★★★★
著者: 丸木俊、丸木位里
出版社: 小峰書店
第二次世界大戦のとき、日本の中で唯一地上戦が行われたのが、沖縄です。沖縄県民のうち、3人に1人が亡くなりました。たくさんの方が亡くなり、生きのびた人たちもほぼ全員が、祖母や祖父、母親や父親、兄弟姉妹、娘や息子、叔父や伯母といった親族の大勢を失いました。どれだけ沖縄戦はひどいものであったかが分かります。
沖縄戦ののちに、沖縄の人たちが生み出したのが、ヌチドゥタカラ(命こそ宝)という言葉です。この絵本を読むと、その言葉の意味が分かってきます。自由の森学園中学3年では、沖縄に修学旅行に行きますが、ぜひ行く前にこの絵本を読んでおくといいと思います。いや別に、修学旅行に行かない人も読んでみて欲しいです。自由の森学園の図書館にもあると思うので。
2007年度・中3の修学旅行では沖縄へ行きました。平和について学んできたのですが、その事前学習として、丸木美術館に行きました。画家 丸木俊、丸木位里さん夫婦の絵が飾られているところです。少し蒸し暑い中(冷房がついていないので)、数時間周って見ていきました。
沖縄戦のときの様子が、2メートル以上の紙に、大きく、たくさん描かれていました。どれも暗くて、ほとんど黒と赤の絵の具だけしか使われていません。戦争の暗さが伝わってきます。でも事実がそのまま描かれているわけじゃありません。絵の中の死体は、まったく腐乱していないのです。どうしてなのだろうか、と考えてみると・・・ 「そのまま」を描いても、「そのまま」にはならないということのような気がしました。(スケッチでは終わらない絵を目指した、というか)
沖縄戦のときの酷いありさまをそのまま描いたら、グロくて、ショッキングな絵になります。見た人が、「うわぁ・・・」と思うような絵が出来上がります。でも伝えたいのははそんな単純なことではない。「赤い血にまみれた戦場」を描きたかったのではなく、もっと暗くて、黒く塗りつぶされて絶望しかない状況が伝えたかったのではないか、と思います。
あともう1つ興味深いことがあります。よく見ると、絵の中の人たちには、目玉が描きこまれていないのです。それは何を表すのか? 難しい問いです。・・僕は、瞳(ひとみ)の輝きとは、命もしくは希望を表すのではないか、と思っています。「画竜点睛」という言葉があります(よく「画竜点睛を欠く」というふうに使われるけど)。壁に描いた竜に、瞳を描き込んだ途端に竜が天へ昇っていってしまったという逸話です。瞳は、絵の命だ、という言葉もあります。だから瞳は命じゃないか、と思うのです(短絡的かなぁ・・)。
それに、絵の中の子どもたちには、瞳が描き込まれています。それは未来に希望を託した、ということのような気がします。
丸木美術館、とにかく興味深いし、素晴らしいです。埼玉にあるのだし、ぜひ行くことをおすすめします。自由の森学園もそうなのですが、丸木美術館もお金に困っているそうです。やっぱり美術館の経営っていうのは難しいよなぁ。とにかく、丸木美術館がなくならないためにも、行ってみて欲しいです。
関連リンク
丸木美術館 ウェブサイト
自由の森学園中3 沖縄修学旅行
自森人読書 おきなわ 島のこえ ―ヌチドゥタカラ
著者: 丸木俊、丸木位里
出版社: 小峰書店
第二次世界大戦のとき、日本の中で唯一地上戦が行われたのが、沖縄です。沖縄県民のうち、3人に1人が亡くなりました。たくさんの方が亡くなり、生きのびた人たちもほぼ全員が、祖母や祖父、母親や父親、兄弟姉妹、娘や息子、叔父や伯母といった親族の大勢を失いました。どれだけ沖縄戦はひどいものであったかが分かります。
沖縄戦ののちに、沖縄の人たちが生み出したのが、ヌチドゥタカラ(命こそ宝)という言葉です。この絵本を読むと、その言葉の意味が分かってきます。自由の森学園中学3年では、沖縄に修学旅行に行きますが、ぜひ行く前にこの絵本を読んでおくといいと思います。いや別に、修学旅行に行かない人も読んでみて欲しいです。自由の森学園の図書館にもあると思うので。
2007年度・中3の修学旅行では沖縄へ行きました。平和について学んできたのですが、その事前学習として、丸木美術館に行きました。画家 丸木俊、丸木位里さん夫婦の絵が飾られているところです。少し蒸し暑い中(冷房がついていないので)、数時間周って見ていきました。
沖縄戦のときの様子が、2メートル以上の紙に、大きく、たくさん描かれていました。どれも暗くて、ほとんど黒と赤の絵の具だけしか使われていません。戦争の暗さが伝わってきます。でも事実がそのまま描かれているわけじゃありません。絵の中の死体は、まったく腐乱していないのです。どうしてなのだろうか、と考えてみると・・・ 「そのまま」を描いても、「そのまま」にはならないということのような気がしました。(スケッチでは終わらない絵を目指した、というか)
沖縄戦のときの酷いありさまをそのまま描いたら、グロくて、ショッキングな絵になります。見た人が、「うわぁ・・・」と思うような絵が出来上がります。でも伝えたいのははそんな単純なことではない。「赤い血にまみれた戦場」を描きたかったのではなく、もっと暗くて、黒く塗りつぶされて絶望しかない状況が伝えたかったのではないか、と思います。
あともう1つ興味深いことがあります。よく見ると、絵の中の人たちには、目玉が描きこまれていないのです。それは何を表すのか? 難しい問いです。・・僕は、瞳(ひとみ)の輝きとは、命もしくは希望を表すのではないか、と思っています。「画竜点睛」という言葉があります(よく「画竜点睛を欠く」というふうに使われるけど)。壁に描いた竜に、瞳を描き込んだ途端に竜が天へ昇っていってしまったという逸話です。瞳は、絵の命だ、という言葉もあります。だから瞳は命じゃないか、と思うのです(短絡的かなぁ・・)。
それに、絵の中の子どもたちには、瞳が描き込まれています。それは未来に希望を託した、ということのような気がします。
丸木美術館、とにかく興味深いし、素晴らしいです。埼玉にあるのだし、ぜひ行くことをおすすめします。自由の森学園もそうなのですが、丸木美術館もお金に困っているそうです。やっぱり美術館の経営っていうのは難しいよなぁ。とにかく、丸木美術館がなくならないためにも、行ってみて欲しいです。
関連リンク
丸木美術館 ウェブサイト
自由の森学園中3 沖縄修学旅行
自森人読書 おきなわ 島のこえ ―ヌチドゥタカラ
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★★★★★
著者: 吉田秋生
出版社: 小学館
鎌倉の高校を舞台にした、朋章と里伽の2人を中心としたいろんな人たちの恋模様です。
1話ごとに別の人の視点に移って、物語がすすんでいきます。いくつもの視点がからみあうことで、かえって何かが見えてくる。そんな物語かなぁ、と思いました。ミステリ小説だけど、宮部みゆき (『理由』)が同じようなことをやっている気がします(ちょっと違うか・・・)。青春のストーリーだと、それとはまた違っていいなぁ、ということを思いました。
この長さ(1冊)がいい、と感じました。ぎゅっと良さが凝縮されて、きれいにまとまっている気がします。僕は、本が長いのは嬉しいのに、マンガが長いと辟易してしまいます。どうしても読むのが面倒くさくなってしまうんだよなぁ。30巻とか巻数になると、まず全巻揃えるか、もしくは全巻揃っているところへ行くのが面倒だし・・・
最近のマンガはみんな長くて、読むのが大変だけど、『ラヴァーズ・キス』は1巻なので、ぜひどこかで手にとってみて欲しいなぁ、と思いました。
つけ加え。そういえば朋章って、最近の作品『海街diary』にも登場する、ということにあとで気付きました。面白い、作品通しでつながっているんだ・・・ 同じ鎌倉だもんなぁ。
自森人読書 ラヴァーズ・キス
著者: 吉田秋生
出版社: 小学館
鎌倉の高校を舞台にした、朋章と里伽の2人を中心としたいろんな人たちの恋模様です。
1話ごとに別の人の視点に移って、物語がすすんでいきます。いくつもの視点がからみあうことで、かえって何かが見えてくる。そんな物語かなぁ、と思いました。ミステリ小説だけど、宮部みゆき (『理由』)が同じようなことをやっている気がします(ちょっと違うか・・・)。青春のストーリーだと、それとはまた違っていいなぁ、ということを思いました。
この長さ(1冊)がいい、と感じました。ぎゅっと良さが凝縮されて、きれいにまとまっている気がします。僕は、本が長いのは嬉しいのに、マンガが長いと辟易してしまいます。どうしても読むのが面倒くさくなってしまうんだよなぁ。30巻とか巻数になると、まず全巻揃えるか、もしくは全巻揃っているところへ行くのが面倒だし・・・
最近のマンガはみんな長くて、読むのが大変だけど、『ラヴァーズ・キス』は1巻なので、ぜひどこかで手にとってみて欲しいなぁ、と思いました。
つけ加え。そういえば朋章って、最近の作品『海街diary』にも登場する、ということにあとで気付きました。面白い、作品通しでつながっているんだ・・・ 同じ鎌倉だもんなぁ。
自森人読書 ラヴァーズ・キス
★★★
著者: あさのあつこ
出版社: 岩崎書店
ある日。中学2年の転校生・瀬田歩は、クラスメイトの秋本貴史から付き合ってくれないか、と訊かれます。瀬田歩は男に告白されたのか、と思ってどきっとするのですが、それは実は一緒に漫才コンビを組まないか、というお誘いでした。2人は、コンビを組んで、漫才をやることになり・・・
読み始めた時は面白かったです。1巻読んで、これは面白いかも知れない、と思いました。でも2巻、3巻と読みすすめていくうちに段々飽きてきました。映画化が決定されたらしいけど、それを聞くと、なんでもかんでも映画化すればいいってものでもないだろう、と言いたくなってしまいます。(『鴨川ホルモー』や、『容疑者xの献身』が映画化されるのはいいことだ、と喜んでいるくせに・・・)
いろんな人が「心温まる」とか言って、あさのあつこの作品をほめまくるけど、ボーイズラヴを連想させるあざとさが気になる。なんというか、微妙であざとくて、中途半端にひっかかっているんだよなぁ。というより、全体的に中途半端な気がします。各所で笑いを誘っているのか、よく分からない部分があるんだけど、そこも別に笑えるわけじゃない。それで、漫才がストーリーの主眼になっている訳でもない。
1巻は面白いんだけど、巻がすすむごとに、だんだんとマンネリ化してくる、というのか、飽きてくる気がしました。★は3つだけど、続きを読もうとは思わないかなぁ、あまり。『バッテリー』もそうなんだけど、どうしてあさのあつこの作品は、先を読むのが面倒くさくなってきてしまうんだろう。自分でも不思議です。
自森人読書 THE MANZAI
著者: あさのあつこ
出版社: 岩崎書店
ある日。中学2年の転校生・瀬田歩は、クラスメイトの秋本貴史から付き合ってくれないか、と訊かれます。瀬田歩は男に告白されたのか、と思ってどきっとするのですが、それは実は一緒に漫才コンビを組まないか、というお誘いでした。2人は、コンビを組んで、漫才をやることになり・・・
読み始めた時は面白かったです。1巻読んで、これは面白いかも知れない、と思いました。でも2巻、3巻と読みすすめていくうちに段々飽きてきました。映画化が決定されたらしいけど、それを聞くと、なんでもかんでも映画化すればいいってものでもないだろう、と言いたくなってしまいます。(『鴨川ホルモー』や、『容疑者xの献身』が映画化されるのはいいことだ、と喜んでいるくせに・・・)
いろんな人が「心温まる」とか言って、あさのあつこの作品をほめまくるけど、ボーイズラヴを連想させるあざとさが気になる。なんというか、微妙であざとくて、中途半端にひっかかっているんだよなぁ。というより、全体的に中途半端な気がします。各所で笑いを誘っているのか、よく分からない部分があるんだけど、そこも別に笑えるわけじゃない。それで、漫才がストーリーの主眼になっている訳でもない。
1巻は面白いんだけど、巻がすすむごとに、だんだんとマンネリ化してくる、というのか、飽きてくる気がしました。★は3つだけど、続きを読もうとは思わないかなぁ、あまり。『バッテリー』もそうなんだけど、どうしてあさのあつこの作品は、先を読むのが面倒くさくなってきてしまうんだろう。自分でも不思議です。
自森人読書 THE MANZAI
12月19/20日の音楽祭に向けて。クラス合唱「それがすべてさ」の練習が始まりました。福山雅治が歌っている曲です。
また、一方で有志のオーディションがすすんでいます。いったいどの企画が残り、どの企画が落ちるのか。
熾烈なバトルが繰り広げられている、のかなぁ・・・
審査員は融資の各企画から1名だすということになっているそうです。
自由の森学園・関連一覧
『ガリレオの苦悩』とほぼ同時に『聖女の救済』を読みました。ガリレオシリーズの長編第二弾です。
とても面白かったです。読み始めてから読み終わるまで釘付けになってしまいました。『容疑者Xの献身』と比べて、ラストはそこまで盛り上がらないような気がしたけど、今回の犯人も「凄い」人です。よくぞそこまで自分の行為を貫徹できたなぁ、と感心します。
犯人は、ガリレオと張り合うほど頭が良いし、しかも根気もある女性です。最初の部分ですでに彼女が犯人であることはほのめかされているのですが、どうやって夫を殺したのか最後まで分かりません。
おそらく君たちは負ける。
僕も勝てないだろう。
これは完全犯罪だ。
という湯川のセリフがものすごく印象的でした。
帯にもなってた・・
今回は、草薙が主人公といっても良いくらいなストーリーでした。彼の心の動きには注目、という感じです・・・
けっこう分厚いのに読むのが全然苦になりませんでした。凄く面白かったです。やっぱり★5つだなぁ・・・
昨日読んだ本
東野圭吾『聖女の救済』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
陳舜臣『英雄ありて』(再読)
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
東野圭吾の最新刊『ガリレオの苦悩』を読みました。『落下る(おちる)』『操縦る(あやつる)』『密室る(とじる)』『指標す(しめす)』『攪乱す(みだす)』が収録されています。短編には短編の良さがあるなぁと思います。ほとんど同時並行で『聖女の救済』も読んでいたのですが、長い物語と言うのは、謎解きを最後までぐいぐいひっぱっていくものだけど、それが好きじゃない人にとってはとても気持ち悪いだろうなぁ。僕はそういうのが好きだから長編がいいなぁと思うのだけど。
テレビ版では、この物語をいじって放映したのかとか、そういうことがわかって面白かったです。
東野圭吾が書くものは、基本的にはすっきりすとんと落ちるところに落ちて終わるものが多いなぁと思います。最後まで謎が残る場合もあるけど、謎が謎として提示されていて何が謎なのか分かるのですっきりします。もっとふわふわしていて掴みどころのない文章を書く作家と比べると、とても読みやすいと感じます。
今日読んだ本
東野圭吾『ガリレオの苦悩』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
陳舜臣『英雄ありて』(再読)
東野圭吾『聖女の救済』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
★★★★
著者: 恩田陸
出版社: 集英社
ある高校に、不思議な噂がありました。3年に1度、密かに「サヨコ」と呼ばれる役割(?)が受け継がれているというものです。いったいサヨコとは何なのか・・・? ちょうど六番目の小夜子が生まれる年。津村沙世子という美しい少女が、その高校に転向してきます。そのときいったい何が起こるのか? 「サヨコ」をめぐる高校3年生たちの1年間の物語です・・・
って全然上手く説明できていません。難しいんだよなぁ。こういうおはなしです、と言い切るのが。まぁ是非1度読んでみることをおすすめします。
僕は、「砂時計」というものに興味があります。中3卒業制作(未完成)の映画の歌詞を考えていたときにも・・・「砂時計」というフレーズを無理矢理入れようしていました。なんというか、砂時計の形というか、あの全体的な雰囲気が面白いのです。
恩田陸『六番目の小夜子』を読んでいました。(またまた恩田陸の本です、恩田陸ばかり毎日読んでいるなぁ)すると、なんと「砂時計」というのが面白い形で登場してきました。
岡田幸四郎の最後の解説に、永遠と刹那の関係のことが書かれていました。学校の時間は、(川のように)流れいき、永遠をはらみ、蓄積される閉じた永遠です。それに対し、生徒の時間は一回性の直線的な(火のような)刹那だというのです。
そしてその人は、この『六番目の小夜子』のことを・・・「学校の時間(永遠)に抗う生徒の時間(刹那)の静かな闘争の軌跡」として見てみたい、といいます。その中で砂時計というのはどういう意味を持つのかというと、砂時計というのは、「円環しない時の流れを刻む」ものです。学校の時間(永遠)とは違う時間を刻む、刹那の象徴みたいなのです。そうか、面白い、砂時計をそういうふうに見ることもできるのか、と思いました。
自森人読書 六番目の小夜子
著者: 恩田陸
出版社: 集英社
ある高校に、不思議な噂がありました。3年に1度、密かに「サヨコ」と呼ばれる役割(?)が受け継がれているというものです。いったいサヨコとは何なのか・・・? ちょうど六番目の小夜子が生まれる年。津村沙世子という美しい少女が、その高校に転向してきます。そのときいったい何が起こるのか? 「サヨコ」をめぐる高校3年生たちの1年間の物語です・・・
って全然上手く説明できていません。難しいんだよなぁ。こういうおはなしです、と言い切るのが。まぁ是非1度読んでみることをおすすめします。
僕は、「砂時計」というものに興味があります。中3卒業制作(未完成)の映画の歌詞を考えていたときにも・・・「砂時計」というフレーズを無理矢理入れようしていました。なんというか、砂時計の形というか、あの全体的な雰囲気が面白いのです。
恩田陸『六番目の小夜子』を読んでいました。(またまた恩田陸の本です、恩田陸ばかり毎日読んでいるなぁ)すると、なんと「砂時計」というのが面白い形で登場してきました。
岡田幸四郎の最後の解説に、永遠と刹那の関係のことが書かれていました。学校の時間は、(川のように)流れいき、永遠をはらみ、蓄積される閉じた永遠です。それに対し、生徒の時間は一回性の直線的な(火のような)刹那だというのです。
そしてその人は、この『六番目の小夜子』のことを・・・「学校の時間(永遠)に抗う生徒の時間(刹那)の静かな闘争の軌跡」として見てみたい、といいます。その中で砂時計というのはどういう意味を持つのかというと、砂時計というのは、「円環しない時の流れを刻む」ものです。学校の時間(永遠)とは違う時間を刻む、刹那の象徴みたいなのです。そうか、面白い、砂時計をそういうふうに見ることもできるのか、と思いました。
自森人読書 六番目の小夜子
松本清張の本をどんどん読んでいます。今日、『小説帝銀事件』を読みました。小説というよりルポというか、ノンフィクションに近いです。
『小説帝銀事件』はある記者が、帝銀事件の事実を徹底的に洗った結果、警察・検察の捜査や裁判の判決の結果犯人とされた画家・平沢貞通は真犯人ではない、実はGHQ(旧日本軍731部隊の人間)に関係のある者が犯人だったのでは? と推測するもの。
さて、その帝銀事件とはどういう事件か、というと。
1948年1月26日、安田銀行板橋支店の閉店直後、東京都防疫班の白腕章をつけた男がやってくる。男は、「近隣で集団赤痢が発生した。GHQがここを消毒する。その前に予防薬を飲んで欲しい」と言って、青酸化合物を銀行内にいた16人の職員達に飲ませる。12人が殺害され、男は、現金16万円と小切手1万7450円を奪って逃亡。
・・・という冷酷非道なとんでもない事件です。
その後、テンペラ画家の平沢貞通が真犯人として逮捕されます。虚言癖のある人で、喋るごとにウソをぺらぺら喋るような人でした。彼は、ほとんど拷問に近い尋問の結果、事件のことを「自白」。死刑を宣告されます。
しかし、物的証拠はほとんどなく、松本清張ら多くの人たちが死刑にしてはいけないという活動をしました。そのため、平沢貞通は死刑にはなりませんでした。結局、37年間の収監ののち、獄中で死去。
結局、多くの謎を残したまま事件は終結します。
松本清張が多くの証拠を挙げて、旧日本軍関係者(多分、731部隊関係者)が真犯人ではないか、と書いているの説得力があります。そもそも警察・検察も、最初のうちは軍関係者が犯人だろうと考えていたのに、どうしてそういう方面の捜査はうまくいかなかったのか・・・? 駐留軍から圧力がかかったからではないか?
戦後、731部隊の人たちは豊富で貴重な経験・データ(本物の人体を使った毒ガス・細菌兵器などの非人道的な実験を中国でやっていた)を持っていたことから米軍に様々な形で協力し、重用されました(中国・満州に取り残された731部隊などに属した軍人たちは、中国人やソ連によって殺されたり、裁かれたりしました。しかし、日本に密かに帰還した者達は無事だったのです。)。
そういう者の中の1人が犯人ではないか。
いとも容易く10人もの人の命を奪って平然としているところなども、人を『マルタ』と呼んで人間扱いしなかった731部隊の軍人を想起させます。旧日本軍関係者が真犯人というのは、決してありえないことではないし、むしろそれこそが真実のような気もします。まぁ今となっては、真相は闇の中ですが・・・
今日読んだ本
松本清張『小説帝銀事件』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
陳舜臣『英雄ありて』(再読)
東野圭吾『ガリレオの苦悩』
東野圭吾『聖女の救済』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
松本清張が書いた歴史小説の短編・中篇集『軍師の境遇』を読みました。『軍師の境遇』、『逃亡者』、『版元画譜』の3篇を収録。
『軍師の境遇』は、知略に優れ、人格にも優れた希代の智将・黒田孝高(如水)を主人公に据えた物語。舞台は、戦国時代の終わり。
黒田孝高は、いまの姫路市の辺りに割拠していた小大名の小寺政職に仕え、一代で重臣にまで取り上げられた人。織田信長が伸長してくると、主君・小寺政職を説いて織田方に従い、自身は羽柴秀吉に惚れこみ、仕えるようになります。そして、言葉でもって敵を味方につけるということをやるようになりました。
しかし離反者・荒木村重に再び織田方に戻るように説きにいったとき失敗。捕縛されて土牢に閉じ込められてしまいます。約1年間後、城の陥落とともに救出されました。しかしその生活の中で体が不自由になり足を引きずるようになり、その後は輿に乗って軍を指揮するようになります。
主君が織田方を裏切った毛利方についたため滅ぼされることがあり、その後羽柴秀吉の参謀として活躍。毛利氏との戦いで数々の献策をしました。苛烈なる鳥取城の兵糧攻め、備中高松城の水攻めのときの参謀だそうです。本能寺の変で織田信長が斃れると、嘆く豊臣秀吉に「いまはチャンスなのです」と説いて、中国大返しを勧め、その結果明智光秀を討つことで豊臣秀吉は一躍天下人へ近付きます。
その後は、そのあまりの知略を豊臣秀吉から恐れられ、彼に「俺の死んだ後天下をとるのができるのは、あの黒田だろう」とまで言われたというはなしもあったそうです。黒田孝高は野心のないことを表すために如水と名乗って隠居。そうして、一代の智将は身を引いた・・・というところまでが『軍師の境遇』の物語。
いろんな人たちの心情を的確に、だけど短く表現していて面白かったです。松本清張の文章って良いなぁと思いました。
『逃亡者』は細川ガラシャを狂ったまでに愛した細川忠興と、その家臣にして鉄砲の使い手としては日本一とまで言われた稲富直家らの物語。舞台は戦国時代の終わり頃。細川忠興は、細川ガラシャを愛するが故に、2人を邪魔する者やキリスト教信者となったガラシャの従者を斬り捨てたりしました。けっこう残虐な性格だったようです。
細川ガラシャは京都にいました。関ヶ原の戦いが起こる直前に細川家が東軍についたため、明智軍の人質になりそうになって襲われ、死にます。だけど死は細川忠興からの解放だったのではないか、ということを作者が述べていますが、その通りかもなぁ。
それにしても、誰もが何かから逃げているのかもなぁ、と思いました。
『版元画譜』は江戸時代の物語。
浮世絵師たちが活躍します。歌麿と山東京伝ら浮世絵師たちの絵を売って名を馳せた目利きの版元の旦那。彼は写楽という男を見出して売り出しますが、失敗し、転落していきます・・・
豊国という粗のない一般受けする若手が台頭してきたのに嫉妬する大家・歌麿。おはなしを書こうとして弟子の馬琴(『八犬伝』を書いた人)の前に敗れる山東京伝。すぐれた才能を持ちながら、理解されずに一瞬(10ヶ月)で姿を消す写楽(明治以降、外国の絵の評論家たちから素晴らしいと絶賛され、日本でも再評価されるようになる)。色んな人たちの微妙な心の動きが表現されています。
面白い。江戸時代の都・江戸の様子が見えてくるような気がしてきます。
今日読んだ本
松本清張『軍師の境遇』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
松本清張『小説帝銀事件』
『悪魔が来りて笛を吹く』のテレビ版の中で、似た事件をやってた気がする。
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
『チェーザレ 6―破壊の創造者』読みました。やっぱり、絵がきれいだなぁと思います。そういえば5巻を読んでいないです・・ 飛ばしてしまった。『チェーザレ』は、イタリアの動乱期に活躍したチェーザレという人物を中心にしたヨーロッパの物語。日本の織田信長と比べられたりする人です。
チェーザレがこれからどうなっていくのか、まだいまいち分からないです。まだ余裕があってどこまでも上へと登っていくようなストーリー展開。全てに裏切られて絶望に陥ったりすることがこれからあると思うんだけど・・・
最近読んだ本
惣領冬実『チェーザレ 6―破壊の創造者』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
松本清張『軍師の境遇』
松本清張『小説帝銀事件』
『悪魔が来りて笛を吹く』のテレビ版の中で、似た事件をやってた気がする。
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
★★★★
著者: 田中芳樹
出版社: 祥伝社
六世紀の始め、南北朝時代の中国が舞台です。
北朝・魏は、南朝・梁を攻め滅ぼそうと機会をうかがっていました。梁の皇帝・蕭衍は弱冠二十三歳の将軍、陳慶之に軍備を任せます。陳慶之は、天才的な用兵の才能を持っていました。韋叡・曹景宗らに支えられた陳慶之は、守りを固めました。国境を流れる淮河の畔、鐘離の地に中山王・元英率いる魏軍八十万が押し寄せてきました。対する梁軍はたったの三十万。半分以下です。騎兵と水軍が入り混じる大乱戦が始まります・・・
陳慶之という人が主人公です。どこか飄々としていて恋も、武芸もからきし。だけど用兵(兵を指揮する)の才能は超一流という人でした。『銀河英雄伝説』に登場するヤン・ウェンリーに似てるなぁ・・・ 彼は、白袍隊(全身白づくめの部隊)を率いて戦い、梁を守りました。のちに梁が滅亡したのは、陳慶之が死去した10年後のことです。それだけ陳慶之の存在が巨大だった、ということだと思います。
実は、陳慶之という人は田中芳樹がとりあげるまで全くといっていいほど日本では知られていませんでした。だけど、この「奔流」という作品にとりあげられたことで一挙に有名になりました。今では「中国史上最強の武将は誰?」という話題になると、必ず陳慶之の名があがるほどです。(一般の人はあまり知らないので、中国歴史マニアの中でのはなしだけど・・・ しかも、アンチの人が大勢いるけど)
僕は、陳慶之という人は凄いなぁ、と思います。史実に残った実績はものすごいです。7000の兵力で、敵国の首都を一時的に陥落させることにまで成功しています。でも、この「奔流」に登場するこの人柄がいいなぁ、と思いました。 彼以外の登場人物たちもとても魅力的で、面白いです。
自森人読書 奔流
著者: 田中芳樹
出版社: 祥伝社
六世紀の始め、南北朝時代の中国が舞台です。
北朝・魏は、南朝・梁を攻め滅ぼそうと機会をうかがっていました。梁の皇帝・蕭衍は弱冠二十三歳の将軍、陳慶之に軍備を任せます。陳慶之は、天才的な用兵の才能を持っていました。韋叡・曹景宗らに支えられた陳慶之は、守りを固めました。国境を流れる淮河の畔、鐘離の地に中山王・元英率いる魏軍八十万が押し寄せてきました。対する梁軍はたったの三十万。半分以下です。騎兵と水軍が入り混じる大乱戦が始まります・・・
陳慶之という人が主人公です。どこか飄々としていて恋も、武芸もからきし。だけど用兵(兵を指揮する)の才能は超一流という人でした。『銀河英雄伝説』に登場するヤン・ウェンリーに似てるなぁ・・・ 彼は、白袍隊(全身白づくめの部隊)を率いて戦い、梁を守りました。のちに梁が滅亡したのは、陳慶之が死去した10年後のことです。それだけ陳慶之の存在が巨大だった、ということだと思います。
実は、陳慶之という人は田中芳樹がとりあげるまで全くといっていいほど日本では知られていませんでした。だけど、この「奔流」という作品にとりあげられたことで一挙に有名になりました。今では「中国史上最強の武将は誰?」という話題になると、必ず陳慶之の名があがるほどです。(一般の人はあまり知らないので、中国歴史マニアの中でのはなしだけど・・・ しかも、アンチの人が大勢いるけど)
僕は、陳慶之という人は凄いなぁ、と思います。史実に残った実績はものすごいです。7000の兵力で、敵国の首都を一時的に陥落させることにまで成功しています。でも、この「奔流」に登場するこの人柄がいいなぁ、と思いました。 彼以外の登場人物たちもとても魅力的で、面白いです。
自森人読書 奔流
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』、とても面白かったです。孫文という偉大な革命家の足跡をたどっていくものでした。
う~ん、孫文という人は凄いと思いました。やることなすことほとんど全て失敗しながら、それでもただ前進していくのです。救国ということを掲げて、人民のために革命を起こそうとして決してくじけないところは感心します。しかも自分の考えを本にしたり、喋ったりするだけでなく、それに行動がともなっているところも素晴らしいです。
孫文は、今でこそ中国近代革命の先駆者として、「国父」というような評価を受けていますが、辛亥革命が起こるまでは単なる「口先だけ」とみなされていました。孫大砲(ほら吹き)などとあだなをつけられたこともあったそうです。当時、清帝国を倒してさらに西欧諸外国の侵略をはねのけようと活動するのはそれだけ非現実的な行為だった、ということがよく分かります。しかし、それは最終的には一応実現します。毛沢東ら中国共産党が中華人民共和国という国をつくっていきます(内部にはいろんな問題を抱えたけど)。
う~ん、凄過ぎる、よくそこまでたどりついたなぁ。
今日読んだ本
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
う~ん、孫文という人は凄いと思いました。やることなすことほとんど全て失敗しながら、それでもただ前進していくのです。救国ということを掲げて、人民のために革命を起こそうとして決してくじけないところは感心します。しかも自分の考えを本にしたり、喋ったりするだけでなく、それに行動がともなっているところも素晴らしいです。
孫文は、今でこそ中国近代革命の先駆者として、「国父」というような評価を受けていますが、辛亥革命が起こるまでは単なる「口先だけ」とみなされていました。孫大砲(ほら吹き)などとあだなをつけられたこともあったそうです。当時、清帝国を倒してさらに西欧諸外国の侵略をはねのけようと活動するのはそれだけ非現実的な行為だった、ということがよく分かります。しかし、それは最終的には一応実現します。毛沢東ら中国共産党が中華人民共和国という国をつくっていきます(内部にはいろんな問題を抱えたけど)。
う~ん、凄過ぎる、よくそこまでたどりついたなぁ。
今日読んだ本
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
川端康成の短編集『伊豆の踊り子』(表題作・『伊豆の踊子』、ほか『温泉宿』『叙情歌』『禽獣』収録)、あまり面白いとは思えず我慢しながら読みました。正直そこまで好きではありませんでした。傑作、といわれる理由が分からないです。
このじれったさが良いんだと言われると、まぁその通りかも知れないと思うけど。
爽やかで淡い恋を描いた『伊豆の踊子』は置いといて、そのほかの作品は、エロ・グロがちょっとはいった幻想小説っぽい感じを受けます。なんとも言い難い不気味さみたいなものがある気がする・・・ 全然しつこくはなんだいけど、どこかねっとりしたイメージを受けます。
川端康成と言う人も、老いを安らかに迎えられなかったという点では三島由紀夫らと似ているなぁと感じます。自殺の理由としては、女中さん(だっけ?)に手を出して拒絶されたから、ノーベル賞受賞の重圧に耐えられなかったから、老いを恐れて、とかいろんなことを言われているけど、こんなふうに世界の醜いというか、グロテスクな一面にばかり目を向けて小説を書いていては、辛くなって当然のような気もします。
川端康成の小説のなかには男尊女卑の思想が存在する、と指摘する人もいるけど、そういう一面もあるかも知れないなぁ。指摘されると、随所に無意識な差別意識がけっこう隠れているような気がしてきます(『伊豆の踊り子』だって、秀才・一高生が、差別を受ける漂流民の女の子に優しい目を向けるというはなし)。そういう世の中だったからしかたない、というふうな弁護も成り立つけど。それで良いんだろうか。
同じ時代、アメリカではレイチェル・カーソンが環境問題を訴え、男女平等を身をもってすすめていたのに(レイチェル・カーソンは研究者として優れた実績をあげ、女性への偏見・差別をおしのけていき、積極的にそういうことを訴えた)。
やっぱり、川端康成は好きにはなれなかった、という結論にまとまります・・・
今日読んだ本
川端康成『伊豆の踊り子』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
このじれったさが良いんだと言われると、まぁその通りかも知れないと思うけど。
爽やかで淡い恋を描いた『伊豆の踊子』は置いといて、そのほかの作品は、エロ・グロがちょっとはいった幻想小説っぽい感じを受けます。なんとも言い難い不気味さみたいなものがある気がする・・・ 全然しつこくはなんだいけど、どこかねっとりしたイメージを受けます。
川端康成と言う人も、老いを安らかに迎えられなかったという点では三島由紀夫らと似ているなぁと感じます。自殺の理由としては、女中さん(だっけ?)に手を出して拒絶されたから、ノーベル賞受賞の重圧に耐えられなかったから、老いを恐れて、とかいろんなことを言われているけど、こんなふうに世界の醜いというか、グロテスクな一面にばかり目を向けて小説を書いていては、辛くなって当然のような気もします。
川端康成の小説のなかには男尊女卑の思想が存在する、と指摘する人もいるけど、そういう一面もあるかも知れないなぁ。指摘されると、随所に無意識な差別意識がけっこう隠れているような気がしてきます(『伊豆の踊り子』だって、秀才・一高生が、差別を受ける漂流民の女の子に優しい目を向けるというはなし)。そういう世の中だったからしかたない、というふうな弁護も成り立つけど。それで良いんだろうか。
同じ時代、アメリカではレイチェル・カーソンが環境問題を訴え、男女平等を身をもってすすめていたのに(レイチェル・カーソンは研究者として優れた実績をあげ、女性への偏見・差別をおしのけていき、積極的にそういうことを訴えた)。
やっぱり、川端康成は好きにはなれなかった、という結論にまとまります・・・
今日読んだ本
川端康成『伊豆の踊り子』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
★★★★
著者: 乙武洋匡
出版社: 講談社
生まれつき両腕両脚がない(先天性四肢切断というらしい)乙武洋匡さんの自伝です。僕は、この本を小学生の頃に読みました。その時、まず表紙を見て、少し驚いたような気がします。「手も足もない人が車椅子に乗って道路をすすみながら、こちらに向かって笑いかけている」という、けっこうインパクトのある表紙だったからです。
僕はほとんど全ての本を図書館で借りています。でも、『五体不満足』は珍しく家に買って置いてあった本でした。ものすごく売れた本だそうです。日本の歴代ベストセラートップ3に入るくらいだ、と誰かから聞きました。いろんな批判も受けてるみたいです。「障害者であることを売りにしている」とか、「周囲の環境(理解者・お金とか)に恵まれているからそんなことを言えるんだ」とか。
確かにそういった批判もあながちはずれじゃないかも知れません。それでもやっぱり乙武洋匡さんという人は凄いなぁ、と感じました。両手両足がなくて、人生に絶望せずに生きていく、というのはけっこう難しいことだと思います。それを乗り越えたということにびっくりします。安易に批判するのは、どうかと思うんだけどなぁ。
まぁうちにもあったくらいなので、みんな読んでいる本だと思います。
自森人読書 五体不満足
著者: 乙武洋匡
出版社: 講談社
生まれつき両腕両脚がない(先天性四肢切断というらしい)乙武洋匡さんの自伝です。僕は、この本を小学生の頃に読みました。その時、まず表紙を見て、少し驚いたような気がします。「手も足もない人が車椅子に乗って道路をすすみながら、こちらに向かって笑いかけている」という、けっこうインパクトのある表紙だったからです。
僕はほとんど全ての本を図書館で借りています。でも、『五体不満足』は珍しく家に買って置いてあった本でした。ものすごく売れた本だそうです。日本の歴代ベストセラートップ3に入るくらいだ、と誰かから聞きました。いろんな批判も受けてるみたいです。「障害者であることを売りにしている」とか、「周囲の環境(理解者・お金とか)に恵まれているからそんなことを言えるんだ」とか。
確かにそういった批判もあながちはずれじゃないかも知れません。それでもやっぱり乙武洋匡さんという人は凄いなぁ、と感じました。両手両足がなくて、人生に絶望せずに生きていく、というのはけっこう難しいことだと思います。それを乗り越えたということにびっくりします。安易に批判するのは、どうかと思うんだけどなぁ。
まぁうちにもあったくらいなので、みんな読んでいる本だと思います。
自森人読書 五体不満足
岩波ジュニア新書の最新刊、『社会とどうかかわるか―公共哲学からのヒント』。分かりやすく、社会とつながることを説いていて良いなぁと思いました。個人が自らを犠牲にして社会に奉仕しないといけない社会では、多くの人は幸せになれない。かといってみんなが好き勝手にやって社会に目を向けなくても、多くの人は幸せになれない。中庸をとらないといけない、みたいな感じの意見には賛成です。
この前読んだ『ソクラテスの弁明/クリトン』の主役だったソクラテスのことがちょこっとだけ登場しました。
あと、岩波ジュニア新書の『生活環境主義でいこう!―琵琶湖に恋した知事』を再読していました。
考えてみると、生活環境主義って難しいです。環境保護を盲目的に重視せず、かといって科学を万能のものとしてそれを信奉することもしない。生活している1人ひとりの人間の視点に立ち、その立場から環境保全に取り組んでいこうという立場、だと思うのですが。
う~ん、まずはいろんなことをしっかり考えることが大切だなぁ。
自由の森学園では菜の花プロジェクトということを有志でやっていますが、それは生活環境主義に分類されるのかもなぁ、と思いました。
最近読んだ本
山脇直司『社会とどうかかわるか―公共哲学からのヒント』
嘉田由紀子・語り『生活環境主義でいこう!―琵琶湖に恋した知事』(再読)
今読んでいる本
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
飯嶋和一『黄金旅風』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
川端康成『伊豆の踊り子』
この前読んだ『ソクラテスの弁明/クリトン』の主役だったソクラテスのことがちょこっとだけ登場しました。
あと、岩波ジュニア新書の『生活環境主義でいこう!―琵琶湖に恋した知事』を再読していました。
考えてみると、生活環境主義って難しいです。環境保護を盲目的に重視せず、かといって科学を万能のものとしてそれを信奉することもしない。生活している1人ひとりの人間の視点に立ち、その立場から環境保全に取り組んでいこうという立場、だと思うのですが。
う~ん、まずはいろんなことをしっかり考えることが大切だなぁ。
自由の森学園では菜の花プロジェクトということを有志でやっていますが、それは生活環境主義に分類されるのかもなぁ、と思いました。
最近読んだ本
山脇直司『社会とどうかかわるか―公共哲学からのヒント』
嘉田由紀子・語り『生活環境主義でいこう!―琵琶湖に恋した知事』(再読)
今読んでいる本
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
飯嶋和一『黄金旅風』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
川端康成『伊豆の踊り子』
僕は、英語が得意ではないので、いまいち分からないところだらけだったのですが。ロジャー・パルバース『英語で読み解く賢治の世界』を読みました。宮沢賢治の詩とその英訳が載っています。英訳する上で、どうしてそういう表現を選んだのかということにも触れています。
訳者のこだわりはよく分かるのだけど、改めたことでどういう詩の心が表れたのか難しいです。強調するためにこういう表現にした、とかそういう大雑把なところは分かるけど、もっと深い微妙なニュアンスは分からない・・・ 「この文章を読んでみて下さい。英語の音楽的美しさが感じられませんか?」とか言われてもさっぱりです。
読んでいて、英語にすることでかえって宮沢賢治の表現、日本語の表現というものを見つめなおす機会になるのかも知れないなぁと思いました。
英語の文章がたくさんあるので、横書き。普通の文庫とは違って左開きです。
最近読んだ本
ロジャー・パルバース『英語で読み解く賢治の世界』(再読)
今読んでいる本
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
飯嶋和一『黄金旅風』
山脇直司『社会とどうかかわるか―公共哲学からのヒント』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
川端康成『伊豆の踊り子』
訳者のこだわりはよく分かるのだけど、改めたことでどういう詩の心が表れたのか難しいです。強調するためにこういう表現にした、とかそういう大雑把なところは分かるけど、もっと深い微妙なニュアンスは分からない・・・ 「この文章を読んでみて下さい。英語の音楽的美しさが感じられませんか?」とか言われてもさっぱりです。
読んでいて、英語にすることでかえって宮沢賢治の表現、日本語の表現というものを見つめなおす機会になるのかも知れないなぁと思いました。
英語の文章がたくさんあるので、横書き。普通の文庫とは違って左開きです。
最近読んだ本
ロジャー・パルバース『英語で読み解く賢治の世界』(再読)
今読んでいる本
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』
飯嶋和一『黄金旅風』
山脇直司『社会とどうかかわるか―公共哲学からのヒント』
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
川端康成『伊豆の踊り子』
★★★
著者: 横山秀夫
出版社: 講談社
県警捜査一課強行犯係指導官である志木和正は、ある連続少女暴行事件の捜査をおこなっていました。しかし、突如として警察官による妻の絞殺事件の取調べを依頼されることとなります。妻を殺した犯人とは、警察官の梶聡一郎。梶聡一郎は、妻を殺した後の2日間の足取りを絶対に教えませんでした。その「空白の2日間」にはいったい何があったのか? それがこの物語の謎です。
自由の森学園の図書館に偶然あったので手にとりました。図書館には横山秀夫の本は「半落ち」しかないので、多分、直木賞候補となりながら現実的にありえない設定という欠陥がある、ということで落選。それで横山秀夫が、直木賞との決別宣言をした、ということがあったので、図書館に入ったのではないか、と思います。
終わりまで謎を引っ張るのが巧みなので、そこには感心しました。多くの人が謎を追いかけるのになかなかそれが分からなくてじりじりします。最後の謎解きは、ちょっと腑に落ちない、というか、なんというかあまりにもあっけない気がしました。えー、そんなのが理由なのか。もっととんでもないラストが用意されているのかと思っていたのに。
まぁ面白かったです。嫌いではない。すっきりさっぱり良い感じに終わるところは良いなぁと思いました。う~ん、物足りない気もするけど。
自森人読書 半落ち
著者: 横山秀夫
出版社: 講談社
県警捜査一課強行犯係指導官である志木和正は、ある連続少女暴行事件の捜査をおこなっていました。しかし、突如として警察官による妻の絞殺事件の取調べを依頼されることとなります。妻を殺した犯人とは、警察官の梶聡一郎。梶聡一郎は、妻を殺した後の2日間の足取りを絶対に教えませんでした。その「空白の2日間」にはいったい何があったのか? それがこの物語の謎です。
自由の森学園の図書館に偶然あったので手にとりました。図書館には横山秀夫の本は「半落ち」しかないので、多分、直木賞候補となりながら現実的にありえない設定という欠陥がある、ということで落選。それで横山秀夫が、直木賞との決別宣言をした、ということがあったので、図書館に入ったのではないか、と思います。
終わりまで謎を引っ張るのが巧みなので、そこには感心しました。多くの人が謎を追いかけるのになかなかそれが分からなくてじりじりします。最後の謎解きは、ちょっと腑に落ちない、というか、なんというかあまりにもあっけない気がしました。えー、そんなのが理由なのか。もっととんでもないラストが用意されているのかと思っていたのに。
まぁ面白かったです。嫌いではない。すっきりさっぱり良い感じに終わるところは良いなぁと思いました。う~ん、物足りない気もするけど。
自森人読書 半落ち
ちょっと古いけど。二宮清純『悪漢たちのプロ野球 超個性派ヒーローの系譜』という本を読みました。二宮清純の書いた野球の本です。まだ新庄剛志が日本にやってきたばかりの頃。う~ん、今ではすでに野球界を去った人がけっこう登場します。僕は知らないなぁ・・・ そんな人もいたのか、という感じです。
やっぱり二宮清純の野球の本は面白いです。読み応えがある。
昨日読んだ本
二宮清純『悪漢たちのプロ野球 超個性派ヒーローの系譜』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
山脇直司『社会とどうかかわるか―公共哲学からのヒント』
ロジャー・パルバース『英語で読み解く賢治の世界』(再読)
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
川端康成『伊豆の踊り子』
やっぱり二宮清純の野球の本は面白いです。読み応えがある。
昨日読んだ本
二宮清純『悪漢たちのプロ野球 超個性派ヒーローの系譜』
今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
山脇直司『社会とどうかかわるか―公共哲学からのヒント』
ロジャー・パルバース『英語で読み解く賢治の世界』(再読)
積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
川端康成『伊豆の踊り子』
これまでも再三書いてきたけど、僕はあさのあつこはきらいです。この前、また『復讐プランナー』という本をだしていました。読んだけど、やっぱりいじめのこと理解できていないんじゃないか、と感じました。あのような本を出版しても、大人しか読まない気がします(あと、図書館にこもっている子は読むかも知れないけど)。
文字は少ない、内容は安易。タイトルに比べて内容はそれほどでもない。『平成マシンガンズ』を思い浮かべてしまいました。それでもけっこう「良い」と言われちゃったりするんだなぁ・・・
「いじめられている子にぜひ読んで欲しい」とか書評を書いている人も見かけます。あの本読んだところで、実際いじめを受けている子には何の救いにもならないだろうに。気休めにもならないと思います。
いじめ問題に積極的にからもうとしているけど、まったくいじめのことを理解していないようです。分からないのなら黙っていた方がいいと思うけど。ぼろをだすだけだから。あと、おはなしのつくり自体もこの頃完全にパターン化してしまってつまらないなぁ、と思います。なんとなく、惰性で続いてる感じです。
それに対して、森絵都は面白い、と思います。今のところ、僕は『DIVE!!』シリーズがとくに好きです。直木賞か何かとった『風に舞いあがるビニールシート』はまぁ普通という感じで、「児童文学作家」から抜け出そうとして上手くいっていないイメージを受けたけど、最新作(多分)『ラン』は面白かったです。全体的に、森絵都らしさみたいなものが詰まっている気がして、嬉しかったです。
あと、佐藤多佳子の物語は良いなぁ、と思います。『一瞬の風になれ』が本屋大賞をとったり、かなりヒットしたり、ドラマ化されたりしてから知ったのですが、もっと前から読んでいればよかったなぁ。
文字は少ない、内容は安易。タイトルに比べて内容はそれほどでもない。『平成マシンガンズ』を思い浮かべてしまいました。それでもけっこう「良い」と言われちゃったりするんだなぁ・・・
「いじめられている子にぜひ読んで欲しい」とか書評を書いている人も見かけます。あの本読んだところで、実際いじめを受けている子には何の救いにもならないだろうに。気休めにもならないと思います。
いじめ問題に積極的にからもうとしているけど、まったくいじめのことを理解していないようです。分からないのなら黙っていた方がいいと思うけど。ぼろをだすだけだから。あと、おはなしのつくり自体もこの頃完全にパターン化してしまってつまらないなぁ、と思います。なんとなく、惰性で続いてる感じです。
それに対して、森絵都は面白い、と思います。今のところ、僕は『DIVE!!』シリーズがとくに好きです。直木賞か何かとった『風に舞いあがるビニールシート』はまぁ普通という感じで、「児童文学作家」から抜け出そうとして上手くいっていないイメージを受けたけど、最新作(多分)『ラン』は面白かったです。全体的に、森絵都らしさみたいなものが詰まっている気がして、嬉しかったです。
あと、佐藤多佳子の物語は良いなぁ、と思います。『一瞬の風になれ』が本屋大賞をとったり、かなりヒットしたり、ドラマ化されたりしてから知ったのですが、もっと前から読んでいればよかったなぁ。
明治・大正時代の作家に、泉鏡花と夏目漱石という人がいます。
夏目漱石は知らない人がいないくらい有名な作家だと思います。『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『三四郎』『こゝろ』等の作品で知られています。肩が凝る、反射、無意識、価値といった言葉を創って使い、日本人に広めた人です。日本語の書き言葉をつくった文豪たちの中の1人といえると思います。
泉鏡花は、夏目漱石に比べたら知られていないかも知れないけど、怪奇趣味と浪漫を併せ持つ幻想的な小説を書いたことで知られる作家です。彼の名前を借りて、「泉鏡花文学賞」というものが設立されています。
その2人。同じ時代に生きたというのが信じられないくらい、文体が違います。読み比べると面白いです。
泉鏡花(1873年~1939年)
夏目漱石(1867年~1916年)
夏目漱石は知らない人がいないくらい有名な作家だと思います。『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『三四郎』『こゝろ』等の作品で知られています。肩が凝る、反射、無意識、価値といった言葉を創って使い、日本人に広めた人です。日本語の書き言葉をつくった文豪たちの中の1人といえると思います。
泉鏡花は、夏目漱石に比べたら知られていないかも知れないけど、怪奇趣味と浪漫を併せ持つ幻想的な小説を書いたことで知られる作家です。彼の名前を借りて、「泉鏡花文学賞」というものが設立されています。
その2人。同じ時代に生きたというのが信じられないくらい、文体が違います。読み比べると面白いです。
泉鏡花(1873年~1939年)
夏目漱石(1867年~1916年)
★★★★★
講演者: 藤田祐幸
出版社:
藤田祐幸さんの講演録です。
(はじめに より)
1999年9月30日、茨城県東海村のJCOというウラン燃料加工工場で、誰もが「想定」していなかった臨界事故が起きました。まるでそれは町なかに突然、中性子爆弾が落ちてきたようなもの。でもそうわかったのはかなり後のことで、その日はいったい何が起きたのかわけもわからず、ただ、東海村や近くの人たちは今どんなに不安だろうと思いながら、テレビのニュースに見入るだけでした。
けれどもやがて事実が次つぎにわかってきて、はじめ感じた恐怖や不安は強い怒りへと変わりました。臨界が何かも知らされぬまま働いていた人たち、現場の作業も見ずに「安全」のお墨つきをだす国、住民を守れない防災計画、等など「あってはならないこと」が起きたためにたくさんのことが見えてきたからです。(後略)
ちょうどそんな時に、藤田祐幸さんが金沢にきたので、そのことを講演会にまとめた、と書かれています。素晴らしい1冊です。よくまとまっています。東海村の事故のことや原子力発電について知りたい、と思ったら、まずこの本をおすすめしたいくらいです。自由の森学園でも、講演会のたびにこんな冊子がつくれたらいいなぁ。そうしたら売れるのに。
おすすめの一冊です。
自森人読書 東海村であの日何が起こったのか?
講演者: 藤田祐幸
出版社:
藤田祐幸さんの講演録です。
(はじめに より)
1999年9月30日、茨城県東海村のJCOというウラン燃料加工工場で、誰もが「想定」していなかった臨界事故が起きました。まるでそれは町なかに突然、中性子爆弾が落ちてきたようなもの。でもそうわかったのはかなり後のことで、その日はいったい何が起きたのかわけもわからず、ただ、東海村や近くの人たちは今どんなに不安だろうと思いながら、テレビのニュースに見入るだけでした。
けれどもやがて事実が次つぎにわかってきて、はじめ感じた恐怖や不安は強い怒りへと変わりました。臨界が何かも知らされぬまま働いていた人たち、現場の作業も見ずに「安全」のお墨つきをだす国、住民を守れない防災計画、等など「あってはならないこと」が起きたためにたくさんのことが見えてきたからです。(後略)
ちょうどそんな時に、藤田祐幸さんが金沢にきたので、そのことを講演会にまとめた、と書かれています。素晴らしい1冊です。よくまとまっています。東海村の事故のことや原子力発電について知りたい、と思ったら、まずこの本をおすすめしたいくらいです。自由の森学園でも、講演会のたびにこんな冊子がつくれたらいいなぁ。そうしたら売れるのに。
おすすめの一冊です。
自森人読書 東海村であの日何が起こったのか?
★★★
著者: 宮沢賢治
画: 茂田井武
出版社: 福音館書店
ゴーシュは楽団「金星音楽団」のセロ(チェロ)弾きでした。「金星音楽団」は、町の音楽会で「第六交響曲」を演奏しようとします。ゴーシュは、下手なので毎度毎度怒られていました。そうしてしょぼくれてしまったゴーシュのもとに、毎晩いろんな動物がやってきます。動物達は色んな理由をつけて、ゴーシュのセロを聴きたがるので、ゴーシュは毎晩弾いてやりました。
そして、本番の日、動物達のおかげかゴーシュは「第六交響曲」の演奏をうまくできて拍手喝采をあび、さらにアンコールにも応えて・・・
どうもうまくいかなくて、困っているゴーシュ。彼は、夜毎に現れる動物達に聞かせてあげる、ということを通して何かを見つけます。ゴーシュの前で動物達、例えばねこがセロを聴いている夜の一場面を想像すると、なんとなくおかしくて、面白いなぁという気がしました。
ものすごーくうがった見方をする人もいるけど、まぁまず絵本として楽しめばいいんじゃないかなぁ、と僕は思っています。深い物語はそのままでもうすでに深いんだから。
自森人読書 セロひきのゴーシュ
著者: 宮沢賢治
画: 茂田井武
出版社: 福音館書店
ゴーシュは楽団「金星音楽団」のセロ(チェロ)弾きでした。「金星音楽団」は、町の音楽会で「第六交響曲」を演奏しようとします。ゴーシュは、下手なので毎度毎度怒られていました。そうしてしょぼくれてしまったゴーシュのもとに、毎晩いろんな動物がやってきます。動物達は色んな理由をつけて、ゴーシュのセロを聴きたがるので、ゴーシュは毎晩弾いてやりました。
そして、本番の日、動物達のおかげかゴーシュは「第六交響曲」の演奏をうまくできて拍手喝采をあび、さらにアンコールにも応えて・・・
どうもうまくいかなくて、困っているゴーシュ。彼は、夜毎に現れる動物達に聞かせてあげる、ということを通して何かを見つけます。ゴーシュの前で動物達、例えばねこがセロを聴いている夜の一場面を想像すると、なんとなくおかしくて、面白いなぁという気がしました。
ものすごーくうがった見方をする人もいるけど、まぁまず絵本として楽しめばいいんじゃないかなぁ、と僕は思っています。深い物語はそのままでもうすでに深いんだから。
自森人読書 セロひきのゴーシュ
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