな感じで海を操れちゃって。

それで、海のすぐそばの原発をぶっ壊して、デルバートはとうとう神になってしまった・・・ ってはなし。どうやって説明すれば良いのか分からないけど、とにかくばからしいはなしです。


今日読んだ作品
ルーディ・ラッカー&マーク・レイドロー『確率パイプライン』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
スウェン・ヘディン『さまよえる湖』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
ジェイムズ・P・ブレイロック『ペーパー・ドラゴン』
今日、『チェ 28歳の革命』を見てきました。
ちょっと予習が必要かなぁ、と思うほど、はなしがくるくる進むけど、とても面白かったです。

とにかく、主人公チェ・ゲバラが、かっこ良いです。
キューバのために、というよりは全世界の抑圧されている人々のために闘う、というところがやっぱり凄すぎるなぁ・・・

映画を見ている限りでは、孤高といえばいいのか、孤独といえばいいのか分からないけど、みんなを指導して進んでいくという感じではないように、感じました。
もちろん個人として、医師として、人とのつながりは大切にしているのはわかります。革命軍の指揮官としてもきちんとしています。農民に危害を加えた兵士がでたら処刑して規律を示し、しっかりと組織を率いていきます。だから厳格ではある。

でも、いつでも前線にあって戦闘に参加する、というのでは総司令官は務まらない気がするし。それに、兵士たちが会話している間、離れて1人で読書しているという場面もあります。内向的な雰囲気といえば良いのか。どこか繊細さが感じられます。

陽気にワーイとやるような明るい人ではないし、清濁併せ呑むというような図太さがあるわけでもない。
でもたぶん、そこがかっこ良いんだよなぁ。

チェは、戦争によって革命を目指したから納得できないと言う人がいます。
しかし、彼だって平和的な方法をとる方がより良い、とは述べているのです。アメリカの抑圧を受けていた当時の中南米の中では平和的な手段(選挙など)は通用しない。だから、銃を手に取るしかないんだというのが彼の結論です。いろんなことを考慮してみるとその決断を単純には否定できない、と僕は思います。
まぁ戦争が起きたとき1番しわ寄せがくるのは民衆なのだから、解放のために戦う、というのはそれ自体がある意味で矛盾しているかも知れないけど(解放の戦争自体が民衆をさらに苦しめるものになるのではないのか?)。世の中に、矛盾していないものなんて存在しないのだし。

チェのように銃をとるのは矛盾しているかも知れないけど、それはそれで1つの選択肢だよなぁ。今の日本ではたぶん通用しない、というか流行らない気がします。武装っていうと、反感を抱かれてしまうから。
まぁ今の日本の護憲派が唱える「平和的な手段でもって世界に平和をもたらすんだ」という主張だって大きく矛盾しています。非現実的だ、ということがまずあるし。
でも何もせず立ち止まっていたら状況はさらに悪化するばかり。過ちを恐れず、進むしかないのかなぁ。それぞれの場所で、それぞれの人が、自分の信じる通りに。

『チェ 39歳 別れの手紙』も見なきゃ。
『80年代SF傑作選〈下〉』を今読んでいます。
『胎動』『祈り』『間諜』

80年代の面白いSF小説が載っています。
ぜんぶ中編というか、短編小説です。

マイクル・ビショップ『胎動』は・・・
起きたらなぜか人間全員が昨夜までとは別の土地に飛ばされていた、という物語。どうやら世界中の人々に全く同じことが起きたらしい。もちろん誰もがパニック状態。しかもそれは全くランダムらしく、中国人も、アメリカ人も、エスキモーも、みんなごちゃ混ぜに・・・
人々はその事態を受けて、いったいどこを目指すのか?

これがSFなのか。物凄く哲学的というか、深いです。

ジョアンナ・ラス『祈り』は、ノルド人がある修道院を襲撃してきた時の物語。最後には、異邦人らしき人たち(天使? 宇宙人?)が登場します。う~ん、面白いです。ありきたりなストーリーではあるけど。

ブルース・スターリング『間諜』は、3作品の中で1番すぱっといって読みやすかったです。完璧なる管理社会を目指す財閥隊の手先・間諜(スプーク)。彼は、南米で勢力を固める宗教集団を叩き潰すことを目指しますが、その中で失っていた記憶を取り戻し・・・

どれも、面白いけど。陽気さというものがほとんど感じられません。重々しくて息が詰まる。ブラックというか。


今日読んだ作品
マイクル・ビショップ『胎動』
ジョアンナ・ラス『祈り』
ブルース・スターリング『間諜』


今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
スウェン・ヘディン『さまよえる湖』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
ルーディ・ラッカー&マーク・レイドロー『確率パイプライン』
『竹中半兵衛と黒田官兵衛―秀吉に天下を取らせた二人の軍師』

読みやすい。すとんすとんとはなしが進んで気持ちいいです。
ただし、戦国時代のだいたいの流れを知っている人でないと、ちょっと混乱するかも知れません。長いし、ちょっとマイナーなはなしに行く部分もあるので。

世間一般に流通した常識というか、イメージでしっかりと書かれているので、安心して読めます。歴史上のある人物が嫌いだから、口をきわめてその人の悪口を書く、という作家が時々います。それはそれで面白いのだけど、その作家の考え方に知らぬ間に染められるのはちょっと困るなぁと思います。間違ったことを信じてしまうことになるし。

主人公は、豊臣秀吉に仕えた2人の軍師。
飄々としていて何事にもとらわれないほどの大きな器。それでいて天下の政治を考えている天才軍師・竹中半兵衛。
頭がきれすぎるので主君・豊臣秀吉にすら警戒されたといわれ、しかも敵に降伏を勧めるために行った先で、何ヶ月も監禁されてびっこになってしまった黒田官兵衛。

黒田官兵衛は、ちょっとかっこ良すぎる気がします。
買いかぶりすぎじゃないかなぁ。いくらなんでも。もっと優しくない人のようなイメージがあります。「民のことに目を向けていた云々」っていうのはちょっときれい過ぎるというか。ありきたりすぎるというか。
もう少し、未練たらしく天下を自分のものにしたい、という野心を追求する男だったのではないかなぁ、と僕は考えています。関連する本としては。松本清張『軍師の境遇』があります。『軍師の境遇』も黒田官兵衛が主人公の本。


今日読んだ本
嶋津義忠『竹中半兵衛と黒田官兵衛―秀吉に天下を取らせた二人の軍師』

今読んでいる本
遠藤周作『イエスの生涯』
スウェン・ヘディン『さまよえる湖』
森博嗣『フラッタ・リンツ・ライフ』
マイクル・ビショップ『胎動』
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