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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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表紙がちょっと気味が悪い感じ。
『エロ事師たち』
「エロ事師たち」として、いろんな人たちにエロを提供をする人たちが主人公。始めは写真から始まり、映像にも手を出していき・・・

喜劇です。どことなくおかしくて、滑稽。最後までおかしい。ただし、最後死んだあとまで勃起している主人公・スブやんの姿は象徴的。まるで、自分よりもセックスの方が「自分」になってしまった、というのを暗示しているのかなぁ・・・

野坂昭如のデビュー作。関西弁がうまく駆使されているところが印象的。方言を使いこなす町田康を連想させます。


今日読んだ本
野坂昭如『エロ事師たち』

今読んでいる本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
平岩弓枝『御宿かわせみ』
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絵本。

内容はなかなか面白い。『もやしもん』にも通ずる発酵についての絵本です。ただし著者がやたらと、「日本民族は素晴らしい!」と言いまくるので、ちょっとうんざりです。

日本の食事は「地球上で最も優れた民族食といわれています」などと書いてあります。そんなこと誰が言っているのかなぁ・・・ 風土にあったものを食べるのが1番良い、と僕は思うのですが。

あとはやたらと断定したがるところもうんざり。「ゆでた大豆と、納豆どちらがうまいか?(もちろん納豆のほうです)」とわざわざ()までつけて意見を押し付けようとするその態度がいやな感じです。偏屈。

表紙にも登場している、「発酵仮面」というのがいろいろ喋るんだけど、全体的に滑稽で、気味が悪い。内容は素晴らしいのに、著者の思想と発酵仮面が絵本全体をだめにしているのではないか、と僕は感じました。


今日読んだ本
小泉武夫『わが輩は発酵仮面である!』

今読んでいる本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
野坂昭如『エロ事師たち』

長すぎ。しかも話が散漫。なおかつ登場人物たちの書き方がありきたりでちょっと読むのが辛かったです。この前、壮絶で爽快なロードレースを描いた近藤史恵『サクリファイス』を読んだばかりなので、なおさらたらたらした『自転車少年記』にうんざりしました。

4歳の男の子が、大人みたいに女の子のことを気にかけているという部分も変だし。どう考えても、幼児が、男女の性別なんて気にしているとは思えないのだけど。

それぞれの章はそれぞれ面白いし、最後の辺りは感動するけど、とにかく「長い」というところで減点、という感じです。長くても物語に、山があり、谷があれば良いんだけど、この話はそれもなくて小さい話がチョコチョコ次から次へと出てくるだけ。

起伏がない、といえばいいのか。ネットで連載していたものを本にしたから、こんなふうになってしまったのかなぁ。


今日読んだ本
竹内真『自転車少年記』

今読んでいる本
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
『なんでも屋大蔵でございます』

『なんでも屋大蔵でございます』は連作短編集。
『浮気の合間に殺人を』『白雪姫がさらわれた』『パンク・ロックで阿波踊り』『尾行されて、殺されて』『そんなに急いでどこへ行く』を収録。

ほのぼのというか、のほほんというか。殺人事件も起きたりするけど基本的にスリルがある、とかそういうことはないです。けど本格推理小説。日常の中の不可解な謎を解く、みたいな感じです。昔の東野圭吾を思い浮かべます、なんなく。

『白雪姫がさらわれた』がなかなか良いかも知れない。

解説は宮部みゆき。

今、竹内真『自転車少年記』を読んでいる最中なんですが。長すぎるし、散漫。なおかつ登場人物たちの書き方がありきたりでかなりつまらないです・・・ この前、壮絶で爽快なロードレースを描いた近藤史恵『サクリファイス』を読んだばかりなので、なおさらたらたらした『自転車少年記』にうんざりさせられます。良い描写とかも点々とあるんだけど・・・


今日読んだ本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』

今読んでいる本
竹内真『自転車少年記』
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』
とうとう、短編集『最大の殺人』が読み終わりました・・・ 休み休みだったので、2009/03/08に読み始めて一ヶ月近くかかりました。
『最大の殺人』

森村誠一『紺碧からの音信』は、父を特攻作戦で失い、航空自衛隊のパイロットになった息子と、その母の物語。赤い風船が随所に登場します。蒼空と、赤い風船が対照的だなぁ・・・
結局誰も幸福にならないところが印象的です。

結城昌治『長かった夏』は、あるお婆さんが、私は血のつながっていない娘と孫娘とその夫に殺されようとしている、と告白するところから物語が始まります。しかし、そのお婆さんの被害妄想らしい。
一体全体何がどうなっているのか。その家族の秘密とは?
意外な結末が待ち構えています。

山村美沙『骨の証言』は、息子をサイパンの戦いで失った老人が「娘の遺骨を探して欲しい。費用は自分が持つから」と新聞に投書したところから物語は始まります。それに応じたのは若い女の子。彼女は、サイパンに遊びにいきたいと思っていたのです。
老人からお金をもらい、サイパンへ向かった女の子は真面目に骨探しをやらず、ほとんど遊んで過ごし、適当な骨を持って帰るのですが・・・


今日読んだ本
森村誠一『紺碧からの音信』
結城昌治『長かった夏』
山村美沙『骨の証言』


今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
『私的生活』

乃里子は、お金持ちのボンボン・剛と結婚し、海の望める高層マンションの上で生活します。2人は毎日いちゃついて、幸せに過ごしていました。

ですが・・・
人の大切な部分にずかずかと踏み込んでいきながらしかし、それを自覚していない剛。それを許すことに限界を覚える乃里子。2人の生活はだんだんと狂い始め・・・
乃里子が、剛と離婚するまでを描いた物語。

物語が半分過ぎたあたりから、もうラストが見えてきてしまうんだけど。まぁ、予想できない展開を楽しむ小説ではないのでそこは仕方ない、というよりもどうでも良いことなのかも知れません。
むしろどういう風にして、乃里子が剛にさよならを告げるのか、そこが物語のテーマなのかなぁという気がします。


今日読んだ本
田辺聖子『私的生活』

今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
森村誠一『紺碧からの音信』
結城昌治『長かった夏』
山村美沙『骨の証言』

『ブラザー・サン シスター・ムーン』
なんだかよく分からないので、何にも期待しないで読みました。何かありそうで何も無い、という恩田陸の見事な技にひっかけられたくないので。

だけど、まぁそれなりに面白かったです。
それぞれ小説家、音楽家、映画監督となっていった、3人の男女が、自分なりに大学生活を振り返るというもの。彼らは、少しだけ関わりがあります。だけど何かあるか、といえば別にどうということもない関係。

僕はまだ大学に行ったことがないし、まぁそんなものなのか程度に読みました。でも、何かありそうでない、どころか、もうほんと「何もない」です。「大学生活は、無為の4年間だった」っていうだけで。


今日読んだ本
恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』

今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
田辺聖子『私的生活』
『斬殺』は、世良修蔵という長州の男の悲運な一生を描いたもの。
鳥羽伏見の戦いが起こり、京都が新政府軍によって占拠された頃の日本が舞台。世良は、会津藩を鎮圧するべく、たった300人程度の兵士とともに東北地方へ派遣されます。ほとんど無謀な計画です。
彼は獅子奮迅の活躍を見せますが、どうも空回り。というより、彼が強硬に会津討伐を訴えたため、逆に仙台藩・米沢藩など東北の諸藩は激しく反発。
1000人にも達しない兵力しか派遣できない新政府を東北の武士達は軽んじるようになり、最後には、世良は斬殺されてしまいます・・・

『胡桃に酒』は、細川忠興と、明智珠(細川ガラシャ)の物語。そのカップルは人気があるようで、よく題材にとりあげられています。エピソードが多いからか。松本清張『逃亡者』とか。

ガラシャ
絶世の美女。逆臣・明智光秀の娘。夫の虐待に近い愛に耐え、切支丹締め付けが始まった頃にあえてキリシタンとなることを選んだ女性。そして最期は、西軍の人質となることを拒んで壮絶な爆死。


今日読んだ本
司馬遼太郎『斬殺』
司馬遼太郎『胡桃に酒』


今読んでいる本
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』
『俺はその夜多くのことを学んだ』
絵本みたいな感じのもの。

面白いです。
なぜか衝動をとめられなくなり、2時頃、今日初めてデートしたばかりの女性に電話をかけてしまい・・・ というお話。

三谷幸喜は何をやっても面白いものを作ってしまう人のような気がします。といってもあまり知っているというわけではないんだけど・・・

『笑の大学』『THE 有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』といった映画はどれも面白いし、『新撰組!』は歴代の大河ドラマの中では珍しく見ていました(他のはつまらなくて適当にしか見てないです。『天地人』も見てない・・・)。あと、あの古畑任三郎シリーズにも、三谷幸喜が関わっているんだったっけ。


今日読んだ本
三谷幸喜『俺はその夜多くのことを学んだ』

今読んでいる本
司馬遼太郎『斬殺』
司馬遼太郎『胡桃に酒』
岡嶋二人『なんでも屋大蔵でございます』
司馬遼太郎は、やはりなかなか面白い。
『故郷忘じがたく候』

『故郷忘じがたく候』は、バラバラの破片を集めるようにして、16世紀豊臣秀吉の侵略によって拉致され、日本の薩摩にやってきた朝鮮の人たちの数奇な軌跡を江戸・明治・大正・昭和とたどっていったもの。
彼らは今でも鹿児島の地に生き続けているそうです。

それにして凄いです。
短いのに、これだけの内容を詰め込むなんて。

日本人として鹿児島に住みながらも故郷を想い続ける朝鮮人、沈寿官が、朝鮮に行ったとき、学生に向けて講演したという言葉が印象に残ります。「あなた方が三十六年をいうなら、私は三百七十年をいわねばならない」。彼は、もう後ろを振り向くのはやめよう、と呼びかけます。

日本の拉致問題にも、同じ言葉をあてはまるのではないか、と感じました。「おあいこ」ですむ問題では決してない。それにまだ拉致されている人が北朝鮮にいるならば、その人たちを救うのは急務です。
だけど、日本国が北朝鮮による何十年間前かの拉致の罪を声高に糾弾するならば、朝鮮の人たちは「日本による60年間前の拉致の罪を糾弾せねばならない」となるのではないか・・・


今日読んだ本
司馬遼太郎『故郷忘じがたく候』

今読んでいる本
三谷幸喜『俺はその夜多くのことを学んだ』
司馬遼太郎『斬殺』
司馬遼太郎『胡桃に酒』
さすが飯嶋和一。もう、傑作というしかないです『雷電本紀』。
『雷電本紀』
江戸時代に活躍し、「史上最強」ともいわれる相撲取り・雷電と、彼を取り巻く人々の物語。という紹介では、さっぱり何も伝わらないよなぁ・・・

雷電はもともと農家の生まれでした。本名は為右衛門と言います。
為右衛門は、浅間山噴火、地震などの天災と、それを利用して私欲を貪る商人や、侍たちによる人災の中で苦しむ村の人たちの中で育ちました。彼は、その巨体と優しい性格から誰かも好かれる若者になってきます。

ですが、父親はそれを心配し、1人息子の彼を相撲取りにしてしまいました。村にいたらいずれ、人望のある彼が一揆などの時にみんなから祭り上げられ、辛苦の道を進むのは確実でした。

そうして、為右衛門は雷電となり、相撲取りに変わりました。しかし、彼は相撲取りになっても変わりませんでした。武士達の家来となって嬉々としている相撲取りたちとは一風変わった立場をとります。
土俵の上では、民衆を苦しめるあらゆるものと闘う存在と化していきました。しかし土俵を降りれば途端に優しさを見せ、どんな赤ちゃんでも抱き上げて魔除けをしてあげました。
抑圧された人々は彼に希望を託しました。

圧倒的なまでの強さを誇って、生涯にわずか10敗。ほんとに格好良い。相撲の場面の描写は、圧巻です。

だけど最後には、彼は孤独になっていきます。最強故の孤独です。そして、何の関係も無い幕府内の権力闘争に巻き込まれて、罪人に仕立て上げられ・・・ それでも毅然とした態度で役人に臨みます。悲惨だけど、その状況にもめげず、決して倒れません。ほんとに格好良い。


今日読んだ本
飯嶋和一『雷電本紀』

今読んでいる本
司馬遼太郎『故郷忘じがたく候』
三谷幸喜『俺はその夜多くのことを学んだ』
『サクリファイス』
面白かったです。
サイクルロードレースを扱った作品。

とても軽やかに物語が進んでいきます。分厚い、飯嶋和一とは全く対照的だなぁ・・・・・
そして二転三転のどんでん返しが待っているのですが、最後には爽やかな物語だなぁと感じさせられてしまいます。みごとというしかないです。


今日読んだ本
近藤史恵『サクリファイス』

今読んでいる本
飯嶋和一『雷電本紀』
『私が殺した少女』
『私が殺した少女』は少女が「誘拐」され、殺害されてしまうという凄惨な物語。原りょうは、ハードボイルド小説に心酔してこの小説を書いたそうです。

つまらないわけではないのですが。正直、なぜこれがミステリーなのかはよく理解できませんでした。最後にどんでん返しがあるんだけど、それも「凄い! これぞミステリ小説を読む醍醐味」と思わされるものではなくて、うわぁ・・・ と言葉を失うようなもの。

沢崎っていう物語の探偵は格好良いけど。

第102回直木賞受賞作。ついでに、1989年度版『このミステリーがすごい!』ランキング第1位。


今日読んだ本
原尞(はら・りょう)『私が殺した少女』

今読んでいる本
近藤史恵『サクリファイス』
飯嶋和一『雷電本紀』
やっと、北村薫の短編集『紙魚家崩壊』が読み終わりました。

『蝶』は恋愛もの。なんだろうか、これは。恋愛ものか。

『俺の席』にはぎくっとさせられます。
自分の位置っていったいなんだろうか・・・? ある日の早朝、友達の家から帰るために電車に乗って家に帰ります。ですが、その車両では、いつの間にか慣習の中で、それぞれの低位置が決まっていたらしい。その中に割り込んでしまった自分は嫌な思いをします。
そうして、そのあと家に帰るとなんと自分の妻がかいがいしく世話しているのは、誰か別の男。自分の家が自分の家ではなくなっていた・・・ という物語。

『新釈おとぎばなし』は、タイトルどおりの物語。
おとぎばなしである「アリとキリギリス」や「カチカチ山」を突っついてみると・・・

次は飯嶋和一『雷電本紀』かなぁ・・・


今日読んだ作品
北村薫『蝶』
北村薫『俺の席』
北村薫『新釈おとぎばなし』


今読んでいる作品
飯嶋和一『雷電本紀』
『ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件』は凄かった・・・
着地点が凄い。「昭和」という時代を総括してしまおうという目論み。それが成功したかどうかというのはまず置いといたとしても、感動します。
『ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件』

とにかく、2段組で680ページという分厚さと、その「小道具」の多さにまず圧倒されました。

30分間宙に浮かんだあと墜死した男、各所に登場する不可解なトランプ。主人公の女性が信じる平行世界のこと、オペラ『魔笛』の解釈。残された旧仮名遣いの文書の引用、古典ミステリへの言及。さらに、三大奇書への言及。
銀仮面で顔半分を隠している謎の人間、甲骨文による見立て殺人。2メートルもの巨人の骨の発掘、戦闘中に消失する列車。日本が満州国に押し付けようとする新たな「神話」。検閲図書館なる謎の存在、暗躍する幾つもの組織。

まぁそういった目くらましに引き込まれちゃいけないんだろうけど。これでもか、というくらいに繰り出される魅力的な謎とその小道具には感心するしかないです。

物語は、現代(平成元年)の東京と、昭和13年の満州国をいったりきたりします。とてもごちゃごちゃになっていて眩暈がしてきそうなくらいだけど、最後に到達すれば、だいたいきちりと全ての謎が解決されます。大風呂敷を広げた割には、全てがきちりと片付いていて、素晴らしい。

しかも、最後の最後に著者が提示するのは、「推理小説」による昭和史の総括。そして、「力に押し潰された弱者の声を掬うというのは凄く難しいことだけど、やっぱり為されなければならない」という意思。
とても格好良い。

推理作家・小城魚太郎の著作『赤死病館殺人事件』の中の一文が、何度も引用されて、とても印象的です。
「この世の中には異常(アブノーマル)なもの、奇形的(グロテスク)なものに仮託することでしか、その真実を語ることができない、そんなものがあるのではないか。君などは探偵小説を取るに足りぬ絵空事だと非難するが、まあ、確かに子供つぽいところがあるのは認めざるを得ないが、それにしても、この世には探偵小説でしか語れない真実といふものがあるのも、また事実であるんだぜ。 」

そして、「昭和史」とはすなわち「探偵小説」なのだ、いや「探偵小説」によってこそ見えてくる「昭和史」があるんだ、というふうになるわけなのですが。もう凄すぎる。傑作です。

第2回(2002年)本格ミステリ大賞受賞作。
2002年このミステリーがすごい! 3位


今日読み終わった作品
山田正紀『ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件』

今読んでいる作品
北村薫『蝶』
北村薫『俺の席』
北村薫『新釈おとぎばなし』
雑誌編集者の千春は、きのこのことばかり取材していたのですが。そんなある日、喫茶店でおじさんに声をかけられます。落っことしてしまったものがあるので、拾って欲しい、というだけのことだったんだけど・・・
その落っことしてしまったものとは、「十面ダイス」。
いったい何に使うものなのか・・?

実は、そのおじさんは教員で、生徒を指すときにそのサイコロを使うんだと教えてくれます。

『おにぎり、ぎりぎり』は、『サイコロ、コロコロ』と同じ千春さんが主人公。彼女は、ある日何人かでフィールドに出かけました。
そして帰ってくると、残っていた人たちがおにぎりをつくってくれていました。出かけていた方の1人、稲村先生はそのおにぎりからあることを推理するのですが・・・


今日読んだ本
北村薫『サイコロ、コロコロ』
北村薫『おにぎり、ぎりぎり』


今読んでいる作品
山田正紀『ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件』
北村薫『蝶』
北村薫『俺の席』
北村薫『新釈おとぎばなし』
『溶けていく』は、ホラーっぽいサイコサスペンスっぽい感じの短編。
主人公は健康食品会社に勤める女性。彼女は、ある漫画家の絵を見ていたら、それが会社の人たちに似ているなぁと考え始め・・・
現実と、妄想(虚構)の境目がいつの間かなくなって、そして逆転してしまう怖い作品。あれあれ、という間に終わってしまって、どきっとさせられます。

『紙魚家崩壊』と、『死と密室』は、ちょっとミステリ小説というものの「お決まり」をからかったようなメタミステリっぽい雰囲気の作品。
「両手同士が恋している」というのは、面白い。本筋と関係ないけど。

『白い朝』は、ちょっとロマンチックな物語。
ある女性が、昔の話を語り始めます。それは、今の夫と出会った日のこととつながっていきます・・・

北村薫

今日読んだ作品
北村薫『溶けていく』
北村薫『紙魚家崩壊』
北村薫『死と密室』
北村薫『白い朝』


今読んでいる作品
山田正紀『ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件』
北村薫『サイコロ、コロコロ』
北村薫『おにぎり、ぎりぎり』
北村薫『蝶』
北村薫『俺の席』
北村薫『新釈おとぎばなし』
五木寛之って、今では大御所みたいな人だよなぁ・・・ 直木賞、小説すばる新人賞、吉川英治文学賞、泉鏡花文学賞、坪田譲治文学賞の選考委員をやっていて。だけど、これまで全く読んだことなかったです。

『冥府への使者』は、インテリに憧れる日雇いの男が主人公。
彼は、朝日ジャーナルと平凡パンチをいつでもしっかりと手にしている男。ちょっと頭の良さそうなことを言って、へー凄いねと思われるのが好きでした。
そんなある日、とても良い仕事があるというので、それについていきました。とても厳重で、まったくどこへ連れて行かれたのか分からない。着いた先は宿。そこで3日間寝泊りしろ、ということらしい。
そしてボタ山の発掘をやらされます。いったい何を探しているのかさっぱり分からないのですが・・・
何十人分もの骨が見つかった途端に、その発掘は終わりました。

男はあまりにも怪しいので、一緒に働いていた学生と共謀して雇い主の話を盗み聞き。そしてどうやら、その骨は終戦まもなくの頃、殺された日本人以外の労働者らしいと知り、2人は脱走して新聞社に駆け込みます・・・


今日読んだ作品
五木寛之『冥府への使者』

今読んでいる作品
森村誠一『紺碧からの音信』
山田正紀『ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件』
北村薫『紙魚家崩壊』
軽くて爽やかな青春小説。テンポが良くて、読みやすいです。
ある高校の、野球チームの物語。


凄く、「1985年なんだ」ということが意識されているなぁ・・・
1985年を意識させるものが、てんこ盛りです。おニャン子クラブのメンバーの中で誰が1番可愛いのか争って殴りあい、「夕やけニャンニャン」があるからって野球の練習を切り上げて早く帰ってしまって・・・
高校生が、たとえとして持ち出したり、話題にする人間は、とんねるずやらチェッカーズやら菅原文太やら石原裕次郎やらサザンやら、キョンキョン(小泉今日子)やら。

そして、野球場では応援席のみんなが、『セーラー服を脱がさないで』を合唱する・・・


今日読んだ本
五十嵐貴久『1985年の奇跡』

今読んでいる作品
五木寛之『冥府への使者』
森村誠一『紺碧からの音信』
西東登『壷の中』は、短編小説。
会社では閑職に追いやられ、家庭では孤独な私は、ある日骨董屋さんで壷を見かける。その壷を、戦時中中国でみかけたことがあるような気がした私は、そこで立ち止まって、壷をまじまじと見つめてしまった・・・ そしてちょっと興味を持つのだが、その壷のことをいろいろ調べているうちに、戦後の混乱期壷を中国から持ち帰った男が突如毒死したことを知る。
いったいこれはどういうことなのだろうか・・・

コオロギ同士を闘わせる賭けというのが登場します。
実は、その壷は、中国では闘わせるために買われているコオロギを入れるものとして使われていたのです。

最後に意外なことも分かります。
なかなか面白い短編。


今日読んだ作品
西東登『壷の中』

今読んでいる作品
五木寛之『冥府への使者』
森村誠一『紺碧からの音信』
森村誠一『悪魔の飽食』

冬休みに半分まで読んで、それから置きっぱなしにしていた『告白』を今日読みました。文庫でも800ページは長い・・・ だけど、最後のあたりは一気呵成に読めてしまいます。それだけ読みやすくて、乗りやすい文章です。
『告白』

「河内十人斬り」という実際に起きた大量殺人事件を取り上げた小説です。なぜ、犯人である熊太郎と、その友である弥五郎は10人もの人間を次々と殺してしまったのであろうか・・・? というよりも、熊太郎という男はなぜに「孤独」なのだろう? 自分の考えていることと、吐き出される言葉が一致しないことで苦しむ彼の苦悩を追っていった物語です。

町田康の冷静な分析(著者が物語に口を挟む)と、暴走しまくりでぶっ飛ぶ文体。それに加えて、主人公・熊太郎のスパイラルのような思考の追跡、どれもおかしくて笑えます。
深刻なのに滑稽、いや滑稽にして深刻、なのです。

最後の部分だけしかなかったら、熊太郎はなんだかよく分からない理屈で人を次々と殺す極悪非道な理解できない「やつ」としか思えなかっただろうけど、そこに到るまでの彼の人生が語られることで、熊太郎も人間の1人なんだということがよく分かります。

言いたいことは山ほどあるのにそれを言語化できない熊太郎。言葉ってなんだろうか、とても考えさせられます。

面白い、読みやすい、考えさせる、凄い本だなぁと思います。

第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。2006年本屋大賞候補作(7位)。


今日読んだ本
町田康『告白』

今読んでいる作品
西東登『壷の中』
五木寛之『冥府への使者』
森村誠一『紺碧からの音信』
森村誠一『悪魔の飽食』
乙一の別名だという噂の人、中田永一の短編集を読みました。
『百瀬、こっちを向いて。』

『百瀬、こっちを向いて。』『なみうちぎわ』『キャベツ畑に彼の声』『小梅が通る』収録。

明るい恋愛未満っぽいような恋愛小説。
そこまで甘ったるいということもないです。

『百瀬、こっちを向いて。』は、高校1年生のモテない男の子が主人公。彼には兄貴のような存在として宮崎瞬というかっこ良い先輩がいました。宮崎瞬は、美人の神林先輩とつき合っていたのですが、裏では百瀬という女の子ともつき合っていて・・・
宮崎瞬は、百瀬とつき合っていることを他人にばれないために主人公に、百瀬とつき合っているふりをして欲しい、と頼んできます・・・

『なみうちぎわ』は、高校生になったばかりの私が主人公。彼は、不登校の男の子の家庭教師になります。2人はだんだんと仲良くなってくるのですが。ある日、主人公の女の子は入り江に浮かぶ男の子を見つけて海へ飛び込み、おぼれてしまい・・・

そんな感じの短編集。

かたかなが多くてなんだか気持ち悪いです。座りが悪い、というか。かえって気になってきて読めなくなってくる。


今日読んだ本
中田永一『百瀬、こっちを向いて。』
中田永一『なみうちぎわ』
中田永一『キャベツ畑に彼の声』
中田永一『小梅が通る』


今読んでいる作品
西東登『壷の中』
五木寛之『冥府への使者』
森村誠一『紺碧からの音信』
森村誠一『悪魔の飽食』
佐野洋『灰色の絆』は、戦後ベトナム戦争の頃の物語。
米兵の男・トムが謎の失踪をとげてしまいます。もしかして脱走したのではないか、とトムの女・桃子は思い、慌てて辻村という弁護士の男に相談するのですが・・・ なんとこんどは彼女まで青酸カリで毒死します。いったいどういうことなのか・・・?

仁木悦子『山のふところに』は、これぞ短編の醍醐味、というような面白さを感じさせてくれる傑作。戦争によって孫を奪われた、あるお婆さんの復讐の物語です。
企業の社長となって、村へ帰ってきた男がいました。彼は、この村に工場をつくろうとしていたのです。土地を売るのに頑固に反対する農民のおやじが1人いるだけで、あとはもう全て準備万端となっていたので彼は自ら村まで出向いてきました。

それを見かけたお婆。その社長がかつて孫を死に追いやった男である(その社長はかつて陸軍の飛行大尉として活躍していた。孫はそれに憧れて戦地へ赴き、沖縄で死亡)、と知り、彼を退治してしまおうと決意します・・・・


今日読んだ作品
佐野洋『灰色の絆』
仁木悦子『山のふところに』


今読んでいる作品
西東登『壷の中』
五木寛之『冥府への使者』
森村誠一『紺碧からの音信』
森村誠一『悪魔の飽食』
井上靖『敦煌』が面白かったです!
『敦煌』

前からずっと気になっていたのですが、探すのが面倒でほったらかしに。ですが、読んでみたらあまりに面白くて、これまで読まなかったことを後悔しました・・・ 中国の歴史ものが好きな人間として失格だなぁ、という感じです。

北宋の時代、趙行徳という男が科挙を受けるために首都開封へ行きます。しかし最終試験・殿試の待ち時間に居眠りしていて、試験を受けられず、失格に。行徳は、とんでもない失態をしでかしてしまって茫然とし、ふらふらと首都を漂います。
すると異国の女が、豚肉と同じ扱いで売られているのと出くわしました。
思わず行徳が彼女を買って助けると、彼女は見慣れない文字だらけの紙をくれて去りました。行徳は、それが西方の国家・西夏の文字と知り、「西夏の文化を知りたい」と感じます。そして彼は、西方へと旅立ちます・・・

もうなんというか中国西方の圧倒的で壮大な自然と歴史が描かれていて、感動です。色んなものに翻弄されながらしぶとく生きる主人公が最後に果たすことは・・・


今日読んだ本
井上靖『敦煌』

今読んでいる作品
佐野洋『灰色の絆』
仁木悦子『山のふところに』
西東登『壷の中』
森村誠一『悪魔の飽食』
今日、折原一『倒錯のロンド』を読みました。どんでん返しが楽しめる、ミステリ小説。
『倒錯のロンド』

折原一は面白い、というはなしは前から聞いていたし、それにミステリ小説のランキングにもよく登場するので名前は知っていたのだけど、なかなか読む機会がありませんでした。
面白かったです・・・

女性のキャラクターが、男にとって都合良く動いているなぁ、なんなとく。まぁ狂人の主観なのだから良いのか。

叙述トリックっていうのは、こういうのを言うのか。
解説に、『アクロイド殺人事件』が叙述トリックの原型っぽいものの1つとしてある、と書いてあったけど、そうなんだ。ああいうのが「叙述トリック」というのか。知りませんでした。
森博嗣の短編にあったなぁ、男と思わせておいて実は女、とか。
そういえば、伊坂幸太郎『鴨とアヒルのコインロッカー』も叙述トリックっぽかったなぁ。あれはまた違うか。

あと、読んだことないけど読んでみたいミステリ小説作家は・・ 佐々木譲、原遼(の2人は、『倒錯のロンド』内にも名前だけ、登場してました・・・)、法月綸太郎、有栖川有栖など。う~んなかなか読めないなぁ。


今日読んだ本
折原一『倒錯のロンド』

今読んでいる作品
佐野洋『灰色の絆』
仁木悦子『山のふところに』
西東登『壷の中』
森村誠一『悪魔の飽食』
井上靖『敦煌』
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