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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  姜尚中
出版社: 朝日新聞出版

  姜尚中は、カン・サンジュンと読みます。なので人名順に並べると、カのところになります。キではない。まぁカ行ということは変わらないんだけど。

  『姜尚中の青春読書ノート』は、姜尚中が出会い、大きな影響を受けた『三四郎』(夏目漱石)、『悪の華』(ボードレール)、『韓国からの通信』(T・K生)、『日本の思想』(丸山真男)、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ウェーバー)といった作品の紹介。紹介されている本を、読んでみたくなりました。1つも読んだことがないなぁ・・・

  姜尚中が書いている文章は分かりやすいけど、引用されている文章はとっつきにくくて難しいです・・ そこが読みにくいかも知れません。というか、哲学とかの本ってどうしてあんなに難しいんだろう。結局、何を言いたいのか迷います。雰囲気は分かるけど。

  姜尚中という人の視点は、とても面白いです。リベラルというのか。世界の見方がしっかりと確立されていて、それでいて何かを絶対的なものとして崇めるということもないのです。ちょっと自由の森学園に来ていろいろ語ってみて欲しいなぁと思います。

  まぁ語ってもらわなくても、この本を読めば、彼がどういうふうにして、今に到ったのか、ちょっとだけ分かります。読書歴の紹介は、その人の考え方を語るのだなぁと感じました。


自森人読書 姜尚中の青春読書ノート
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★★★

著者:  鈴木輝実
出版社: グラフィック社

  絵の具を混ぜるとどうなるかが解りやすく具体的に描かれています。色と色の混じり具合は、見ているだけで面白いです。自分でもいろいろやりたくなってきます。まぁ学校の美術では、絵画をとっているので、描きたいと思えば描けるんだけど。

  だけど実際に役に立つかはいまいち分からない気がします。もう絵の具を見たら好きなように描きたいと思ってしまいます。そんなにいろいろ考えたりしない・・・ いろんなことを考えながら絵を描くことができてこそ、より良い絵が描けるのかもしれないけど、それがとても難しい。

  『透明水彩混色教室―すぐに役立つ色づくりの実技』を見ていて、やっぱり絵の具っていうのは楽しいものだなぁと思いました。どこまでも重ね塗りができて(とはいってもやりすぎると汚くなってしまうけど)、重なるごとにバランスが変わっていくところとか、とても面白いです。クレヨンではこうはいかない。それと、色同士を混ぜることができるところも良いなぁ。鉛筆ではこうはいかない。

  クレヨンにはクレヨンの良さがあるし、鉛筆には鉛筆の良さがあるわけだけど、絵の具にも絵の具の良さがあるのだなぁ・・・ これからいろいろ試してみよう、と思います。


関連リンク
高1 美術(絵画)


自森人読書 透明水彩混色教室―すぐに役立つ色づくりの実技
★★★

著者:  ロバート・ホワイティング
出版社: 筑摩書房

  野球から、日本人論が始まる面白い本。けっこう昔に書かれたもののようです(1987年刊行)。「日米野球摩擦」の様子を克明にうつしだしています。プロ野球と大リーグっていろんな違いがあるんだなぁ。

  日本のプロ野球にやってきた、いろんなガイジン達が、プロ野球とうまくいかなかったのは何故か、というのが分かります。

  大リーグ(アメリカ)では、練習は自己責任、各々の選手にまかされているのに、プロ野球(日本)では、しごきのような猛練習が全員に課せられている。大リーグでは、選手が暴言を吐き、フロントなどと対立するのは普通(それが言論の自由が保障されているということ、らしい)。だけどプロ野球では、選手は礼儀正しく寡黙で、全体に合わせるのが当然。ものすごく違うもんなぁ・・・

  そのほか、日本が外国人をプロ野球から追い出して日本人だけで「純血」を保とうとすることは、プロ野球のレベルを落とすだけだという警告は、その通りだなぁと思いました。

  最終章の「メキシコのお祭りベースボール」が面白かったです。試合中でも、酒をがぶがぶ飲むメキシコの選手たち・・・ スタンドの観客席はいつでも騒然としていて乱闘寸前。ものすごく物騒な感じだけど、面白いなぁ。楽しそうです。

  スポーツには、その国の人たちの特徴が表れるのかもしれない。う~んそんなものあるのかなぁ。けどあるような気がします。


自森人読書 ニッポン野球は永久に不滅です
★★★

著者:  平野弘道
出版社: 岩波書店

  岩波ブックレットの中の1つ。戦後史の中で、中止になった番組を取り上げたものです。

  随分多くの番組が、放送中止になっているんだ、ということが分かります。右翼、経団連、自民党などなどの圧力によって潰された番組の数々、労組の反対運動によって放送中止に追い込まれた番組。いろんなところから圧力がかかって、放送局も大変だろうなぁ。どこまで踏ん張って、どこで引き下がるのか。つらいだろうなぁ・・・

  放送中止になったものの中に、自衛隊のアピール番組が何個もあるのには驚きました。「自衛隊は素晴らしい」というメッセージが知らぬ間に届けられていたのか。いつの間にかそういうイメージをすりこまれたりしたら、怖いなぁと思いました。

  右翼や自民党が組んで、企画つぶしにかかるというのも怖いなぁ、と思いました。本当に、たくさんの企画がなくなってきたんだ・・ 最近では、そういう圧力が表沙汰になることはあまりないけど、それはつまり、報道する側が圧力を恐れて「自主規制」ということで、「穏健」な企画しか出せなくなったからではないのだろうか・・・? 言論の自由を守るためにはどうすれば良いのか。報道関係者だけではなくて、みんなが考えないといけない問題だなぁと思います。

  戦争中の地域のことを報じている番組なのに、画面には死体が映らないというのもおかしなはなしではないか、と感じます。視聴者にショックを与えないため、とかいろいろ理由はあるのかも知れないけど。でもおかしい気がするなぁ・・・


自森人読書 戦後史にみるテレビ放送中止事件
★★★★

著者:  二宮清純
出版社: 講談社

  僕は野球が嫌いじゃありません。そして、二宮清純という人の文章も嫌いじゃないので、とても楽しめました。感情論ではなくて、論理の組み立てによって野球はできているんだ、ということを伝えてくれるのでとても読み応えがあります。登場するのは、松井秀喜(打者)、イチロー(打者)、前田智徳(打者)、松坂大輔(投手)、野茂英雄(投手・引退)、城島健司(捕手)といった人たち。

  打者は、2ストライクに追い込まれると極端に打率が低くなるそうです。追い詰められるとどうしても焦ってしまうのです。そこを投手は利用するそうです。そうなんだ、と納得しました。読んでいると、それぞれの選手が何を考えてボールを投げ、何を考えてバットを振っているのか、ということが良くわかります。テレビ画面をただ見ているだけでは分からない複雑な駆け引きというのがちょっとだけ見えてきます。う~ん面白いなぁ。

  日本人の優秀な選手たちはみなアメリカに行ってしまうんだなぁ・・・ 作中に登場する人たちのほとんどが今ではアメリカでプレーしています。松井秀喜(打者・現在メジャーリーグ)、イチロー(打者・現在メジャーリーグ)、前田智徳(打者・広島(日本))、松坂大輔(投手・現在メジャーリーグ)、野茂英雄(投手・引退したけどもちろんメジャーリーガーだった)、城島健司(捕手現在メジャーリーグ)。

  1度読んでみると野球がもっと楽しめると思います。ただし、野球に全然関心が無い人にとっては読むのは苦痛かもしれないなぁ・・・

  僕は良いなぁ、面白いなぁ、と思いました。ただし野球の本ってすぐに古くなっちゃうから。すぐに球界の状況は変わっちゃうんだよなぁ・・・ 新しいのが早く読みたいです。


自森人読書 最強のプロ野球論
★★★

著者:  斎藤英喜
出版社: 講談社

  斎藤英喜『読み替えられた日本神話』は、とても興味深かったです。明治維新のとき、大日本帝国によって仏教はめちゃくちゃにされました。廃仏毀釈というのですが、明治新政府が、神道と仏教を分けて仏教を徹底的に弾圧したのです。歴史的に価値ある寺院などが徹底的に破壊され、天皇家のしきたりから仏教に関連するものは注意深くはぶかれました。日本文化の破壊といってもいいような蛮行でした。

  しかしそもそも歴史をたどってみると、中世には神道と仏教とは融合していて、日本の神話にインドや中国の神々が登場するような時代があったそうです。仏教を排斥するというのはそもそも出来ないはなしなのではないか、と僕は思いました。例えるならば、自分の右腕を切り落とすようなものではないかなぁ・・・

  平安時代に『日本書紀』がよく読まれていた、というのは新鮮でした。神話にも、歴史があって、変容があるんだなぁ・・・ 神話を用いて、自分の権威を強めようとする人たちがいた、というはなしも面白かったです。自分のためには神すらも利用するのか・・・

  最後らへんに宮崎駿の映画のはなしにまでおよんでいて面白かったです。斎藤英喜は、『もののけ姫』について「自然と科学の対立などという平板なストーリーうんぬん・・」と評していて、あまり良く思っていないようです。僕は、ジブリの映画の中でもけっこう好きだけどなぁ、「もののけ姫」は。むしろ『風の谷のナウシカ』の方が消化不良じゃないのかなぁ・・・

  まぁとにかく日本神話の歴史を追って知ることができてとてもためになります。


自森人読書 読み替えられた日本神話
★★★

著者:  藤川大祐
出版社: 講談社

  最近流行している、子どもとケータイの関係性についての本。ケータイが子ども達に普及することによって、プロフ、学校裏サイト、メール依存、売春などの問題が浮上してきました。「携帯電話」ではなくてケータイと呼ぶのは、すでにそれが電話ではないからです。もっと多機能な、一種の小型万能機械みたいものです。そんなケータイと、どう付き合っていけば良いのか? というのかこの本です。

  子どもに、ケータイを持たせるのはダメだ、と言わないのが印象的でした。まぁ、ケータイはダメだといまさら言ったところで、ここまできてしまったら、もう後戻りはできないという認識がまずあるんだと思います。僕は持ってないけど、多分1度持ってしまったら手放せない、という感覚はよく分かります。

  ケータイって負の面ばかりが強調されているけど、そこまで悪いものなのかなぁ、と僕は思います。「最近の若者は、面と向かって人と接することができない、その元凶がケータイだ」と言われても・・・ 子どもにケータイを買ったのは親なわけだし。テレビや本では、「地域コミュニティーの崩壊」とかしたり顔で大人がいろいろ言っているけど(それは正しいのだとは思うけれど)、結局そういうふうな社会にしたのは、その言っている大人の人たちの訳だし。

  「最近の若者は・・・」という前に、そういう若者を育てた自分たちのことをまず振り返るべきじゃないのかなぁ。非難のほこさきが間違っている気がします。不登校・いじめといった教育に関しても同じです。「教育」を引っ張りまわして、その上競争を持ち込んでぶち壊しておいて、「よわっちいやつがいじめられたり、不登校したりするんだ、そういうやつは努力が足りない」というふうに言い出す。どう考えてもおかしい気がします。

  (僕が、 あさのあつこを気に入らないのは、そこらへんのことも関係しています。あさのあつこは新聞か何かで、いじめられてる子達に向けて「いつか幸せをつかめる、頑張れ」みたいなことを書いてました。幸せになれるとは思えないし、頑張れないから不登校したり、自殺したりするんだって・・・ 何にも分かってない。だから『復讐プランナー』とかそういうくだらない本がぬけぬけと書けるんだな、と思いました。)


自森人 ケータイ世界の子どもたち
★★★

著者:  平野弘道
出版社: 講談社

  平野弘道『史上最大の恐龍ウルトラサウルス』は長い時間かけて読んだ本。いろんなものを併読していたのでかなり時間がかかりました・・・

  いろんな恐竜のことが載っていて、面白かったです。日々、研究が進んでいるんだなぁ、と実感しました。だけど確定している「事実」は少ないんだなぁ。まだ研究中、という部分が多いようです。でもそれはそうだよなぁ。本物の恐竜を見た人間は誰もいない訳だからも、いろんな考え方がでてくるよなぁ・・・

  ウルトラサウルスのことだけできなくて、これまで最大とされてきた恐竜の歴史(ブラキオサウルスなど)や、それぞれの時代の最強の肉食恐竜(アロサウルス、ティラノサウルス(タイラノサウルスと書かれているのが昔だなぁ・・・)など)のことも載っていて読んでいて面白いです。恐竜好きの人が読んだら、絶対にこの本を好きになると思います。

  ウルトラサウルス、ひいては恐竜はどうして滅亡したのか、という部分がとても面白かったです。海の無酸素化とかいろいろ説明されても難しいけど、生物の滅亡にはとても興味があります。何か天変地異が起きたのか、それとも自然に環境の変化とともにじょじょに滅亡していったのか? う~んまだはっきりとは分かっていないのだけど、知りたいです。僕が死ぬまでに結論がでてくれたら嬉しいなぁ。まぁまたいつかその説が覆されたりしたら、もっと面白いけど。


自森人読書 史上最大の恐龍ウルトラサウルス
★★

著者:  城生佰太郎
出版社: 講談社

  「ことば」というものはとても興味深いものです。『指輪物語』を書いたトールキンは、自ら1つの世界を構築しましたが、そのとき最初に考え始めたのは「言葉(エルフ語)」からだったと言います。聖書には、最初「光あれ」という言葉がまず有った、ということが書かれています。言葉というのは突き詰めて考えていくと、だんだん訳が分からなくなっていく不思議なものです。白い石があったとき、それを「白い」とみんな呼ぶけれど、そもそも誰が「白い」という言葉をつくったのか? それは本当に同じ色を差しているのか?(哲学に踏み込んでしまっているかな・・・)考えれば考えるほど不思議です・・・

  『ことばの未来学―千年後を予測する』はそういう言葉を、科学的に解明していこう、というもの。つまり言語学です。ダーウィニズムやマルキシズムという言葉が次々登場します(それって生物学の言葉じゃないのか・・・)。言葉は、喋るのが楽な方向へ向かっていくのだそうです(より発音しやすい言葉がより使われていく、ということ)。

  そして、特定の言語(例えば日本語)には、その言語なりの方向性なるものが存在するのだ、と著者は述べます。そしてそれによって、言葉はどう変化するかは決定するのだそうです。僕にはとても信じられないんだけど・・・ そんなのがあるのかなぁ・・・

  日本語の1000年後を予想すると大きく出たけれど、結局の結論はたいしたことありません。そんなの予測できる訳がないからです。言語への政治の干渉(例えば英語が母国語になる、とか)とか、まったく予想不可能なことがたくさんあります。1000年後なんて分かる訳ないじゃないか・・・

  『ダーリンの頭ン中』のほうが面白いなぁ、と感じました。


自森人読書 ことばの未来学―千年後を予測する
★★

著者:  都筑卓司
出版社: 講談社

  タイムマシンとは何か。タイムマシンが存在すると生まれてしまう矛盾(パラドックス)はどうしたら解決できるのか。どうしたら、タイムマシンを実現可能なのか? 未来・過去を行き来する、タイムマシンについて考える、ブルーバックスの本。

  読んでいるとだんだんだんだん難しくなっていきます。説明されても分からないよ、という感じの部分もありました。しかも目新しいことは何もありません。もっと楽しい、タイムマシンのことを書いてある入門書、みたいなのが他にあったような気がします。そちらを先に読むほうがいい気がするなぁ。あとは、SF作品のタイムマシンものを読むのもいいと思います。どうもつじつまが合わない困った作品というのもありますが、凝っているSF小説はしっかりと考えられています。タイムマシンに興味があるならば、そういうのも楽しいかも知れません。

  で、タイムマシンというのは要は光の速さ(光速)よりもより速い物質によってなされるもの、というのが結論のようです。光速を超えられる物質というのはいまのところ存在が確認されていないし、相対性理論的にも光速を超える物質が存在するとなると、つじつまが合わないみたいですが。でも、相対性理論も完璧じゃないから、もしかしたらタイムマシンもありうるかも、というのがこの本に書いてあることです。

  タイムマシンがあったら面白いだろうなぁ・・・ 過去に干渉すると生まれてしまうパラドックスとかってどうなるんだろうか、とか考えるのは楽しいです。


自森人読書 タイムマシンの話―超光速粒子とメタ相対論
★★★

著者:  伊藤明夫
出版社: 岩波書店

  自由の森学園の図書館にあったので、表紙がかわいいなぁ、と思い、手に取りました。(たぶん)細胞らしき四角い子が手と足を広げている絵です。細胞というのは、1個の生命体といっても良い、というようなはなしでした。自由の森学園の生物の授業でやってきたことをもう少し掘り下げたような内容でした。生物学って本当に面白いです。

  細胞にも、人間に手足や内臓があるのと同じように、いろいろな部品・パーツがあります。また、細胞には寿命があり、老いると死んでしまいます。老いた細胞がいなくなると、入れ替わりに新しい細胞が現われて、それぞれの役割を果たすのだそうです。

  1つ1つの細胞は、それぞれ活動して、役割を果たしています。そういった細胞が60兆個集まり、1人の人間が形作られています。恐ろしく複雑怪奇だなぁ、と思いました。小さい細胞も、もっと小さいもの達によって構成されているんだそうです。手塚治虫『火の鳥』を思い出しました。火の鳥に導かれて、ミクロの世界から、マクロの世界までを主人公がめぐっていく、という場面がありました。その全てに(科学的な意味じゃない)「生命」が溢れていたんだよなぁ・・・・・

  岩波ジュニア新書の中の1冊。岩波ジュニア新書って、とても良いなぁ、と思います。数ある新書のなかでも、とくに岩波ジュニア新書は面白い本が揃っている気がします。新書は、軽いから持ち運びに便利だし、行き帰り(2~3時間)だけで読めてしまうから、楽です。それでいて、重いものや深いものを含んでいたりするし。


関連リンク
自森人 高1 生物


自森人読書 細胞のはたらきがわかる本
★★★

著者:  岡田吉美
出版社: 岩波書店

  ちょうど生物の授業で学んでいることとつながる内容だったので読みました。生物の授業というのは、高1になるとできるんだけど(理科が生物・物理・化学に分離した、ということらしい)、とても面白いです。自由の森学園の生物の授業だから、面白いのかなぁ。他の学校の授業を受けていないので比較の仕様がないんだけど。

  だけど、多分、授業中に植物ビンゴやって、学校内探索に出かける高校1年生なんて、自由の森学園以外にはいないだろうなぁ・・・ みんな教室で黙々と授業やってるんじゃないかなぁ。

  インフルエンザ・エイズのような悪者ばかりではないんだそうです。分子生物学というのの詳しいはなしも載っていて、面白いです。

  ウィルスは生き物なのか? それとも生き物ではないのか? ウイルスは、分類しにくくて、学者達にとって厄介な存在らしいです。「非生物」というカテゴリーにくくる場合もあります。「生物」とは何か? という本質的というか、ものすごく大きな問いにそのままつながるのがウィルスなのだそうです。

  僕は、ウィルスは生き物じゃないか、と思っています。良く分からないけど。増殖するんだから、多分生き物なんじゃないかなぁ・・・と思います。


関連リンク
自森人 高1 生物


自森人読書 ウイルスってなんだろう
★★★★

著者:  田中耕作
出版社: 佐賀新聞社

  これは読むのに根気がいるなぁ、と思いました。「物語」になっているわけではなくて、いろんな資料を引用しつつ、幕末の鍋島佐賀藩についてを見ていくものだからです。だけど佐賀藩に興味を持つ人にとっては、宝物みたいな価値を持つと思います。とにかくしっかりとまとめられています。

  僕は、幕末を語る上で、佐賀藩のことを欠かすことはできないと考えています。幕末のこととなると、とにかく薩長・つまり薩摩・長州(長門)藩ばかりに目が行きがちです。ちよっと詳しく知っている人でも、坂本竜馬・板垣退助らの出身の土佐藩や、白虎隊の会津藩まででおしまいじゃないかなぁ、と感じています。

  だけど、幕末・明治初期に、雄藩と呼ばれ、大きな勢力を握った藩は4つ。「薩長土肥」、すなわち薩摩・長州・土佐・肥前(佐賀)です。それなのに、どうして佐賀藩だけは脚光を浴びないんだろうなぁ・・・ なんだかマニアックなはなしになってしまって、誰も読んでくれなさそうな感じになってきた・・・

  幕末・明治初期に活躍した佐賀藩出身の人というのは、大勢います。誰でも知っていそうな有名な人を挙げると、大隈重信(内閣総理大臣・現在の早稲田大学の創設者)、江藤新平(司法卿・「佐賀の乱」で刑死)などがいます。その他、政治家・軍人ともに大勢輩出しています。

  薩長のような本流とは違って、ちょっと違う立場から、かといってまったくの部外者という訳でもなく、内側にうまく滑り込みながらいろんなことをやっています。まぁ面白いので、ぜひ明治初期の佐賀藩出身者の人たちのこと調べてみて欲しいです。(あまり、載っている本が無いので、ものすごく大変かも知れないけど・・・)


関連リンク
明治維新の中の佐賀藩


自森人読書 幕末の鍋島佐賀藩
★★★★★

著者:  湯浅誠
出版社: 岩波書店

  今、日本は、うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまうような「すべり台社会」になってしまったと著者は指摘します。そして具体的なデータを挙げつつ、貧困問題を多角的に見ていこうとします。しかし、机上の空論ではありません。具体的な事例が数多くあげられています。窮状に陥った人たちのことが把握されています。もやいの代表者として、困っている人たちに寄り添い、実際に活動している湯浅誠の言葉だからこそ説得力があります。

  著者は、多くの事例をあげ、社会で考えていかなければ貧困問題は解決しないのだと明確に示します。説得力があります。

  とくに特徴的なのは、「溜め」という言葉です。

  たとえば、ホームレスの人たちがホームレスになってしまうのは金銭が得られないからではない、と湯浅誠は指摘します。そして、貧困状態に陥るとき、その人に欠けているのは金銭だけではなくて、溜めなのだと具体的に明らかにしていきます。溜めとはその人の持ち物や蓄えです。目には見えないものもあります。たとえば、お金は溜めだし、人間関係も溜めだし、会得した技術だって溜めです。そして、そういったものを失うことこそが貧困なのだと明確にするわけです。

  貧困問題を考えるとき、役に立ちます。多分、土台になるのではないか。

  貧困を指摘するだけでなく、そこから脱出するための方策を示し、それを実行に移そうとしているところも良いです。具体的な行動が伴っているのです。

  第8回大佛次郎論壇賞受賞作。

関連リンク
生きさせろ! 自由の森学園総合学習のまとめ


自森人読書 反貧困―「すべり台社会」からの脱出
★★★

著者:  瀬戸賢一
出版社: 岩波書店

  いろんなレトリックが30も載っている楽しい本です。そうか、そんなのもあるのか。日本語の授業じゃ教えてくれなかったぞ、暗喩くらいしか、とか思いながら読んでいました。

  文章を書いているとどうしてこう拙い言い回ししか出来ないんだろうなぁ、と思うのですが。いろんな文章を読んでいると、もっと文章がうまく書けるんじゃないか、という気分になります。錯覚かも知れないんだけど・・・ 文章やレトリックの解説なんかも読んでいると面白いです。読んだら、より良い文章が書けるとはいえないけど。

  レトリックというのは嘘をつくというのとは全く違います。そうではなくてむしろ、相手により伝わりやすい、適切で魅力的な表現を選ぶ、ということです。それは自由の森学園の高校1年の日本語の授業『コインは円形か』という単元でもやることなのですが。やっぱり人に何かを文章でもって伝える、というのは難しいことです。口で伝えるのだって難しいけど、口ならすぐ言い直して訂正がききます。でも文章はそうはいきません。

  どうやって文章を書くのか? 伝えたいことがまず最初にあるのはもちろんのことです。その上で、レトリックを用いてうまく伝えようと努力するのが必要、なのかなぁ。といってごまかして終わってしまっていいのだろうか・・・


自森人読書 日本語のレトリック
★★★

著者:  山岡光治
出版社: 岩波書店

  読むのにかかった時間はだいたい2時間くらい。2日かけて読みました。

  日本の近代に、地図作りをめぐって血なまぐさいはなしがあるということを始めて知りました。でも地図は軍事機密なんだから、当然だよなぁ、という気もしました。

  あとがきの中にでてきた「地図情報は世界を動かす」という言葉には頷きました。地図は重要なものだから、官製(つまり役人がつくっている)なんじゃないかなぁ、とまず思いました。それに、戦争をするとき、軍隊がまっさきに用意するのは、戦場となる地域の地図だ、というのを何かで読んだのを思い出しました。あと、カーナビゲーションシステム(だっけ?)のことも思い出しました。カーナビゲーションのもとになるやつは、もともとアメリカ軍が軍事目的で開発したものなんだよなぁ。

  いろいろ考えてみると地図は楽しいばっかりじゃないな、と思います。何も考えず、地図を眺めるのは楽しいんだけどなぁ・・・ ほうこうなっているのか、川がここにあって・・・ とか色々見ているのはとても面白いです。別に役に立つから面白い、というわけでしないんだよなぁ。『指輪物語』の中つ国の地図とか、そういう空想世界の地図も楽しめます。

  この本を読んで、自森を探検してみるというウェブサイトをつくりました。初めてから、ほとんど発展していないんだけど・・・ これからつくっていかないとなぁ、と思っています。


自森人読書 地図を楽しもう
★★★

著者:  永江朗
出版社: 講談社

  自由の森学園の図書館にあったので手にとってみました。

  インタビューというのはとても難しいものだというはなしをよく聞きます。その通りだと思います。インタビュー次第では、まったく違う返答をもらうことになる訳です。聞き方次第で、返答が変わる。訊く、という行為はとても難しいなぁ、と思います。

  結局のところ、インタビューは虚構だ、と永江朗は言いきります。質問のしかたや、編集のしかたでどうとでもなるからです。爆笑問題の太田光もよく同じようなことを言っています。どうしても情報を伝達していく内に、抜ける部分、抜かす部分があるから情報は変質してしまいます。それはしかたないけれど、そこに目を向けてはっきり認識しないとだめだ、というのが分かりました。

  人に何かを伝えるのは難しいことです。簡単なものほど意味を伝えにくい、と辞書をつくる人が書いています。例えば、『右とか何か』とかどう説明すればいいのか、非常に難しいだろうなぁ。複雑なものだって伝えるのは難しい気がします。日本と中国の歴史認識には大きな隔たりがある、といわれます。険悪な仲だと、自分の意思すら伝達するのは難しいものです。

  いつの間にか、「聞くこと」から「伝えること」のはなしに移っていました(微妙にはなしがずれてると思ったら・・)。相手のはなしを聞き、そして自分の言葉を伝えていく、そこで歴史が生まれてくるのかなぁ、という気がします。

  社会科教員の菅間さんは、「歴史は壮大な伝言ゲーム」ということを言っています。その伝言ゲームのどこかで、「ばなな」という言葉が、「ひばな」に替わってしまうかも知れない。まぁでもそれはしかたないことです。全てを受け取り、全てを次に伝えられる訳じゃないのです。間違えることだってあるはずです。

  なんとか伝わって欲しいなぁ、と希望を持ちつつ、情報を発信して・・・ 「発信者は何を考えてるのだろう」と深く考えつつ、情報を受け取る。それを延々といつまでも繰り返していく他ないような気がします。大変なことだけど。


自森人読書 インタビュー術!
★★★

著者:  鹿野政直
出版社: 岩波書店

  幕末から、太平洋戦争にかけて活躍したいろんな人の物語。

  渡辺崋山、吉田松陰、坂本龍馬、福沢諭吉、内村鑑三、市川房枝、大杉栄、山川菊栄、中山みき、中江兆民、吉野作造、美濃部達吉、岡倉天心、河上肇、戸坂潤、出口なお、北一輝、朝河貫一などなど・・・ 合計25人の人たちのことが各6ページくらいで書かれています。一通り、明治維新から太平洋戦争までの歴史を知ってから読むととても楽しいです。

  人名を列挙しても意味が無いので、僕の気になったことだけ書いていきます。やっぱり有名人が多いなぁ、というのが気になりました。吉田松陰、坂本龍馬、福沢諭吉はものすごい有名人だし。、内村鑑三、美濃部達吉、岡倉天心といったそこらへんは教科書に載っているんじゃないかなぁ、多分。もう少し知られていない人のことを取り上げて欲しかったです。

  ぼくは、福沢諭吉のことがあんまり好きじゃありません。明治初期、最も日本に影響を与えた偉大な人なのかも知れないけど、好きになれない。やっぱり福沢諭吉が、1万円札にふさわしいような気がしません。じゃ誰がふさわしいんだ、と聞かれると答えられないけど。ぼくが勝海舟びいきだからかなぁ。

  福沢諭吉は、勝海舟のことを変節者として非難しています。でも僕は、勝海舟こそ、明治維新の影の立役者だった、と思っています。鯨統一郎の『邪馬台国はどこですか?』じゃないけど。もしも勝海舟がいなかったら明治維新はなかったし、すんなりと明治新政府が成立することはなかったと思います。関東地方が焼け野原になって、双方甚大な被害がでたんじゃないかなぁ・・・

  やっぱり中江兆民は必ず登場するなぁ、と思いました。自由民権運動の先頭を走った人なので、彼を抜かす訳には行かない。あと「天皇機関説」を訴えた美濃部達吉も抜かす訳には行かないのか。

  これを読めば広くいろんな思想家のことが分かります。昔から、みんな同じこと考えてきたのかなぁ、という気がしてきます。面白いです。


自森人読書 近代国家を構想した思想家たち
★★★

著者:  今泉みね子
出版社: 合同出版

  ヨーロッパ環境賞、パンダ賞、児童福祉文化賞を受賞したそうです。

  南ドイツ、ライン川の近くにある小学校の実話です。その小学校の校長先生・シェーファー先生という人が、とても面白い人で、彼は生徒にいろんな問いかけをします。生徒たちはそこからいろんなことを始めて行きます。例えば、何万本もの木の苗を町の回りに植ていったり。放課後にはミツバチをそだてたり、ジャガイモづくりをしたり。それとか、町に来る人たちの観光ガイドをして、自分達の知識を深めたり。そうして、自然にまじわる学びをしているのです。

  それで、面白いことにその小学校には、ゴミ箱が1つしかありません。環境問題について考えるためです。なにげなくたくさんのゴミ箱があったら、何も考えず当たり前に、ぽいっと捨ててしまいます。そうしないために、ゴミ箱は1つにしてしまったのです。で、そのゴミ箱には捨てて良いのは土に還るものだけ、というふうに決めました。

  すると、ものが土に還っていく過程を見えるようになります。見えやすくて、分かりやすい実践です。

  自由の森学園中学校の校長、モルゲンはドイツ人なのですが。モルゲンは、すすんでいるドイツの環境教育のことをよく話題にします。その具体例が、この本に載っているものなのだろうなぁ、と思いました。ゴミの溢れる自由の森学園じゃできなさそうだ、と僕は思いました。自由の森学園のリサイクルセンターには毎週金曜日に、膨大なゴミが集まります。よくこれだけ、捨てるものがあるなぁ、と感心するほどです。

  あと考えるに、自由の森学園は、とにかく紙ごみが多いなぁ。あとは、行事のたびに、山のように捨てるゴミの山もある。学園祭のときのねぶたなんか、学園祭終わったあと、一夜にして巨大なゴミの塊になってしまいます(しかも金属、紙、のり、木材などが組み合わさっているから厄介。木は毎年使いまわしするけど、他は全部ゴミ)。ふー、大変だ。


自森人読書 みみずのカーロ
★★★

著者:  広河隆一
出版社: あごら新宿

  広河隆一は、フォトジャーナリストであり、また月刊写真誌『デイズ・ジャパン』発行・編集長です。『デイズ・ジャパン』は、自由の森学園の図書館にも置いてあるので、よく見ます。名前に「ジャパン」とは付いているけど、日本の問題ばかりではなく、世界の問題をぱしゃっと写しとった写真がたくさん掲載されているものです。イラク戦争のこと、アフリカやアジアの貧困の問題、パレスチナの問題、各地の紛争の問題、ゴリラ(だっけ)の大量虐殺の問題・・・・・ 凄く印象に残ります。

  だけど、その中に1枚も日本の写真が含まれないというのが気になるなぁ。日本のフォトジャーナリスト、もっと頑張れ、ということなのかなぁ。2008年度自由の森学園の、公開研究会の図書館の分科会に『デイズ・ジャパン』の編集者の方が来るので、そこらへんも聞けたら面白いかなぁ、と思いました。
そのときの詳しいことは『当日 2日目 テーマ別分科会・図書館』に書いています。

  なんだかはなしがそれた。『アメリカはイラクで何をしたか?』のはなしに戻ろう、と思います。この本は写真集です。「あごら」という雑誌をつくっている人達が編集したものだそうです。どこか大きな出版社からでていないのが印象的だなぁ、と感じました。

  イラク戦争はまだ終わっていません。アメリカはありもしないことを言って戦争を始めて、それにけりをつけることを出来ず、立ち往生してしまいました。泥沼状態と化して、戦闘はまだ続いています。いつになったら終わるのか、もう見通しがきかないような状況みたいです。そんなイラクで、生きる人たちの姿をこの写真集は、写しだしています。

  アメリカはベトナム戦争のとき、結局勝利を得られぬまま、撤退しました。圧倒的に有利だったのに、引き分けなのです。それは事実上「負けた」ということでした。なぜアメリカは撤退せざるを得なかったか? その大きな要因のひとつはメディアが、ベトナムでアメリカがどれだけ酷いことをやっているかを報道し、反戦運動が盛り上がったことにあると言われます。

  それを踏まえて今回、アメリカはメディアを抑え込む、という策に出たといわれます。戦争反対という声を圧殺してしまったのです。それで、戦争に賛成する意見が強い力を持ちました。

  しかも、堤未果が、『貧困大国アメリカ』のあとがきで書いているのですが。ルパート・マードックという「メディア王」と呼ばれる保守を代表するような人物が、20世紀フォックスとか、イギリスのタイムス紙とか買収しています(ニューズ・コーポレーション)。そんな感じで、戦争に賛成するようなのばかりが、力を持ちました。その結果が、イラク戦争という訳です。

  権力の誤りを批判するのが、メディアの1つの役割じゃないのかなぁ。とこの本を見つつ、思います。

  あと、フォトジャーナリストの長倉洋海の著書も一緒に読むと、また違って面白いかなぁ、と思いました。


自森人読書 アメリカはイラクで何をしたか?
★★★

著者:  若松謙一、渡部潤一
出版社: 岩波書店

  最初、扉絵(というのだろうか)のところにいろんな絵が描かれていて、気になりました。実はそれ、ガリレオが描いた天体のスケッチなのだそうです。ガリレオさんは、月をこんなふうに見ていたのか、土星をこんなふうに見ていたのか、というのが分かって楽しかったです。

  当時、まだまだそれほど発達していなかった天体望遠鏡を必死に覗き込んで、星をみていたガリレオ。凄い人だなぁ、と思います。いつの時代の誰だって、星空に興味を持つことはあるかも知れません。でも、当時だったら、それを研究しようと思いたつことはなかった、と思います。だって触ることができない、しかも行くこともできない、ただ「観る」ことしかできないのです。そういう対象に対して、ずっと関心を持ち続けるのは並大抵のことではない気がします。

  関心をもったとしても人の思考で推し量れるような生やさしいものじゃない、というふうに思ってしまう気がします。神々しい神秘的なもの、というか。

  あ、だけど、いろんな国々で占星術は発達したんだよなぁ。やっぱり、みんな夜空をしっかり見つめていたのかも知れない、という気がしてきました。「杞憂」という言葉があります。その言葉は、杞の国のある人が、天が落ちてくるんじゃないか、と心配して周囲からそれは取り越し苦労だよ、と笑われたはなしがそもそもです。そういう風変わりなことを考える人は、いろんなところにたくさんいる気がします。

  当たるのかはよく知らないけど、(当たったら面白いと思うけど。当たる訳ないんじゃないか、と疑っているんだけど)占星術は何千年も続いてきている訳だし。それに航海のときには、星(とくに重要なのは位置がほぼ変わらない北極星)を見上げていた訳だし。案外、人と星との関係は古く、深いのかもなぁ。ガリレオはその中の、とくに歴史に名を残した1人、ということなのかなぁ、と思いました。


自森人読書 みんなで見ようガリレオの宇宙
★★★

著者:  田中森一
出版社: 幻冬舎

  同じマンションに住んでいる友達の家に行ったら、多分お父さんが読んだと思われる法律の本がいろいろ置いてあって、その中にこの田中森一著の『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』が置いてあったので手に取りました。表紙に『反転』という文字があったんだけど、その『反』が白い字で、『転』が黒い字で書いてあったなぁ、そういえば。それですこし興味がわきました。

  読んでいて、とても面白いなぁ、と思いました。政治家(表社会)と、ヤクザ(裏社会)は密接につながっている、というはなしはよく聞くけど、具体的に名前までだしていて説得力のあるものはなかなかないのですが、この本は違いました。それで、読み物としても面白いなぁ、と感じました。

  田中森一という人が自分で自分の過去を語っているんだけど、面白い。青年時代、極貧にあえぎながら、そこから這い上がるようにして検事になります。そして「鬼検事」として活躍するも、嫌気がさして「ヤメ検」の弁護士となる。ちょうどバブルの頃で、彼は、政治家からヤクザまで幅広い人と付き合い、がっぽり儲けました。それで古巣の検察に目をつけられ、逮捕されて実刑判決を受けてしまう。という実話なのですが・・・

  結局大きな力(権力とカネ)が全てを支配していて、そこに正義なんてあるの? という開き直りみたいな言葉に説得力があります。

  でも、なんていうんだろう。だからなんなんだ、というか。あなただって同じ穴のムジナだろう、と言いたくなります。結局のところ、その事実を知った上で、それに乗っかって自分も大儲けした訳です。もしかしたらバブルの頃、田中森一が行った行為のために、破産して自殺した人がいたのかも知れない。上にはもっと醜い部分がある、ということを指摘する前にまず自分はどうなんですか、と聞きたくなってしまいます・・・ この本を書いてくれたことは嬉しいけど。こういう暴露本みたいのをだして、それでまた大儲けしているわけで。共感はできないなぁ。


自森人読書 反転 闇社会の守護神と呼ばれて
★★★★

著者:  雨宮処凛
出版社: 太田出版

  フリーター、パート、派遣、請負・・・ どうして、若者たちには不安定雇用しか用意されていないのか? どうして日本はこんなにいきづらいのだろう。これは、本当に自分達のせいのなのか? この国の、若者の過酷な労働状況を照らし出したルポタージュです。

  自由の森学園中学3年・森の時間(総合学習)『生きさせろ!』講座はこの本から名前を借りました。現代の日本に深刻な貧困問題があるというのは衝撃的なことでした。昔は、貧困問題といったら、失礼だけど、アフリカや発展途上国と呼ばれてる国々のことを思い浮かべていました。多分多くの人はそうだと思います。

  政府と企業は、それを利用して、アフリカなどの国々に比べたら、この国の貧困はそこまでひどい訳じゃない、と言い訳するんだよなぁ。でも、全てを相対化していい訳じゃない。アフリカでの100円の価値と、日本での100円の価値はかわります。物価がどうか、ということがあるんだから。それに、日本でも現に餓死者がでているのです。どんなに言い訳したって、この日本という国の中で、普通に生きられない人がでてきたというのは事実なのです。

  企業は史上空前の利益をあげています。それなのにどうして給料は上がらないのか。どこかでピンはねされている、正当な給料が払われていない、ということではないのか。いま日本は不景気です。その根本的な原因は、働いている人たち(労働者)にお金がないから、といわれています。つまり日本の働いている人たちが貧しいから物を変えない、売れないから企業は儲けが出ない。最初は小さい会社が潰れて、どんどん影響が酷くなっていったら大きな会社も潰れちゃうんじゃないかなぁ、多分。いやそのときは海外に脱出するからいいのか。

  とにかくグローバル化の中で、できるだけ安く労働力を使おうとすることがすすんでいます。それでは結局大勢の人にとっていきづらい社会(一部のお金持ちばかり得する社会)になるのは分かりきったことです。そうならないためにも、「生きさせろ!」と叫ばないといけないのだろう、と思いました。ぼくもすぐに学生を卒業して働くことになるんだろうし。


関連リンク
生きさせろ! 自由の森学園総合学習のまとめ


自森人読書 生きさせろ! 難民化する若者たち
★★★★★

講演者: 藤田祐幸
出版社: 

  藤田祐幸さんの講演録です。

  (はじめに より)
  1999年9月30日、茨城県東海村のJCOというウラン燃料加工工場で、誰もが「想定」していなかった臨界事故が起きました。まるでそれは町なかに突然、中性子爆弾が落ちてきたようなもの。でもそうわかったのはかなり後のことで、その日はいったい何が起きたのかわけもわからず、ただ、東海村や近くの人たちは今どんなに不安だろうと思いながら、テレビのニュースに見入るだけでした。

  けれどもやがて事実が次つぎにわかってきて、はじめ感じた恐怖や不安は強い怒りへと変わりました。臨界が何かも知らされぬまま働いていた人たち、現場の作業も見ずに「安全」のお墨つきをだす国、住民を守れない防災計画、等など「あってはならないこと」が起きたためにたくさんのことが見えてきたからです。(後略)


  ちょうどそんな時に、藤田祐幸さんが金沢にきたので、そのことを講演会にまとめた、と書かれています。素晴らしい1冊です。よくまとまっています。東海村の事故のことや原子力発電について知りたい、と思ったら、まずこの本をおすすめしたいくらいです。自由の森学園でも、講演会のたびにこんな冊子がつくれたらいいなぁ。そうしたら売れるのに。

  おすすめの一冊です。


自森人読書 東海村であの日何が起こったのか?
★★★

著者:  永山久夫
出版社: 旺文社文庫

  恐竜からサルへ、というところから始まります。恐竜の食について、なんてまったく知りませんでした。目から鱗、というか、とても興味をそそられました。「道具としての手」というのは社会科の授業でやったことだなぁ、と思い出しました。

  こういう物や人の長い歴史とかをのんびりと、少しずつたどっていくのはとても楽しいことです。こういうのって大好きです。「火の保持者は女」の人だったんだ、知らなかった。「最初の農作物はイモ」なんだ、知らなかったなぁ。こういうなんにもならないような、ささやかなことって、不思議なことにつながっていくのです。それで、あっちの知識とこっちの知識がつながって、はぁーそうなのか、と納得がいってすっきりすることがけっこうあります。

  なにげないからすぐ忘れてしまうので、ぱっと思い出すことが出来ないんだけど・・・ この本にもそんな知識がつまっています。読んでるだけで楽しいです。


関連リンク
サルからヒトへ


自森人読書 たべもの超古代史
ウェブサイトhttp://jimoren.my.coocan.jp/
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