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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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岡嶋二人『クラインの壺』、凄く面白かったです。
『クラインの壺』

岡嶋二人っていうのは、1人の小説家の名前ではありません。井上泉と徳山諄一がコンビを組んだ時のペンネームなのです。岡嶋二人は、この『クラインの壺』を刊行した後、コンビを解消してしまったので今はいないそうです。

「岡嶋二人ははずれがない」と聞いたので、読んでみました。
とても面白かったです。
最後の最後に、どきりとさせられます。現実と虚構が入り混じって、どちらがどちらなのか分からなくなります。


今日読んだ本
岡嶋二人『クラインの壺』

今読んでいる作品
米澤穂信『氷菓』
菊池寛『日本武将譚』
津本陽『勝つ極意 生きる極意』
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『勝てる読書』

『14歳の世渡り術』シリーズの最新刊。
このシリーズって玉石混交というか、良いのと悪いのがごちゃ混ぜだなぁと感じます。あの雨宮処凛が、けっこう公平な視点に立ちながら右翼・左翼のことに書いている、という面白いものがある一方で、橋下徹だの、あさのあつこだのがくだらない、どうでも良い様な「励まし」みたいのを書いていたりもするし。

でもなぁ、シリーズの1番最初が、占い師・鏡リュウジの『「占い脳」でかしこく生きる』というタイトルの本っていうのはちょっと・・・ なんだか、胡散臭いっていうか、「14歳」をひきつけるために策を弄しているような感じがして、あんまり好きになれません。まぁ読んでいないものにけちをつけるのもどうかと思うけど・・・

今回は、豊崎由美なので、けっこう面白いです。
それにしても、世の中には面白い本が満ち溢れているんだなぁ、と感じます。それなのに、全然読めていないなぁ・・・


今日読んだ本
豊崎由美『勝てる読書』

今読んでいる作品
米澤穂信『氷菓』
菊池寛『日本武将譚』
岡嶋二人『クラインの壺』
津本陽『勝つ極意 生きる極意』
村上春樹は好きではないのでほとんど読んでいないのですが、久しぶりに短編を読んでみることに。
『風の歌を聴け』

『風の歌を聴け』はつまらなかったと言っていたら、ちょうど数日前に読んだばかりという友達がいて彼に反論されました。村上春樹は中身っていうより文体がね、いいんだよ、というのがその人の感想。

だけど僕は、やっぱり村上春樹は好きになれないなぁ。全体が、ガラクタみたいなものじゃないか。意味のないところを飾り立てて、意味があるみたいにみせかける。意味がないのだから、意味がないっていうので良いのに・・・

主人公の男は、いろんな女に手を出しておきながら結局何もせず、傷つきもせず、ただ通り過ぎていくだけ。結局、気障なことばらばら言っているだけで、何もしない無能な人間じゃないか。しかも登場人物の友達(鼠)なんて金持ちなくせに金持ちは嫌いだ、とかそういう偽善的なことを言いまくって、何もかも煙に巻く。
というか、村上春樹の物語ってファンタジーだよなぁ。こんな人間が現実世界に生きていられるわけがない。あんなふうな独善的で弱い人間は、家にひきこもってしまってでてこれないのではないか。

というか、僕の周りにいる、村上春樹好きの人たちってどこか内にこもる人が多いような気が・・・ 気のせいだろうか。


今日読んだ本
村上春樹『風の歌を聴け』

今読んでいる作品
米澤穂信『氷菓』
菊池寛『日本武将譚』
豊崎由美『勝てる読書』
名作だと聞いていたので読んでみました。とにかく、闘ってばかりの小説だなぁ・・・ これがノーベル文学賞なのか。
『老人と海』

つまらないことはありません。でもずーっと同じ海上の場面ばかりが続くので、読んでいるとなんだか意味が分からなくなってきます。1ページ進んでも、あまり進んだ気がしない。老人と一緒に、海に揺られている感じ、なのかなぁ。

でもけっこう短いし、読みやすいです。
せっかく獲った獲物が、最後にサメによって食われていく場面の老人の悔しさがよく伝わってきます。


今日読んだ本
ヘミングウェイ『老人と海』

今読んでいる作品
村上春樹『風の歌を聴け』
米澤穂信『氷菓』


ありえないほどヒトラーが悪役になっています。人間性とかそういうものが欠片も感じられません。正直言って、そういうふうに型にはめて物事を見ることが、逆に思考の硬直を生み出すのではないか、と感じます。

正直言っておすすめできません・・・
面白くもないし。

原書を読むほうがよほど良いのではないか。漫画で読んでも結局理解できないだろう、と僕は思いました。


今日読んだ本
『我が闘争 まんがで読破』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
村上春樹『風の歌を聴け』
今日もまた水樹和佳子の漫画を読んでいました。
『灰色の御花』『夢追い人と桜の木』『雪のひとひらに』

『灰色の御花』は、大戦直後のヨーロッパが舞台。イギリスだっけ。
主人公は、新聞記者を勤めていたのですが、杖がきっかけである時不思議な浮浪児と出会います。だんだんと時間がたつごとに、その少女は、自分のおじさんの育てた子だと判明し、一緒に生きていくことにします・・・

『夢追い人と桜の木』は現代の日本が舞台。
主人公は女子高生。あることがきっかけで漫画家を目指しています。ですが、ひょんなことで原稿が生徒会長の手に渡ってしまいます。女の子はどうしようか散々悩むのですが、なんと実は、生徒会長は「漫画家を目指すあるきっかけ」にも関わっていた人だったのです。そうして少女は、生徒会長に恋心を抱きます。
生徒会長の父は厳格な剣道の師匠。しかし生徒会長は父の期待に反して役者を目指しています。だからそこに対立が生まれます。そして、生徒会長の姉は漫画家。彼女は、生徒会長を庇い、彼の夢を育てようとしています・・・ というわけで、いろいろと1悶着あるわけです・・・

『雪のひとひらに』はどこが舞台なんだろうか、よく分からない。ヨーロッパっぽい。
母を失った青年が、かつての母の恋人に会いにいく、というお話です。


今日読んだ作品
水樹和佳子『灰色の御花』
水樹和佳子『夢追い人と桜の木』
水樹和佳子『雪のひとひらに』


今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
『ジーン・ワルツ』

中盤までは読むのがちょっと面倒だったのですが、最後になってびっくりさせられました。そうか。そういう罠だったのか・・・ という感じで。

官僚による医療制度破壊に怒り、これまでもそれをテーマにして、散々本を書いてきたという海堂尊。今回は、婦人科医療について。とても面白いです。不妊治療のこととか全然知りませんでした。

そういえば、『医学のたまご』の主人公のお母さんじゃないか。この物語の主人公・理恵は。海堂尊の書くお話は、それぞれどこかつながっていて面白いです。


今日読んだ本
海堂尊『ジーン・ワルツ』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
水樹和佳子『灰色の御花』
『海のほとりの王国で・・・』『シェラの空間』『人魚姫』

『海のほとりの王国で・・・』と『シェラの空間』は、シェラという女性を亡くした後、彼女の遺言を守って世界を旅行してきたセバーンという男が主人公の物語。彼は、10年間の旅行の末、ある屋敷を買い取ってそこに留まることにします。
成り行きの結果、昔からその屋敷を管理していたメイド、ナンシー・ドロウと、トムという少年が、セバーンと一緒にその屋敷に住むことになります。
というのがだいだいのあらすじ。

『人魚姫』は、もうそのまんま「人魚姫」。ポニョのお話のもとにもなったという人魚姫のストーリーを下敷きにして、ちょっとハッピー・エンドっぽくしたものです。いや、でもハッピーな終わりではないけど。


今日読んだ作品
水樹和佳子『海のほとりの王国で・・・』
水樹和佳子『シェラの空間』
水樹和佳子『人魚姫』


今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
海堂尊『ジーン・ワルツ』
『人形つかい』は、侵略テーマSFの傑作と賞される作品。
『人形つかい』

舞台は、2007年のアメリカ。
というわけで一昨年のことです・・・

「ナイスでいかした」密情報機関のエージェント・サムと、その同僚メアリが、宇宙から侵略しにやってきた灰色半透明のナメクジみたいなパペット・マスターと闘う、という物語。そのナメクジみたいなやつは、他の生物にとりついて、それを人形のように扱うので、始末が悪い。
死闘は、ずっと続きます。

「対話」なんて言ったら、貴様は敵のスパイかと疑われてぶっ殺されそうな世界です。基本的にテンポが良くて、爽快です。そして、「敵とみたらぶっ殺せ」的な感じで、進んでいくので読みやすいです。深く考える必要性が全くない。
文章は軽くて、面白おかしいシーンもたくさんあります。
ナメクジが隠れてないか確認するためにアメリカ人は全員常時上半身裸でないといけない、という政策が大真面目に行われたり、さらにはズボンまでみんな脱がないといけないという政策まで行われます。つまりみんな裸なわけです。
現実にそんなことが可能とは思えないけどなぁ。


今日読んだ本
ロバート・A. ハインライン『人形つかい』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
『イグアナの娘』

『イグアナの娘』は、テレビドラマにもなった作品。なぜだか、女の子の赤ちゃん(リカ)がお母さんにだけはイグアナに見えるという物語です。
お母さんは、イグアナに見える長女を邪険に扱いました。そして、次に生まれた妹は普通の赤子に見えるので、その次女を偏愛しました。
長女・リカは、それをしかたないと受け入れ、生きていきます。が、その内好きな人ができて結婚します。そして自分の娘が生まれるわけですが、その子どもは普通の人間の赤ちゃんでした。母に愛されたことのないイグアナのリカは、自分の子どもを愛せず、とても苦しみます・・・・

『カタルシス』は母の束縛の物語。
浪人中のゆうじが突如家出。バイトしている喫茶店のマスターの家に泊り込んでいたのです。家族は怒ります。そして、家にひき戻すわけですが、ゆうじは家出を繰り返しました。
いったい何が原因なのか。心理学を勉強している、いとこのともよが、ゆうじの両親に頼まれてゆうじに聞くと、理由が少しずつ分かってきます。どうやら、友達の女の子の葬式にいけなかったことが原因らしい。そして、そのときゆうじを引き止めたのは、母親・・・

『午後の日差し』は夫婦の物語。
「夫婦なんて結局は他人」という言葉にショックを受けた賞子。彼女は夫が外で女を金で買っているのでは、と疑い、娘の扱いに困り、家族にうんざりして、料理教室で出会った若い男に魅かれるようになります・・・

『学校へ行くクスリ』は、なんなんだろう・・
高校一年のかつみには周りの人間が全部人間に見えない。しかも、彼らの喋っている中身もいまいち聞き取れない。まるで雑音みたいに聞こえる。不思議なことになぜか、クラスの教室の中で、好きだったアイドルに似ていた、中川あゆみと、昔からの友達・甘木だけが人間に見えた。いったいなぜなのか・・

『友人K』は、本当に短いです。
ある男が、ある雪の日、対抗心を抱きつつもどこか気になっていた友人Kのことを思い出す、というお話。


今日読んだ本
萩尾望都『イグアナの娘』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
ロバート・A. ハインライン『人形つかい』
90本の運命
★★★★ 井上ひさし

89レナード現象には理由がある
★★★ 川原泉

88爆笑問題の日本史原論
★★ 爆笑問題

87よつばと!
★★★★★ あずまきよひこ

86仏像のひみつ
★★★ 山本勉
★★★★

著者:  井上ひさし
出版社: 文藝春秋

  本というものは、めぐりめぐっていろんなところへたどり着く・・・ 井上ひさし『本の運命』は井上ひさしの本との関わりを書いたものです。ちょっとエッセイぽいけど、エッセイではないかな。最初の戦争の頃のはなしというのは面白かったです。子どもの頃は、野球選手や、映画監督になりたかったというのを読んで、子どもは誰でもそういう仕事に憧れるものなんだなぁ、と納得しました。でも紆余曲折あり、井上ひさしさんは結局本を書く仕事・および戯曲を書く仕事についたそうです。

  昔、戦後はほんとうに本がなかった、という部分がとても引っかかりました(あっても落書きだらけだったりしたそうです・・・)。今では図書館に行けば、たくさんあるんだけど。それは幸せなんだなぁ。もっと感謝しなければいけないのかも知れない。今は、日本に戦争がないからこそ、呑気に、またはまじめに読書することが許されるんだなぁ。

  井上流の、本の読み方十箇条というのが面白かったです。専門書などを読むときは、「目次を睨むべし」なのだそうです。そうか、それで最初に把握しておくのか・・・ これからやってみようと思いました。あと、しおりは1本じゃなくてたくさんあった方がいい、というのもうなずきました。気になるところにはとにかく線を引こう、というのもよく分かります。でも、僕は図書館でたくさん本を借りているから、あまり実践はできないなぁ。

  「子どもを本好きにするには」という章がありました。そこに、子どもに読書感想文を書かせるのはやめるべきだ、というのがあったのですが、それはまさにそのとおりだ、と思いました。結局、学校の宿題という形だと、正直な思いではなくて、大人の望む常識的な文章を書かざるを得ません。いやになるに決まっているよなぁ。

  『本の運命』とても面白かったです。井上ひさしの本への愛が伝わってくるなぁ・・・


自森人読書 本の運命
2月も半ばになって、今頃なのだけど。
去年(2008年)読んだ本のなかで面白かったなぁという本を並べてみたらどうなるだろうか、考えてみました。ブログに記録をとり始めたのが2008年8月14日なので、その日から12月31日までの110日間の中で、ということになるんだけど。

下のページの中から、ベストを決めるという感じです。
一覧・2008年読書メモのまとめ


小説の中では・・・ (関係あるのは、僕が去年の8月14日から12月31日の期間の間に読んだかどうかだけ。出版が遥か昔のものも関係ないということです・・ めちゃくちゃです)

1  『鴨とアヒルのコインロッカー』
2  『聖女の救済』
3  『すべてがFになる』
4  『黄金旅風』
5  『世界は密室でできている』
6  『チルドレン』
7  『犬はどこだ』
8  『小説帝銀事件』
9  『ガリレオの苦悩』
10 『魔王』
11 『熊の場所』
12 『トキオ』
13 『蹴りたい背中』
14 『墨攻』
15 『サマータイム』
16 『宿命』
17 『後鳥羽伝説殺人事件』
18 『ラン』
19 『北斎殺人事件』
20 『変身』


正直言って、11位と12位の間や、15位と16位の間に大きな差はありません。順位にそこまで深い意味はないです。どちらも同じように面白いです。
1位に迷います。そういえば、『ゴールデンスランバー』があったら、迷わずそれを1位にするんだけど、もう8月14日の前に読んでしまっていました・・・


小説じゃないものの中では、斎藤美奈子の『誤読日記』がとても面白かったなぁ。いろんな本を紹介したあと、とにかく爽やかに次々と切り捨てていく・・・ 森見登美彦のエッセイ『美女と竹林』はとてもおかしい。読むだけで笑えてきます。それと、笹公人の面白い短歌集・『念力家族』と、あとはトンデモ本シリーズが面白かったです。
そういう面白おかしい系ではなく、まじめなものの中では、『孫文と中国の革命運動』と、『海に沈んだ対馬丸―子どもたちの沖縄戦』が良かったです。だいたいそんな感じだろうか。
★★★

著者:  川原泉
出版社: 白泉社


 ・レナード現象には理由がある
 ・ドングリにもほどがある
 ・あの子の背中に羽がある
 ・真面目な人には裏がある
という互いに関連のある、短編の集められたものです。

  『レナード現象には理由がある(レナードげんしょうにはわけがある)』は、レナード効果というのを起こしてしまう、蕨よもぎが主人公。超がつくほどの進学校らしい彰英高校に、なぜか入学してしまった蕨よもぎ。彼女は、テストで凄い点数をとる隣の席の飛島穂高のことを気になり始め・・・

  「川原泉が、以前とはがらりと違う絵柄になった」と言われても、僕は以前の川原泉の作品を読んだことは無いので、よくは分からないのですが。すっとする軽い感じの短編ばかりで、面白かったです。絵柄はやわらかいし。中身もやわらかくて、萩尾望都みたいな感じじゃないし。なんというかなんとなく読む、ような感じです。

  それにしても、自由の森学園とは全く異なる世界だなぁ・・・ 登場人物の学生達が制服着ているという時点で、う~んなんか自森とは違う、ということになるけど。偏差値とか、超進学校とか、そういう言葉がでてくると、もう別次元みたいな感じです。


自森人読書 レナード現象には理由がある
★★

著者:  爆笑問題
出版社: 幻冬舎

  爆笑問題が、日本の歴史を突っ込みつつ、解説していくみたいな感じです。縄文時代から始まり、2・26事件まで語ります。とっつきやすい、というところがよく褒められている気がします。確かに面白いは面白いけど、普通に文章で書いた方がよりたくさんのことが書けるだろうなぁ・・・

  だけど、意外さでもってひきつける、というところとか、案外深く突っ込んでいくところが面白いかなぁ、という気がしました。どうでもいいような、でも歴史好きが飛びつくようなはなしとかもあったかなぁ・・・ 随所に。源平合戦の仕掛け人は、天皇だった、みたいなよくある推測とか。

  歴史があんまり好きじゃないけど教科書で習った程度は覚えている、という人が読むと面白いのかも知れません。僕はそこまで面白い、とは思わなかったなぁ・・・・・ というかほとんど知っていることばかりで、読んでもなんにもならない。

  というわけで★2つ。


自森人読書 爆笑問題の日本史原論
『銀の三角』

萩尾望都は凄い・・・ 何度読んでもそう思います。
あらすじは説明できないよなぁ。一応、SFなのか。

なんというか空間も、時間も飛び越えて物語が展開していくので、1回読んでも把握しきれないような感じです。

学校休んで、何をやっているんだ、という感じですが。


今日読んだ本
萩尾望都『銀の三角』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
ロバート・A. ハインライン『人形つかい』
MWA賞最優秀処女長編賞と、CWA賞最優秀処女長編賞を受賞した作品。
推理小説というよりは、サスペンスです。
『検屍官』

バージニアの州都リッチモンドで、グロテスクな連続レイプ殺人事件が発生。しかし、ほとんど証拠を残さない犯人に対して、警察はなす術がない。そして、警察の必死の捜査を嘲笑うかのように、犯人による残虐な犯行はエスカレート。しかも、警察内部のどこかに、機密情報を漏らす者がいるらしい。それを武器にしてマスコミが無闇やたらと騒ぎ立てるために、事態はさらに混乱していく・・・
美人検屍官ケイ・スカーペッタは、残された遺体から犯人を追おうとするのだが、妹に預けられた姪のルーシーが手元にいることもあって、四六時中いらいらしているような状況が続く・・・

気が重くなるようなお話です。でもその割にはたちの悪いジョークなんかもけっこうあるんだけど。

海外のミステリには、どこか底抜けに醒めた気持ち、というかまぁ死んじゃったけどしかたないない、悲しいけど頑張ろうぜ、みたいな空元気があるような気がします。だからつまらないジョークなんかもはさまる。それで、物語はだーっと走っていくわけですが。それに比べて、日本のミステリはとにかくやたらと重いのです。くそまじめで冗談とか全然ないし、ラストになってみたら、結局誰も救われなかった・・・ みたいな展開が定番で、ちょっと陰鬱になります。

それにしても、『検屍官』の謎解きにはちょっと失望しました。それまで少しも登場しなかった人が犯人というのでは、本格推理小説じゃないよなぁ・・・ う~ん、納得できない。

でも、ラストは良い感じです。暗いぎしぎしするような場面が延々と続いてきたのが最後になってやっと終わります。事件を解決し、一仕事終えた検屍官ケイ・スカーペッタは、休暇をとり、姪・ルーシーを連れて海岸に行くことにします。まぁいろいろ口喧嘩もあったわけですが、結局行くことになり。その2人が、旅行地に向かう飛行機に乗り込もうとしながら、ぺちゃくちゃ喋っている場面で物語はおしまい。


今日読んだ本
パトリシア・コーンウェル『検屍官』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
★★★★★

著者:  あずまきよひこ
出版社: メディアワークス

  5歳の「よつば」の物語。元気で、活発で、とかそんな言葉ではくくりきれないくらい自由奔放というか、強烈なよつばの毎日が描かれています。ストーリーを説明しようにも、説明できない・・・ 物語の始まりは夏休み1日前、とある町に、よつばととーちゃんが引っ越してくるところから始まるんだけど、そのあとは本当に、よつばの毎日、です。そうとしかいいようがない・・・ とにかく面白いです。

  書くことないので、登場人物の紹介でも。登場人物は、よつば、とーちゃんの一家。とーちゃんの友達で、花屋の息子、ジャンボ。隣家の綾瀬家のあさぎ、風香、恵那、綾瀬家の母・父の一家。恵那の友達、みうら。という感じです。あと、やんだ、虎子、しまうーとか。という感じです(って何の説明にもなっていない・・・)

  とーちゃんは、よつばのお父さん(実の親ではない)で翻訳家。普通に常識的だけど、よつばと張り合ったりするとき、子どもっぽくなったりする人、なのかなぁ。ジャンボは、2メートルを超える巨漢。花屋の息子。よつばの家によく来て遊んでくれる。恥ずかしがりや。

  あさぎは綾瀬家の長女。大学生。茶髪。凄い美人で、今までフラれたことがないらしい。風香は綾瀬家の次女。高校生。ロマンチスト。どこかはずれていて、だけど、まぁまぁしっかりしている。恵那は綾瀬家の三女。小学4年生。よつばとよく遊んでくれる。度胸があって、しっかりしている。という感じかなぁ・・・ 全然うまく説明できない。

  とにかく、奇想天外なまでに面白い人たちの生活が、面白いです。


自森人読書 よつばと!
2月に読んだ本の中では。
『さまよえる湖』がとても印象的だったなぁと思います。でも、とてもてこずりました。翻訳ものというのはなぜか読みにくいんだよなぁ・・・・

日本の「新本格」の傑作として挙げられていて、前から読まないと、と思っていた『占星術殺人事件』がやっと読めて良かったです。びっくりするようなトリックだったなぁ・・・
あとは、森博嗣のS&Mシリーズ、第10作目にして一応の完結編である、『有限と微小のパン―THE PERFECT OUTSIDER』が読めたのも良かったです。こちらは、ちょっと予想をはずすような展開だったけど。

それと、松本清張の中短編と、大江健三郎の中短編をとんとんと読んでいったという感じかなぁ・・・

『山谷 やられたらやりかえせ』が印象的だったなぁ、読み終わってみて。中身が濃いので、なかなか読み終わらなかったけど。
★★★

著者:  山本勉
出版社: 朝日出版社

  仏像の絵本です。難しい解説とかはほとんど無くて、分かりやすく、簡単に仏像のことが説明されています。小学生でも読めてしまう感じです。

  仏像のことを全然知らなかったので、勉強になりました。日本というか、アジアの歴史と仏像って本当はものすごく密接な関係にあるような気がします。例えば、日本の大きいのだと、奈良の大仏というのがあるけど、あれってものすごく莫大な資金がなければ作れないはずです。

  どうしてあんなものが作られたのか、といえば、やっぱりその当時、大仏をつくるという文化(というのかなぁ?)があったから、ということがまずあります。あと、それを作ろうと思って、実行できるほどの権力を持った人がいたから、ということがあるし、それに協力する人たちもいた、ということもある。その背景について、『逆説の日本史』という本の中で、著者が独特の推理をしています。それとか、読んでいるとなるほど、と思います。

  この「仏像のひみつ」はそういうこんがらがるような歴史のはなしではなくて、絵を見つつ、ちょっと仏像のことを知ることが出来ます。読んでいると、時代ごとに仏像が違うらしいということが分かったりして、面白いです。


自森人読書 仏像のひみつ
今日で、松本清張の短編集が読み終わりました。

『支払いすぎた縁談』は、田舎のお金持ちの娘が、結婚詐欺に遭うというおはなし。田舎のお金持ちが周囲に対して差別的な視線を向けているので、彼らが騙されるおちはちょっと痛快です。

『氷雨』は、あるお座敷での年増の女と若い新入りの女の激しい駆け引きの物語。松本清張は、こんなおはなしも書けるのか・・・ とても巧みだなぁ、と感じます。


今日読んだ作品
松本清張『支払いすぎた縁談』
松本清張『氷雨』


今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
85細胞のはたらきがわかる本
★★★ 伊藤明夫

84太陽の塔
★★★★ 森見登美彦

83精霊の守り人
★★★★★ 上橋菜穂子

82ぼくらが鳥人間になる日まで 飛べ!プテラノドン
★★★ 正本ノン、丹内友香子

81寄生獣
★★★ 岩明均
★★★

著者:  伊藤明夫
出版社: 岩波書店

  自由の森学園の図書館にあったので、表紙がかわいいなぁ、と思い、手に取りました。(たぶん)細胞らしき四角い子が手と足を広げている絵です。細胞というのは、1個の生命体といっても良い、というようなはなしでした。自由の森学園の生物の授業でやってきたことをもう少し掘り下げたような内容でした。生物学って本当に面白いです。

  細胞にも、人間に手足や内臓があるのと同じように、いろいろな部品・パーツがあります。また、細胞には寿命があり、老いると死んでしまいます。老いた細胞がいなくなると、入れ替わりに新しい細胞が現われて、それぞれの役割を果たすのだそうです。

  1つ1つの細胞は、それぞれ活動して、役割を果たしています。そういった細胞が60兆個集まり、1人の人間が形作られています。恐ろしく複雑怪奇だなぁ、と思いました。小さい細胞も、もっと小さいもの達によって構成されているんだそうです。手塚治虫『火の鳥』を思い出しました。火の鳥に導かれて、ミクロの世界から、マクロの世界までを主人公がめぐっていく、という場面がありました。その全てに(科学的な意味じゃない)「生命」が溢れていたんだよなぁ・・・・・

  岩波ジュニア新書の中の1冊。岩波ジュニア新書って、とても良いなぁ、と思います。数ある新書のなかでも、とくに岩波ジュニア新書は面白い本が揃っている気がします。新書は、軽いから持ち運びに便利だし、行き帰り(2~3時間)だけで読めてしまうから、楽です。それでいて、重いものや深いものを含んでいたりするし。


関連リンク
自森人 高1 生物


自森人読書 細胞のはたらきがわかる本
『山谷 やられたらやりかえせ』は、山岡強一の遺稿集。
『山谷 やられたらやりかえせ』

同名の『山谷 やられたらやりかえせ』という映画があります。この遺稿集は、その映画の補強ともいえます。なので、映画を解説しようと思います。

「山谷」というのは、地名です。1984年、そこは日本社会の暗部でした。労務者の使い捨てが日常的に繰り返される、酷い土地だったからです。映画は、その山谷の実態を描き、抑圧者の姿をあぶりだすことを目的としていました。
しかし、それはかなりの危険な行為でした。撮影がどれだけ妨害されたか、ということでもそれがよく分かります。

映画をまず作ろうと考えて行動したのは、佐藤満夫という人でした。彼は全共闘に関わったこともある左翼の闘士だったわけですが、映画の撮影中に暴力団・日本国粋会(右翼)に襲撃されて、刺殺されてしまいます。
それを引き継いだのが山岡強一です。彼は、笹島、寿町、筑豊など全国の寄せ場、ドヤ街を訪ねて撮影を行い、とうとう映画を完成させます。しかし、山岡強一も、暴力団・日本国粋会系金町一家に襲撃され、射殺されてしまいました。

しかし、その意思は受け継がれ、今でもいろんなところで自主上映が行われています(海外でも行われている)。僕は、1度映画を見たことがあります。とても複雑で難しい内容だったんだけど・・・
山谷の問題は、労働の問題だけとはいえないというのがその中心的な考え方だったように感じました。山谷は、被差別部落と接しています。つまり、貧困と差別が分かちがたく結びついているのです。
さらに、明治以後、朝鮮併合、満州侵攻などが行われましたが、その中で山谷などドヤや、いろんな炭鉱には、朝鮮人・中国人の人がたくさん流れ込んできました。多くは、強制的につれてこられたのです。それが、今にまでつらなる在日の問題なわけですが、その背景には、神・天皇を中心とする大日本帝国体制の侵略が存在します。

労務者の使い捨て、大日本帝国の侵略行為、日本に深く根付いている数々の差別(被差別部落に対する差別、在日朝鮮人に対する差別)、それらは全て結びついている、というのが映画の主張です。

現在、派遣・請負の登場によって、日本は、全国が「山谷化」したとよくいわれます。労働者は消え、みな労務者と化した、というわけです。確かにそうかも知れない。しかも侵略戦争の肯定、日本の軍事強化がすすんでいるし。状況は悪化しているかもしれない。読んでみるといろんなことを考えさせられます。


今日読んだ本
山岡強一『山谷 やられたらやりかえせ』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
松本清張『支払いすぎた縁談』
松本清張『氷雨』
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