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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『ひゃくえんだま』
絵本。
ねじめ正一という人の本を読もうと思い、予約したら絵本でした・・・
ひゃくえんだまがいくらでも手から転がり落ちてくる、というもの。


今日読んだ本
ねじめ正一『ひゃくえんだま』

今読んでいる本
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』
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都電荒川線沿線の王子駅・尾久駅周辺を舞台にした小説。
『いつか王子駅で』
時間給講師の私は、昇り龍を背負った印鑑職人の正吉さんと偶然知り合います。2人は居酒屋「かおり」で同じ珈琲を飲みつつ、少しだけ言葉を交わすような仲でした。そんなある日、正吉さんが大切な人に印鑑を届けるといったきり姿を消します。彼は「かおり」に土産のカステラの箱が置き忘れたままでした。それを私は預かるのですが、正吉さんは帰ってきません。
それでも私の日常は続いていきます。大家の米倉さんと一緒に酒を飲み、その娘の咲ちゃんには勉強を教え、時には翻訳の仕事をし、競馬と昔の小説(島村利正の短篇集『殘菊抄』のはなしが出てきたりする)についていろいろ考えたりしながら、1日1日は流れていきます・・・

教科書に載っている『サアカスの馬』について書いてある部分とか、面白かったです。あと『スーホの白い馬』が登場したときは懐かしくなりました。

文章がとにかく良いです。1つの文が長いので、一度読んだだけでは意味を汲み取れないこともあるのですが、だからこそ味わいがあります。いかにも純文学っぽい、と僕は感じました。だから要約はできないです。それにしても、淡々としているのに非常に読みやすいし、読みたくなります。



今日読んだ本
堀江敏幸『いつか王子駅で』

今読んでいる本
ねじめ正一『ひゃくえんだま』
『暗黒星雲のかなたに』
地球大学に留学していたウィデモス領主の跡継ぎバイロン・ファリルは、いきなり暗殺されかかります。彼は、冷徹な学友サンダー・ジョンティの助言を受けて地球を脱出。しかし、バイロンは、父が反逆者だったことから星系を支配するティラン帝国に追われ、監視されます。彼は必死に逃亡しようとするのですが・・・

主人公バイロンは、青臭くてとにかくへまを繰り返します。あんまり共感できません。それに比べて、敵のアタラップが格好良すぎ。

ラストには納得できませんでした。そこで減点。そこで登場するのは、絶対に「フランス人権宣言」だろう、といいたくなります(結局、失敗したけど・・・)。


今日読んだ本
アイザック・アシモフ『暗黒星雲のかなたに』

今読んでいる本
堀江敏幸『いつか王子駅で』
青春小説。
『ぼくは悪党になりたい』
主人公はエイジという17歳の少年。彼は、奔放な母と腕白な異父弟・ヒロトに振り回され、家事全般を担当しています。父親は不在。生まれた時からいません。母が外国へと出張に赴き、ヒロトが水疱瘡にかかった時から、普通の日々が崩れ始め・・・

なかなか面白かったです。父親と出会い、心をぐらつかせてしまう少年の物語。

それにしてもエイジは本当に阿呆だなぁ。まぁ堕ち続けていく惨めな最後らへんの場面では少し応援したくなるけど、全体としてはじれったいなぁと思いました。勝手にして下さい、という感じ。彼が、自分とうまく付き合いきれていないのがよく分かります。

最後も悪党になるわけじゃないし。本当に中途半端です。まぁそこが妙にリアルなのですが。


今日読んだ本
笹生陽子『ぼくは悪党になりたい』

今読んでいる本
アイザック・アシモフ『暗黒星雲のかなたに』
長岡弘樹の短編集『傍聞き』を読みました。ちょっと横山秀夫っぽかったです。ひねりは良いのだけど、ちょっと淡白に過ぎるような気もしました。
『傍聞き』
表題作『傍聞き』は日本推理作家協会賞短編部門を受賞した作品。

『迷い箱』
主人公は犯罪者更生施設の施設長、設楽結子。彼女は、NHKの番組中で取り上げられるほど立派なことをしていたわけですが、前科のある人たちに裏切られることも多く、施設を辞めようかと悩んでいる最中でした。そんな中、施設を出ていったばかりの碓井という男が失踪し・・・

『899』
主人公は消防士、諸上将吾。彼は隣近所に住む新村初美という女性のことが気になってしかたがありませんでした。なにげなくアタックしてみるうちに2人は接近していきました。そんなある日、新村初美の隣家で火事が発生し・・・

『傍聞き』
主人公は女性刑事、羽角啓子。彼女は連続通り魔を追うのですが事件は全く進展せず、しかも機嫌を損ねると喋らなくなる娘にも悩まされ、絶え間ない頭痛に襲われます。タイトルの「傍聞き」と言う言葉にこめられた二重の意味とは・・・

『迷走』
主人公は救急隊員、蓮川潤也。彼はもうじき義父となる室伏光雄隊長とともに仕事をしていた。ある日、急報があって駆けつけるとそこには室伏の知り合いらしき人が倒れていて・・・


今日読んだ本
長岡弘樹『迷い箱』
長岡弘樹『899』
長岡弘樹『傍聞き』
長岡弘樹『迷走』


今読んでいる本
笹生陽子『ぼくは悪党になりたい』
かめくんは、「木星戦争」に投入するために開発されたはずなのですが、クラゲ荘に住み、穏やかに日々を過ごしていました。そんな、ほのぼのとしたかめくんの日常を描いています。SF小説。
『かめくん』
表紙がまず良いです。各章のタイトルも最高。

第一章  模造亀(レプリカメ)
第二章  機械亀(メカメ)
第三章  亀記憶(カメモリー)
第四章  亀手紙(カメール)
ってな感じ。

そして中身も非常に面白かったです。
かめくんのほのぼのした雰囲気がまず良い、と感じました。そして、現実と物語が互いに侵入し会っている世界と、かめくんの哲学と、擬音語の多用と、随所に仕込まれたパロディと、そしてほのかな物悲しさ。どれも良かったです。ほのぼのしているのに、哀しくて、滑稽で、シュールです。

かめくんの哲学を読んで、この作品は確かにSFだ、と感じました。


今日読んだ本
北野勇作『かめくん』

今読んでいる本
長岡弘樹『傍聞き』
いったいどういうふうに読めばいいのか。シュールで、訳が分かりません。誰か、解説してほしい・・・

ちょっとグロテスク。とはいえ、何もかもが靄に包まれている感じなのであんまり気になりません。透明な空間に放り出された気がしてしまいます。でも、完全に意味不明と言うわけではなくて、時々何かがふっと姿を現します。鮮明に浮かび上がるのです。情景や、人間どうしの「抽象的な関係」みたいなものが。
そこが不思議です。けどやっぱり訳が分からない。まるで詩みたいです。

似た比喩がいろんなところに出てきます。ちょいちょい、みみずが出てくることにどんな意味があるのか。う~ん分からない。けど、その結果としてなんとなく『カッコウが鳴くあの一瞬』という作品には、全体として一体感があります。

いやー、本当に面白い本を読ませてもらいました。困惑したけど、凄いとも思わされました。


今日読んだ作品
残雪『天国の対話』
残雪『素性の知れないふたり』
残雪『毒蛇を飼う者』


今読んでいる本
北野勇作『かめくん』
『BILLY BAT 1』は浦沢直樹の漫画。
『BILLY BAT 1』

謎のコウモリが登場。物語を盛り上げます。

下山事件が扱われています。

その下山というのは、国鉄の総裁の名前です。彼は大量の人員削減、ようするに首切りをすすめるようアメリカ・日本政府から言われ、一方国鉄の従業員からは首切り反対と言われ、板ばさみになりながらも首切りをすすめました。ですが、三万人もの人間の解雇を決定した後、失踪。轢死した姿で発見されました。他殺か、自殺かいろんな人が考え、調べましたが、結局事実は分かりませんでした。そして迷宮入り。

松本清張は『日本の黒い霧』で、下山事件(および国鉄を襲った不可解な事件)は、アメリカによる陰謀だと主張しています。そういうふうに事件を分析した本を読んだ後に『BILLY BAT 1』を読むともっと面白いと思います。


浦沢直樹はどこへゆくのか。
『MONSTER』では、東欧の優生思想や移民焼き討ちについて扱い、『20世紀少年』では近未来、日本を支配するカルト・宗教集団との闘いを描き、『PLUTO』では、手塚治虫の原作に則って「ロボットと人間の関係」というテーマを描きつつ、一方では現在の世界状況をそのままコピーして、平和とは何かと問い・・・ そして今回は下山事件。エンターテインメントではありながら、扱われているのはかなり政治色の強い問題ばかり。
そんな彼が、どういうふうに、戦後史を描いていくのか。楽しみです。

そういえば、下山事件といえば、手塚治虫『奇子』を思い出します(『奇子』の主人公が下山事件に関わる)。そこらへん、浦沢直樹はたぶん意識しているのではないか。


今日読んだ本
浦沢直樹『BILLY BAT 1』

今読んでいる本
残雪『カッコウが鳴くあの一瞬』
今、残雪の短編集『カッコウが鳴くあの一瞬』を読んでいる最中。

あらすじは説明不可能。なんいうか、いろんなものがごちゃ混ぜになっています。しかも登場人物どうしの会話が会話として成立していません。なんだか、おかしいです。不可思議な世界。

読んでいるとなんだかぐったりしてきます。

『刺繍靴および袁四〈ユエンスー〉ばあさんの煩悩』は少しあらすじらしきものがあります。だからけっこう読みやすかったです。


今日読んだ作品
残雪『カッコウが鳴くあの一瞬』
残雪『曠野の中』
残雪『刺繍靴および袁四〈ユエンスー〉ばあさんの煩悩』


今読んでいる本
残雪『カッコウが鳴くあの一瞬』
浦沢直樹『BILLY BAT 1』
『砂の女』
昆虫採集に出かけた男は砂丘に迷い込み、村落の人間に助けを求めた。だが、彼らは男を助けるどころか、砂の中に埋もれゆく一軒の家に閉じ込めてしまう。男は、その家にもとからいた女とともに砂掻きをさながら、生活していくことになるのだが、どうしても納得できず何度も脱出を試みる。しかし、決してうまくいかない。女は逆に、男を家に縛りつけようとした。村の人々はそれを冷静に観察していて・・・

文章は、非常に読みやすいです。中身を理解できたとはいえないけど。

1/8mmの砂の中に包まれた小説。砂に埋もれつつある村なんてものは、存在しないはずです。それなのに細部の描写が生々しいだからか、いかにも本当にあった出来事のような気がしてきます。安部公房と言う人は凄い。

「罰がなければ逃げる楽しみもない」という最初の言葉に呼応して、世界が逆転してしまう三章が非常に面白いです。


今日読んだ本
安部公房『砂の女』

今読んでいる本
残雪『カッコウが鳴くあの一瞬』
残雪の短編集『カッコウが鳴くあの一瞬』を読んでいる途中。
『カッコウが鳴くあの一瞬』
『阿梅(アーメイ)、ある太陽の愁い』『霧』は家族の物語、それで『雄牛』は恋人の物語、だと思う、多分。けどほとんど筋書きというものが失われているので、解説することに意味がない気がします。

もう次に何が飛び出してくるのか、全く分からないです。ビックリ箱みたいな感じ。スリルがあります。残雪という人は面白いなぁ・・・

不思議な感覚。「太陽にうぶげがはえていた」というところで、もう凄いわーと思ってしまいました。


今日読んだ作品
残雪『阿梅、ある太陽の愁い』
残雪『霧』
残雪『雄牛』


今読んでいる本
安部公房『砂の女』
残雪『カッコウが鳴くあの一瞬』
『八日目の蝉』
1985年2月、野々宮希和子は不倫相手の家に侵入し、突発的に生後6ヶ月の赤子を誘拐してしまいます。希和子は赤子に「薫」という名をつけました。そして、自分の子として育てるため逃げ回ります。なぜか、彼女たちの行く先々にはいろんな理由で匿ってくれる人がいたため、逃亡は何年間にもおよび・・・

長篇サスペンス。二部構成。角田光代らしい家族を巡る物語。いったい家族と言うもの何のためにあるのか。

最初、希和子はとんでもない人だと感じました。だけど、読み進めるうちにだんだんと印象が変わってきました。もちろんとんでもない人だということは変わらないけど、子どもを思う気持ちをしっかりと持った「お母さん」だということに、心が動かされました。

立ち退きに応じないお婆さんの家での生活。怪しいエンゼルホームにおける日常。美しい自然に囲まれた小豆島での日々。どれもこれもが印象的です。


今日読んだ本
角田光代『八日目の蝉』

今読んでいる本
安部公房『砂の女』
残雪『カッコウが鳴くあの一瞬』
『文学賞メッタ斬り!リターンズ』やっぱり面白い!
島田雅彦登場。
『文学賞メッタ斬り!リターンズ』
まぁ最初ほどの勢いは感じられなかったけど、面白いです。それにしても、大森望、豊崎由美両人の読んでいる本が非常に多くて驚きます。本当に凄すぎる。

町田康『告白』を、豊崎由美が絶賛。けど大森望はそれほどでもない、と思っているらしい。そこらへんの差が面白いです。でも、基本的に2人とも同じような立場だなぁ・・・ もっと違う感覚を持っている人が加わってきたら、もっと面白くなりそうです(いや、大森望、豊崎由美2人が喋っているだけでも充分面白いけど)。


今日読んだ本
大森望、豊崎由美『文学賞メッタ斬り!リターンズ』

今読んでいる本
角田光代『八日目の蝉』
再読。

王政のローマが生まれ、そして、共和制へと移り変わっていくところと、ギリシア文明の発展と繁栄についてが書かれています。

面白いです。面白いけど、これは決してローマの歴史を書いたものではない、と感じました。物語です。塩野七生という人は、どれだけローマを褒めれば気が済むのか。だんだんうんざりしてきます。しかも、なんだか文章が下手。妙に読みづらいし、文法もおかしいです。そこにも、うんざりします。

僕は、中国贔屓の田中芳樹の方が好きです。むしろ、田中芳樹の方が文章も物語の広げ方も上手ではないか、と思います。それなのに、塩野七生は勲章とかをもらいまくる一方で、田中芳樹は完全に無視されています。どうしてなのか。

田中芳樹の作風はライトノベル的です。そこらへんが不評なのかもしれない。だけど、勲章とかをもらえない最大の要因は別のある気がします。田中芳樹作品の根底にある反権力・リベラルな思想が忌避されているのではないか(僕はそこが好きだけど)。誰かもう少し田中芳樹を評価してくれる人はいないのかなぁ・・・

今日読んだ本
塩野七生『ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず(上)』(再読)

今読んでいる本
角田光代『八日目の蝉』
大森望、豊崎由美『文学賞メッタ斬り!リターンズ』
『向日葵の咲かない夏』
主人公はミチオという小学生の少年。彼は、夏休み前の終業式の日、欠席したS君にプリントを渡すため、S君の家を訪ねます。声をかけても応答がないので中に入っていくと、S君が首を吊っているところを発見。ミチオはすぐさま学校に引き返し、担任の岩村先生にそのことを告げます。ですが、岩村先生と警察官が事件現場へ急行すると死体が消えていました。いったい何が起こったというのか。蜘蛛になったS君がミチオの前に現れたことで、さらに事態は混乱していきます・・・

「生まれ変わり」が自然な形で登場するので、SFか、もしくはファンタジーなのかと思いきやそういうことはなく、ミステリです。

『姑獲鳥の夏』には納得することが出来ませんでした。なんというか、いかにも大仰で、全体が作り物っぽいと感じてしまったからです(そこが良いと言う人もいるけど僕はいまいちと感じた)。しかし、同じ系統といってしまって構わないような『向日葵の咲かない夏』には感心しました。歪んだミチオの世界というものに説得力があったからです。

途中で怪しいな、とは思いました。たとえばミカのこととか。しかし、最後のあたりになって仰天しました。まさか、○○○だったとは・・・ そこまでは想像できなかったです。

傑作です。


今日読んだ本
道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

今読んでいる本
角田光代『八日目の蝉』
SF小説。ライトノベルの系統なのかなぁ。表紙からして。
『私と月につきあって』
森田ゆかり、マツリ、三浦茜は美少女3人組。宇宙飛行士として活躍中。今回は、フランスが発射する宇宙飛行機の補助として、月の裏側へ向かう旅へ出掛けることになります。月面に水があるのかどうか、それを確かめることが目的でした。フランスの美少女5人組とペアを組むのですが、突然のアクシデントに見舞われ・・・

ロケットガールシリーズの3巻目だそうです。途中から読んでしまいました。

身体の軽い女子高生の方が宇宙飛行士として最適である、というトンデモない理屈の上に物語が組み立てられています。予想以上に面白かったです。宇宙の描写などはけっこう力が入っていたし。けどやっぱり予想通りのキャラクターと予想通りの展開。


今日読んだ本
野尻抱介『私と月につきあって』

今読んでいる本
道尾秀介『向日葵の咲かない夏』
短編集『第三の時効』の中の3篇。

『密室の抜け穴』
県北部で白骨死体が発見されます。事件をまかされたのは三班。しかし、事件現場に到着した直後に班長・村瀬が倒れ、班は危機的状況に陥ってしまいました。班を率いる立場にある東出と石上が反目し合ったのです。とはいえ、なんとか容疑者の絞込みには成功し、容疑者を監視していたら、さらに問題が発生。暴対課の顔を立てて刑事3人を捜査に加えたら、監視下で犯人が忽然と消失。警察内はごたごたしまくり・・・

『ペルソナの微笑』
隣のV県で、アオ(青酸カリ)によってホームレスが殺されたという情報が入ります。自分の県で、13年前に子どもを利用した残酷な殺人事件が起こったことがありました。それとの関わりを調べるために一班が出動します。

『モノクロームの反転』
一家3人が刺殺されます。一班とと三班が出動。事件解決に乗り出すのですが、2つの班は互いにいがみ合い、ひどいことになります。無事事件解決にこぎつけることは出来るのか・・・


今日読んだ作品
横山秀夫『密室の抜け穴』
横山秀夫『ペルソナの微笑』
横山秀夫『モノクロームの反転』


今読んでいる本
野尻抱介『私と月につきあって』
『ぼくのミステリな日常』
若竹七海は、月刊社内報の編集長に抜擢され、それまでのだらだらした日々から脱出、張り切ります。ですが、「あまり硬い内容にはせず、小説を載せよ」と言われて困惑。プロに頼むほどの予算はありません。そこで、大学時代の先輩に頼んでみたら、「知人でミステリっぽい短編を書いてくれる人がいる」と言われ、その人に連載を頼むことに。条件は匿名、というもので・・・

若竹七海のデビュー作。

連作短編集のように見えて実は・・・ という凝った作品です。凄いと思ったけど、そこまで感心はしなかったです。

日常の描写が秀逸。


今日読んだ本
若竹七海『ぼくのミステリな日常』

今読んでいる本
横山秀夫『第三の時効』
短編集。
『第三の時効』

『沈黙のアリバイ』
一班の班長である朽木が主人公。新入りの刑事島津が「落とした」はずの犯人が、裁判になった途端、完全無罪を主張。犯人は自分にはアリバイがあると言い出します。島津は逃げるようにして辞任。朽木は追い詰められました。さて、彼は犯人のアリバイを暴くことが出来るのか?

『第三の時効』
一時的に二班へ行かされた一班の刑事、森と二班の班長、楠見が主人公。容疑者が海外渡航をした場合、その期間だけ時効が延びます。それが「第二の時効」。しかし、楠見は犯人を焙り出すべく、ただ1人で、恐るべき計画を立案し、実行します。「第三の時効」とはいったい何なのか・・・?

『囚人のジレンマ』
一班、二班、三班それぞれが抱え持っている事件と、その三つの班を監督する立場にある田畑第一捜査課長の物語。部下が無能であれば苦労を味わい、部下が有能であればもっと大きな苦労を味わうことに・・・ 田畑という人は大変な苦労を背負っているみたいです。


今日読んだ作品
横山秀夫『沈黙のアリバイ』
横山秀夫『第三の時効』
横山秀夫『囚人のジレンマ』


今読んでいる本
若竹七海『ぼくのミステリな日常』
横山秀夫『第三の時効』

突然墜落してきたものにぶつかって意識を失ってしまったタウンゼント。彼は急いで家に戻るのですが、そこには妻がいませんでした。彼は慌てて管理人を問いただし、妻の住んでいるところへ向かいます。そして妻と面会するのですが、彼女と話している内に衝撃的な事実にぶちあたります。なんと、これまで3年の間彼は失踪していたというのです・・・ その3年間、彼は何をしていたのか。タウンゼントは全く覚えていません。しかも、タウンゼントを付け狙う黒い影が現れ・・・

「サスペンスの詩人」といわれたウィリアム・アイリッシュの小説。

スリルに満ちています。後半、推理ものっぽくなっていくのですが、そこよりも前半の方が面白いです。3年間の記憶が欠けているために、自分というものを信じることが出来ず、苦しむ様子が上手に描かれています。


今日読んだ本
ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』

今読んでいる本
若竹七海『ぼくのミステリな日常』
横山秀夫『第三の時効』
高田侑の短編集『てのひらたけ』を読みました。
どれもファンタジーチックというか、幻想小説っぽい雰囲気です。
『てのひらたけ』

『てのひらたけ』
てのひらたけという幻覚を見せるキノコがとれる、と聞いた男は山に分け入り、それを食した途端に昏倒。母と娘の一家に助けられ、そこの家のお世話になることに。いつの間にか娘に惹かれていき、婚約しようとまで言い出すのですが・・・

『あの坂道をのぼれば』
落ちぶれた男の現状と、そこに到るまでの経緯(女に溺れて家族を捨てた)が交互に描かれていきます。主人公は本当にどうしようもない男だなぁ、と感じました。まぁ仕方ないのかもしれないけど。

『タンポポの花のように』
廃墟の遊園地で黄色い帽子を持ち、微笑んだまま死んでいる56歳の女性が発見されます。どうして黄色い帽子を持っていたのか。その謎を解き明かす物語。その女性の人生と、女性の遺体を回収し、死後の処理をしにきた家族の場面が交互に組み合わせられています。

『走馬灯』
主人公の男は、兄から「30年前に死んだはずの父をこの頃見かける」と言われ、からかわれているのかと思って怒ります。けど、昔、父は幼い子ども時代の自分に対して、未来を予知するようなことを口走っていたなぁ、ということを思い出し・・・

なかなか良いです。しかしどれもこれもほのかなハッピーエンドにするところは頷けない。綺麗過ぎるというか。


今日読んだ作品
高田侑『てのひらたけ』
高田侑『あの坂道をのぼれば』
高田侑『タンポポの花のように』
高田侑『走馬灯』


今読んでいる本
ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』
大切な人を失う「その日」に向けて、どのように歩んでいくのか。「その日」をどのように受け入れるのか。そして、「その日」のあと、どうやっていきていくのか。そう問う連作短編。

この物語において、大切な人というのが誰を指すのかと言うと、具体的には妻のこと。夫と2人の息子が残される側。

『その日のまえに』が表題にもなっています。他の短編とも微妙につながりがあります(『ひこうき雲』に登場した学級委員が、看護師になっていたり)。


今日読んだ作品
重松清『その日のまえに』
重松清『その日』
重松清『その日のあとで』


今読んでいる本
高田侑『てのひらたけ』
『森にめぐるいのち』
『森にめぐるいのち』は小さい絵本。
最初は、大木が倒れたところから始まります。

森の循環と言うものを分かりやすく説いている絵本。とはいっても、文章はあんまりありません。余分な部分はけずりとられているので押し付けがましくありません。そこが、絵本というものの良いところ。

写真つきなので、とても綺麗です。どの写真も「良い写真だー」と思わされるような良い写真。読んでいたら、思わずこれは全体としてきっちりとしたまとまりがある「完成品」だなぁ、と感じました。

おすすめ。


今日読んだ本
姉崎一馬・写真/片山令子・文『森にめぐるいのち』

今読んでいる本
重松清『その日のまえに』
高田侑『てのひらたけ』
岩波ジュニア新書の新刊。
『図書館で出会える100冊』
『図書館で出会える100冊』の中でオススメされている本は、ほとんど読んだことがなかったです。『イラクの小さな橋を渡って』『タイム・マシン』『星の王子さま』『銀河鉄道の夜』くらいでした。

これから読もうかなぁ、と思います。けど、どれも良い本だろうとは思うけど、エンターテインメント小説ではないみたいだから、あんまり読む気が起こらない・・・ もう少し『銀河英雄伝説』とかそういうのもいれてほしかった。


今日読んだ本
田中共子『図書館で出会える100冊』

今読んでいる本
重松清『その日のまえに』
姉崎一馬・写真/片山令子・文『森にめぐるいのち』
『抱擁家族』
大学講師の夫は、ある日妻がアメリカ兵と情事を重ねていると聞いて驚愕し、そしてどうにかしようとして息子・娘を誘い、家事を手伝おうとしたり、米兵と妻を対決させたりしようするのですが、どうしても上手くいきません。何をしても滑稽になってしまうのです。
そして彼は家を引っ越そうとするのですが、妻の乳癌を発見してしまい・・・

崩壊していく家族を描いた作品。あまりにもありきたりな展開をみせるのですが、「それは狙ってやったことだ」と指摘する大江健三郎の解説を読んで、ちょっと得心しました。

けっこう読みづらかったし、そのためかもやもやして気持ち悪いです。でも、そこが面白いともいえます。

第1回谷崎潤一郎賞受賞作品。


今日読んだ本
小島信夫『抱擁家族』

今読んでいる本
重松清『その日のまえに』
田中共子『図書館で出会える100冊』
姉崎一馬・写真/片山令子・文『森にめぐるいのち』
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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