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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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SFミステリ。
『人格転移の殺人』
ファーストフード店にいた6人の男女は、突然の大地震に遭遇して怪しげなフィルターに逃げ込みます。ですが、それは数十年前アメリカ政府が研究し続けたのに、その仕組みを解明できなかった、不可思議な人格転移装置でした。男女の中の一人、江利夫は起きると自分の心が別人の体の中に入っていることに気付きます。彼は、他の人とともに話し合おうとするのですが、そんな誰が誰か分かりづらい複雑な状況の中で、突如として連続殺人事件が起こります。さて、誰が誰を殺したのか?

不思議なシステムが面白い物語を形作っていますが、状況を把握することがまず面倒です。これを考えた西澤保彦は凄い。

全ての謎のヒントは最初から示されています。そこも凄い。


今日読んだ本
西澤保彦『人格転移の殺人』

今読んでいる本
山本弘『アイの物語』
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『三文オペラ』
どうしようもない人たちがどうしようもないことを繰り返す劇。
名作だそうですが、読んでも良さがわからなかったです。いかにも、安っぽい感じが良いのだろうか。


今日読んだ本
ベルトルト・ブレヒト『三文オペラ』

今読んでいる本
西澤保彦『人格転移の殺人』
SF小説。
『戦闘妖精・雪風<改>』
突如として南極大陸に出現した超空間通路を通って、未知の存在ジャムが地球に攻め込んできた。それに対して人類は必死で反撃し、ジャムを地球から撃退することに成功する。そして逆に、通路の向こう側にある惑星フェアリイにFAFを派遣してジャムを押し込めようとするが、そこでは一進一退の攻防が続いていた。
そのフェアリイを部隊に活躍しているのが、特殊戦の深井零。彼は戦術戦闘電子偵察機・雪風に乗り込んで雪風とともに、孤独な戦いを続ける。彼の任務は、味方を見捨ててでも戦闘の情報を得て、それを持ち帰るというものだった・・・

加筆訂正と新解説が加わった改訂版だそうです。

いかにもSFっぽい設定と文章を楽しめました。とくに戦闘の場面は凄いなぁ、と感じました。未知なる存在との戦闘機による戦いの描写がぎっちりと詰まっています。

物語の中に、「人間とは何か?」という問いが含まれていてとても考えさせられました。
非人間的だとよく批判される主人公、深井零はけっこう情に篤い男です。それでは「人間的」とはどういうことなのか。利己的に振る舞って他人を顧みないと冷酷といわれるのだから、逆に言えば「他者との協調」こそが人間性の発露なのかも知れない。でも、結局は自分の世界に生きている自分が「他者と繋がる」ためにはどうすれば良いのか。
本当に難しい・・・

神林長平がよくテーマとして扱うものに「言葉」と「機械」があるそうですが、人間というものをどう捉えるか考える時、その2つは欠かせないなぁ、と感じました。自分の利便のために存在しているものなのに、使っているうちに自分の意思を離れていくものとどう付き合うのか。

そういえば、『スカイ・クロラ』はこの小説の影響を受けているのだろうなぁ、と感じました。


今日読んだ本
神林長平『戦闘妖精・雪風<改>』

今読んでいる本
ベルトルト・ブレヒト『三文オペラ』
津原泰水の連作短編集。『反曲隧道』『蘆屋家の崩壊』『猫背の女』『カルキノス』『ケルベロス』『埋葬虫』『水牛群』収録。
『蘆屋家の崩壊』
30になってもぶらぶらしている俺と、伯爵と呼ばれている怪奇小説作家の物語。毎度、彼らが不思議な事態と遭遇します。

タイトルは、『アッシャー家の崩壊』のパロディだけど、中身は違います。ミステリのような、ホラーのような、ファンタジーのような、SFのような作品。日常の中に忍び込んでくる怪奇を描き出した小説。まず最初にある『反曲隧道』が良いです。いかにもこれから幻想の世界にお連れしますよ、という雰囲気で。

『埋葬虫』が一番怖いです。
猿渡は学生時代の旧友と再会し、年代もののカメラを借りるのですが、その時森の写真を撮ってきて欲しいと頼まれます。そのカメラは、旧友のものではなく、彼の会社の後輩のものでした。彼とその後輩は、ともにマダガスカルへ行ったのですが、後輩は虫を食ったために体を虫に乗っ取られ、もう長くなくて、森の写真を見たいというのが末期の頼みだったのです・・・

主人公がハードボイルドチックな格好付けた正しい男なのがいまいちでした。語り手すら信用できないような恩田陸の小説のあとに読むとちょっと見劣りする、というか。けど、『蘆屋家の崩壊』も充分面白いです。ぞくっとします。


今日読んだ本
津原泰水『蘆屋家の崩壊』

今読んでいる本
神林長平『戦闘妖精・雪風<改>』
『あずまんが大王 2』
面白い。というかおかしい・・・ けど、どちらかというと『よつばと!』の方がもっと面白い気もします。

『SFが読みたい! 2000年版』ベストSFは読んでいない本だらけ・・・
『SFが読みたい! 2000年版』
ベスト10までの中に読んでいる本がないです(かろうじて11位の『私と月につきあって』を読んだことがあったくらい)。

 1 藤崎慎吾 『クリスタルサイレンス』
 2 神林長平 『グッドラック 戦闘妖精雪風』
 3 谷甲州 『エリコ』
 4 新井素子 『チグリスとユーフラテス』
 5 森岡浩之 『夢の樹が接げたなら』
 6 牧野修 『偏執の芳香 アロマパラノイド』
 7 高見広春 『バトル・ロワイアル』
 8 田中啓文 『水霊 ミズチ』
 9 山之口洋 『オルガニスト』
10 津原泰水 『蘆屋家の崩壊』

この頃はまだグレッグ・イーガンが新人だったのが意外でした。あと、裏表紙の宣伝が『イティハーサ』だったので、おーと思いました。


今日読んだ本
あずまきよひこ『あずまんが大王 2』
SFマガジン編集部・編『SFが読みたい! 2000年版』


今読んでいる本
津原泰水『蘆屋家の崩壊』
神林長平『戦闘妖精・雪風<改>』
『「ケータイ時代」を生きるきみへ』
著者の尾木直樹さんは以前、自由の森学園の公開教育研究会に来て、講演してくれたことがあります。
その時のテーマは『いじめ』でした。尾木直樹さんは「いじめられている側に頑張れ、と声をかける日本の文化人たちはおかしい。たとえば、児童文学作家あさのあつこ。『いつか輝ける日が来る。その日まで頑張れ』などと新聞に書いているが、全く状況を理解できていない。今にも自殺してしまうかもしれないのに」というようなことを述べていました。非常に的を射ているのではないか、と感じました。
なのでこの本をまず手に取り、感想を書こうかなぁと思いました

いろいろな危険が具体的に書かれていて、分かりやすかったです。

「単純にケータイを否定するだけではだめだ。ケータイとどう付き合っていくか考えないといけない」という尾木直樹さんの立場には賛成です。愛知の高校生達の活動、私学フェス(私学助成金削減反対/公私格差是正を求める活動。パレードなどでは毎年1万人とか集めてる)では、ケータイをフル活用しているそうです。ケータイは使い方によっては強い武器になるわけです。


今日読んだ本
尾木直樹『「ケータイ時代」を生きるきみへ』

今読んでいる本
あずまきよひこ『あずまんが大王 2』
『高円寺純情商店街』はなかなか面白かったです。


ねじめ正一自身の少年時代の経験をもとにして、高円寺商店街の日々の風景を描き出した小説。ほのぼのとしていますが、正一少年の小さな不満などもきちりとかかれていてよかったです。共感しました。

しかし、「懐かしく温かい商店街」の風景自体には思いを馳せることができませんでした。過去にはそんな時代もあったのか(少し美化されているにしろ)、と感じだけでした。

彼は江州屋のせがれ。「削りがつをと言えば江州屋」という言葉が示すとおり、彼の家は乾物屋でした。彼は自分の家の家業を少しいやだなと重いながら、でもやっぱりいやだとは言えず、すこし良いかもとも思っているのですが・・・

直木賞受賞作。


今日読んだ本
ねじめ正一『高円寺純情商店街』

今読んでいる本
尾木直樹『「ケータイ時代」を生きるきみへ』
読んでいて、眩暈がしました。傑作だと思います。
『六月の夜と昼のあわいに』
『六月の夜と昼のあわいに』は恩田陸の短編集。『恋はみずいろ』『唐草模様』『Y字路の事件』『約束の地』『酒肆ローレライ』『窯変・田久保順子』『夜を遡る』『翳りゆく部屋』『コンパートメントにて』『Interchange』収録。

またまたいつもと同じなのか、と思いきや、やっぱり同じなのですが、なんだか感動してしまいました。今度はそれぞれの短編の前に、詩と絵が載っています。それ全体で1つの作品、ということなのだろうけど、全く意味が汲み取れません。愉快です。

現代美術みたいな感じ。恩田陸の方がもう少し親切かもしれないけど。

『窯変・田久保順子』は唐突です。あまりにもブラック。これは、一種のジョークなのだろうか。笑えない・・・

『Interchange』は感動的。

全体的に不思議な味がします。


今日読んだ本
恩田陸、杉本秀太郎『六月の夜と昼のあわいに』

今読んでいる本
ねじめ正一『高円寺純情商店街』
『蔭の棲みか』は玄月の短編集。
『蔭の棲みか』
『蔭の棲みか』
主人公は、「枯れた」老人、ソバン。彼は、かつての戦争で機銃掃射を浴びたため右手首から先を失っていました。その彼の手と彼の存在はバラックの集まる集落では一種の伝説と化しています。ですが、老人自身はかつて息子に「なぜ日本軍人だったのか」と非難され、その上息子が学生運動に参加して死に、さらに妻も事故で失ってから無為の日々を過ごしていました。近頃では、ボランティアとして独居老人の訪問を行っている主婦・佐伯さんの訪問だけが楽しみとなっていたのですが・・・

『おっぱい』
完全に切れてしまったようでどこかつながっている祐司、由子夫婦のもとに、康先生と彼の盲目の娘、美花が訪ねてきます。彼らのつきあいはどこかぎくしゃくとしているのですが・・・

『舞台役者の孤独』
最も読みづらいです。勝手に物語を妄想する青年、望が主人公。彼は父母や弟を失い、さらには養ってもらっていた伯父叔母を失う中で、死というものを上手に認識できなくなっていました。けれど弟の死を忘れることはないように、公園の滑り台のところにきて、韓国教会の十字架の影を眺めていたのですが・・・

どの短編にも在日韓国人や不法滞在者の人たちが登場します。作者、玄月自身も在日韓国人だそうです。

独特の暗い雰囲気を持っています。

収録されている3つの物語をどのように解釈すれば良いのか、考えてしまいます。在日韓国人の歴史そのものを背負っているかのような老人、ソバンは最終的に、「単一民族国家」日本を守ろうとする官憲に噛み付きます。それは、過去を清算するための攻撃だとは思えません。もしもそうだとしたら誰も救われない。無邪気な「単一民族国家」という考えに対する反抗ではないか。

『おっぱい』は、第121回芥川賞候補作。『舞台役者の孤独』は第8回小谷剛文学賞受賞作。『蔭の棲みか』は第122回芥川賞受賞作。


今日読んだ作品
玄月『蔭の棲みか』
玄月『おっぱい』
玄月『舞台役者の孤独』


今読んでいる本
恩田陸、杉本秀太郎『六月の夜と昼のあわいに』
堀江敏幸『雪沼とその周辺』
雪沼とその周辺に生きる人たちの姿を描き出した連作短編集。『スタンス・ドット』『イラクサの庭』『河岸段丘』『送り火』『レンガを積む』『ピラニア』『緩斜面』収録。それぞれの物語は微妙にリンクし合っています。

『スタンス・ドット』が最も印象的でした。その日限りでボウリング場を閉める老人と、そこにトイレを借りるため偶然入ってきた男女の物語。

日常の一場面を静かに切り取った短編ばかりが集められています。全体的に何もないようでいて温かいです。

だけど、どこかに寂しさも併せ持っているような気がしました。登場人物に年を取った人が多いためかも知れない。多くのものを失い、深い悲しみや暗がりを抱えてそれでも生きていく彼らの心情がにじみ出ているのではないか。そうではなくて、彼らだけでなくて雪沼という町自体が世間の喧騒に取り込まれなかった代わりに、ぽつんと取り残されてしまったのかも知れない。

「雪沼」というくらいだから、雪が降ってくるのかと思いきや、回想のシーンにしか登場しません。雪のことを思うと、どれだけのことが書かれていないのか、この物語の中に収まりきらないものがどれほどあるのか、ということを考えてしまいます。巧いというしかないです。

非常に上品な小説。

『スタンス・ドット』は、第29回川端康成文学賞受賞。『雪沼とその周辺』は、第40回谷崎潤一郎賞・第8回木山捷平文学賞受賞。


今日読んだ本
堀江敏幸『雪沼とその周辺』

今読んでいる本
玄月『蔭の棲みか』
『白い夏の墓標』
主人公は佐伯教授。彼はパリの国際ウイルス会議に出席し、講演を行います。その直後、突然アメリカの元学者ベルナールなる老人から声を掛けられました。ベルナールは、事故死したと伝え聞いていた元同僚・黒田が実は事故死ではなかったと告げます。佐伯は半信半疑ながらも、ベルナールに教えたらたピレネー近くの田舎へと赴き、黒田の墓と対面します・・・

帚木蓬生のデビュー作。

作者・帚木蓬生が医者だからか、細胞などについての説明は細かいです。半分くらいは理解できなかったです。難しい・・・

全体的に少し単調なのですが、細部にわたる描写は素晴らしいです。静かで息詰まる物語です。多分、サスペンスに分類されるものだろうけど、恋愛小説としても読めます。

帚木蓬生の、人への信頼のようなものが表れた作品。


今日読んだ作品
帚木蓬生『白い夏の墓標』

今読んでいる本
堀江敏幸『雪沼とその周辺』
『スティームタイガーの死走』は愉快なミステリ小説。
『スティームタイガーの死走』
コハダトーイという玩具会社を創った小羽田伝介は、幻の機関車・C63型蒸気機関車を再現。息子にプレゼントします。息子は「虎徹号」と命名し、それを中央線で走らせようとしました。しかし、そのお披露目の日、出発駅である北別府駅で死体が発見されます。しかも、「虎徹号」が虎のお面を被った2人組に乗っ取られ・・・

最後の最後に大きなどんでん返しが待っています。

大阪圭吉に捧げられた1冊。

バカミスの第一人者、霞流一の力が遺憾なく発揮されています。阿呆らしい、納得できないような謎解きが多い。まぁありなのかも知れないけど、いまいち納得できないような・・・ しかし、物語と登場人物たちは面白いです。とくにキラリ(蜂草輝良里)という針師の女性が最高に面白いです。

勁文社。


今日読んだ作品
霞流一『スティームタイガーの死走』

今読んでいる本
帚木蓬生『白い夏の墓標』

『自動起床装置』
眠りというものと真摯に向き合う「起こし屋」聡。ぼくは彼に触発され、仮眠室に眠る男達をうまく目覚めへと導くべく努力していました。ですが、昼間の毒気を吐き出すように眠る人たちと向き合う日々が終わる可能性がでてきました。自動起床装置の試験導入が決定したからです。聡は冷たく怒るのですが・・・

『迷い旅』
私はカンボジアの戦場を旅していきます。何度も引き返そうとするのだけど、なぜかうまくいきません。そうしてたどり着いた先には・・・

『自動起床装置』は芥川賞受賞作。

機械化があらゆるところに忍び込み、自然な感覚を破壊しているという主張はまぁありきたりなのだけど、「眠り」を用いてその主張を掘り下げていくところが面白い、と感じました。けっこう深いものがあります。

主人公の考えが曖昧なところも良いです。作者の主張を主人公が代弁してしまうようになっていたら、ちょっとなぁと思ったかも知れないけど、そういうふうな構造にはなっていません。不思議な雰囲気を持っている聡が語るからこそ、良いと感じます。


今日読んだ作品
辺見庸『自動起床装置』
辺見庸『迷い旅』


今読んでいる本
帚木蓬生『白い夏の墓標』
霞流一『スティームタイガーの死走』
『チーム・バチスタの栄光 下』
下巻も面白かったです。

ロジカル・モンスターこと白鳥が登場してからの展開がとにかく笑えます。「ロジカル・モンスター」という綽名がついているわけには、別に凄い手法を使うわけではあるわけではありません。ようするに相手を激発させて、どっきりさせるだけなのです。
どちらかというと田口の方が論理的のような気すらします・・・


今日読んだ本
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 下』

今読んでいる本
辺見庸『自動起床装置』
『見えない線』はバーが舞台の物語。バイトをしているノリオは、気になる女性と出会うのだが、彼女には別に不倫相手が居るらしく・・・

『九杯目には早すぎる』はショートショート。バーで交わされるある会話を巡る物語。

『キリング・タイム』
佐伯は、上司黒住の家の近くに住んでいました。そのため気苦労が絶えません。その日も偶然見つかってしまい、一緒に酒を飲むことに・・・


今日読んだ作品
蒼井上鷹『見えない線』
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
蒼井上鷹『キリング・タイム』


今読んでいる本
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 下』
借りた本。

桜宮市の東城大学医学部付属病院は、天才外科医・桐生恭一を招聘し、彼を中心にして、「チーム・バチスタ」を結成します。桐生恭一は、失敗する確率が非常に高いバチスタ手術を20件以上、次々と成功させていきました。それはチーム・バチスタの奇跡と呼ばれました。ですが、最近になって相次いで3回も手術が失敗。不定愁訴外来の田口医師は、高階病院長に依頼され、その事態を調査するのですが・・・

田口は丹念に事態を調査していきます。その聴き込みはけっこう面白いです。でも、物足りない。今、下巻を読み始めたところなのですが、「ロジカル・モンスター」白鳥が登場してくると楽しくなってきます。白鳥は全てをぶっ壊して前進していきます。本当に傍若無人。凄い・・・

第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。


今日読んだ本
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 上』

今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 下』
蒼井上鷹の短編集『九杯目には早すぎる』を読んでいる最中。

『清潔で明るい食卓』はショートショートみたいな感じ。1週間前に結婚した元ナースの妻が最高な朝食をつくってくれるのですが・・・

『タン・バタン』は怖いけど笑えます。

『最後のメッセージ』も短い。ストーカーにつきまとわれ、困った作家、葵は三谷に相談するのですが・・・


今日読んだ作品
蒼井上鷹『清潔で明るい食卓』
蒼井上鷹『タン・バタン』
蒼井上鷹『最後のメッセージ』


今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
海堂尊『チーム・バチスタの栄光 上』

凹組は、九品仏にあるアパートの一室を借りているデザイン事務所。凪海(なみ)はそこに入社し、大滝、黒川とともに色んな広告や、お菓子の装丁からエロ雑誌のレイアウトまで何でもこなしていきます。そんなある日、慈極園という遊園地から凪海の描いたキャラクターを使わせてほしいという連絡がありました。凪海は愛するキャラクター、デビゾーとオニノスケを世界に発信する機会を得て喜ぶのですが、凹組だけでやるのはきついということで、大きなデザイン事務所QQQに出向することになります。QQQを率いているのは、昔、大滝、黒川とともに凹組を立ち上げた女性、醐宮でした。凪海は、醐宮にQQQへ来ないかと言われます。彼女はQQQをとるか、それとも凹組をとるか迷うのですが・・・

青春小説。

凹組という職場は非常に楽しそうです。結局、その凹組という狭い世界に閉じこもる大滝、黒川には共感できます。

1つひとつのエピソードの描き方が、あまりにも巧いです。きちりと収まっていて、本当に笑えます。


今日読んだ本
山本幸久『凸凹デイズ』

今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
『九杯目には早すぎる』
蒼井上鷹の短編集。

『大松鮨の奇妙な客』
蓑田は頼まれて不倫疑惑がある男性を尾行します。その男は、寿司ネタを残しておいて、それを特製茶碗蒸しに放り込み、ぐちゃぐちゃにして食おうとして店から追い出されました。いったいなんためにそんなことをしたのか?

『においます?』
超短編。ショートショートに近い。

『私はこうしてデビューした』
怖い短編。作家デビューしようとしたら、ファンを名乗る人からメールを送られまくれ、つきまとわれる、という物語。

若竹七海に近いものがあります。双葉社。


今日読んだ作品
蒼井上鷹『大松鮨の奇妙な客』
蒼井上鷹『においます?』
蒼井上鷹『私はこうしてデビューした』


今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
山本幸久『凸凹デイズ』
『殺人喜劇の13人』
ミニコミ誌「オンザロック」をともにつくっている13人の学生達は、元病院の古びたアパート「泥濘荘」を借りてそこに下宿していました。12月のある日、彼らは地下レストランに繰り出し、アイドル並みの美貌を誇る水松みさとらも加えて忘年会を行い、楽しみます。しかし、十沼が「泥濘荘」に帰ると、鯖田の死体がぶらさがっていて・・・

凝ったミステリ小説。連続殺人が延々と続いていきます。密室もけっこう出てきます。けっこう面白かったけど、最後の辺りの謎解きには唖然としました。そんな都合良くいくか、と言いたくなる・・・

あと、ちょっと文章がガサガサしていたのが気になりました。アクが強い、といえばいいのか。とても読みづらいです。

第一回鮎川哲也賞受賞作。


今日読んだ本
芦辺拓『殺人喜劇の13人』

今読んでいる本
蒼井上鷹『九杯目には早すぎる』
私小説。「純粋な観念小説」らしいです。
故郷であるイセ市ハルチに帰ってきたのに、妙に違和感がぬぐえない私。底が本当に実在しているのかが彼女には分からないのです。彼女は、伯母アイとのかつての忌まわしい関係を思い出していくのですが・・・

非常に読みにくいです。しかも重いし、よく分からない。じょじょに読み進めることが苦痛になってきます。なんというかずっと水の中に沈んでいるような感じ。そういうふうな感想を抱かせる笙野頼子と言う人は凄い、と思いました。

けど読むのが辛かったです。僕は純文学が読めないなぁ、と感じました。


今日読んだ作品
笙野頼子『イセ市、ハルチ』

今読んでいる本
芦辺拓『殺人喜劇の13人』
笙野頼子の第1小説集。
『なにもしてない』
ナニモシテナイ自分に対して納得できない私。彼女は、接触性湿疹が発症したのに病院へ行かず、病気を悪化させてしまいます。どうやら彼女はもう30なのに、独身だということに滅入っているようです。そんな日々の中に、天皇即位式がからんできて・・・ 接触性湿疹と天皇即位式が並列して書かれています。

いったいどういうふうに解釈すれば良いのか。社会の中心に立とうとしている天皇と、社会の片隅で病んでいる私とを対比しているのだろうか。そういうふうには全然読めないのですが・・・

読んでいたら、なんだか気分が滅入りました。なんというか主人公の女性の欝な気分が乗り移ってきます。もう明日学校休もうかなぁ・・・

第13回野間新人賞受賞作。


今日読んだ本
笙野頼子『なにもしてない』

今読んでいる本
笙野頼子『イセ市、ハルチ』
芦辺拓『殺人喜劇の13人』
『名もなき毒』
犬の散歩に出掛けた老人が、コンビニで買った烏龍茶を飲んで突如として死亡しました。連続無差別毒殺事件の4人目の被害者ではないか、と疑われたのですが、警察は別の見方をしました・・・
今多コンツェルンの広報室では、原田いずみという女性をアルバイトとして雇います。彼女は編集経験があると自称しました。しかし、編集のことについて何も知らないようでした。しかもとんでもないトラブルメーカー。些細なことで激昂し、人を傷つけました。会社は彼女を解雇しますが、それに対して彼女はクレームをつけてきました。広報室の杉村三郎は、彼女の対応をまかされるのですが翻弄されてしまい、北見という「探偵」のもとを訪ねたとき美知香という被害者の少女と出会い、毒殺事件についても調べだします。

原田いずみという女性の存在感が物凄いです。全体的に重苦しくて溜息をつきたくなります。しかし、それでも読みやすいです。

宮部みゆきは、やっぱり凄い人だと感じました。『名もなき毒』では、社会のゆがみ(毒)によって生み出され続ける掴みどころのない今の犯罪を上手に切り取ってみせます。けど、昔の作品(『火車』『理由』)の方がより凄かった、と僕は感じます。

それにしても宮部みゆきの物語に出てくる子どもは可愛いです。


今日読んだ本
宮部みゆき『名もなき毒』

今読んでいる本
笙野頼子『なにもしてない』
『夫が多すぎて』
美女ヴィクトリアは、ウィリアムと結婚し、彼を振り回し続けました。ですが、ウィリアムは3年前戦争(第一次世界大戦)に行って死亡。その後、ヴィクトリアは陸軍省勤務のフレデリックに乞われて今度はフレデリックと結婚します。さらに裕福な成金ペイトンも彼女の家へ足しげく通ってきます。

そんなある日、死んだはずのウィリアムがひっょこり帰ってきました。2人の夫はヴィクトリアを激烈に譲り合います・・・

ウィリアム・サマセット・モームの戯曲。

笑劇。面白すぎ。軽妙で読みやすいところも良いです。徹底的名までに身勝手な美女ヴィクトリア、彼女を相手に押し付けようとする「親友」ウィリアムとフレデリック、親バカシャトルワース夫人、成金ペイトンなどなど登場人物たちのやりとりがおかしいです。


今日読んだ本
モーム『夫が多すぎて』

今読んでいる本
宮部みゆき『名もなき毒』
『人のセックスを笑うな』
39歳の女性教師ユリと、彼女に惹かれた19歳の磯貝みるめ/オレの物語。2人とも不器用で、相手を満足させられているか分からなくて、セックスもうまくなくて、けれどそれなりには仲良くしているのですが・・・

第41回文藝賞受賞作。芥川賞候補作。映画化もされています。

強烈な著者名とタイトルに比べて、中身は普通。面白い、と思う描写は結構あったけど、全体的としては別に凄いと思わなかったです。これがデビュー作というのは凄いことかもしれないけど。

文章はスカスカ(わざとなのだろうけど)。しかも短いです。なんというか非常に読みやすいです。


今日読んだ本
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』

今読んでいる本
モーム『夫が多すぎて』
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